② 人事院は、法律の定めるところに従い、給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告、採用試験(採用試験の対象官職及び種類並びに採用試験により確保すべき人材に関する事項を除く。)、任免(標準職務遂行能力、採用昇任等基本方針、幹部職員の任用等に係る特例及び幹部候補育成課程に関する事項(第三十三条第一項に規定する根本基準の実施につき必要な事項であつて、行政需要の変化に対応するために行う優れた人材の養成及び活用の確保に関するものを含む。)を除く。)、給与(一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第六条の二第一項の規定による指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸の決定の方法並びに同法第八条第一項の規定による職務の級の定数の設定及び改定に関する事項を除く。)、研修(第七十条の六第一項第一号に掲げる観点に係るものに限る。)の計画の樹立及び実施並びに当該研修に係る調査研究、分限、懲戒、苦情の処理、職務に係る倫理の保持その他職員に関する人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護等に関する事務をつかさどる。
③ 法律により、人事院が処置する権限を与えられている部門においては、人事院の決定及び処分は、人事院によつてのみ審査される。
④ 前項の規定は、法律問題につき裁判所に出訴する権利に影響を及ぼすものではない。
(国家公務員倫理審査会)
第三条の二 前条第二項の所掌事務のうち職務に係る倫理の保持に関する事務を所掌させるため、人事院に国家公務員倫理審査会を置く。
② 国家公務員倫理審査会に関しては、この法律に定めるもののほか、国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号)の定めるところによる。
(職員)
第四条 人事院は、人事官三人をもつて、これを組織する。
② 人事官のうち一人は、総裁として命ぜられる。
③ 人事院は、事務総長及び予算の範囲内においてその職務を適切に行うため必要とする職員を任命する。
④ 人事院は、その内部機構を管理する。国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)は、人事院には適用されない。
(人事官)
第五条 人事官は、人格が高潔で、民主的な統治組織と成績本位の原則による能率的な事務の処理に理解があり、かつ、人事行政に関し識見を有する年齢三十五年以上の者のうちから、両議院の同意を経て、内閣が任命する。
② 人事官の任免は、天皇が認証する。
③ 次の各号のいずれかに該当する者は、人事官となることができない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 禁錮以上の刑に処せられた者又は第四章に規定する罪を犯し、刑に処せられた者
三 第三十八条第二号又は第四号に該当する者
④ 任命の日以前五年間において、政党の役員、政治的顧問その他これらと同様な政治的影響力を有する政党員であつた者又は任命の日以前五年間において、公選による国若しくは都道府県の公職の候補者となつた者は、人事院規則で定めるところにより、人事官となることができない。
⑤ 人事官の任命については、そのうちの二人が、同一の政党に属し、又は同一の大学学部を卒業した者となることとなつてはならない。
(宣誓及び服務)
第六条 人事官は、任命後、人事院規則の定めるところにより、最高裁判所長官の面前において、宣誓書に署名してからでなければ、その職務を行つてはならない。
② 第三章第七節の規定は、人事官にこれを準用する。
(任期)
第七条 人事官の任期は、四年とする。但し、補欠の人事官は、前任者の残任期間在任する。
② 人事官は、これを再任することができる。但し、引き続き十二年を超えて在任することはできない。
③ 人事官であつた者は、退職後一間年は、人事院の官職以外の官職に、これを任命することができない。
(退職及び罷免)
第八条 人事官は、左の各号の一に該当する場合を除く外、その意に反して罷免されることがない。
一 第五条第三項各号の一に該当するに至つた場合
二 国会の訴追に基き、公開の弾劾手続により罷免を可とすると決定された場合
三 任期が満了して、再任されず又は人事官として引き続き十二年在任するに至つた場合
② 前項第二号の規定による弾劾の事由は、左に掲げるものとする。
一 心身の故障のため、職務の遂行に堪えないこと
二 職務上の義務に違反し、その他人事官たるに適しない非行があること
③ 人事官の中、二人以上が同一の政党に属することとなつた場合においては、これらの者の中一人以外の者は、内閣が両議院の同意を経て、これを罷免するものとする。
④ 前項の規定は、政党所属関係について異動のなかつた人事官の地位に、影響を及ぼすものではない。
(人事官の弾劾)
第九条 人事官の弾劾の裁判は、最高裁判所においてこれを行う。
② 国会は、人事官の弾劾の訴追をしようとするときは、訴追の事由を記載した書面を最高裁判所に提出しなければならない。
③ 国会は、前項の場合においては、同項に規定する書面の写を訴追に係る人事官に送付しなければならない。
④ 最高裁判所は、第二項の書面を受理した日から三十日以上九十日以内の間において裁判開始の日を定め、その日の三十日以前までに、国会及び訴追に係る人事官に、これを通知しなければならない。
⑤ 最高裁判所は、裁判開始の日から百日以内に判決を行わなければならない。
⑥ 人事官の弾劾の裁判の手続は、裁判所規則でこれを定める。
⑦ 裁判に要する費用は、国庫の負担とする。
(人事官の給与)
第十条 人事官の給与は、別に法律で定める。
(総裁)
第十一条 人事院総裁は、人事官の中から、内閣が、これを命ずる。
② 人事院総裁は、院務を総理し、人事院を代表する。
③ 人事院総裁に事故のあるとき、又は人事院総裁が欠けたときは、先任の人事官が、その職務を代行する。
(人事院会議)
第十二条 定例の人事院会議は、人事院規則の定めるところにより、少なくとも一週間に一回、一定の場所において開催することを常例としなければならない。
② 人事院会議の議事は、すべて議事録として記録しておかなければならない。
③ 前項の議事録は、幹事がこれを作成する。
④ 人事院の事務処理の手続に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。
⑤ 事務総長は、幹事として人事院会議に出席する。
⑥ 人事院は、次に掲げる権限を行う場合においては、人事院の議決を経なければならない。
一 人事院規則の制定及び改廃
二 削除
三 第二十二条の規定による関係大臣その他の機関の長に対する勧告
四 第二十三条の規定による国会及び内閣に対する意見の申出
五 第二十四条の規定による国会及び内閣に対する報告
六 第二十八条の規定による国会及び内閣に対する勧告
七 第四十八条の規定による試験機関の指定
八 第六十条の規定による臨時的任用及びその更新に対する承認、臨時的任用に係る職員の員数の制限及びその資格要件の決定並びに臨時的任用の取消(人事院規則の定める場合を除く。)
九 第六十七条の規定による給与に関する法律に定める事項の改定案の作成並びに国会及び内閣に対する勧告
十 第八十七条の規定による事案の判定
十一 第九十二条の規定による処分の判定
十二 第九十五条の規定による補償に関する重要事項の立案
十三 第百三条第五項の審査請求に対する裁決
十四 第百八条の規定による国会及び内閣に対する意見の申出
十五 第百八条の三第六項の規定による職員団体の登録の効力の停止及び取消し
十六 その他人事院の議決によりその議決を必要とされた事項
(事務総局及び予算)
第十三条 人事院に事務総局及び法律顧問を置く。
② 事務総局の組織及び法律顧問に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。
③ 人事院は、毎会計年度の開始前に、次の会計年度においてその必要とする経費の要求書を国の予算に計上されるように内閣に提出しなければならない。この要求書には、土地の購入、建物の建造、事務所の借上、家具、備品及び消耗品の購入、俸給及び給料の支払その他必要なあらゆる役務及び物品に関する経費が計上されなければならない。
④ 内閣が、人事院の経費の要求書を修正する場合においては、人事院の要求書は、内閣により修正された要求書とともに、これを国会に提出しなければならない。
⑤ 人事院は、国会の承認を得て、その必要とする地方の事務所を置くことができる。
(事務総長)
第十四条 事務総長は、総裁の職務執行の補助者となり、その一般的監督の下に、人事院の事務上及び技術上のすべての活動を指揮監督し、人事院の職員について計画を立て、募集、配置及び指揮を行い、又、人事院会議の幹事となる。
(人事院の職員の兼職禁止)
第十五条 人事官及び事務総長は、他の官職を兼ねてはならない。
(人事院規則及び人事院指令)
第十六条 人事院は、その所掌事務について、法律を実施するため、又は法律の委任に基づいて、人事院規則を制定し、人事院指令を発し、及び手続を定める。人事院は、いつでも、適宜に、人事院規則を改廃することができる。
② 人事院規則及びその改廃は、官報をもつて、これを公布する。
③ 人事院は、この法律に基いて人事院規則を実施し又はその他の措置を行うため、人事院指令を発することができる。
(人事院の調査)
第十七条 人事院又はその指名する者は、人事院の所掌する人事行政に関する事項に関し調査することができる。
② 人事院又は前項の規定により指名された者は、同項の調査に関し必要があるときは、証人を喚問し、又調査すべき事項に関係があると認められる書類若しくはその写の提出を求めることができる。
③ 人事院は、第一項の調査(職員の職務に係る倫理の保持に関して行われるものに限る。)に関し必要があると認めるときは、当該調査の対象である職員に出頭を求めて質問し、又は同項の規定により指名された者に、当該職員の勤務する場所(職員として勤務していた場所を含む。)に立ち入らせ、帳簿書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
④ 前項の規定により立入検査をする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
⑤ 第三項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(国家公務員倫理審査会への権限の委任)
第十七条の二 人事院は、前条の規定による権限(職員の職務に係る倫理の保持に関して行われるものに限り、かつ、第九十条第一項に規定する審査請求に係るものを除く。)を国家公務員倫理審査会に委任する。
(給与の支払の監理)
第十八条 人事院は、職員に対する給与の支払を監理する。
② 職員に対する給与の支払は、人事院規則又は人事院指令に反してこれを行つてはならない。
(内閣総理大臣)
第十八条の二 内閣総理大臣は、法律の定めるところに従い、採用試験の対象官職及び種類並びに採用試験により確保すべき人材に関する事務、標準職務遂行能力、採用昇任等基本方針、幹部職員の任用等に係る特例及び幹部候補育成課程に関する事務(第三十三条第一項に規定する根本基準の実施につき必要な事務であつて、行政需要の変化に対応するために行う優れた人材の養成及び活用の確保に関するものを含む。)、一般職の職員の給与に関する法律第六条の二第一項の規定による指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸の決定の方法並びに同法第八条第一項の規定による職務の級の定数の設定及び改定に関する事務並びに職員の人事評価(任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価をいう。以下同じ。)、研修、能率、厚生、服務、退職管理等に関する事務(第三条第二項の規定により人事院の所掌に属するものを除く。)をつかさどる。
② 内閣総理大臣は、前項に規定するもののほか、各行政機関がその職員について行なう人事管理に関する方針、計画等に関し、その統一保持上必要な総合調整に関する事務をつかさどる。
(内閣総理大臣の調査)
第十八条の三 内閣総理大臣は、職員の退職管理に関する事項(第百六条の二から第百六条の四までに規定するものに限る。)に関し調査することができる。
② 第十七条第二項から第五項までの規定は、前項の規定による調査について準用する。この場合において、同条第二項中「人事院又は前項の規定により指名された者は、同項」とあるのは「内閣総理大臣は、第十八条の三第一項」と、同条第三項中「第一項の調査(職員の職務に係る倫理の保持に関して行われるものに限る。)」とあるのは「第十八条の三第一項の調査」と、「対象である職員」とあるのは「対象である職員若しくは職員であつた者」と、「同項の規定により指名された者に、当該職員」とあるのは「当該職員」と、「立ち入らせ」とあるのは「立ち入り」と、「検査させ、又は関係者に質問させる」とあるのは「検査し、若しくは関係者に質問する」と読み替えるものとする。
(再就職等監視委員会への権限の委任)
第十八条の四 内閣総理大臣は、前条の規定による権限を再就職等監視委員会に委任する。
(内閣総理大臣の援助等)
第十八条の五 内閣総理大臣は、職員の離職に際しての離職後の就職の援助を行う。
② 内閣総理大臣は、官民の人材交流(国と民間企業との間の人事交流に関する法律(平成十一年法律第二百二十四号)第二条第三項に規定する交流派遣及び民間企業に現に雇用され、又は雇用されていた者の職員への第三十六条ただし書の規定による採用その他これらに準ずるものとして政令で定めるものをいう。第五十四条第二項第七号において同じ。)の円滑な実施のための支援を行う。
(官民人材交流センターへの事務の委任)
第十八条の六 内閣総理大臣は、前条に規定する事務を官民人材交流センターに委任する。
② 内閣総理大臣は、前項の規定により委任する事務について、その運営に関する指針を定め、これを公表する。
(官民人材交流センター)
第十八条の七 内閣府に、官民人材交流センターを置く。
② 官民人材交流センターは、この法律及び他の法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。
③ 官民人材交流センターの長は、官民人材交流センター長とし、内閣官房長官をもつて充てる。
④ 官民人材交流センター長は、官民人材交流センターの事務を統括する。
⑤ 官民人材交流センター長は、官民人材交流センターの所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求め、又は意見を述べることができる。
⑥ 官民人材交流センターに、官民人材交流副センター長を置く。
⑦ 官民人材交流副センター長は、官民人材交流センター長の職務を助ける。
⑧ 官民人材交流センターに、所要の職員を置く。
⑨ 内閣総理大臣は、官民人材交流センターの所掌事務の全部又は一部を分掌させるため、所要の地に、官民人材交流センターの支所を置くことができる。
⑩ 第三項から前項までに定めるもののほか、官民人材交流センターの組織に関し必要な事項は、政令で定める。
(人事記録)
第十九条 内閣総理大臣は、職員の人事記録に関することを管理する。
② 内閣総理大臣は、内閣府、デジタル庁、各省その他の機関をして、当該機関の職員の人事に関する一切の事項について、人事記録を作成し、これを保管せしめるものとする。
③ 人事記録の記載事項及び様式その他人事記録に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
④ 内閣総理大臣は、内閣府、デジタル庁、各省その他の機関によつて作成保管された人事記録で、前項の規定による政令に違反すると認めるものについて、その改訂を命じ、その他所要の措置をなすことができる。
(統計報告)
第二十条 内閣総理大臣は、政令の定めるところにより、職員の在職関係に関する統計報告の制度を定め、これを実施するものとする。
② 内閣総理大臣は、前項の統計報告に関し必要があるときは、関係庁に対し随時又は定期に一定の形式に基いて、所要の報告を求めることができる。
(権限の委任)
第二十一条 人事院又は内閣総理大臣は、それぞれ人事院規則又は政令の定めるところにより、この法律に基づく権限の一部を他の機関をして行なわせることができる。この場合においては、人事院又は内閣総理大臣は、当該事務に関し、他の機関の長を指揮監督することができる。
(人事行政改善の勧告)
第二十二条 人事院は、人事行政の改善に関し、関係大臣その他の機関の長に勧告することができる。
② 前項の場合においては、人事院は、その旨を内閣に報告しなければならない。
(法令の制定改廃に関する意見の申出)
第二十三条 人事院は、この法律の目的達成上、法令の制定又は改廃に関し意見があるときは、その意見を国会及び内閣に同時に申し出なければならない。
(人事院規則の制定改廃に関する内閣総理大臣からの要請)
第二十三条の二 内閣総理大臣は、この法律の目的達成上必要があると認めるときは、人事院に対し、人事院規則を制定し、又は改廃することを要請することができる。
② 内閣総理大臣は、前項の規定による要請をしたときは、速やかに、その内容を公表するものとする。
(業務の報告)
第二十四条 人事院は、毎年、国会及び内閣に対し、業務の状況を報告しなければならない。
② 内閣は、前項の報告を公表しなければならない。
(人事管理官)
第二十五条 内閣府、デジタル庁及び各省並びに政令で指定するその他の機関には、人事管理官を置かなければならない。
② 人事管理官は、人事に関する部局の長となり、前項の機関の長を助け、人事に関する事務を掌る。この場合において、人事管理官は、中央人事行政機関との緊密な連絡及びこれに対する協力につとめなければならない。
第二十六条 削除
② 前項に規定する機関の長たる任命権者は、幹部職以外の官職(内閣が任命権を有する場合にあつては、幹部職を含む。)の任命権を、その部内の上級の国家公務員(内閣が任命権を有する幹部職にあつては、内閣総理大臣又は国務大臣)に限り委任することができる。この委任は、その効力が発生する日の前に、書面をもつて、これを人事院に提示しなければならない。
③ この法律、人事院規則及び人事院指令に規定する要件を備えない者は、これを任命し、雇用し、昇任させ若しくは転任させてはならず、又はいかなる官職にも配置してはならない。
(採用候補者名簿による採用)
第五十六条 採用候補者名簿による職員の採用は、任命権者が、当該採用候補者名簿に記載された者の中から、面接を行い、その結果を考慮して行うものとする。
(選考による採用)
第五十七条 選考による職員の採用(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)は、任命権者が、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。
(昇任、降任及び転任)
第五十八条 職員の昇任及び転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)は、任命権者が、職員の人事評価に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。
② 任命権者は、職員を降任させる場合(職員の幹部職への任命に該当する場合を除く。)には、当該職員の人事評価に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を有すると認められる官職に任命するものとする。
③ 国際機関又は民間企業に派遣されていたこと等の事情により、人事評価が行われていない職員の昇任、降任及び転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)については、前二項の規定にかかわらず、任命権者が、人事評価以外の能力の実証に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を判断して行うことができる。
(条件附任用期間)
第五十九条 一般職に属するすべての官職に対する職員の採用又は昇任は、すべて条件附のものとし、その職員が、その官職において六月を下らない期間を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに、正式のものとなるものとする。
② 条件附採用に関し必要な事項又は条件附採用期間であつて六月をこえる期間を要するものについては、人事院規則でこれを定める。
(臨時的任用)
第六十条 任命権者は、人事院規則の定めるところにより、緊急の場合、臨時の官職に関する場合又は採用候補者名簿がない場合には、人事院の承認を得て、六月を超えない任期で、臨時的任用を行うことができる。この場合において、その任用は、人事院規則の定めるところにより人事院の承認を得て、六月の期間で、これを更新することができるが、再度更新することはできない。
② 人事院は、臨時的任用につき、その員数を制限し、又は、任用される者の資格要件を定めることができる。
③ 人事院は、前二項の規定又は人事院規則に違反する臨時的任用を取り消すことができる。
④ 臨時的任用は、任用に際して、いかなる優先権をも与えるものではない。
⑤ 前各項に定めるもののほか、臨時的に任用された者に対しては、この法律及び人事院規則を適用する。
第五款 休職、復職、退職及び免職
(休職、復職、退職及び免職)
第六十一条 職員の休職、復職、退職及び免職は任命権者が、この法律及び人事院規則に従い、これを行う。
第六款 幹部職員の任用等に係る特例
(適格性審査及び幹部候補者名簿)
第六十一条の二 内閣総理大臣は、次に掲げる者について、政令で定めるところにより、幹部職(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三十条の二第一項第六号に規定する幹部職を含む。以下この条において同じ。)に属する官職(同項第二号に規定する自衛官以外の隊員が占める職を含む。次項及び第六十一条の十一において同じ。)に係る標準職務遂行能力(同法第三十条の二第一項第五号に規定する標準職務遂行能力を含む。次項において同じ。)を有することを確認するための審査(以下「適格性審査」という。)を公正に行うものとする。
一 幹部職員(自衛隊法第三十条の二第一項第六号に規定する幹部隊員を含む。以下この項及び第六十一条の九第一項において同じ。)
二 幹部職員以外の者であつて、幹部職の職責を担うにふさわしい能力を有すると見込まれる者として任命権者(自衛隊法第三十一条第一項の規定により同法第二条第五項に規定する隊員(以下「自衛隊員」という。)の任免について権限を有する者を含む。第三項及び第四項、第六十一条の六並びに第六十一条の十一において同じ。)が内閣総理大臣に推薦した者
三 前二号に掲げる者に準ずる者として政令で定める者
② 内閣総理大臣は、適格性審査の結果、幹部職に属する官職に係る標準職務遂行能力を有することを確認した者について、政令で定めるところにより、氏名その他政令で定める事項を記載した名簿(以下「幹部候補者名簿」という。)を作成するものとする。
③ 内閣総理大臣は、任命権者の求めがある場合には、政令で定めるところにより、当該任命権者に対し、幹部候補者名簿を提示するものとする。
④ 内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、定期的に、及び任命権者の求めがある場合その他必要があると認める場合には随時、適格性審査を行い、幹部候補者名簿を更新するものとする。
⑤ 内閣総理大臣は、前各項の規定による権限を内閣官房長官に委任する。
⑥ 第一項各号列記以外の部分及び第二項から第四項までの政令は、人事院の意見を聴いて定めるものとする。
(幹部候補者名簿に記載されている者の中からの任用)
第六十一条の三 選考による職員の採用であつて、幹部職への任命に該当するものは、任命権者が、幹部候補者名簿に記載されている者であつて、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。
② 職員の昇任及び転任であつて、幹部職への任命に該当するものは、任命権者が、幹部候補者名簿に記載されている者であつて、職員の人事評価に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。
③ 任命権者は、幹部候補者名簿に記載されている職員の降任であつて、幹部職への任命に該当するものを行う場合には、当該職員の人事評価に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる幹部職に任命するものとする。
④ 国際機関又は民間企業に派遣されていたこと等の事情により人事評価が行われていない職員のうち、幹部候補者名簿に記載されている者の昇任、降任又は転任であつて、幹部職への任命に該当するものについては、任命権者が、前二項の規定にかかわらず、人事評価以外の能力の実証に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を判断して行うことができる。
(内閣総理大臣及び内閣官房長官との協議に基づく任用等)
第六十一条の四 任命権者は、職員の選考による採用、昇任、転任及び降任であつて幹部職への任命に該当するもの、幹部職員の幹部職以外の官職への昇任、転任及び降任並びに幹部職員の退職(政令で定めるものに限る。第四項において同じ。)及び免職(以下この条において「採用等」という。)を行う場合には、政令で定めるところにより、あらかじめ内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議した上で、当該協議に基づいて行うものとする。
② 前項の場合において、災害その他緊急やむを得ない理由により、あらかじめ内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議する時間的余裕がないときは、任命権者は、同項の規定にかかわらず、当該協議を行うことなく、職員の採用等を行うことができる。
③ 任命権者は、前項の規定により職員の採用等を行つた場合には、内閣総理大臣及び内閣官房長官に通知するとともに、遅滞なく、当該採用等について、政令で定めるところにより、内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議し、当該協議に基づいて必要な措置を講じなければならない。
④ 内閣総理大臣又は内閣官房長官は、幹部職員について適切な人事管理を確保するために必要があると認めるときは、任命権者に対し、幹部職員の昇任、転任、降任、退職及び免職(以下この項において「昇任等」という。)について協議を求めることができる。この場合において、協議が調つたときは、任命権者は、当該協議に基づいて昇任等を行うものとする。
(管理職への任用に関する運用の管理)
第六十一条の五 任命権者は、政令で定めるところにより、定期的に、及び内閣総理大臣の求めがある場合には随時、管理職への任用の状況を内閣総理大臣に報告するものとする。
② 内閣総理大臣は、第五十四条第二項第四号の基準に照らして必要があると認める場合には、任命権者に対し、管理職への任用に関する運用の改善その他の必要な措置をとることを求めることができる。
(任命権者を異にする管理職への任用に係る調整)
第六十一条の六 内閣総理大臣は、任命権者を異にする管理職(自衛隊法第三十条の二第一項第七号に規定する管理職を含む。)への任用の円滑な実施に資するよう、任命権者に対する情報提供、任命権者相互間の情報交換の促進その他の必要な調整を行うものとする。
(人事に関する情報の管理)
第六十一条の七 内閣総理大臣は、この款及び次款の規定の円滑な運用を図るため、内閣府、デジタル庁、各省その他の機関に対し、政令で定めるところにより、当該機関の幹部職員、管理職員、第六十一条の九第二項第二号に規定する課程対象者その他これらに準ずる職員として政令で定めるものの人事に関する情報の提供を求めることができる。
② 内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、前項の規定により提出された情報を適正に管理するものとする。
(特殊性を有する幹部職等の特例)
第六十一条の八 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣法制局、内閣府及びデジタル庁を除く。以下この項において「内閣の直属機関」という。)、人事院、検察庁及び会計検査院の官職(当該官職が内閣の直属機関に属するものであつて、その任命権者が内閣の委任を受けて任命権を行う者であるものを除く。)については、第六十一条の二から第六十一条の五までの規定は適用せず、第五十七条、第五十八条及び前条第一項の規定の適用については、第五十七条中「採用(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「採用」と、第五十八条第一項中「転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「転任」と、同条第二項中「降任させる場合(職員の幹部職への任命に該当する場合を除く。)」とあるのは「降任させる場合」と、同条第三項中「転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「転任」と、前条第一項中「、政令」とあるのは「、当該機関の職員が適格性審査を受ける場合その他の必要がある場合として政令で定める場合に限り、政令」とする。
② 警察庁の官職については、第六十一条の二、第六十一条の三、第六十一条の四第四項及び第六十一条の五の規定は適用せず、第五十七条、第五十八条、第六十一条の四第一項から第三項まで及び前条第一項の規定の適用については、第五十七条中「採用(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「採用」と、第五十八条第一項中「転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「転任」と、同条第二項中「降任させる場合(職員の幹部職への任命に該当する場合を除く。)」とあるのは「降任させる場合」と、同条第三項中「転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「転任」と、第六十一条の四第一項中「に協議した上で、当該協議に基づいて行う」とあるのは「(任命権者が警察庁長官である場合にあつては、国家公安委員会を通じて内閣総理大臣及び内閣官房長官)に通知するものとする。この場合において、内閣総理大臣及び内閣官房長官は、任命権者(任命権者が警察庁長官である場合にあつては、国家公安委員会を通じて任命権者)に対し、当該幹部職に係る標準職務遂行能力を有しているか否かの観点から意見を述べることができる」と、同条第二項中「に協議する」とあるのは「(任命権者が警察庁長官である場合にあつては、国家公安委員会を通じて内閣総理大臣及び内閣官房長官)に通知する」と、「当該協議」とあるのは「当該通知」と、同条第三項中「内閣総理大臣及び内閣官房長官に通知するとともに、遅滞なく」とあるのは「遅滞なく」と、「に協議し、当該協議に基づいて必要な措置を講じなければならない」とあるのは「(任命権者が警察庁長官である場合にあつては、国家公安委員会を通じて内閣総理大臣及び内閣官房長官)に通知しなければならない。この場合において、内閣総理大臣及び内閣官房長官は、任命権者(任命権者が警察庁長官である場合にあつては、国家公安委員会を通じて任命権者)に対し、当該幹部職に係る標準職務遂行能力を有しているか否かの観点から意見を述べることができるものとする」と、前条第一項中「、政令」とあるのは「、当該機関の職員が適格性審査を受ける場合その他の必要がある場合として政令で定める場合に限り、政令」とする。
③ 内閣法制局、宮内庁、外局として置かれる委員会(政令で定めるものを除く。)及び国家行政組織法第七条第五項に規定する実施庁の幹部職(これらの機関の長を除く。)については、第六十一条の四第四項の規定は適用せず、同条第一項及び第三項の規定の適用については、同条第一項中「内閣総理大臣」とあるのは「任命権者の属する機関に係る事項についての内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣(第三項において単に「主任の大臣」という。)を通じて内閣総理大臣」と、同条第三項中「内閣総理大臣」とあるのは「主任の大臣を通じて内閣総理大臣」とする。
(職員の意に反する降給等の処分に関する説明書の交付)
第八十九条 職員に対し、その意に反して、降給し、降任し、休職し、免職し、その他これに対しいちじるしく不利益な処分を行い、又は懲戒処分を行わうとするときは、その処分を行う者は、その職員に対し、その処分の際、処分の事由を記載した説明書を交付しなければならない。
② 職員が前項に規定するいちじるしく不利益な処分を受けたと思料する場合には、同項の説明書の交付を請求することができる。
③ 第一項の説明書には、当該処分につき、人事院に対して審査請求をすることができる旨及び審査請求をすることができる期間を記載しなければならない。
(審査請求)
第九十条 前条第一項に規定する処分を受けた職員は、人事院に対してのみ審査請求をすることができる。
② 前条第一項に規定する処分及び法律に特別の定めがある処分を除くほか、職員に対する処分については、審査請求をすることができない。職員がした申請に対する不作為についても、同様とする。
③ 第一項に規定する審査請求については、行政不服審査法第二章の規定を適用しない。
(審査請求期間)
第九十条の二 前条第一項に規定する審査請求は、処分説明書を受領した日の翌日から起算して三月以内にしなければならず、処分があつた日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。
(調査)
第九十一条 第九十条第一項に規定する審査請求を受理したときは、人事院又はその定める機関は、直ちにその事案を調査しなければならない。
② 前項に規定する場合において、処分を受けた職員から請求があつたときは、口頭審理を行わなければならない。口頭審理は、その職員から請求があつたときは、公開して行わなければならない。
③ 処分を行つた者又はその代理者及び処分を受けた職員は、すべての口頭審理に出席し、自己の代理人として弁護人を選任し、陳述を行い、証人を出席せしめ、並びに書類、記録その他のあらゆる適切な事実及び資料を提出することができる。
④ 前項に掲げる者以外の者は、当該事案に関し、人事院に対し、あらゆる事実及び資料を提出することができる。
(調査の結果採るべき措置)
第九十二条 前条に規定する調査の結果、処分を行うべき事由のあることが判明したときは、人事院は、その処分を承認し、又はその裁量により修正しなければならない。
② 前条に規定する調査の結果、その職員に処分を受けるべき事由のないことが判明したときは、人事院は、その処分を取り消し、職員としての権利を回復するために必要で、且つ、適切な処置をなし、及びその職員がその処分によつて受けた不当な処置を是正しなければならない。人事院は、職員がその処分によつて失つた俸給の弁済を受けるように指示しなければならない。
③ 前二項の判定は、最終のものであつて、人事院規則の定めるところにより、人事院によつてのみ審査される。
(審査請求と訴訟との関係)
第九十二条の二 第八十九条第一項に規定する処分であつて人事院に対して審査請求をすることができるものの取消しの訴えは、審査請求に対する人事院の裁決を経た後でなければ、提起することができない。
③ 前項第二号の「退職手当通算法人」とは、独立行政法人(独立行政法人通則法第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)その他特別の法律により設立された法人でその業務が国の事務又は事業と密接な関連を有するもののうち政令で定めるもの(退職手当(これに相当する給付を含む。)に関する規程において、職員が任命権者又はその委任を受けた者の要請に応じ、引き続いて当該法人の役員又は当該法人に使用される者となつた場合に、職員としての勤続期間を当該法人の役員又は当該法人に使用される者としての勤続期間に通算することと定めている法人に限る。)をいう。
② 前項の規定によるもののほか、再就職者のうち、国家行政組織法第二十一条第一項に規定する部長若しくは課長の職又はこれらに準ずる職であつて政令で定めるものに、離職した日の五年前の日より前に就いていた者は、当該職に就いていた時に在職していた局等組織に属する役職員又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、契約等事務であつて離職した日の五年前の日より前の職務(当該職に就いていたときの職務に限る。)に属するものに関し、離職後二年間、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならない。
③ 前二項の規定によるもののほか、再就職者のうち、国家行政組織法第六条に規定する長官、同法第十八条第一項に規定する事務次官、同法第二十一条第一項に規定する事務局長若しくは局長の職又はこれらに準ずる職であつて政令で定めるものに就いていた者は、当該職に就いていた時に在職していた府省その他の政令で定める国の機関、行政執行法人若しくは都道府県警察(以下「局長等としての在職機関」という。)に属する役職員又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、契約等事務であつて局長等としての在職機関の所掌に属するものに関し、離職後二年間、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならない。
③ 職員は、職員団体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。ただし、重要な行政上の決定を行う職員、重要な行政上の決定に参画する管理的地位にある職員、職員の任免に関して直接の権限を持つ監督的地位にある職員、職員の任免、分限、懲戒若しくは服務、職員の給与その他の勤務条件又は職員団体との関係についての当局の計画及び方針に関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが職員団体の構成員としての誠意と責任とに直接に抵触すると認められる監督的地位にある職員その他職員団体との関係において当局の立場に立つて遂行すべき職務を担当する職員(以下「管理職員等」という。)と管理職員等以外の職員とは、同一の職員団体を組織することができず、管理職員等と管理職員等以外の職員とが組織する団体は、この法律にいう「職員団体」ではない。
>
③ 職員団体が登録される資格を有し、及び引き続いて登録されているためには、規約の作成又は変更、役員の選挙その他これらに準ずる重要な行為が、すべての構成員が平等に参加する機会を有する直接かつ秘密の投票による全員の過半数(役員の選挙については、投票者の過半数)によつて決定される旨の手続を定め、かつ、現実にその手続によりこれらの重要な行為が決定されることを必要とする。ただし、連合体である職員団体又は全国的規模をもつ職員団体にあつては、すべての構成員が平等に参加する機会を有する構成団体ごと又は地域若しくは職域ごとの直接かつ秘密の投票による投票者の過半数で代議員を選挙し、この代議員の全員が平等に参加する機会を有する直接かつ秘密の投票による全員の過半数(役員の選挙については、投票者の過半数)によつて決定される旨の手続を定め、かつ、現実に、その手続により決定されることをもつて足りるものとする。
② 前項ただし書の許可は、所轄庁の長が相当と認める場合に与えることができるものとし、これを与える場合においては、所轄庁の長は、その許可の有効期間を定めるものとする。
③ 第一項ただし書の規定により登録された職員団体の役員として専ら従事する期間は、職員としての在職期間を通じて五年(行政執行法人の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第二号の職員として同法第七条第一項ただし書の規定により労働組合の業務に専ら従事したことがある職員については、五年からその専ら従事した期間を控除した期間)を超えることができない。