第一条 訴ハ被告ノ普通裁判籍所在地ノ裁判所ノ管轄ニ属ス
第一編 総則
第一章 裁判所
第一節 管轄
第二条 人ノ普通裁判籍ハ住所ニ依リテ定ル 2 日本ニ住所ナキトキ又ハ住所ノ知レサルトキハ普通裁判籍ハ居所ニ依リ、居所ナキトキ又ハ 居所ノ知レサルトキハ最後ノ住所ニ依リテ定ル 第三条 大使、公使其ノ他外国ニ在リテ治外法権ヲ享クル日本人カ前条ノ規定ニ依リ普通裁判 籍ヲ有セサルトキハ其ノ者ノ普通裁判籍ハ最高裁判所ノ定ムル地ニ在ルモノトス 第四条 法人其ノ他ノ社団又ハ財団ノ普通裁判籍ハ其ノ主タル事務所又ハ営業所ニ依リ、事務 所又ハ営業所ナキトキハ主タル業務担当者ノ住所ニ依リテ定ル 2 国ノ普通裁判籍ハ訴訟ニ付国ヲ代表スル官庁ノ所在地ニ依リテ定ル 3 第一項ノ規定ハ外国ノ社団又ハ財団ノ普通裁判籍ニ付テハ日本ニ於ケル事務所、営業所又ハ 業務担当者ニ之ヲ適用ス 第五条 財産権上ノ訴ハ義務履行地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第六条 手形又ハ小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求ヲ目的トスル訴ハ手形又ハ小切手ノ支払地ノ 裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第七条 船員ニ対スル財産権上ノ訴ハ船舶ノ船籍ノ所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第八条 日本ニ住所ナキ者又ハ住所ノ知レサル者ニ対スル財産権上ノ訴ハ請求若ハ其ノ担保ノ 目的又ハ差押フルコトヲ得ヘキ被告ノ財産ノ所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第九条 事務所又ハ営業所ヲ有スル者ニ対スル訴ハ其ノ事務所又ハ営業所ニ於ケル業務ニ関ス ルモノニ限リ其ノ所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第十条 船舶又ハ航海ニ関シ船舶所有者其ノ他船舶ノ利用ヲ為ス者ニ対スル訴ハ船籍ノ所在地 ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第十一条 船舶債権其ノ他船舶ヲ以テ担保スル債権ニ基ク訴ハ船舶ノ所在地ノ裁判所ニ之ヲ提 起スルコトヲ得 第十二条 会社其ノ他ノ社団ヨリ社員ニ対スル訴又ハ社員ヨリ社員ニ対スル訴ハ社員タル資格 ニ基クモノニ限リ会社其ノ他ノ社団ノ普通裁判籍所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 2 前項ノ規定ハ社団又ハ財団ヨリ役員ニ対スル訴及会社ヨリ発起人又ハ検査役ニ対スル訴ニ之 ヲ準用ス 第十三条 会社其ノ他ノ社団ノ債権者ヨリ社員ニ対スル訴ハ社員タル資格ニ基クモノニ限リ前 条ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第十四条 第十二条及前条ノ規定ハ社団、財団、社員又ハ社団ノ債権者ヨリ社員、役員、発起 人又ハ検査役タリシ者ニ対スル訴及社員タリシ者ヨリ社員ニ対スル訴ニ之ヲ準用ス 第十五条 不法行為ニ関スル訴ハ其ノ行為アリタル地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 2 船舶ノ衝突其ノ他海上ノ事故ニ基ク損害賠償ノ訴ハ損害ヲ受ケタル船舶カ最初ニ到達シタル 第十六条 海難救助ニ関スル訴ハ救助アリタル地又ハ救助セラレタル船舶カ最初ニ到達シタル 地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第十七条 不動産ニ関スル訴ハ不動産所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第十八条 登記又ハ登録ニ関スル訴ハ登記又ハ登録ヲ為スヘキ地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコト ヲ得 第十九条 相続権ニ関スル訴又ハ遺留分若ハ遺贈其ノ他死亡ニ因リテ効力ヲ生スヘキ行為ニ関 スル訴ハ相続開始ノ時ニ於ケル被相続人ノ普通裁判籍所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ 得 第二十条 相続債権其ノ他相続財産ノ負担ニ関スル訴ニシテ前条ノ規定ニ該当セサルモノハ相 続財産ノ全部又ハ一部カ前条ノ裁判所ノ管轄区域内ニ在ルトキニ限リ其ノ裁判所ニ之ヲ提起 スルコトヲ得 第二十一条 一ノ訴ヲ以テ数個ノ請求ヲ為ス場合ニ於テハ第一条乃至前条ノ規定ニ依リ一ノ請 求ニ付管轄権ヲ有スル裁判所ニ其ノ訴ヲ提起スルコトヲ得 地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第二十二条 裁判所法ニ依リ管轄カ訴訟ノ目的ノ価額ニ依リテ定ルトキハ其ノ価額ハ訴ヲ以テ 主張スル利益ニ依リテ之ヲ算定ス 2 前項ノ価額ヲ算定スルコト能ハサルトキハ其ノ価額ハ九十万円ヲ超過スルモノト看做ス 第二十三条 一ノ訴ヲ以テ数個ノ請求ヲ為ストキハ其ノ価額ヲ合算ス 2 果実、損害賠償、違約金又ハ費用ノ請求カ訴訟ノ附帯ノ目的ナルトキハ其ノ価額ハ之ヲ訴訟 第二十四条 左ノ場合ニ於テハ関係アル裁判所ニ共通スル直近上級裁判所ハ申立ニ因リ決定ヲ 以テ管轄裁判所ヲ定ム 一 管轄裁判所カ法律上又ハ事実上裁判権ヲ行フコト能ハサルトキ 二 裁判所ノ管轄区域明確ナラサル為管轄裁判所カ定ラサルトキ 第二十五条 当事者ハ第一審ニ限リ合意ニ依リ管轄裁判所ヲ定ムルコトヲ得 2 前項ノ合意ハ一定ノ法律関係ニ基ク訴ニ関シ且書面ヲ以テ之ヲ為スニ非サレハ其ノ効ナシ 第二十六条 被告カ第一審裁判所ニ於テ管轄違ノ抗弁ヲ提出セスシテ本案ニ付弁論ヲ為シ又ハ ノ目的ノ価額ニ算入セス 2 前項ノ決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス 準備手続ニ於テ申述ヲ為シタルトキハ其ノ裁判所ハ管轄権ヲ有ス 第二十七条 第一条、第五条乃至第二十一条、第二十五条及前条ノ規定ハ訴ニ付専属管轄ノ定 アル場合ニハ之ヲ適用セス 第二十八条 裁判所ハ管轄ニ関スル事項ニ付職権ヲ以テ証拠調ヲ為スコトヲ得 第二十九条 裁判所ノ管轄ハ起訴ノ時ヲ標準トシテ之ヲ定ム 第三十条 裁判所ハ訴訟ノ全部又ハ一部カ其ノ管轄ニ属セスト認ムルトキハ決定ヲ以テ之ヲ管 轄裁判所ニ移送ス 2 地方裁判所ハ訴訟カ其ノ管轄区域内ノ簡易裁判所ノ管轄ニ属スル場合ニ於テモ相当ト認ムル トキハ前項ノ規定ニ拘ラス申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ訴訟ノ全部又ハ一部ニ付自ラ審理及裁 判ヲ為スコトヲ得但シ訴ニ付専属管轄ノ定ノアル場合ハ此ノ限ニ在ラス 第三十一条 裁判所ハ其ノ管轄ニ属スル訴訟ニ付著キ損害又ハ遅滞ヲ避クル為必要アリト認ム ルトキハ其ノ専属管轄ニ属スルモノヲ除クノ外申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ訴訟ノ全部又ハ一 部ヲ他ノ管轄裁判所ニ移送スルコトヲ得 第三十一条ノ二 簡易裁判所ハ訴訟カ其ノ管轄ニ属スル場合ニ於テモ相当ト認ムルトキハ其ノ 専属管轄ニ属スルモノヲ除クノ外申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ訴訟ノ全部又ハ一部ヲ其ノ所在 地ヲ管轄スル地方裁判所ニ移送スルコトヲ得 第三十一条ノ三 簡易裁判所ハ訴訟ガ其ノ管轄ニ属スル場合ニ於テモ当事者ノ申立及相手方ノ 同意アルトキハ其ノ専属管轄ニ属スルモノヲ除クノ外訴訟ノ全部又ハ一部ヲ其ノ所在地ヲ管 轄スル地方裁判所ニ移送スルコトヲ要ス但シ之ニ因リ著ク訴訟手続ヲ遅滞セシムベキ場合ハ 此ノ限ニ在ラズ 2 前項本文ノ規定ハ不動産ニ関スル訴訟ニ付被告ノ申立アル場合ニ之ヲ準用ス但シ其ノ申立前 被告ガ本案ニ付弁論ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ 第三十二条 移送ノ裁判ハ移送ヲ受ケタル裁判所ヲ覊束ス 2 移送ヲ受ケタル裁判所ハ更ニ事件ヲ他ノ裁判所ニ移送スルコトヲ得ス 第三十三条 移送ノ裁判及移送ノ申立ヲ却下シタル裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第三十四条 移送ノ裁判確定シタルトキハ訴訟ハ初ヨリ移送ヲ受ケタル裁判所ニ繋属シタルモ ノト看做ス 2 前項ノ場合ニ於テハ移送ノ裁判ヲ為シタル裁判所ノ裁判所書記官ハ其ノ裁判ノ正本ヲ訴訟記 録ニ添附シ移送ヲ受ケタル裁判所ノ裁判所書記官ニ之ヲ送付スルコトヲ要ス
第二節 裁判所職員ノ除斥、忌避及回避
第三十五条 裁判官ハ左ノ場合ニ於テハ法律上其ノ職務ノ執行ヨリ除斥セラル
一 裁判官又ハ其ノ配偶者若ハ配偶者タリシ者カ事件ノ当事者ナルトキ又ハ事件ニ付当事者ト共同権利者、共同義務者若ハ償還義務者タル関係ヲ有スルトキ
二 裁判官カ当事者ノ四親等内ノ血族、三親等内ノ姻族若ハ同居ノ親族ナルトキ又ハナリシトキ
三 裁判官カ当事者ノ後見人、後見監督人又ハ保佐人ナルトキ
四 裁判官カ事件ニ付証人又ハ鑑定人ト為リタルトキ 五 裁判官カ事件ニ付当事者ノ代理人又ハ輔佐人ナルトキ又ハナリシトキ 六 裁判官カ事件ニ付仲裁判断ニ関与シ又ハ不服ヲ申立テラレタル前審ノ裁判ニ関与シタル トキ但シ他ノ裁判所ノ嘱託ニ因リ受託裁判官トシテ其ノ職務ヲ行フコトヲ妨ケス
第三十六条 除斥ノ原因アルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ除斥ノ裁判ヲ為ス 第三十七条 裁判官ニ付裁判ノ公正ヲ妨クヘキ事情アルトキハ当事者ハ之ヲ忌避スルコトヲ得 2 当事者カ裁判官ノ面前ニ於テ弁論ヲ為シ又ハ準備手続ニ於テ申述ヲ為シタルトキハ其ノ裁判 官ヲ忌避スルコトヲ得ス但シ忌避ノ原因カ其ノ後ニ生シ又ハ当事者カ其ノ原因アルコトヲ知 ラサリシトキハ此ノ限ニ在ラス 第三十八条 第三十六条又ハ前条ニ規定スル申立ハ其ノ原因ヲ開示シテ裁判官所属ノ裁判所ニ 之ヲ為スコトヲ要ス 2 除斥又ハ忌避ノ原因ハ申立ヲ為シタル日ヨリ三日内ニ之ヲ疏明スルコトヲ要ス前条第二項但 書ノ事実亦同シ 第三十九条 合議体ノ構成員タル裁判官及地方裁判所ノ一人ノ裁判官ノ除斥又ハ忌避ニ付テハ 其ノ裁判官所属ノ裁判所カ、簡易裁判所ノ裁判官ノ除斥又ハ忌避ニ付テハ其ノ裁判所ノ所在 地ヲ管轄スル地方裁判所カ決定ヲ以テ裁判ヲ為ス 第四十条 裁判官ハ其ノ除斥又ハ忌避ニ付裁判ニ関与スルコトヲ得ス但シ意見ヲ述フルコトヲ 得 第四十一条 除斥又ハ忌避ヲ理由アリトスル決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス之ヲ理 由ナシトスル決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第四十二条 除斥又ハ忌避ノ申立アリタルトキハ其ノ申立ニ付テノ裁判ノ確定ニ至ル迄訴訟手 続ヲ停止スルコトヲ要ス但シ急速ヲ要スル行為ニ付テハ此ノ限ニ在ラス 第四十三条 第三十五条及第三十七条第一項ノ場合ニ於テハ裁判官ハ監督権アル裁判所ノ許可 ヲ得テ回避スルコトヲ得 第四十四条 本節ノ規定ハ裁判所書記官ニ之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ裁判ハ裁判所書記官所 属ノ裁判所之ヲ為シ簡易裁判所ノ裁判所書記官ノ回避ノ許可ハ其ノ裁判所ノ裁判所法第三十 七条ニ規定スル裁判官之ヲ為ス
第二章 当事者
第一節 当事者能力及訴訟能力
第四十五条 当事者能力、訴訟能力及訴訟無能力者ノ法定代理ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除 クノ外民法其ノ他ノ法令ニ従フ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権亦同シ 第四十六条 法人ニ非サル社団又ハ財団ニシテ代表者又ハ管理人ノ定アルモノハ其ノ名ニ於テ 訴ヘ又ハ訴ヘラルルコトヲ得 2 前項ノ裁判ハ地方裁判所ニ於テハ合議体ニ於テ之ヲ為ス 第四十七条 共同ノ利益ヲ有スル多数者ニシテ前条ノ規定ニ該当セサルモノハ其ノ中ヨリ総員 ノ為ニ原告若ハ被告ト為ルヘキ一人若ハ数人ヲ選定シ又ハ之ヲ変更スルコトヲ得 2 訴訟ノ繋属ノ後前項ノ規定ニ依リテ原告又ハ被告ト為ルヘキ者ヲ定メタルトキハ他ノ当事者 ハ当然訴訟ヨリ脱退ス 第四十八条 前条ノ規定ニ依リテ選定セラレタル当事者中死亡其ノ他ノ事由ニ因リ其ノ資格ヲ 喪失シタル者アルトキハ他ノ当事者ニ於テ総員ノ為ニ訴訟行為ヲ為スコトヲ得 第四十九条 未成年者及禁治産者ハ法定代理人ニ依リテノミ訴訟行為ヲ為スコトヲ得但シ未成 年者カ独立シテ法律行為ヲ為スコトヲ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラス 第五十条 準禁治産者又ハ法定代理人カ相手方ノ提起シタル訴又ハ上訴ニ付訴訟行為ヲ為スニ ハ保佐人又ハ後見監督人ノ同意其ノ他ノ授権ヲ要セス 2 準禁治産者又ハ法定代理人カ訴、控訴若ハ上告ノ取下、和解、請求ノ抛棄若ハ認諾又ハ第七 十二条ノ規定ニ依ル脱退ヲ為スニハ常ニ特別ノ授権アルコトヲ要ス第四百五十二条(第四百 六十三条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル異議ノ取下又ハ取下ノ同意亦同ジ 第五十一条 外国人ハ其ノ本国法ニ依レハ訴訟能力ヲ有セサルトキト雖日本ノ法律ニ依レハ訴 訟能力ヲ有スヘキトキハ之ヲ訴訟能力者ト看做ス 第五十二条 法定代理権又ハ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権ハ書面ヲ以テ之ヲ証スルコトヲ要 ス第四十七条ノ規定ニ依ル当事者ノ選定及変更亦同シ 2 前項ノ書面ハ訴訟記録ニ之ヲ添附スルコトヲ要ス 第五十三条 訴訟能力、法定代理権又ハ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権ノ欠缺アルトキハ裁判 所ハ期間ヲ定メテ其ノ補正ヲ命シ若遅滞ノ為損害ヲ生スル虞アルトキハ一時訴訟行為ヲ為サ シムルコトヲ得 第五十四条 訴訟能力、法定代理権又ハ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権ノ欠缺アル者カ為シタ ル訴訟行為ハ其ノ欠缺ナキニ至リタル当事者又ハ法定代理人ノ追認ニ因リ行為ノ時ニ遡リテ 其ノ効力ヲ生ス 第五十五条 第五十三条及前条ノ規定ハ第四十七条ノ規定ニ依ル当事者カ訴訟行為ヲ為ス場合 ニ之ヲ準用ス 第五十六条 法定代理人ナキ場合又ハ法定代理人カ代理権ヲ行フコト能ハサル場合ニ於テ未成 年者又ハ禁治産者ニ対シ訴訟行為ヲ為サムトスル者ハ遅滞ノ為損害ヲ受クル虞アルコトヲ疏 明シテ受訴裁判所ノ裁判長ニ特別代理人ノ選任ヲ申請スルコトヲ得 2 裁判所ハ何時ニテモ特別代理人ヲ改任スルコトヲ得 3 特別代理人カ訴訟行為ヲ為スニハ後見人ト同一ノ授権アルコトヲ要ス 4 特別代理人ノ選任及改任ノ命令ハ特別代理人ニモ之ヲ送達スルコトヲ要ス 第五十七条 法定代理権ノ消滅ハ本人又ハ代理人ヨリ之ヲ相手方ニ通知スルニ非サレハ其ノ効 ナシ 2 前項ノ規定ハ第四十七条ノ規定ニ依ル当事者ノ変更ニ之ヲ準用ス 第五十八条 本法中法定代理及法定代理人ニ関スル規定ハ法人ノ代表者及法人ニ非スシテ其ノ 名ニ於テ訴ヘ又ハ訴ヘラルルコトヲ得ル社団又ハ財団ノ代表者又ハ管理人ニ之ヲ準用ス第二節 共同訴訟
第五十九条 訴訟ノ目的タル権利又ハ義務カ数人ニ付共通ナルトキ又ハ同一ノ事実上及法律上 ノ原因ニ基クトキハ其ノ数人ハ共同訴訟人トシテ訴ヘ又ハ訴ヘラルルコトヲ得訴訟ノ目的タ ル権利又ハ義務カ同種ニシテ事実上及法律上同種ノ原因ニ基クトキ亦同シ 第六十条 他人間ノ訴訟ノ目的ノ全部又ハ一部ヲ自己ノ為ニ請求スル者ハ其ノ訴訟ノ繋属中当 事者双方ヲ共同被告トシ第一審ノ受訴裁判所ニ訴ヲ提起スルコトヲ得 第六十一条 共同訴訟人ノ一人ノ訴訟行為又ハ之ニ対スル相手方ノ訴訟行為及其ノ一人ニ付生 シタル事項ハ他ノ共同訴訟人ニ影響ヲ及ホサス 第六十二条 訴訟ノ目的カ共同訴訟人ノ全員ニ付合一ニノミ確定スヘキ場合ニ於テハ其ノ一人 ノ訴訟行為ハ全員ノ利益ニ於テノミ其ノ効力ヲ生ス 2 共同訴訟人ノ一人ニ対スル相手方ノ訴訟行為ハ全員ニ対シテ其ノ効力ヲ生ス 3 共同訴訟人ノ一人ニ付訴訟手続ノ中断又ハ中止ノ原因アルトキハ其ノ中断又ハ中止ハ全員ニ 付其ノ効力ヲ生ス 第六十三条 第五十条第一項ノ規定ハ前条第一項ノ場合ニ於テ共同訴訟人ノ一人カ提起シタル 上訴ニ付他ノ共同訴訟人ノ為スヘキ訴訟行為ニ之ヲ準用ス
第三節 訴訟参加
第六十四条 訴訟ノ結果ニ付利害関係ヲ有スル第三者ハ其ノ訴訟ノ繋属中当事者ノ一方ヲ補助 スル為訴訟ニ参加スルコトヲ得 第六十五条 参加ノ申出ハ参加ノ趣旨及理由ヲ具シ参加ニ依リテ訴訟行為ヲ為スヘキ裁判所ニ 之ヲ為スコトヲ要ス 2 書面ニ依リテ参加ノ申出ヲ為シタル場合ニ於テハ其ノ書面ハ之ヲ当事者双方ニ送達スルコト ヲ要ス 3 参加ノ申出ハ参加人トシテ為シ得ル訴訟行為ト共ニ之ヲ為スコトヲ得 第六十六条 当事者カ参加ニ付異議ヲ述ヘタルトキハ参加ノ理由ハ之ヲ疏明スルコトヲ要ス此 ノ場合ニ於テハ裁判所ハ参加ノ許否ニ付決定ヲ以テ裁判ヲ為ス 2 前項ノ裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第六十七条 当事者カ参加ニ付異議ヲ述ヘスシテ弁論ヲ為シ又ハ準備手続ニ於テ申述ヲ為シタ ルトキハ異議ヲ述フル権利ヲ失フ 第六十八条 参加人ハ参加ニ付異議アル場合ニ於テモ参加ヲ許ササル裁判確定セサル間ハ訴訟 行為ヲ為スコトヲ得 2 参加人ノ訴訟行為ハ当事者カ之ヲ援用シタルトキハ参加ヲ許ササル裁判確定シタル場合ニ於 テモ其ノ効力ヲ有ス 第六十九条 参加人ハ訴訟ニ付攻撃又ハ防禦ノ方法ノ提出、異議ノ申立、上訴ノ提起其ノ他一 切ノ訴訟行為ヲ為スコトヲ得但シ参加ノ時ニ於ケル訴訟ノ程度ニ従ヒ為スコトヲ得サルモノ ハ此ノ限ニ在ラス 2 参加人ノ訴訟行為カ被参加人ノ訴訟行為ト牴触スルトキハ其ノ効力ヲ有セス 第七十条 前条ノ規定ニ依リテ参加人カ訴訟行為ヲ為スコトヲ得ス又ハ其ノ訴訟行為カ効力ヲ 有セサリシ場合、被参加人カ参加人ノ訴訟行為ヲ妨ケタル場合及被参加人カ参加人ノ為スコ ト能ハサル訴訟行為ヲ故意又ハ過失ニ因リテ為ササリシ場合ヲ除クノ外裁判ハ参加人ニ対シ テモ其ノ効力ヲ有ス 第七十一条 訴訟ノ結果ニ因リテ権利ヲ害セラルヘキコトヲ主張スル第三者又ハ訴訟ノ目的ノ 全部若ハ一部カ自己ノ権利ナルコトヲ主張スル第三者ハ当事者トシテ訴訟ニ参加スルコトヲ 得此ノ場合ニ於テハ第六十二条及第六十五条ノ規定ヲ準用ス 第七十二条 前条ノ規定ニ依リ自己ノ権利ヲ主張スル為訴訟ニ参加シタル者アル場合ニ於テハ 参加前ノ原告又ハ被告ハ相手方ノ承諾ヲ得テ訴訟ヨリ脱退スルコトヲ得但シ判決ハ脱退シタ ル当事者ニ対シテモ其ノ効力ヲ有ス 第七十三条 訴訟ノ繋属中其ノ訴訟ノ目的タル権利ノ全部又ハ一部ヲ譲受ケタルコトヲ主張シ 第七十一条ノ規定ニ依リテ訴訟参加ヲ為シタルトキハ其ノ参加ハ訴訟ノ繋属ノ初ニ遡リテ時 効ノ中断又ハ法律上ノ期間遵守ノ効力ヲ生ス 第七十四条 訴訟ノ繋属中第三者カ其ノ訴訟ノ目的タル債務ヲ承継シタルトキハ裁判所ハ当事 者ノ申立ニ因リ其ノ第三者ヲシテ訴訟ヲ引受ケシムルコトヲ得 2 裁判所ハ前項ノ規定ニ依リテ決定ヲ為ス前当事者及第三者ヲ審訊スルコトヲ要ス 3 第七十二条ノ規定中脱退及判決ノ効力ニ関スルモノハ第一項ノ規定ニ依リテ訴訟ノ引受アリ タル場合ニ之ヲ準用ス 第七十五条 訴訟ノ目的カ当事者ノ一方及第三者ニ付合一ニノミ確定スヘキ場合ニ於テハ其ノ 第三者ハ共同訴訟人トシテ訴訟ニ参加スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第六十五条ノ規定ヲ準 用ス 第七十六条 当事者ハ訴訟ノ繋属中参加ヲ為スコトヲ得ル第三者ニ其ノ訴訟ノ告知ヲ為スコト ヲ得 2 訴訟告知ヲ受ケタル者ハ更ニ訴訟告知ヲ為スコトヲ得 第七十七条 訴訟告知ハ理由及訴訟ノ程度ヲ記載シタル書面ヲ裁判所ニ提出シテ之ヲ為スコト ヲ要ス 2 前項ノ書面ハ相手方ニモ之ヲ送達スルコトヲ要ス 第七十八条 訴訟告知ヲ受ケタル者カ参加セサリシ場合ニ於テモ第七十条ノ規定ノ適用ニ付テ ハ参加スルコトヲ得ヘカリシ時ニ参加シタルモノト看做ス
第四節 訴訟代理人及輔佐人
第七十九条 法令ニ依リテ裁判上ノ行為ヲ為スコトヲ得ル代理人ノ外弁護士ニ非サレハ訴訟代 理人タルコトヲ得ス但シ簡易裁判所ニ於テハ許可ヲ得テ弁護士ニ非サル者ヲ訴訟代理人ト為 スコトヲ得 2 前項ノ許可ハ何時ニテモ之ヲ取消スコトヲ得 第八十条 訴訟代理人ノ権限ハ書面ヲ以テ之ヲ証スルコトヲ要ス 2 前項ノ書面カ私文書ナルトキハ裁判所ハ当該吏員ノ認証ヲ受クヘキ旨ヲ訴訟代理人ニ命スル コトヲ得 3 前二項ノ規定ハ当事者カ口頭ヲ以テ訴訟代理人ヲ選任シ裁判所書記官カ調書ニ其ノ陳述ヲ記 載シタル場合ニハ之ヲ適用セス 第八十一条 訴訟代理人ハ委任ヲ受ケタル事件ニ付反訴、参加、強制執行、仮差押及仮処分ニ 関スル訴訟行為ヲ為シ且弁済ヲ受領スルコトヲ得 2 左ニ掲クル事項ニ付テハ特別ノ委任ヲ受クルコトヲ要ス 一 反訴ノ提起 二 訴ノ取下、和解、請求ノ抛棄若ハ認諾又ハ第七十二条ノ規定ニ依ル脱退 三 控訴、上告又ハ其ノ取下 四 第四百五十二条(第四百六十三条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル異議 ノ取下又ハ取下ノ同意 五 代理人ノ選任 3 訴訟代理権ハ之ヲ制限スルコトヲ得ス但シ弁護士ニ非サル訴訟代理人ニ付テハ此ノ限ニ在ラ ス 第八十二条 前条ノ規定ハ法令ニ依リテ裁判上ノ行為ヲ為スコトヲ得ル代理人ノ権限ヲ妨ケス 第八十三条 数人ノ訴訟代理人アルトキハ各自当事者ヲ代理ス 第八十四条 訴訟代理人ノ事実上ノ陳述ハ当事者カ直ニ之ヲ取消シ又ハ更正シタルトキハ其ノ 効力ヲ生セス 第八十五条 訴訟代理権ハ当事者ノ死亡若ハ訴訟能力ノ喪失、当事者タル法人ノ合併ニ因ル消 滅、当事者タル受託者ノ信託ノ任務終了又ハ法定代理人ノ死亡、訴訟能力ノ喪失若ハ代理権 ノ消滅、変更ニ因リテ消滅セス 2 当事者カ前項ノ規定ニ異ル定ヲ為スモ其ノ効力ヲ生セス 第八十六条 一定ノ資格ヲ有スル者ニシテ自己ノ名ヲ以テ他人ノ為訴訟ノ当事者タルモノノ訴 訟代理人ノ代理権ハ当事者ノ資格ノ喪失ニ因リテ消滅セス 2 前項ノ規定ハ第四十七条ノ規定ニ依リテ選定セラレタル当事者カ其ノ資格ヲ喪失シタル場合 ニ之ヲ準用ス 第八十七条 第五十二条第二項、第五十三条、第五十四条及第五十七条ノ規定ハ訴訟代理ニ之 ヲ準用ス 第八十八条 当事者又ハ訴訟代理人ハ裁判所ノ許可ヲ得テ輔佐人ト共ニ出頭スルコトヲ得此ノ 許可ハ何時ニテモ之ヲ取消スコトヲ得 2 輔佐人ノ陳述ハ当事者又ハ訴訟代理人カ直ニ之ヲ取消シ又ハ更正セサルトキハ自ラ之ヲ為シ タルモノト看做ス
第三章 訴訟費用
第一節 訴訟費用ノ負担
第89条
第八十九条 訴訟費用ハ敗訴ノ当事者ノ負担トス
第90条
第九十条 裁判所ハ事情ニ従ヒ勝訴ノ当事者ヲシテ其ノ権利ノ伸張若ハ防禦ニ必要ナラサル行為ニ因リテ生シタル訴訟費用又ハ訴訟ノ程度ニ於テ相手方ノ権利ノ伸張若ハ防禦ニ必要ナリシ行為ニ因リテ生シタル訴訟費用ノ全部又ハ一部ヲ負担セシムルコトヲ得
第91条
第九十一条 当事者カ適当ノ時期ニ攻撃若ハ防禦ノ方法ヲ提出セサル為又ハ期日若ハ期間ノ懈怠其ノ他当事者ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リ訴訟ヲ遅滞セシメタルトキハ裁判所ハ之ヲシテ其ノ勝訴ノ場合ニ於テモ遅滞ニ因リテ生シタル訴訟費用ノ全部又ハ一部ヲ負担セシムルコトヲ得
第92条
第九十二条 一部敗訴ノ場合ニ於テ各当事者ノ負担スヘキ訴訟費用ハ裁判所ノ意見ヲ以テ之ヲ定ム但シ事情ニ従ヒ当事者ノ一方ヲシテ訴訟費用ノ全部ヲ負担セシムルコトヲ得
第93条
第九十三条 共同訴訟人ハ平等ノ割合ヲ以テ訴訟費用ヲ負担ス但シ裁判所ハ事情ニ従ヒ共同訴訟人ヲシテ連帯シテ訴訟費用ヲ負担セシメ又ハ他ノ方法ニ依リ之ヲ負担セシムルコトヲ得
2 裁判所ハ前項ノ規定ニ拘ラス権利ノ伸張又ハ防禦ニ必要ナラサル行為ヲ為シタル当事者ヲシ
第94条
第九十四条 第八十九条乃至前条ノ規定ハ当事者カ参加ニ付異議ヲ述ヘタル場合ニ於テハ其ノ異議ニ因リテ生シタル訴訟費用ノ参加人ト異議ヲ述ヘタル当事者トノ間ニ於ケル負担ニ関シ之ヲ準用ス参加ニ因リテ生シタル訴訟費用ノ参加人ト相手方トノ間ニ於ケル負担ニ付亦同シ
第95条
第九十五条 裁判所ハ事件ヲ完結スル裁判ニ於テ職権ヲ以テ其ノ審級ニ於ケル訴訟費用ノ全部ニ付裁判ヲ為スコトヲ要ス但シ事情ニ従ヒ事件ノ一部又ハ中間ノ争ニ関スル裁判ニ於テ其ノ 費用ノ裁判ヲ為スコトヲ得
第九十六条 上級裁判所カ本案ノ裁判ヲ変更スル場合ニ於テハ訴訟ノ総費用ニ付裁判ヲ為スコ トヲ要ス事件ノ差戻又ハ移送ヲ受ケタル裁判所カ其ノ事件ヲ完結スル裁判ヲ為ス場合亦同シ 第九十七条 当事者カ裁判所ニ於テ和解ヲ為シタル場合ニ於テ和解ノ費用及訴訟費用ノ負担ニ 付別段ノ定ヲ為ササルトキハ其ノ費用ハ各自之ヲ負担ス テ其ノ行為ニ因リテ生シタル費用ヲ負担セシムルコトヲ得 第九十八条 法定代理人、訴訟代理人、裁判所書記官又ハ執行官カ故意又ハ重大ナル過失ニ因 リテ無益ナル費用ヲ生セシメタルトキハ受訴裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ此等ノ者ニ 対シ其ノ費用額ノ償還ヲ命スルコトヲ得 2 前項ノ規定ハ法定代理人又ハ訴訟代理人トシテ訴訟行為ヲ為シタル者カ其ノ代理権又ハ訴訟 行為ヲ為スニ必要ナル授権アルコトヲ証明スルコト能ハス又ハ追認ヲ得サリシ場合ニ於テ其 ノ訴訟行為ニ因リテ生シタル訴訟費用ニ之ヲ準用ス 3 前二項ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第九十九条 裁判所カ前条第二項ノ場合ニ於テ訴ヲ却下シタルトキハ訴訟費用ハ代理人トシテ 訴訟行為ヲ為シタル者ノ負担トス 第百条 裁判所カ訴訟費用ノ負担ヲ定ムル裁判ニ於テ其ノ額ヲ定メサルトキハ第一審ノ受訴裁 判所ハ其ノ裁判カ執行力ヲ生シタル後申立ニ因リ決定ヲ以テ之ヲ定ム 2 訴訟費用額ノ確定ヲ求ムル申立ヲ為スニハ費用計算書及其ノ謄本並費用額ノ疏明ニ必要ナル 書面ヲ提出スルコトヲ要ス 3 第一項ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第百一条 裁判所ハ訴訟費用額ヲ定ムル決定ヲ為ス前相手方ニ費用計算書ノ謄本ヲ交付シ陳述 ヲ為スヘキ旨並一定ノ期間内ニ費用計算書及費用額ノ疏明ニ必要ナル書面ヲ提出スヘキ旨ヲ 催告スルコトヲ要ス 2 相手方カ期間内ニ前項ノ書面ヲ提出セサルトキハ裁判所ハ申立人ノ費用ノミニ付裁判ヲ為ス コトヲ得但シ相手方ノ費用額ノ確定ヲ求ムル申立ヲ妨ケス 第百二条 裁判所カ訴訟費用額ヲ定ムル裁判ヲ為ス場合ニ於テハ前条第二項ノ場合ヲ除クノ外 各当事者ノ負担スヘキ費用ハ其ノ対当額ニ付相殺アリタルモノト看做ス 第百三条 第九十七条ノ場合ニ於テ当事者カ訴訟費用ノ負担ヲ定メ其ノ額ヲ定メサルトキハ裁 判所ハ申立ニ因リ決定ヲ以テ其ノ額ヲ定ムルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ第百条第二項第三 項、第百一条及前条ノ規定ヲ準用ス 第百四条 前条ノ場合ヲ除クノ外訴訟カ裁判ニ因ラスシテ完結シタルトキハ裁判所ハ申立ニ因 リ決定ヲ以テ訴訟費用ノ額ヲ定メ且其ノ負担ヲ命スルコトヲ要ス参加又ハ之ニ付テノ異議ノ 取下アリタルトキ亦同シ 2 第八十九条乃至第九十四条、第百条第二項第三項、第百一条及第百二条ノ規定ハ前項ノ場合 ニ之ヲ準用ス 第百五条 裁判所ハ裁判所書記官ヲシテ訴訟費用額ノ計算ヲ為サシムルコトヲ得 第百六条 削除
第二節 訴訟費用ノ担保
第百七条 原告カ日本ニ住所、事務所及営業所ヲ有セサルトキハ裁判所ハ被告ノ申立ニ因リ訴 訟費用ノ担保ヲ供スヘキコトヲ原告ニ命スルコトヲ要ス担保ニ不足ヲ生シタルトキ亦同シ 2 前項ノ規定ハ請求ノ一部ニ付争ナキ場合ニ於テ其ノ額カ担保ニ十分ナルトキハ之ヲ適用セス 第百八条 担保ヲ供スヘキ事由アルコトヲ知リタル後被告カ本案ニ付弁論ヲ為シ又ハ準備手続 ニ於テ申述ヲ為シタルトキハ担保ノ申立ヲ為スコトヲ得ス 第百九条 担保ノ申立ヲ為シタル被告ハ原告カ担保ヲ供スル迄応訴ヲ拒ムコトヲ得 第百十条 裁判所ハ担保ヲ供スヘキコトヲ命スル決定ニ於テ担保額及担保ヲ供スヘキ期間ヲ定 ムルコトヲ要ス 2 担保額ハ被告カ各審ニ於テ支出スヘキ費用ノ総額ヲ標準トシテ之ヲ定ム 第百十一条 担保ノ申立ニ関スル裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第百十二条 担保ヲ供スルニハ担保ヲ供スベキコトヲ命ジタル裁判所ノ所在地ヲ管轄スル地方 裁判所ノ管轄区域内ノ供託所ニ金銭又ハ裁判所ガ相当ト認ムル有価証券ヲ供託スル方法其ノ 他最高裁判所規則ヲ以テ定ムル方法ニ依ルコトヲ要ス但シ当事者カ別段ノ契約ヲ為シタルト キハ其ノ契約ニ依ル 第百十三条 被告ハ訴訟費用ニ付前条ノ規定ニ依リテ供託シタル金銭又ハ有価証券ノ上ニ質権 者ト同一ノ権利ヲ有ス 第百十四条 原告カ担保ヲ供スヘキ期間内ニ之ヲ供セサルトキハ裁判所ハ口頭弁論ヲ経スシテ 判決ヲ以テ訴ヲ却下スルコトヲ得但シ判決前担保ヲ供シタルトキハ此ノ限ニ在ラス 第百十五条 担保ヲ供シタル者カ担保ノ事由止ミタルコトヲ証明シタルトキハ裁判所ハ申立ニ 因リ担保取消ノ決定ヲ為スコトヲ要ス 2 担保ヲ供シタル者カ担保取消ニ付担保権利者ノ同意ヲ得タルコトヲ証明シタルトキ亦前項ニ 同シ 3 訴訟ノ完結後裁判所カ担保ヲ供シタル者ノ申立ニ因リ担保権利者ニ対シ一定ノ期間内ニ其ノ 権利ヲ行使スヘキ旨ヲ催告シ担保権利者カ其ノ行使ヲ為ササルトキハ担保取消ニ付担保権利 者ノ同意アリタルモノト看做ス 4 第一項及第二項ノ規定ニ依ル決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第百十六条 裁判所ハ担保ヲ供シタル者ノ申立ニ因リ決定ヲ以テ供託シタル担保物ノ変換ヲ命 スルコトヲ得 2 前項ノ規定ハ供託シタル担保ヲ契約ニ因リテ他ノ担保ニ変換スルコトヲ妨ケス 第百十七条 第百九条、第百十条第一項及第百十一条乃至前条ノ規定ハ他ノ法令ニ依リテ訴ノ 提起ニ付供スヘキ担保ニ之ヲ準用ス
第三節 訴訟上ノ救助
第百十八条 訴訟費用ヲ支払フ資力ナキ者ニ対シテハ裁判所ハ申立ニ因リ訴訟上ノ救助ヲ与フ 第百十九条 訴訟上ノ救助ハ各審ニ於テ之ヲ与フ 2 救助ノ事由ハ之ヲ疏明スルコトヲ要ス 第百二十条 訴訟上ノ救助ハ訴訟及強制執行ニ付左ノ効力ヲ生ス 一 裁判費用並執行官ノ手数料及其ノ職務ノ執行ニ要スル費用ノ支払ノ猶予 二 裁判所ニ於テ附添ヲ命シタル弁護士ノ報酬及立替金ノ支払ノ猶予 三 訴訟費用ノ担保ノ免除 第百二十一条 訴訟上ノ救助ハ之ヲ受ケタル者ノ為ニノミ其ノ効力ヲ有ス 2 裁判所ハ訴訟ノ承継人ニ対シ猶予シタル費用ノ支払ヲ命ス 第百二十二条 訴訟上ノ救助ヲ受ケタル者カ訴訟費用ノ支払ヲ為ス資力ヲ有スルコト判明シ又 ハ之ヲ有スルニ至リタルトキハ訴訟記録ノ存スル裁判所ハ利害関係人ノ申立ニ因リ又ハ職権 ヲ以テ何時ニテモ救助ヲ取消シ猶予シタル訴訟費用ノ支払ヲ命スルコトヲ得 ルコトヲ得但シ勝訴ノ見込ナキニ非サルトキニ限ル 第百二十三条 訴訟上ノ救助ヲ受ケタル者ニ支払ヲ猶予シタル費用ハ其ノ負担ヲ命セラレタル 相手方ヨリ直接ニ之ヲ取立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テ弁護士又ハ執行官ハ訴訟上ノ救助ヲ 受ケタル者ノ有スル債務名義ニ依リ報酬又ハ手数料及立替金ニ付費用額ヲ定ムル申立及強制 執行ヲ為スコトヲ得 2 弁護士又ハ執行官ハ報酬又ハ手数料及立替金ニ付当事者ニ代リ第百三条又ハ第百四条ノ裁判 ヲ求ムル申立ヲ為スコトヲ得 第百二十四条 本節ニ規定スル裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得第四章 訴訟手続
第一節 口頭弁論
第百二十五条 当事者ハ訴訟ニ付裁判所ニ於テ口頭弁論ヲ為スコトヲ要ス但シ決定ヲ以テ完結 スヘキ事件ニ付テハ裁判所口頭弁論ヲ為スヘキカ否ヲ定ム 2 前項但書ノ規定ニ依リテ口頭弁論ヲ為ササル場合ニ於テハ裁判所ハ当事者ヲ審訊スルコトヲ 得 3 前二項ノ規定ハ別段ノ規定アル場合ニハ之ヲ適用セス 第百二十六条 口頭弁論ハ裁判長之ヲ指揮ス 2 裁判長ハ発言ヲ許シ又ハ其ノ命ニ従ハサル者ニ発言ヲ禁スルコトヲ得 第百二十七条 裁判長ハ訴訟関係ヲ明瞭ナラシムル為事実上及法律上ノ事項ニ関シ当事者ニ対 シテ問ヲ発シ又ハ立証ヲ促スコトヲ得 2 陪席裁判官ハ裁判長ニ告ケテ前項ニ規定スル処置ヲ為スコトヲ得 3 当事者ハ裁判長ニ対シ必要ナル発問ヲ求ムルコトヲ得 第百二十八条 裁判長ハ前条ノ規定ニ依リテ当事者ヲシテ釈明セシムヘキ事項ヲ指示シ口頭弁 論期日前準備ヲ為スヘキコトヲ命スルコトヲ得 第百二十九条 当事者カ弁論ノ指揮ニ関スル裁判長ノ命又ハ第百二十七条若ハ前条ノ規定ニ依 ル裁判長若ハ陪席裁判官ノ処置ニ対シ異議ヲ述ヘタルトキハ裁判所決定ヲ以テ其ノ異議ニ付 裁判ヲ為ス 第百三十条 受命裁判官ヲシテ其ノ職務ヲ行ハシムヘキ場合ニ於テハ裁判長其ノ裁判官ヲ指定 ス 2 裁判所ノ為ス嘱託ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外裁判長之ヲ為ス 第百三十一条 裁判所ハ訴訟関係ヲ明瞭ナラシムル為左ノ処分ヲ為スコトヲ得 一 当事者本人又ハ其ノ法定代理人ノ出頭ヲ命スルコト 二 訴訟書類又ハ訴訟ニ於テ引用シタル文書其ノ他ノ物件ニシテ当事者ノ所持スルモノヲ提 出セシムルコト 三 当事者又ハ第三者ノ提出シタル文書其ノ他ノ物件ヲ裁判所ニ留置クコト 四 検証ヲ為シ又ハ鑑定ヲ命スルコト 五 必要ナル調査ヲ嘱託スルコト 2 前項ニ規定スル検証、鑑定及調査ノ嘱託ニ付テハ証拠調ニ関スル規定ヲ準用ス 第百三十二条 裁判所ハ口頭弁論ノ制限、分離若ハ併合ヲ命シ又ハ其ノ命ヲ取消スコトヲ得 第百三十三条 裁判所ハ終結シタル口頭弁論ノ再開ヲ命スルコトヲ得 第百三十四条 弁論ニ与ル者カ日本語ニ通セサルトキ又ハ聾若ハ唖ナルトキハ通事ヲ立会ハシ ム但シ聾者又ハ唖者ニハ文字ヲ以テ問ヒ又ハ陳述ヲ為サシムルコトヲ得 2 鑑定人ニ関スル規定ハ通事ニ之ヲ準用ス 第百三十五条 裁判所ハ訴訟関係ヲ明瞭ナラシムル為必要ナル陳述ヲ為スコト能ハサル当事 者、代理人又ハ輔佐人ノ陳述ヲ禁シ弁論続行ノ為新期日ヲ定ムルコトヲ得 2 前項ノ規定ニ依リテ陳述ヲ禁シタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ裁判所ハ弁護士ノ附 添ヲ命スルコトヲ得 3 訴訟代理人ノ陳述ヲ禁シ又ハ弁護士ノ附添ヲ命シタルトキハ本人ニ其ノ旨ヲ通知スルコトヲ 要ス 第百三十六条 裁判所ハ訴訟ノ如何ナル程度ニ在ルヲ問ハス和解ヲ試ミ又ハ受命裁判官若ハ受 託裁判官ヲシテ之ヲ試ミシムルコトヲ得 2 裁判所又ハ受命裁判官若ハ受託裁判官ハ和解ノ為当事者本人又ハ其ノ法定代理人ノ出頭ヲ命 スルコトヲ得 第百三十七条 攻撃又ハ防禦ノ方法ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外口頭弁論ノ終結ニ至ル迄 之ヲ提出スルコトヲ得 第百三十八条 原告又ハ被告カ最初ニ為スヘキ口頭弁論ノ期日ニ出頭セス又ハ出頭スルモ本案 ノ弁論ヲ為ササルトキハ其ノ者ノ提出シタル訴状、答弁書其ノ他ノ準備書面ニ記載シタル事 項ハ之ヲ陳述シタルモノト看做シ出頭シタル相手方ニ弁論ヲ命スルコトヲ得 第百三十九条 当事者カ故意又ハ重大ナル過失ニ因リ時機ニ後レテ提出シタル攻撃又ハ防禦ノ 方法ハ之カ為訴訟ノ完結ヲ遅延セシムヘキモノト認メタルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職 権ヲ以テ却下ノ決定ヲ為スコトヲ得 2 攻撃又ハ防禦ノ方法ニシテ其ノ趣旨明瞭ナラサルモノニ付当事者カ必要ナル釈明ヲ為サス又 ハ釈明ヲ為スヘキ期日ニ出頭セサルトキ亦前項ニ同シ 第百四十条 当事者カ口頭弁論ニ於テ相手方ノ主張シタル事実ヲ明ニ争ハサルトキハ其ノ事実 ヲ自白シタルモノト看做ス但シ弁論ノ全趣旨ニ依リ其ノ事実ヲ争ヒタルモノト認ムヘキ場合 ハ此ノ限ニ在ラス 2 相手方ノ主張シタル事実ヲ知ラサル旨ノ陳述ヲ為シタル者ハ其ノ事実ヲ争ヒタルモノト推定 ス 3 第一項ノ規定ハ当事者カ口頭弁論ノ期日ニ出頭セサル場合ニ之ヲ準用ス但シ口頭弁論期日ニ 出頭セサル当事者カ公示送達ニ依ル呼出ヲ受ケタルモノナルトキハ此ノ限ニ在ラス 第百四十一条 当事者カ訴訟手続ニ関スル規定ノ違背ヲ知リ又ハ之ヲ知ルコトヲ得ヘカリシ場 合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘサルトキハ之ヲ述フル権利ヲ失フ但シ抛棄スルコトヲ得サルモ ノハ此ノ限ニ在ラス 第百四十二条 口頭弁論ニ付テハ裁判所書記官期日毎ニ調書ヲ作ルコトヲ要ス 第百四十三条 調書ニハ左ノ事項ヲ記載シ裁判所書記官之ニ署名捺印シ尚裁判長之ニ捺印スル コトヲ要ス但シ裁判所書記官ハ署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得 一 事件ノ表示 二 裁判官及裁判所書記官ノ氏名 三 立会ヒタル検察官ノ氏名 四 出頭シタル当事者、代理人、輔佐人及通事並闕席シタル当事者ノ氏名 五 弁論ノ場所及年月日 六 弁論ヲ公開シタルコト又ハ公開セサル場合ニ於テハ其ノ理由 2 裁判長支障アルトキハ陪席裁判官之ニ代リテ捺印シ且其ノ事由ヲ記載スルコトヲ要ス但シ裁 判官皆支障アルトキハ裁判所書記官其ノ旨ヲ記載スルヲ以テ足ル 第百四十四条 調書ニハ弁論ノ要領ヲ記載シ殊ニ左ノ事項ヲ明確ニスルコトヲ要ス但シ訴訟ガ 裁判ニ因ラズシテ完結シタル場合ニ於テハ当事者ガ訴訟ノ完結シタルコトヲ知リタル日ヨリ 一週間ヲ経過スル迄ニ其ノ記載ヲ為スベキ旨ノ申出ヲ為シタル場合ヲ除クノ外裁判長ノ許可 ヲ得テ証人及鑑定人ノ陳述並検証ノ結果ノ記載ヲ省略スルコトヲ得 一 和解、認諾、抛棄、取下及自白 二 証人、鑑定人ノ宣誓及陳述 三 検証ノ結果 四 裁判長ノ記載ヲ命シタル事項及当事者ノ請求ニ因リ記載ヲ許シタル事項 五 書面ニ作ラサル裁判 六 裁判ノ言渡 第百四十五条 調書ニハ書面、写真其ノ他裁判所ニ於テ適当ト認ムルモノヲ引用シ訴訟記録ニ 添附シテ之ヲ調書ノ一部ト為スコトヲ得 第百四十六条 調書ノ記載ハ申立ニ因リ法廷ニ於テ関係人ニ之ヲ読聞カセ又ハ閲覧セシメ且調 書ニ其ノ旨ヲ記載スルコトヲ要ス 2 調書ノ記載ニ付関係人カ異議ヲ述ヘタルトキハ調書ニ其ノ趣旨ヲ記載スルコトヲ要ス 第百四十七条 口頭弁論ノ方式ニ関スル規定ノ遵守ハ調書ニ依リテノミ之ヲ証スルコトヲ得但 シ調書カ滅失シタルトキハ此ノ限ニ在ラス 第百四十八条 裁判所必要アリト認ムルトキハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ速記者ヲシテ口頭弁 論ニ於ケル陳述ノ全部又ハ一部ヲ筆記セシムルコトヲ得 第百四十九条 第百四十二条乃至前条ノ規定ハ裁判所ノ審訊、受命裁判官又ハ受託裁判官ノ審 問及証拠調ニ之ヲ準用ス 第百五十条 申立其ノ他ノ申述ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外書面又ハ口頭ヲ以テ之ヲ為ス コトヲ得 2 口頭ヲ以テ申述ヲ為スニハ裁判所書記官ノ面前ニ於テ陳述ヲ為スコトヲ要ス 3 前項ノ場合ニ於テハ裁判所書記官調書ヲ作リ之ニ署名捺印スルコトヲ要ス但シ署名捺印ニ代 ヘテ記名捺印スルコトヲ得 第百五十一条 何人モ訴訟記録ノ閲覧ヲ裁判所書記官ニ請求スルコトヲ得但シ訴訟記録ノ保存 又ハ裁判所ノ執務ニ支障アルトキハ此ノ限ニ在ラス 2 公開ヲ禁止シタル口頭弁論ニ係ル訴訟記録ニ付テハ当事者及利害関係ヲ疏明シタル第三者ニ 限リ前項ノ規定ニ依ル請求ヲ為スコトヲ得 3 当事者ハ訴訟記録ノ謄写又ハ其ノ正本、謄本、抄本若ハ訴訟ニ関スル事項ノ証明書ノ交付ヲ 裁判所書記官ニ請求スルコトヲ得利害関係ヲ疏明シタル第三者亦同シ 4 訴訟記録ノ正本、謄本又ハ抄本ニハ其ノ正本、謄本又ハ抄本ナルコトヲ記載シ裁判所書記官 之ニ署名捺印シ且裁判所ノ印ヲ押捺スルコトヲ要ス但シ署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコト ヲ得
第二節 期日及期間
第百五十二条 期日ハ裁判長之ヲ定ム 2 受命裁判官又ハ受託裁判官ノ審問ノ期日ハ其ノ裁判官之ヲ定ム 3 期日ノ指定ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ之ヲ為ス 4 準備手続ヲ経タル口頭弁論ノ期日ノ変更ハ已ムコトヲ得サル事由ノ存スル場合ニ非サレハ之 ヲ許スコトヲ得ス 5 準備手続ヲ経サル口頭弁論ニ於ケル最初ノ期日ノ変更ハ顕著ナル事由ノ存セサルトキト雖当 事者ノ合意アル場合ニ於テハ之ヲ許ス準備手続ニ於ケル最初ノ期日ノ変更亦同シ 第百五十三条 期日ハ已ムコトヲ得サル場合ニ限リ日曜日其ノ他ノ一般ノ休日ニ之ヲ定ムルコ トヲ得 第百五十四条 期日ニ於ケル呼出ハ呼出状ヲ送達シテ之ヲ為ス但シ当該事件ニ付出頭シタル者 ニ対シテハ期日ヲ告知スルヲ以テ足ル 2 前項ノ呼出ハ最初ノ期日ノ呼出ヲ除クノ外同項ニ定ムル方法以外ノ相当ト認ムル方法ニ依リ テ之ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ期日ニ出頭セザル当事者、証人又ハ鑑定人ニ対シ法律 上ノ制裁其ノ他期日ノ懈怠ニ因ル不利益ヲ帰スルコトヲ得ズ 第百五十五条 期日ハ事件ノ呼上ヲ以テ之ヲ開始ス 第百五十六条 期間ノ計算ハ民法ニ従フ 2 期間ノ末日カ日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号) ニ規定スル休日、一月二日、一月三日又ハ十二月二十九日乃至十二月三十一日ニ当ルトキハ 期間ハ其ノ翌日ヲ以テ満了ス 第百五十七条 期間ヲ定ムル裁判ニ於テ始期ヲ定メサルトキハ其ノ期間ハ裁判カ効力ヲ生シタ ル時ヨリ進行ヲ始ム 第百五十八条 裁判所ハ法定期間又ハ其ノ定メタル期間ヲ伸長シ又ハ之ヲ短縮スルコトヲ得但 シ不変期間ハ此ノ限ニ在ラス 2 不変期間ニ付テハ裁判所ハ遠隔ノ地ニ住所又ハ居所ヲ有スル者ノ為附加期間ヲ定ムルコトヲ 得 3 裁判長、受命裁判官又ハ受託裁判官ハ其ノ定メタル期間ヲ伸長シ又ハ之ヲ短縮スルコトヲ得 第百五十九条 当事者カ其ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因リ不変期間ヲ遵守スルコト能ハサリ シ場合ニ於テハ其ノ事由ノ止ミタル後一週間内ニ限リ懈怠シタル訴訟行為ノ追完ヲ為スコト ヲ得外国ニ在ル当事者ニ付テハ此ノ期間ハ之ヲ二月トス
第三節 送達
第百六十条 送達ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外職権ヲ以テ之ヲ為ス 第百六十一条 送達ニ関スル事務ハ裁判所書記官之ヲ取扱フ 2 前項ノ事務ノ取扱ハ送達地ノ地方裁判所ノ裁判所書記官ニ之ヲ嘱託スルコトヲ得 第百六十二条 送達ハ執行官又ハ郵便ニ依リ之ヲ為ス 2 郵便ニ依ル送達ニ在リテハ郵便ノ業務ニ従事スル者ヲ以テ送達ヲ為ス吏員トス 2 前項ノ期間ニ付テハ前条ノ規定ヲ適用セズ 第百六十三条 当該事件ニ付出頭シタル者ニ対シテハ裁判所書記官自ラ送達ヲ為スコトヲ得 第百六十四条 送達ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外送達ヲ受クヘキ者ニ送達スヘキ書類ノ謄 本ヲ交付シテ之ヲ為ス 2 送達スヘキ書類ノ提出ニ代ヘ調書ヲ作リタルトキハ其ノ調書ノ謄本又ハ抄本ヲ交付シテ送達 ヲ為ス 第百六十五条 訴訟無能力者ニ対スル送達ハ其ノ法定代理人ニ之ヲ為ス 第百六十六条 数人カ共同シテ代理権ヲ行フヘキ場合ニ於テハ送達ハ其ノ一人ニ之ヲ為スヲ以 テ足ル 第百六十七条 削除 第百六十八条 在監者ニ対スル送達ハ監獄ノ長ニ之ヲ為ス 第百六十九条 送達ハ之ヲ受クヘキ者ノ住所、居所、営業所又ハ事務所ニ於テ之ヲ為ス但シ法 定代理人ニ対スル送達ハ本人ノ営業所又ハ事務所ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得 2 前項ニ定ムル場所ガ知レザルトキ又ハ其ノ場所ニ於テ送達ヲ為スニ付支障アルトキハ送達ハ 送達ヲ受クベキ者ガ雇用、委任其ノ他ノ法律上ノ行為ニ基キ就業スル他人ノ住所、居所、営 業所又ハ事務所ニ於テ之ヲ為スコトヲ得送達ヲ受クベキ者ガ其ノ就業スル場所ニ於テ送達ヲ 受クベキ旨ノ申述ヲ為シタルトキ亦同ジ 3 送達ヲ受クヘキ者カ日本ニ住所、居所、営業所又ハ事務所ヲ有スルコト明ナラサルトキハ送 達ハ其ノ者ニ出会ヒタル場所ニ於テ之ヲ為スコトヲ得住所、居所、営業所又ハ事務所ヲ有ス ル者カ送達ヲ受クルコトヲ拒マサルトキ亦同シ 第百七十条 当事者、法定代理人又ハ訴訟代理人ハ受訴裁判所ノ所在地ニ住所、居所、営業所 又ハ事務所ヲ有セサルトキハ其ノ裁判所ノ所在地ニ於テ送達ヲ受クヘキ場所及送達受取人ヲ 定メ之ヲ届出ツルコトヲ要ス 2 送達ヲ受クヘキ者カ前項ノ届出ヲ為ササルトキハ其ノ者ニ対シテ送達スヘキ書類ハ前条第一 項ノ規定ニ依リ送達スヘキ場所ニ宛テ書留郵便ニ付シテ之ヲ発送スルコトヲ得 3 第一項ノ届出ハ送達ヲ受クヘキ者カ受訴裁判所ノ所在地ニ住所、居所、営業所又ハ事務所ヲ 有スル場合ニ於テモ亦之ヲ為スコトヲ得 第百七十一条 第百六十九条第二項ニ定ムル場所以外ノ送達ヲ為スベキ場所ニ於テ送達ヲ受ク ヘキ者ニ出会ハサルトキハ事務員、雇人又ハ同居者ニシテ事理ヲ弁識スルニ足ルヘキ知能ヲ 具フル者ニ書類ヲ交付スルコトヲ得郵便ノ業務ニ従事スル者郵便局ニ於テ書類ヲ交付スベキ トキ亦同ジ 2 第百六十九条第二項ニ定ムル場所ニ於テ送達ヲ受クベキ者ニ出会ハザル場合ニ於テ同項ノ他 人又ハ其ノ法定代理人、事務員若ハ雇人ニシテ事理ヲ弁識スルニ足ルベキ知能ヲ具フル者ガ 書類ノ交付ヲ受クルコトヲ拒マザルトキハ此等ノ者ニ書類ヲ交付スルコトヲ得 3 送達ヲ受クベキ者又ハ第一項前段ノ規定ニ依リ書類ノ交付ヲ受クヘキ者カ正当ノ事由ナクシ テ之ヲ受クルコトヲ拒ミタルトキハ送達ヲ為スヘキ場所ニ書類ヲ差置クコトヲ得 4 第二項ノ規定ニ依ル送達アリタルトキハ裁判所書記官其ノ旨ヲ送達ヲ受ケタル者ニ通知スル コトヲ要ス 第百七十二条 前条ノ規定ニ依リテ送達ヲ為スコト能ハサル場合ニ於テハ裁判所書記官第百六 十九条第一項ニ定ムル場所ニ宛テ書類ヲ書留郵便ニ付シテ之ヲ発送スルコトヲ得 第百七十三条 第百七十条第二項又ハ前条ノ規定ニ依リテ書類ヲ郵便ニ付シテ発送シタル場合 ニ於テハ其ノ発送ノ時ニ於テ送達アリタルモノト看做ス 第百七十四条 削除 第百七十五条 外国ニ於テ為スヘキ送達ハ裁判長其ノ国ノ管轄官庁又ハ其ノ国ニ駐在スル日本 第百七十六条 削除 第百七十七条 送達ヲ為シタル吏員ハ書面ヲ作リ送達ニ関スル事項ヲ記載シ之ヲ裁判所ニ提出 スルコトヲ要ス ノ大使、公使若ハ領事ニ嘱託シテ之ヲ為ス 第百七十八条 当事者ノ住所、居所其ノ他送達ヲ為スヘキ場所カ知レサル場合若ハ第百七十二 条ノ規定ニ依リテ送達ヲ為スコト能ハザル場合又ハ外国ニ於テ為スヘキ送達ニ付第百七十五 条ノ規定ニ依ルコト能ハス若ハ之ニ依ルモ其ノ効ナシト認ムヘキ場合ニ於テハ申立ニ因リ裁 判長ノ許可ヲ得テ公示送達ヲ為スコトヲ得同条ノ規定ニ依リ外国ノ管轄官庁ニ嘱託ヲ発シタ ル後六月ヲ経過スルモ其ノ送達ヲ証スル書面ノ送付ナキ場合亦同ジ 2 前項ノ場合ニ於テ裁判所ハ訴訟ノ遅滞ヲ避クル為必要アリト認ムルトキハ申立ナキトキト雖 公示送達ヲ為スヘキコトヲ命スルコトヲ得 3 同一ノ当事者ニ対スル爾後ノ公示送達ハ職権ヲ以テ之ヲ為ス但シ第一項後段ノ場合ニ於テハ 此ノ限ニ在ラズ 第百七十九条 公示送達ハ裁判所書記官送達スヘキ書類ヲ保管シ何時ニテモ送達ヲ受クヘキ者 ニ交付スヘキ旨ヲ裁判所ノ掲示場ニ掲示シテ之ヲ為ス但シ呼出状ノ送達ハ呼出状ヲ掲示場ニ 貼附シテ之ヲ為ス 2 裁判所ハ公示送達アリタルコトヲ官報又ハ新聞紙ニ掲載スヘキコトヲ命スルコトヲ得但シ外 国ニ於テ為スヘキ送達ニ付テハ公示送達アリタルコトヲ郵便ニ付シテ通知スルコトヲ得 第百八十条 公示送達ハ前条第一項ノ規定ニ依ル掲示ヲ始メ又ハ貼附ヲ為シタル日ヨリ二週間 ヲ経過スルニ因リテ其ノ効力ヲ生ス但シ第百七十八条第三項ノ公示送達ハ掲示ヲ始メ又ハ貼 附ヲ為シタル日ノ翌日ニ於テ其ノ効力ヲ生ス 2 外国ニ於テ為スヘキ送達ニ付為シタル公示送達ニ在リテハ前項ノ期間ハ之ヲ六週間トス 3 前二項ノ期間ハ之ヲ短縮スルコトヲ得ス 第百八十一条 送達ニ関スル裁判長ノ権限ハ受命裁判官、受託裁判官及送達地ノ地方裁判所ノ 裁判官亦之ヲ有ス
第四節 裁判
第百八十二条 訴訟カ裁判ヲ為スニ熟スルトキハ裁判所ハ終局判決ヲ為ス 第百八十三条 訴訟ノ一部カ裁判ヲ為スニ熟スルトキハ裁判所ハ其ノ一部ニ付終局判決ヲ為ス コトヲ得 2 前項ノ規定ハ口頭弁論ノ併合ヲ命シタル数個ノ訴訟中其ノ一カ裁判ヲ為スニ熟スル場合及本 訴又ハ反訴カ裁判ヲ為スニ熟スル場合ニ之ヲ準用ス 第百八十四条 独立シタル攻撃又ハ防禦ノ方法其ノ他中間ノ争ニ付裁判ヲ為スニ熟スルトキハ 裁判所ハ中間判決ヲ為スコトヲ得請求ノ原因及数額ニ付争アル場合ニ於テ其ノ原因ニ付亦同 シ 第百八十五条 裁判所ハ判決ヲ為スニ当リ其ノ為シタル口頭弁論ノ全趣旨及証拠調ノ結果ヲ斟 酌シ自由ナル心証ニ依リ事実上ノ主張ヲ真実ト認ムヘキカ否ヲ判断ス 第百八十六条 裁判所ハ当事者ノ申立テサル事項ニ付判決ヲ為スコトヲ得ス 第百八十七条 判決ハ其ノ基本タル口頭弁論ニ関与シタル裁判官之ヲ為ス 2 裁判官ノ更迭アル場合ニ於テハ当事者ハ従前ノ口頭弁論ノ結果ヲ陳述スルコトヲ要ス 3 単独ノ裁判官ノ更迭アリタル場合ニ於テ従前訊問ヲ為シタル証人ニ付当事者カ更ニ訊問ノ申 出ヲ為シタルトキハ裁判所ハ其ノ訊問ヲ為スコトヲ要ス合議体ノ裁判官ノ過半数カ更迭シタ ル場合ニ於テ従前訊問ヲ為シタル証人ニ付当事者カ更ニ訊問ノ申出ヲ為シタルトキ亦同シ 第百八十八条 判決ハ言渡ニ因リテ其ノ効力ヲ生ス 第百八十九条 判決ノ言渡ハ判決原本ニ基キ裁判長主文ヲ朗読シテ之ヲ為ス 2 裁判長ハ相当ト認ムルトキハ判決ノ理由ヲ朗読シ又ハ口頭ヲ以テ其ノ要領ヲ告クルコトヲ得 第百九十条 判決ノ言渡ハ口頭弁論終結ノ日ヨリ二週間内ニ之ヲ為ス但シ事件繁雑ナルトキ其 ノ他特別ノ事情アルトキハ此ノ限ニ在ラス 2 判決ノ言渡ハ当事者カ在廷セサル場合ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得 第百九十一条 判決ニハ左ノ事項ヲ記載シ判決ヲ為シタル裁判官之ニ署名捺印スルコトヲ要ス 一 主文 二 事実及争点 三 理由 四 当事者及法定代理人 五 裁判所 2 事実及争点ノ記載ハ口頭弁論ニ於ケル当事者ノ陳述ニ基キ要領ヲ摘示シテ之ヲ為スコトヲ要 ス但シ証拠ニ関スル事項ニ付テハ訴訟記録中ノ調書ノ記載ヲ引用スルコトヲ得 3 裁判官判決ニ署名捺印スルニ支障アルトキハ他ノ裁判官判決ニ其ノ事由ヲ記載シテ署名捺印 スルコトヲ要ス 第百九十二条 判決ハ言渡後遅滞ナク之ヲ裁判所書記官ニ交付シ裁判所書記官ハ言渡及交付ノ 日ヲ附記シ之ニ捺印スルコトヲ要ス 第百九十三条 判決ハ交付ヲ受ケタル日ヨリ二週間内ニ之ヲ当事者ニ送達スルコトヲ要ス 2 判決ノ送達ハ正本ヲ以テ之ヲ為ス 第百九十三条ノ二 判決カ法令ニ違背シタルコトヲ発見シタルトキハ裁判所ハ其ノ言渡後一週 間内ニ限リ変更ノ判決ヲ為スコトヲ得但シ判決確定シタルトキ又ハ判決ヲ変更スル為事件ニ 付尚弁論ヲ為ス必要アルトキハ此ノ限ニ在ラス 2 変更ノ判決ハ口頭弁論ヲ経スシテ之ヲ為ス 3 前項ノ判決ノ言渡期日ノ呼出ニ於テハ公示送達ニ依ル場合ヲ除クノ外呼出状ヲ送達ヲ受クヘ キ者ノ住所、居所其ノ他送達ヲ為スヘキ場所ニ宛テ発シタル時ニ於テ其ノ送達アリタルモノ ト看做ス 第百九十四条 判決ニ違算、書損其ノ他之ニ類スル明白ナル誤謬アルトキハ裁判所ハ何時ニテ モ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ更正決定ヲ為スコトヲ得 2 更正決定ハ判決ノ原本及正本ニ之ヲ附記スルコトヲ要ス但シ正本ニ附記スルコト能ハサルト キハ決定ノ正本ヲ作リ之ヲ当事者ニ送達スルコトヲ要ス 3 更正決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得但シ判決ニ対シ適法ノ控訴アリタルトキハ此ノ 限ニ在ラス 第百九十五条 裁判所カ請求ノ一部ニ付裁判ヲ脱漏シタルトキハ訴訟ハ其ノ請求ノ部分ニ付仍 裁判所ニ繋属ス 2 訴訟費用ノ裁判ヲ脱漏シタル場合ニ於テハ裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ其ノ訴訟費用 ニ付裁判ヲ為ス此ノ場合ニ於テハ第百四条ノ規定ヲ準用ス 3 前項ノ規定ニ依ル訴訟費用ノ裁判ハ本案判決ニ対シ適法ノ控訴アリタルトキハ其ノ効力ヲ失 フ此ノ場合ニ於テハ控訴裁判所ハ訴訟ノ総費用ニ付裁判ヲ為ス 第百九十六条 財産権上ノ請求ニ関スル判決ニ付テハ裁判所ハ必要アリト認ムルトキハ申立ニ 因リ又ハ職権ヲ以テ担保ヲ供シ又ハ供セスシテ仮執行ヲ為スコトヲ得ヘキコトヲ宣言スルコ トヲ得 2 手形又ハ小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及之ニ附帯スル法定利率ニ依ル損害賠償ノ請求ニ関 スル判決ニ付テハ裁判所ハ職権ヲ以テ担保ヲ供セズシテ仮執行ヲ為スコトヲ得ベキコトヲ宣 言スルコトヲ要ス但シ裁判所相当ト認ムルトキハ仮執行ヲ担保ノ提供ニ繋ラシムルコトヲ得 3 裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ担保ヲ供シテ仮執行ヲ免ルルコトヲ得ヘキコトヲ宣言ス ルコトヲ得 4 前三項ノ宣言ハ判決主文ニ之ヲ掲クルコトヲ要ス 第百九十六条ノ二 仮執行ノ宣言ノ申立ニ付裁判ヲ為サザリシトキ又ハ職権ヲ以テ仮執行ノ宣 言ヲ為スベキ場合ニ於テ之ヲ為サザリシトキハ裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ補充ノ決 定ヲ為ス前条第三項ノ申立ニ付裁判ヲ為サザリシトキ亦同ジ 第百九十七条 第百十二条、第百十三条、第百十五条及第百十六条ノ規定ハ第百九十六条ノ担 保ニ之ヲ準用ス 2 第百九十四条第二項ノ規定ハ前項ノ決定ニ之ヲ準用ス 第百九十八条 仮執行ノ宣言ハ其ノ宣言又ハ本案判決ヲ変更スル判決ノ言渡ニ因リ変更ノ限度 ニ於テ其ノ効力ヲ失フ 2 本案判決ヲ変更スル場合ニ於テハ裁判所ハ被告ノ申立ニ因リ其ノ判決ニ於テ仮執行ノ宣言ニ 基キ被告カ給付シタルモノノ返還及仮執行ニ因リ又ハ之ヲ免ルル為被告ノ受ケタル損害ノ賠 償ヲ原告ニ命スルコトヲ要ス 3 仮執行ノ宣言ノミヲ変更シタルトキハ後ニ本案判決ヲ変更スル判決ニ付前項ノ規定ヲ適用ス 第百九十九条 確定判決ハ主文ニ包含スルモノニ限リ既判力ヲ有ス 2 相殺ノ為主張シタル請求ノ成立又ハ不成立ノ判断ハ相殺ヲ以テ対抗シタル額ニ付既判力ヲ有 ス 第二百条 外国裁判所ノ確定判決ハ左ノ条件ヲ具備スル場合ニ限リ其ノ効力ヲ有ス 一 法令又ハ条約ニ於テ外国裁判所ノ裁判権ヲ否認セサルコト 二 敗訴ノ被告カ日本人ナル場合ニ於テ公示送達ニ依ラスシテ訴訟ノ開始ニ必要ナル呼出若 ハ命令ノ送達ヲ受ケタルコト又ハ之ヲ受ケサルモ応訴シタルコト 三 外国裁判所ノ判決カ日本ニ於ケル公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反セサルコト 四 相互ノ保証アルコト 第二百一条 確定判決ハ当事者、口頭弁論終結後ノ承継人又ハ其ノ者ノ為請求ノ目的物ヲ所持 スル者ニ対シテ其ノ効力ヲ有ス 2 他人ノ為原告又ハ被告ト為リタル者ニ対スル確定判決ハ其ノ他人ニ対シテモ効力ヲ有ス 3 前二項ノ規定ハ仮執行ノ宣言ニ之ヲ準用ス 第二百二条 不適法ナル訴ニシテ其ノ欠缺カ補正スルコト能ハサルモノナル場合ニ於テハ口頭 弁論ヲ経スシテ判決ヲ以テ之ヲ却下スルコトヲ得 第二百三条 和解又ハ請求ノ抛棄若ハ認諾ヲ調書ニ記載シタルトキハ其ノ記載ハ確定判決ト同 一ノ効力ヲ有ス 第二百四条 決定及命令ハ相当ト認ムル方法ヲ以テ之ヲ告知スルニ因リテ其ノ効力ヲ生ス 2 裁判所書記官ハ告知ノ方法、場所及年月日ヲ裁判ノ原本ニ附記シ之ニ捺印スルコトヲ要ス 第二百五条 訴訟ノ指揮ニ関スル決定及命令ハ何時ニテモ之ヲ取消スコトヲ得 第二百六条 裁判所書記官ノ処分ニ対スル異議ニ付テハ其ノ裁判所書記官所属ノ裁判所決定ヲ 以テ裁判ヲ為ス 第二百七条 決定及命令ニハ其ノ性質ニ反セサル限リ判決ニ関スル規定ヲ準用ス但シ署名捺印 ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得 第二百七条ノ二 判決以外ノ裁判ハ判事補単独ニテ之ヲ為スコトヲ得 第五節 訴訟手続ノ中断及中止 第二百八条 当事者カ死亡シタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ相続人、相続財産 管理人其ノ他法令ニ依リ訴訟ヲ続行スヘキ者ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス 2 相続人ハ相続ノ抛棄ヲ為スコトヲ得ル間ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ得ス 第二百九条 当事者タル法人カ合併ニ因リテ消滅シタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於 テハ合併ニ因リテ設立シタル法人又ハ合併後存続スル法人ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス 2 前項ノ規定ハ合併ヲ以テ相手方ニ対抗スルコトヲ得サル場合ニハ之ヲ適用セス 第二百十条 当事者カ訴訟能力ヲ失ヒタルトキ又ハ其ノ法定代理人カ死亡シ若ハ代理権ヲ失ヒ タルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ法定代理人又ハ訴訟能力ヲ有スルニ至リタル 当事者ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス 第二百十一条 受託者ノ信託ノ任務終了シタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ新受 託者訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス 第二百十二条 一定ノ資格ヲ有スル者カ自己ノ名ヲ以テ他人ノ為訴訟ノ当事者タル場合ニ於テ 其ノ資格ヲ喪失シタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ同一ノ資格ヲ有スル者訴訟 手続ヲ受継クコトヲ要ス当事者ノ死亡ニ因リ訴訟手続カ中断シタル場合亦同シ 2 第四十七条ノ規定ニ依リテ原告又ハ被告ト為ルヘキ者ヲ選定シタル訴訟ニ於テ其ノ選定セラ レタル当事者ノ全員カ其ノ資格ヲ喪失シタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ選定 ヲ為シタル者ノ総員又ハ新ニ原告若ハ被告トシテ選定セラレタル者ハ訴訟手続ヲ受継クコト ヲ要ス 第二百十三条 第二百八条第一項、第二百九条第一項及第二百十条乃至前条ノ規定ハ訴訟代理 人アル間ハ之ヲ適用セス 第二百十四条 当事者カ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキハ破産財団ニ関スル訴訟手続ハ中断ス此ノ 場合ニ於テ破産法ニ依ル受継アル迄ニ破産手続ノ解止アリタルトキハ破産者ハ当然訴訟手続 ヲ受継ス 第二百十五条 破産法ニ依リテ破産財団ニ関スル訴訟手続ノ受継アリタル後破産手続ノ解止ア リタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ破産者ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス 第二百十六条 訴訟手続ノ受継ハ相手方ニ於テモ亦之ヲ為スコトヲ得 第二百十七条 訴訟手続受継ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ之ヲ相手方ニ通知スルコトヲ要ス 第二百十八条 訴訟手続受継ノ申立ハ裁判所職権ヲ以テ之ヲ調査シ理由ナシト認メタルトキハ 決定ヲ以テ之ヲ却下スルコトヲ要ス 2 裁判ノ送達後中断シタル訴訟手続ノ受継ニ付テハ其ノ裁判ヲ為シタル裁判所裁判ヲ為スコト ヲ要ス 第二百十九条 裁判所ハ当事者カ訴訟手続ノ受継ヲ為ササル場合ニ於テモ職権ヲ以テ其ノ続行 ヲ命スルコトヲ得 第二百二十条 天災其ノ他ノ事故ニ因リテ裁判所カ職務ヲ行フコト能ハサルトキハ訴訟手続ハ 其ノ事故ノ止ム迄中止ス 第二百二十一条 当事者カ不定期間ノ故障ニ因リ訴訟手続ヲ続行スルコト能ハサルトキハ裁判 所ハ決定ヲ以テ其ノ中止ヲ命スルコトヲ得 第二百二十二条 判決ノ言渡ハ訴訟手続ノ中断中ト雖之ヲ為スコトヲ得 2 訴訟手続ノ中断又ハ中止ハ期間ノ進行ヲ止メ訴訟手続ノ受継ノ通知又ハ続行ノ時ヨリ更ニ全
第二編 第一審ノ訴訟手続
第一章 訴ノ提起
第二百二十三条 訴ノ提起ハ訴状ヲ裁判所ニ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス 第二百二十四条 訴状ニハ当事者、法定代理人並請求ノ趣旨及原因ヲ記載スルコトヲ要ス 2 準備書面ニ関スル規定ハ訴状ニ之ヲ準用ス 第二百二十五条 確認ノ訴ハ法律関係ヲ証スル書面ノ真否ヲ確定スル為ニモ之ヲ提起スルコト 2 裁判所ハ前項ノ決定ヲ取消スコトヲ得 期間ノ進行ヲ始ム ヲ得 第二百二十六条 将来ノ給付ヲ求ムル訴ハ予メ其ノ請求ヲ為ス必要アル場合ニ限リ之ヲ提起ス ルコトヲ得 第二百二十七条 数個ノ請求ハ同種ノ訴訟手続ニ依ル場合ニ限リ一ノ訴ヲ以テ之ヲ為スコトヲ 得 第二百二十八条 訴状カ第二百二十四条第一項ノ規定ニ違背スル場合ニ於テハ裁判長ハ相当ノ 期間ヲ定メ其ノ期間内ニ欠缺ヲ補正スヘキコトヲ命スルコトヲ要ス法律ノ規定ニ従ヒ訴ノ提 起ノ手数料ヲ納付セザル場合亦同シ 2 原告カ欠缺ノ補正ヲ為ササルトキハ裁判長ハ命令ヲ以テ訴状ヲ却下スルコトヲ要ス 3 前項ノ命令ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 4 抗告状ニハ却下セラレタル訴状ヲ添附スルコトヲ要ス 第二百二十九条 訴状ハ之ヲ被告ニ送達スルコトヲ要ス 2 前条ノ規定ハ訴状ノ送達ヲ為スコト能ハサル場合ニ之ヲ準用ス 第二百三十条 訴ノ提起アリタルトキハ裁判長ハ口頭弁論ノ期日ヲ定メ当事者ヲ呼出スコトヲ 要ス 第二百三十一条 裁判所ニ繋属スル事件ニ付テハ当事者ハ更ニ訴ヲ提起スルコトヲ得ス 第二百三十二条 原告ハ請求ノ基礎ニ変更ナキ限リ口頭弁論ノ終結ニ至ル迄請求又ハ請求ノ原 因ヲ変更スルコトヲ得但シ之ニ因リ著ク訴訟手続ヲ遅滞セシムヘキ場合ハ此ノ限ニ在ラス 2 請求ノ変更ハ書面ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 3 前項ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 第二百三十三条 裁判所カ請求又ハ請求ノ原因ノ変更ヲ不当ナリト認ムルトキハ申立ニ因リ又 ハ職権ヲ以テ其ノ変更ヲ許ササル旨ノ決定ヲ為スコトヲ要ス 第二百三十四条 裁判カ訴訟ノ進行中ニ争ト為リタル法律関係ノ成立又ハ不成立ニ繋ルトキハ 当事者ハ請求ヲ拡張シテ其ノ法律関係ノ確認ノ判決ヲ求ムルコトヲ得但シ其ノ確認ノ請求カ 他ノ裁判所ノ管轄ニ専属セサルトキニ限ル 2 前項ノ規定ニ依ル請求ノ拡張ハ書面ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 3 前項ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 第二百三十五条 時効ノ中断又ハ法律上ノ期間遵守ノ為必要ナル裁判上ノ請求ハ訴ヲ提起シタ ル時又ハ第二百三十二条第二項若ハ前条第二項ノ規定ニ依リ書面ヲ裁判所ニ提出シタル時ニ 於テ其ノ効力ヲ生ス 第二百三十六条 訴ハ判決ノ確定ニ至ル迄其ノ全部又ハ一部ヲ取下クルコトヲ得 2 訴ノ取下ハ相手方カ本案ニ付準備書面ヲ提出シ、準備手続ニ於テ申述ヲ為シ又ハ口頭弁論ヲ 為シタル後ニ在リテハ相手方ノ同意ヲ得ルニ非サレハ其ノ効力ヲ生セス 3 訴ノ取下ハ書面ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス但シ口頭弁論ニ於テ又ハ準備手続中準備手続ヲ 為ス裁判官ノ面前ニ於テ口頭ヲ以テ之ヲ為スコトヲ妨ケス 4 訴状送達ノ後ニ在リテハ取下ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 5 第三項但書ノ場合ニ於テ相手方カ期日ニ出頭セサルトキハ口頭弁論又ハ準備手続ノ調書ノ謄 本ヲ之ニ送達スルコトヲ要ス 6 訴ノ取下ノ書面ノ送達アリタル日ヨリ三月内ニ相手方カ異議ヲ述ヘサルトキハ訴ノ取下ニ同 意シタルモノト看做ス第三項但書ノ場合ニ於テ相手方カ期日ニ出頭シタル場合ニ於テハ訴ノ 取下アリタル日ヨリ、相手方カ期日ニ出頭セサル場合ニ於テハ前項ノ謄本ノ送達アリタル日 ヨリ三月内ニ相手方カ異議ヲ述ヘサルトキ亦同シ 第二百三十七条 訴訟ハ訴ノ取下アリタル部分ニ付テハ初ヨリ繋属ナカリシモノト看做ス 2 本案ニ付終局判決アリタル後訴ヲ取下ケタル者ハ同一ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ス 第二百三十八条 当事者双方カ口頭弁論ノ期日ニ出頭セス又ハ弁論ヲ為サスシテ退廷シタル場 合ニ於テ三月内ニ期日指定ノ申立ヲ為ササルトキハ訴ノ取下アリタルモノト看做ス 第二百三十九条 被告ハ口頭弁論ノ終結ニ至ル迄本訴ノ繋属スル裁判所ニ反訴ヲ提起スルコト ヲ得但シ其ノ目的タル請求カ他ノ裁判所ノ管轄ニ専属セサルトキ及本訴ノ目的タル請求又ハ 防禦ノ方法ト牽連スルトキニ限ル 第二百四十条 反訴ニ付テハ本訴ニ関スル規定ニ依ル 第二百四十一条 本訴ノ取下アリタルトキハ被告ハ原告ノ同意ヲ得スシテ反訴ヲ取下クルコト ヲ得 第二百四十二条 口頭弁論ハ書面ヲ以テ之ヲ準備スルコトヲ要ス 第二章 弁論及其ノ準備 第二百四十三条 準備書面ハ之ニ記載シタル事項ニ付相手方カ準備ヲ為スニ必要ナル期間ヲ存 シ之ヲ裁判所ニ提出シ裁判所ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 2 裁判長ハ準備書面ヲ提出スヘキ期間ヲ定ムルコトヲ得 第二百四十四条 準備書面ニハ左ノ事項ヲ記載シ当事者又ハ代理人之ニ署名捺印スルコトヲ要 ス但シ署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得 一 当事者ノ氏名、名称又ハ商号、職業及住所 二 代理人ノ氏名、職業及住所 三 事件ノ表示 四 攻撃又ハ防禦ノ方法 五 相手方ノ請求及攻撃又ハ防禦ノ方法ニ対スル陳述 六 附属書類ノ表示 七 年月日 八 裁判所ノ表示 第二百四十五条 当事者ノ所持スル文書ニシテ準備書面ニ引用シタルモノハ準備書面ノ各通ニ 其ノ謄本ヲ添附スルコトヲ要ス 2 文書ノ一部ノミヲ必要トスルトキハ其ノ抄本ヲ添附シ文書カ大部ナルトキハ其ノ文書ヲ表示 スルヲ以テ足ル 第二百四十六条 前条ノ文書ハ相手方ノ求ニ因リ其ノ原本ヲ閲覧セシムルコトヲ要ス 第二百四十七条 準備書面ニ記載セサル事実ハ相手方カ在廷セサルトキハ口頭弁論ニ於テ之ヲ 主張スルコトヲ得ス 第二百四十八条 外国語ヲ以テ作リタル文書ニハ其ノ訳文ヲ添附スルコトヲ要ス 第二百四十九条 裁判所ハ口頭弁論ノ準備手続ヲ為スコトヲ得 第二百五十条 準備手続ノ調書ニハ当事者ノ陳述ニ基キ第二百四十四条第四号及第五号ニ掲ク ル事項ヲ記載シ殊ニ証拠ニ付テハ其ノ申出ヲ明確ニスルコトヲ要ス 2 準備手続ヲ為ス裁判官相当ト認ムルトキハ準備書面ヲ以テ前項ノ陳述及調書ニ代フルコトヲ 得 第二百五十一条 当事者ノ一方カ期日ニ出頭セサルトキハ前条ノ調書ノ謄本ヲ之ニ送達シ新期 日ヲ定メ当事者双方ヲ呼出スコトヲ得 第二百五十二条 準備手続ヲ為ス裁判官ハ当事者ヲシテ準備書面ヲ提出セシムルコトヲ得此ノ 場合ニ於テハ第二百四十三条ノ規定ヲ準用ス 第二百五十三条 当事者カ期日ニ出頭セス又ハ前条ノ規定ニ依リ準備手続ヲ為ス裁判官ノ定メ タル期間内ニ準備書面ヲ提出セサルトキハ準備手続ヲ為ス裁判官ハ準備手続ヲ終結スルコト ヲ得 第二百五十四条 当事者ハ口頭弁論ニ於テ準備手続ノ結果ヲ陳述スルコトヲ要ス 第二百五十五条 調書又ハ之ニ代ルヘキ準備書面ニ記載セサル事項ハ口頭弁論ニ於テ之ヲ主張 スルコトヲ得ス但シ其ノ事項カ裁判所職権ヲ以テ調査スヘキモノナルトキ、著ク訴訟ヲ遅滞 セシメサルトキ又ハ重大ナル過失ナクシテ準備手続ニ於テ之ヲ提出スルコト能ハサリシコト ヲ疏明シタルトキハ此ノ限ニ在ラス 2 前項但書ノ規定ハ第二百四十七条ノ規定ノ適用ヲ妨ケス 3 訴状又ハ準備手続前ニ提出シタル準備書面ニ記載シタル事項ハ調書又ハ之ニ代ルヘキ準備書 面ニ記載セサルモノト雖口頭弁論ニ於テ之ヲ主張スルコトヲ妨ケス 第二百五十六条 第百二十六条乃至第百二十九条、第百三十一条、第百三十三条乃至第百四十 八条及第二百三十八条ノ規定ハ準備手続ニ之ヲ準用ス
第三章 証拠
第一節 総則
第二百五十七条 裁判所ニ於テ当事者カ自白シタル事実及顕著ナル事実ハ之ヲ証スルコトヲ要 セス 第二百五十八条 証拠ノ申出ハ証スヘキ事実ヲ表示シテ之ヲ為スコトヲ要ス 2 証拠ノ申出ハ期日前ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得 第二百五十九条 当事者ノ申出テタル証拠ニシテ裁判所ニ於テ不必要ト認ムルモノハ之ヲ取調 フルコトヲ要セス 第二百六十条 証拠調ニ付不定期間ノ障碍アルトキハ裁判所ハ証拠調ヲ為ササルコトヲ得 第二百六十一条 削除 第二百六十二条 裁判所ハ必要ナル調査ヲ官庁若ハ公署、外国ノ官庁若ハ公署又ハ学校、商業 会議所、取引所其ノ他ノ団体ニ嘱託スルコトヲ得 第二百六十三条 証拠調ハ当事者カ期日ニ出頭セサル場合ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得 第二百六十四条 外国ニ於テ為スヘキ証拠調ハ其ノ国ノ管轄官庁又ハ其ノ国ニ駐在スル日本ノ 大使、公使若ハ領事ニ之ヲ嘱託シテ為スコトヲ要ス 2 外国ニ於テ為シタル証拠調ハ其ノ国ノ法律ニ違背スルモ本法ニ違背セサルトキハ其ノ効力ヲ 有ス 第二百六十五条 裁判所ハ相当ト認ムルトキハ裁判所外ニ於テ証拠調ヲ為スコトヲ得此ノ場合 ニ於テハ合議体ノ構成員ニ命シ又ハ地方裁判所若ハ簡易裁判所ニ嘱託シテ証拠調ヲ為サシム ルコトヲ得 2 受託裁判官カ他ノ地方裁判所又ハ簡易裁判所ニ於テ証拠調ヲ為スコトヲ相当ト認ムルトキハ 更ニ証拠調ノ嘱託ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ旨ヲ受訴裁判所及当事者ニ通知スル コトヲ要ス 第二百六十六条 受託裁判官ハ証拠調ニ関スル記録ヲ受訴裁判所ニ送付スルコトヲ要ス 第二百六十七条 疏明ハ即時ニ取調フルコトヲ得ヘキ証拠ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 2 裁判所ハ当事者若ハ法定代理人ヲシテ保証金ヲ供託セシメ又ハ其ノ主張ノ真実ナルコトヲ宣 誓セシメ之ヲ以テ疏明ニ代フルコトヲ得 3 第二百八十六条乃至第二百八十九条ノ規定ハ前項ノ宣誓ニ之ヲ準用ス 第二百六十八条 前条第二項ノ規定ニ依リテ保証金ノ供託ヲ為シタル当事者又ハ法定代理人カ 虚偽ノ申述ヲ為シタルトキハ裁判所決定ヲ以テ保証金ヲ没取ス 第二百六十九条 第二百六十七条第二項ノ規定ニ依リテ宣誓ヲ為シタル当事者又ハ法定代理人 カ虚偽ノ申述ヲ為シタルトキハ宣誓ヲ為サシメタル裁判所決定ヲ以テ十万円以下ノ過料ニ処 ス 第二百七十条 第二百六十八条及前条ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第二百七十条ノ二 本章ノ規定ニ依ル過料ノ裁判ハ検察官ノ命令ヲ以テ之ヲ執行ス此ノ命令ハ 執行力アル債務名義ト同一ノ効力ヲ有ス 2 過料ノ裁判ノ執行ハ民事執行法(昭和五十四年法律第四号)其ノ他強制執行ノ手続ニ関スル 法令ノ規定ニ従ヒテ之ヲ為ス但シ執行ヲ為ス前裁判ノ送達ヲ為スコトヲ要セズ
第二節 証人訊問
第271条
第二百七十一条 裁判所ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外何人ト雖証人トシテ之ヲ訊問スルコ トヲ得
第272条
第二百七十二条 官吏又ハ官吏タリシ者ヲ証人トシテ職務上ノ秘密ニ付訊問スル場合ニ於テハ 裁判所ハ当該監督官庁ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス
2 前項ノ規定ハ他ノ公務員ニ付之ヲ準用ス
第273条
第二百七十三条 内閣総理大臣其ノ他ノ国務大臣又ハ其ノ職ニ在リタル者ヲ証人トシテ職務上 ノ秘密ニ付訊問スル場合ニ於テハ裁判所ハ内閣ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス
第274条
第二百七十四条 衆議院若ハ参議院ノ議員又ハ議員タリシ者ヲ証人トシテ職務上ノ秘密ニ付訊 問スル場合ニ於テハ裁判所ハ其ノ院ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス
第275条
第二百七十五条 証人訊問ノ申出ハ証人ヲ指定シテ之ヲ為スコトヲ要ス
第276条
第二百七十六条 証人ノ呼出状ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 当事者ノ表示
二 訊問事項ノ要領
三 出頭セサル場合ニ於ケル法律上ノ制裁
第277条
第二百七十七条 証人カ正当ノ事由ナクシテ出頭セサルトキハ裁判所ハ決定ヲ以テ之ニ因リテ 生シタル訴訟費用ノ負担ヲ命シ且十万円以下ノ過料ニ処ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為 スコトヲ得
第278条
第二百七十七条ノ二 証人カ正当ノ事由ナクシテ出頭セサルトキハ十万円以下ノ罰金又ハ拘留 ニ処ス
2 前項ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情状ニ因リ罰金及拘留ヲ併科スルコトヲ得
第278条
第二百七十八条 裁判所ハ正当ノ事由ナクシテ出頭セサル証人ノ勾引ヲ命スルコトヲ得
2 前項ノ勾引ニハ刑事訴訟法中勾引ニ関スル規定ヲ準用ス
第279条
第二百七十九条 左ノ場合ニ於テハ受命裁判官又ハ受託裁判官ヲシテ証人ノ訊問ヲ為サシムル コトヲ得
一 証人カ受訴裁判所ニ出頭スル義務ナキトキ又ハ正当ノ事由ニ因リ出頭スルコト能ハサル トキ
二 証人カ受訴裁判所ニ出頭スルニ付不相当ノ費用又ハ時間ヲ要スルトキ
第280条
第二百八十条 証言カ証人又ハ左ニ掲クル者ノ刑事上ノ訴追又ハ処罰ヲ招ク虞アル事項ニ関スルトキハ証人ハ証言ヲ拒ムコトヲ得証言カ此等ノ者ノ恥辱ニ帰スヘキ事項ニ関スルトキ亦同シ
一 証人ノ配偶者、四親等内ノ血族若ハ三親等内ノ姻族又ハ証人ト此等ノ親族関係アリタル者
二 証人ノ後見人又ハ証人ノ後見ヲ受クル者
三 証人カ主人トシテ仕フル者
第二百八十一条 左ノ場合ニ於テハ証人ハ証言ヲ拒ムコトヲ得 一 第二百七十二条乃至第二百七十四条ノ場合 二 医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士(外国法事務弁護士ヲ含ム)、弁理 士、弁護人、公証人、宗教又ハ祷祀ノ職ニ在ル者又ハ此等ノ職ニ在リタル者カ職務上知リ タル事実ニシテ黙秘スヘキモノニ付訊問ヲ受クルトキ 三 技術又ハ職業ノ秘密ニ関スル事項ニ付訊問ヲ受クルトキ 2 前項ノ規定ハ証人カ黙秘ノ義務ヲ免セラレタル場合ニハ之ヲ適用セス 第二百八十二条 証言拒絶ノ理由ハ之ヲ疏明スルコトヲ要ス 第二百八十三条 第二百八十一条第一項第一号ノ場合ヲ除クノ外証言拒絶ノ当否ニ付テハ受訴 裁判所当事者ヲ審訊シテ裁判ヲ為ス 2 証言拒絶ニ関スル裁判ニ対シテハ当事者及証人ハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第二百八十四条 証言拒絶ヲ理由ナシトスル裁判確定シタル後証人カ故ナク証言ヲ拒ムトキハ 第二百七十七条及第二百七十七条ノ二ノ規定ヲ準用ス 第二百八十五条 裁判長ハ証人ヲシテ訊問前宣誓ヲ為サシムルコトヲ要ス但シ特別ノ事由アル トキハ訊問後之ヲ為サシムルコトヲ得 第二百八十六条 宣誓ハ起立シテ厳粛ニ之ヲ行フコトヲ要ス 第二百八十七条 裁判長ハ宣誓前宣誓ノ趣旨ヲ諭示シ且偽証ノ罰ヲ警告スルコトヲ要ス 第二百八十八条 宣誓ハ証人ヲシテ宣誓書ヲ朗読セシメ且之ニ署名捺印セシメテ之ヲ為ス証人 宣誓書ヲ朗読スルコト能ハサルトキハ裁判長代リテ之ヲ朗読ス 2 宣誓書ニハ良心ニ従ヒ真実ヲ述ヘ何事ヲモ黙秘セス又何事ヲモ附加セサルコトヲ誓フ旨ヲ記 載スルコトヲ要ス 第二百八十九条 左ニ掲クル者ヲ証人トシテ訊問スルニハ宣誓ヲ為サシムルコトヲ得ス 一 十六年未満ノ者 二 宣誓ノ趣旨ヲ理解スルコト能ハサル者 第二百九十条 第二百八十条ノ規定ニ該当スル証人ニシテ証言拒絶ノ権利ヲ行ハサル者ヲ訊問 スルニハ宣誓ヲ為サシメサルコトヲ得 第二百九十一条 証人カ自己又ハ第二百八十条ニ掲クル者ニ著キ利害関係アル事項ニ付訊問ヲ 受クルトキハ宣誓ヲ拒ムコトヲ得 第二百九十二条 宣誓ヲ為サシメスシテ証人ヲ訊問シタルトキハ其ノ旨及事由ヲ調書ニ記載ス ルコトヲ要ス 第二百九十三条 第二百七十七条、第二百七十七条ノ二、第二百八十二条及第二百八十三条ノ 規定ハ証人カ宣誓ヲ拒ム場合ニ之ヲ準用ス 第二百九十四条 証人ハ其ノ訊問ノ申出ヲ為シタル当事者先ツ之ヲ訊問シ其ノ訊問ノ終リタル 後他ノ当事者之ヲ訊問スルコトヲ得 2 裁判長ハ当事者ノ訊問ノ終リタル後証人ヲ訊問スルコトヲ得 3 裁判長ハ必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ自ラ訊問シ又ハ当事者ノ訊問ヲ許スコトヲ得 4 当事者ノ訊問カ既ニ為シタル訊問ト重複スルトキ、争点ニ関係ナキ事項ニ亘ルトキ其ノ他特 ニ必要アリト認ムルトキハ裁判長ハ之ヲ制限スルコトヲ得 5 陪席裁判官ハ裁判長ニ告ケ証人ヲ訊問スルコトヲ得 第二百九十五条 当事者ハ前条ノ規定ニ依ル訊問ノ許否又ハ制限ニ付異議ヲ述フルコトヲ得此 ノ場合ニ於テハ裁判所異議ニ付裁判ヲ為ス 第二百九十六条 裁判長ハ必要アリト認ムルトキハ証人相互ノ対質ヲ命スルコトヲ得 第二百九十七条 裁判長ハ必要アリト認ムルトキハ証人ヲシテ文字ノ手記其ノ他必要ナル行為 ヲ為サシムルコトヲ得 第二百九十八条 裁判長ハ必要アリト認ムルトキハ後ニ訊問スヘキ証人ニ在廷ヲ許スコトヲ得 第二百九十九条 証人ハ書類ニ依リテ陳述ヲ為スコトヲ得ス但シ裁判長ノ許可ヲ受ケタルトキ ハ此ノ限ニ在ラス 第三百条 受命裁判官又ハ受託裁判官カ証人訊問ヲ為ス場合ニ於テハ裁判所及裁判長ノ職務ハ 其ノ裁判官之ヲ行フ但シ第二百九十五条ノ規定ニ依ル異議ノ裁判ハ受訴裁判所之ヲ為ス
第三節 鑑定
第三百一条 鑑定ニハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外前節ノ規定ヲ準用ス 第三百二条 鑑定ニ必要ナル学識経験アル者ハ鑑定ヲ為ス義務ヲ負フ 2 第二百八十条又ハ第二百九十一条ノ規定ニ依リテ証言又ハ宣誓ヲ拒ミ得ル者ト同一ノ地位ニ 在ル者及第二百八十九条ニ掲クル者ハ鑑定人タルコトヲ得ス 第三百三条 鑑定人ハ之ヲ勾引スルコトヲ得ス 第三百四条 鑑定人ハ受訴裁判所、受命裁判官又ハ受託裁判官之ヲ指定ス 第三百五条 鑑定人ニ付誠実ニ鑑定ヲ為スコトヲ妨クヘキ事情アルトキハ当事者ハ其ノ鑑定人 カ鑑定事項ニ付陳述ヲ為ス前之ヲ忌避スルコトヲ得陳述ヲ為シタルトキト雖其ノ後ニ忌避ノ 原因ヲ生シ又ハ当事者カ其ノ原因アルコトヲ知リタルトキ亦同シ 第三百六条 忌避ノ申立ハ受訴裁判所、受命裁判官又ハ受託裁判官ニ之ヲ為スコトヲ要ス 2 忌避ノ事由ハ之ヲ疏明スルコトヲ要ス 3 忌避ヲ理由アリトスル決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス之ヲ理由ナシトスル決定ニ 第三百七条 宣誓書ニハ良心ニ従ヒ誠実ニ鑑定ヲ為スコトヲ誓フ旨ヲ記載スルコトヲ要ス 第三百八条 裁判長ハ鑑定人ヲシテ書面又ハ口頭ヲ以テ共同ニテ又ハ各別ニ意見ヲ述ヘシムル コトヲ得 第三百九条 特別ノ学識経験ニ依リテ知リ得タル事実ニ関スル訊問ニ付テハ証人訊問ニ関スル 規定ニ依ル 対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第三百十条 裁判所必要アリト認ムルトキハ官庁若ハ公署、外国ノ官庁若ハ公署又ハ相当ノ設 備アル法人ニ鑑定ヲ嘱託スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ宣誓ニ関スル規定ヲ除クノ外本節ノ 規定ヲ準用ス 2 前項ノ場合ニ於テ裁判所必要アリト認ムルトキハ官庁、公署又ハ法人ノ指定シタル者ヲシテ 鑑定書ノ説明ヲ為サシムルコトヲ得
第四節 書証
第三百十一条 書証ノ申出ハ文書ヲ提出シ又ハ之ヲ所持スル者ニ其ノ提出ヲ命セムコトヲ申立 第三百十二条 左ノ場合ニ於テハ文書ノ所持者ハ其ノ提出ヲ拒ムコトヲ得ス 一 当事者カ訴訟ニ於テ引用シタル文書ヲ自ラ所持スルトキ 二 挙証者カ文書ノ所持者ニ対シ其ノ引渡又ハ閲覧ヲ求ムルコトヲ得ルトキ 三 文書カ挙証者ノ利益ノ為ニ作成セラレ又ハ挙証者ト文書ノ所持者トノ間ノ法律関係ニ付 作成セラレタルトキ 第三百十三条 文書提出ノ申立ニハ左ノ事項ヲ明ニスルコトヲ要ス 一 文書ノ表示 二 文書ノ趣旨 三 文書ノ所持者 テ之ヲ為スコトヲ要ス 四 証スヘキ事実 五 文書提出ノ義務ノ原因 第三百十四条 裁判所カ文書提出ノ申立ヲ理由アリト認メタルトキハ決定ヲ以テ文書ノ所持者 ニ対シ其ノ提出ヲ命ス 2 第三者ニ対シ文書ノ提出ヲ命スル場合ニ於テハ其ノ第三者ヲ審訊スルコトヲ要ス 第三百十五条 文書提出ノ申立ニ関スル決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第三百十六条 当事者カ文書提出ノ命ニ従ハサルトキハ裁判所ハ文書ニ関スル相手方ノ主張ヲ 真実ト認ムルコトヲ得 第三百十七条 当事者カ相手方ノ使用ヲ妨クル目的ヲ以テ提出ノ義務アル文書ヲ毀滅シ其ノ他 之ヲ使用スルコト能ハサルニ至ラシメタルトキハ裁判所ハ其ノ文書ニ関スル相手方ノ主張ヲ 真実ト認ムルコトヲ得 第三百十八条 第三者カ文書提出ノ命ニ従ハサルトキハ裁判所ハ決定ヲ以テ十万円以下ノ過料 ニ処ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第三百十九条 書証ノ申出ハ第三百十一条ノ規定ニ拘ラス文書ノ所持者ニ其ノ文書ノ送付ヲ嘱 託セムコトヲ申立テ之ヲ為スコトヲ得但シ当事者カ法令ニ依リテ文書ノ正本又ハ謄本ノ交付 ヲ求ムルコトヲ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラス 第三百二十条 裁判所ハ必要アリト認ムルトキハ提出又ハ送付ニ係ル文書ヲ留置クコトヲ得 第三百二十一条 第二百六十五条ノ規定ニ依リテ受命裁判官又ハ受託裁判官ヲシテ文書ニ付証 拠調ヲ為サシムル場合ニ於テハ裁判所ハ受命裁判官又ハ受託裁判官ノ調書ニ記載スヘキ事項 ヲ定ムルコトヲ得 2 前項ノ調書ニハ文書ノ謄本又ハ抄本ヲ添附スルコトヲ要ス 第三百二十二条 文書ノ提出又ハ送付ハ原本、正本又ハ認証アル謄本ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要 ス 2 裁判所ハ前項ノ規定ニ拘ラス原本ノ提出ヲ命シ又ハ送付ヲ為サシムルコトヲ得 3 裁判所ハ当事者ヲシテ其ノ引用シタル文書ノ謄本又ハ抄本ヲ提出セシムルコトヲ得 第三百二十三条 文書ハ其ノ方式及趣旨ニ依リ官吏其ノ他ノ公務員カ職務上作成シタルモノト 認ムヘキトキハ之ヲ真正ナル公文書ト推定ス 2 公文書ノ真否ニ付疑アルトキハ裁判所ハ職権ヲ以テ当該官庁又ハ公署ニ問合ヲ為スコトヲ得 第三百二十四条 前条ノ規定ハ外国ノ官庁又ハ公署ノ作成ニ係ルモノト認ムヘキ文書ニ之ヲ準 用ス 第三百二十五条 私文書ハ其ノ真正ナルコトヲ証スルコトヲ要ス 第三百二十六条 私文書ハ本人又ハ其ノ代理人ノ署名又ハ捺印アルトキハ之ヲ真正ナルモノト 推定ス 第三百二十七条 文書ノ真否ハ筆跡又ハ印影ノ対照ニ依リテモ之ヲ証スルコトヲ得 第三百二十八条 第三百十一条、第三百十四条乃至第三百十七条及第三百十九条乃至第三百二 十一条ノ規定ハ対照ノ用ニ供スヘキ筆跡又ハ印影ヲ具フル文書其ノ他ノ物件ノ提出又ハ送付 ニ之ヲ準用ス 2 第三者カ正当ノ事由ナクシテ前項ノ規定ニ依ル提出ノ命ニ従ハサルトキハ裁判所ハ決定ヲ以 テ十万円以下ノ過料ニ処ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第三百二十九条 対照ニ適当ナル筆跡ナキトキハ裁判所ハ対照ノ用ニ供スヘキ文字ノ手記ヲ相 手方ニ命スルコトヲ得 2 相手方カ正当ノ事由ナクシテ前項ノ規定ニ依ル裁判所ノ命ニ従ハサルトキハ裁判所ハ文書ノ 真否ニ関スル挙証者ノ主張ヲ真実ト認ムルコトヲ得書様ヲ変シテ手記シタルトキ亦同シ 第三百三十条 対照ノ用ニ供シタル書類ノ原本、謄本又ハ抄本ハ之ヲ調書ニ添附スルコトヲ要 ス 第三百三十一条 当事者又ハ其ノ代理人カ故意又ハ重大ナル過失ニ因リ真実ニ反シテ文書ノ真 正ヲ争ヒタルトキハ裁判所決定ヲ以テ十万円以下ノ過料ニ処ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告 ヲ為スコトヲ得 2 前項ノ場合ニ於テ文書ノ真正ヲ争ヒタル当事者又ハ代理人カ訴訟ノ繋属中其ノ真正ナルコト ヲ認メタルトキハ裁判所ハ事情ニ依リ前項ノ決定ヲ取消スコトヲ得 第三百三十二条 本節ノ規定ハ証徴ノ為作リタル物件ニシテ文書ニ非サルモノニ之ヲ準用ス
第五節 検証
第六節 当事者訊問
第七節 証拠保全
第四章 簡易裁判所ノ訴訟手続ニ関スル特則
第三編 上訴
第一章 控訴
第393条の2
第三百八十四条ノ二 前条第一項ノ規定ニ依リ控訴ヲ棄却スル場合ニ於テ控訴人カ訴訟ノ完結ヲ遅延セシムル目的ノミヲ以テ控訴ヲ提起シタルモノト認ムルトキハ控訴裁判所ハ之ニ対シ控訴ノ提起ノ手数料トシテ納付スベキ金額ノ十倍以下ノ金銭ノ納付ヲ命スルコトヲ得
2 前項ノ裁判ハ判決主文ニ之ヲ掲クルコトヲ要ス
3 第一項ノ裁判ハ本案判決ヲ変更スル判決ノ言渡ニ因リ其ノ効力ヲ失フ
4 上告裁判所ハ上告ヲ棄却スル場合ニ於テモ第一項ノ裁判ヲ変更スルコトヲ得 5 第二百七十条ノ二ノ規定ハ第一項ノ裁判ニ之ヲ準用スx
第385条
第三百八十五条 第一審判決ノ変更ハ不服申立ノ限度ニ於テノミ之ヲ為スコトヲ得
第386条
第三百八十六条 控訴裁判所ハ第一審判決ヲ不当トスルトキハ之ヲ取消スコトヲ要ス
第387条
第三百八十七条 第一審ノ判決ノ手続カ法律ニ違背シタルトキハ控訴裁判所ハ判決ヲ取消スコトヲ要ス
第388条
第三百八十八条 訴ヲ不適法トシテ却下シタル第一審判決ヲ取消ス場合ニ於テハ控訴裁判所ハ 事件ヲ第一審裁判所ニ差戻スコトヲ要ス
第389条
第三百八十九条 前条ノ場合ノ外控訴裁判所カ第一審判決ヲ取消ス場合ニ於テ事件ニ付尚弁論 ヲ為ス必要アルトキハ之ヲ第一審裁判所ニ差戻スコトヲ得
2 第一審裁判所ニ於ケル訴訟手続カ法律ニ違背シタルコトヲ理由トシテ事件ヲ差戻ストキハ其 ノ訴訟手続ハ之ニ因リテ取消サレタルモノト看做ス
第390条
第三百九十条 事件カ管轄違ナルコトヲ理由トシテ第一審判決ヲ取消ストキハ控訴裁判所ハ判 決ヲ以テ事件ヲ管轄裁判所ニ移送スルコトヲ要ス
第391条
第三百九十一条 判決ニ事実及理由ヲ記載スルニハ第一審判決ヲ引用スルコトヲ得
第392条
第三百九十二条 訴訟完結シタル後上訴ノ提起ナクシテ上訴期間満了シタルトキハ裁判所書記官ハ判決又ハ第三百七十条ノ規定ニ依ル命令ノ正本ヲ訴訟記録ニ添附シ之ヲ第一審裁判所ノ裁判所書記官ニ送付スルコトヲ要ス
第二章 上告
第393条
第三百九十三条 上告ハ高等裁判所カ第二審又ハ第一審トシテ為シタル終局判決ニ対シテハ最 高裁判所ニ、地方裁判所カ第二審トシテ為シタル終局判決ニ対シテハ高等裁判所ニ之ヲ為スコトヲ得
2 第三百六十条第一項但書ノ場合ニ於テハ地方裁判所ノ判決ニ対シテハ最高裁判所ニ、簡易裁 判所ノ判決ニ対シテハ高等裁判所ニ直ニ上告ヲ為スコトヲ得
第394条
第三百九十四条 上告ハ判決ニ憲法ノ解釈ノ誤アルコト其ノ他憲法ノ違背アルコト又ハ判決ニ影響ヲ及ボスコト明ナル法令ノ違背アルコトヲ理由トスルトキニ限リ之ヲ為スコトヲ得
第395条
第三百九十五条 左ノ場合ニ於テハ常ニ上告ノ理由アルモノトス
一 法律ニ従ヒテ判決裁判所ヲ構成セサリシトキ
二 法律ニ依リ判決ニ関与スルコトヲ得サル裁判官カ判決ニ関与シタルトキ
三 専属管轄ニ関スル規定ニ違背シタルトキ
四 法定代理権、訴訟代理権又ハ代理人カ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権ノ欠缺アリタルト
五 口頭弁論公開ノ規定ニ違背シタルトキ 六 判決ニ理由ヲ附セス又ハ理由ニ齟齬アルトキ
2 前項第四号ノ規定ハ第五十四条又ハ第八十七条ノ規定ニ依ル追認アリタル場合ニハ之ヲ適用セス
第396条
第三百九十六条 前章ノ規定ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外上告及上告審ノ訴訟手続ニ之ヲ準用ス
第397条
第三百九十七条 上告ノ提起ハ上告状ヲ原裁判所ニ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス
2 前条ニ於テ準用スル第三百七十条ノ規定ニ依ル裁判長ノ職権ハ原裁判所ノ裁判長之ヲ行フ
第398条
第三百九十八条 上告状ニ上告ノ理由ヲ記載セザルトキハ最高裁判所規則ノ定ムル期間内ニ上告理由書ヲ原裁判所ニ提出スルコトヲ要ス
2 上告ノ理由ハ最高裁判所規則ノ定ムル方式ニ依リ之ヲ記載スルコトヲ要ス
第399条
第三百九十九条 左ノ各号ニ該当スルコト明ナル場合ニ於テハ原裁判所ハ決定ヲ以テ上告ヲ却 下スルコトヲ要ス
一 上告ガ不適法ニシテ其ノ欠缺ガ補正スルコト能ハザルモノナルトキ 二 前条第一項ノ規定ニ違背シ上告理由書ヲ提出セズ又ハ上告ノ理由ノ記載ガ同条第二項ノ規定ニ違背スルトキ
2 前項ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得
第399条の2
第三百九十九条ノ二 原裁判所ハ上告状却下ノ命令又ハ上告却下ノ決定アリタル場合ヲ除クノ外事件ヲ上告裁判所ニ送付スルコトヲ要ス
第399条の3
第三百九十九条ノ三 第三百九十九条第一項各号ノ場合ニ於テハ上告裁判所ハ口頭弁論ヲ経ズ シテ判決ヲ以テ上告ヲ却下スルコトヲ得
第400条
第四百条 裁判長ハ相当ノ期間ヲ定メ答弁書ヲ提出スヘキコトヲ被上告人ニ命スルコトヲ得
第401条
第四百一条 上告裁判所カ上告状、上告理由書、答弁書其ノ他ノ書類ニ依リ上告ヲ理由ナシト認ムルトキハ口頭弁論ヲ経スシテ判決ヲ以テ上告ヲ棄却スルコトヲ得
第402条
第四百二条 上告裁判所ハ上告理由ニ基キ不服ノ申立アリタル限度ニ於テノミ調査ヲ為ス
第403条
第四百三条 原判決ニ於テ適法ニ確定シタル事実ハ上告裁判所ヲ覊束ス
第404条
第四百四条 第三百九十三条第二項ノ規定ニ依ル上告アリタル場合ニ於テハ上告裁判所ハ原判決ニ於ケル事実ノ確定カ法律ニ違背シタルコトヲ理由トシテ其ノ判決ヲ破毀スルコトヲ得ス
第405条
第406条
第四百六条 上告裁判所ハ原判決ニ付不服ノ申立ナキ部分ニ限リ申立ニ因リ決定ヲ以テ仮執行ノ宣言ヲ為スコトヲ得
第406条の2
第四百六条ノ二 高等裁判所カ上告裁判所タル場合ニ於テ最高裁判所ノ定ムル事由アルトキハ 決定ヲ以テ事件ヲ最高裁判所ニ移送スルコトヲ要ス
第407条
第四百七条 上告ヲ理由アリトスルトキハ上告裁判所ハ原判決ヲ破毀シ事件ヲ原裁判所ニ差戻シ又ハ同等ナル他ノ裁判所ニ移送スルコトヲ要ス
2 差戻又ハ移送ヲ受ケタル裁判所ハ新口頭弁論ニ基キ裁判ヲ為スコトヲ要ス但シ上告裁判所カ破毀ノ理由ト為シタル事実上及法律上ノ判断ニ覊束セラル
3 原判決ニ関与シタル裁判官ハ前項ノ裁判ニ関与スルコトヲ得ス
第408条
第四百八条 左ノ場合ニ於テハ上告裁判所ハ事件ニ付裁判ヲ為スコトヲ要ス
一 確定シタル事実ニ付法令ノ適用ヲ誤リタルコトヲ理由トシテ判決ヲ破毀スル場合ニ於テ事件カ其ノ事実ニ基キ裁判ヲ為スニ熟スルトキ
二 事件カ裁判所ノ権限ニ属セサルコトヲ理由トシテ判決ヲ破毀スルトキ
第409条
第四百九条 差戻又ハ移送ノ判決アリタルトキハ裁判所書記官ハ其ノ判決ノ正本ヲ訴訟記録ニ 添附シ差戻又ハ移送ヲ受ケタル裁判所ノ裁判所書記官ニ之ヲ送付スルコトヲ要ス
第409条の2
第四百九条ノ二 高等裁判所カ上告審トシテ為シタル終局判決ニ対シテハ其ノ判決ニ憲法ノ解 釈ノ誤アルコト其ノ他憲法ノ違背アルコトヲ理由トスルトキニ限リ最高裁判所ニ更ニ上告ヲ為スコトヲ得
第409条の3
第四百九条ノ三 前条ノ上告及其ノ上告審ノ訴訟手続ニハ其ノ性質ニ反セサル限リ第二審又ハ 第一審ノ終局判決ニ対スル上告ニ関スル規定ヲ準用ス但シ同条ノ上告ニ付テハ第四百三条中原判決トアルハ之ヲ地方裁判所カ第二審トシテ為シタル終局判決又ハ簡易裁判所ノ終局判決トス
第三章 抗告
第410条
第四百十条 口頭弁論ヲ経スシテ訴訟手続ニ関スル申立ヲ却下シタル決定又ハ命令ニ対シテハ 抗告ヲ為スコトヲ得
第411条
第四百十一条 決定又ハ命令ヲ以テ裁判ヲ為スコトヲ得サル事項ニ付決定又ハ命令ヲ為シタル トキハ当事者ハ之ニ対シテ抗告ヲ為スコトヲ得
第412条
第四百十二条 受命裁判官又ハ受託裁判官ノ裁判ニ対シ不服アル当事者ハ受訴裁判所ニ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得但シ其ノ裁判カ受訴裁判所ノ裁判ナル場合ニ於テ之ニ対シ抗告ヲ為シ得 ルモノナルトキニ限ル
2 抗告ハ異議ニ付テノ裁判ニ対シテ之ヲ為スコトヲ得
3 第一項ノ規定ハ最高裁判所又ハ高等裁判所ニ繋属スル事件ニ付受命裁判官又ハ受託裁判官ノ為シタル裁判ニ之ヲ準用ス
第413条
第四百十三条 抗告裁判所ノ決定ニ対シテハ其ノ決定ニ憲法ノ解釈ノ誤アルコト其ノ他憲法ノ違背アルコト又ハ決定ニ影響ヲ及ボスコト明ナル法令ノ違背アルコトヲ理由トスルトキニ限 リ更ニ抗告ヲ為スコトヲ得
第414条
第四百十四条 抗告及抗告裁判所ノ訴訟手続ニハ其ノ性質ニ反セサル限リ第一章ノ規定ヲ準用 ス但シ前条ノ抗告及之ニ関スル訴訟手続ニハ前章ノ規定ヲ準用ス
第415条
第四百十五条 即時抗告ハ裁判ノ告知アリタル日ヨリ一週間内ニ之ヲ為スコトヲ要ス 2 前項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス
第416条
第四百十六条 抗告(第四百十三条ノ抗告ヲ除ク)ハ原裁判所又ハ抗告裁判所ニ書面又ハ口頭 ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス
2 抗告裁判所カ抗告ヲ受ケタル場合ニ於テ適当ト認ムルトキハ事件ヲ原裁判所ニ送付スルコトヲ得
第417条
第四百十七条 原裁判所カ抗告ヲ受ケ又ハ前条第二項ノ規定ニ依リ事件ノ送付ヲ受ケタル場合 ニ於テ抗告ヲ理由アリト認ムルトキハ其ノ裁判ヲ更正スルコトヲ要ス
2 抗告ヲ理由ナシト認ムルトキハ意見ヲ附シ事件ヲ抗告裁判所ニ送付スルコトヲ要ス
第418条(即時抗告)
第四百十八条 抗告ハ即時抗告ニ限リ執行停止ノ効力ヲ有ス
2 抗告裁判所又ハ原裁判ヲ為シタル裁判所若ハ裁判官ハ抗告ニ付決定アル迄原裁判ノ執行ヲ停止シ其ノ他必要ナル処分ヲ命スルコトヲ得
第419条
第四百十九条 抗告裁判所ハ抗告ニ付口頭弁論ヲ命セサル場合ニ於テハ抗告人其ノ他ノ利害関係人ヲ審訊スルコトヲ得
第419条の2(特別抗告)
第四百十九条ノ二 不服ヲ申立ツルコトヲ得サル決定及命令ニ対シテハ其ノ裁判ニ憲法ノ解釈ノ誤アルコト其ノ他憲法ノ違背アルコトヲ理由トスルトキニ限リ最高裁判所ニ特ニ抗告ヲ為スコトヲ得
2 前項ノ抗告ノ提起期間ハ五日トス
3 前項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス
第410条の3
第四百十九条ノ三 前条ノ抗告及之ニ関スル訴訟手続ニハ第四百十八条第二項ノ規定ヲ準用スルノ外其ノ性質ニ反セサル限リ第四百九条ノ二ノ上告及其ノ上告審ノ訴訟手続ニ関スル規定 ヲ準用ス