労働組合と組合員の関係

感性と理論

労働組合の統制権と組合員の立候補の自由


昭和43年12月4日

昭和38(あ)974号

大法廷判決

破棄差戻

(全員一致)

公職選挙法違反


一 労働組合は、憲法第二八条による労働者の団結権保障の効果として、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内においては、その組合員に対する統制権を有する。

二 公職の選挙に立候補する自由は、憲法第一五条第一項の保障する重要な基本的人権の一つと解すべきである。

三 労働組合が、地方議会議員の選挙にあたり、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げて選挙運動を推進している場合において、統一候補の選にもれた組合員が、組合の方針に反して立候補しようとするときは、これを断念するよう勧告または説得することは許されるが、その域を超えて、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に統制違反者として処分することは、組合の統制権の限界を超えるものとして許されない。

違法な争議行為の実施費用として徴収する臨時組合費


昭和50年11月28日

昭和48年(オ)第498号

小法廷判決

棄却

(補足意見一名・反対意見一名)

『国労広島地本事件』

組合費請求事件


一、労働組合の組合費が月を単位として月額で定められている場合には、月の途中で脱退した組合員は、特別の規定又は慣行等のないかぎり、その月の組合費の全額を納付する義務を免れない。

二、公共企業体等の労働組合が(旧)公共企業体等労働関係法17条1項</a>違反の争議行為実施の費用として臨時組合費の徴収を決定しても、原則として組合員を拘束するものではないが、右徴収決定の時点において単に将来の情況いかんによつては違法な争議行為の費用にあてられるかも知れないという程度の未必的可能性があるにとどまる場合、又は違法な争議行為が組合の行う闘争活動の一部にすぎず、闘争全体としては違法性のない行為を主に計画、遂行されるものであつて、その闘争費用が一体として徴収される場合には、組合員はこれを納付する義務を負う。

組合の政治活動と臨時組合費の徴収


昭和50年11月28日

昭和48年(オ)第499号

小法廷判決

一部請求認容、一部取消又は棄却

(反対意見二名)

『国労広島地本事件』

組合費請求事件


一、労働組合が他の労働組合の闘争支援資金として徴収する臨時組合費については、右支援が法律上許されない等特別の場合でないかぎり、組合員はこれを納付する義務を負う。

二、労働組合がいわゆる安保反対闘争実施の費用として徴収する臨時組合費については、組合員はこれを納付する義務を負わない。

三、労働組合がその実施したいわゆる安保反対闘争により民事上又は刑事上の不利益処分を受けた組合員を救援する費用として徴収する臨時組合費については、組合員はこれを納付する義務を負う。

四、公職選挙に際し、労働組合が特定の立候補者の選挙運動支援のためその所属政党に寄付する資金として徴収する臨時組合費については、組合員はこれを納付する義務を負わない。