尊属犯重罰規定の合憲性

感性と理論

新憲法の施行による法の下の平等と尊属犯重罰規定


昭和25年10月11日

 昭和()292号

大法廷判決

破棄差戻

少数意見2名、意見1名

尊属傷害致死


一 刑法第205条第2項の規定は、新憲法実施後の今日においても、厳としてその効力を存続するものというべく、従つて本件において原審が被告人の尊属致死の所為を認定しながら、これに同法条の適用を拒定し、一般傷害致死に関する同法第205条第1項を擬律処断したことは、憲法第14条第1項の解釈を誤り、当然に適用すべき刑事法条を適用しなかつた違法があることに帰し本件上告はその理由があるのである。

二 おもうに憲法第一条が法の下における国民平等の原則を宣明し、すべて国民が人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会関係上差別的な取扱を受けない旨を規定したのは、人格の価値がすべての人間について同等であり、従つて人種、宗教、男女の性職業、社会的身分等の差異にもとずいて、あるいは特権を有し、あるいは特別に不利益な待遇を与えられてはならぬという大原則を示したものに外ならない。

奴隷制や貴族等の特権が認められず、又新民法において妻の無能力制、戸主の特権的地位が廃止せられたごときは畢竟するにこの原則に基くものである。

しかしながら、このことは法が、国民の基本的平等の原則の範囲内において、各人の年齢、自然的素質、職業、人と人との間の特別の関係等の各事情を考慮して、道徳正義、合目的性等の要請より適当な具体的規定をすることを妨げるものではない。

 刑法において尊属親に対する殺人、傷害致死等が一般の場合に比して重く罰せられているのは、法が子の親に対する道徳的義務をとくに重要視したものであり、これ道徳の要請にもとずく法にある具体的規定に外ならないのである。

民法の応急的措置に関する法律施行後の配偶者死亡による姻族関係の消滅


昭和27年12月25日

 昭和27(れ)34

第一小法廷判決

棄却

反対意見一名

尊属殺人未遂


一 刑法第二〇〇条の犯罪成立後従来の民事法規によれば直系尊属であつた者が、かりにその改正によりその身分を失うに至つたとしても、かかる場合を、犯罪後の法律によりその刑に変更があつたときということはできない。

二 日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律施行後も姻族関係は、夫婦の一方が死亡いただけでは消滅しない。

刑法第二〇〇条の尊属殺重罰犯の構成要件と身分犯


昭和31年5月24日

 昭和()3263

小法廷判決

棄却

少数意見一名

尊属殺人


刑法第200条の罪は、犯人の身分により構成すべき犯罪ではなく、単に卑属親たる身分があるがため、特にその刑を加重するに過ぎないものである。

妻を殺害した後、同時に妻の母を殺害せんとしたときの第二〇〇条の罪責


昭和31年6月12日

 昭和30(あ)400

第三小法廷

棄却

全員一致

殺人、尊属殺人未遂、強盗致傷教唆


妻を殺害したのと同一機会に、殺意をもつて妻の母にも加害したがその目的を遂げなかつた所為は、尊属殺人未遂罪にあたる

直系尊属の範囲と配偶者の死亡


昭和32年2月20日

 昭和()1126号

大法廷判決

破棄差戻

補足意見2名、反対意見4名

尊属殺人未遂、殺人未遂


刑法第200条にいわゆる配偶者の直系尊属とは、現に生存する配偶者の直系尊属を指すものと解するを相当とする

刑法上の直系尊属にあたらないとされた事例


昭和38年12月24日

 昭和()2486号

第三小法廷判決

破棄差戻

少数意見一名

尊属殺


戸籍上、被告人の養子縁組につき、その代諾権者とされている者が真実の親権者でないときは、右縁組は、適法な届出を欠くものとして、人事訴訟による確定または戸籍の訂正をまたず、無効であり、しかも、被告人が犯行前において右無効原因を認識して右縁組を追認したと認めることができないときは、被告人と事実上の養親との生活事実の如何にかかわりなく、本人たる被告人の無権代理行為の追認があつたと認める余地もないから、右事実上の養親は、刑法上、被告人の直系尊属にあたらないものと解すべきである。

尊属殺重罰規定の憲法14条違憲判決


昭和48年4月4日

 昭和45年(あ)第1310号

大法廷判決

【判例変更】

破棄自判

補足意見、意見、反対意見

尊属殺人


刑法200条は憲法14条1項に違反する。