家計は9年ぶりに資金不足に

感性と理論

家計は9年ぶりに資金不足に

けっこうショッキングな見出しだが、今日の日経新聞の記事の見出しである。

「みんな、生活するのに借金してるってこと?」

なんて疑問に思うかもしれない。

そいうことではない。

会社の財務諸表でいう「キャッシュフロー」がマイナスになったと考えればわかりやすい。

しかし、日頃、損益計算書と貸借対照表しか見ない人にはぴんとこないんだろう。

まずこのグラフから見てみよう。

日経新聞デジタル 2023年7月1日

家計資産、つまり国民がどれくらいの金融資産を持っているか?貸借対照表の流動資産とでも考えればいいかもしれない。

そして記事にはこう書いてある。

日本の現預金比率は高く、10%台の米国や30%台のユーロ圏と比べると株式や投資信託の割合が低いです。

日本人の家計で持つ現預金が54%なので、欧米に比べると確かに高い。ゼロ金利政策で定期預金でもほとんど金利のつかない現状ではいわゆる「タンス預金」が半分以上占めているといっても過言ではない。

そして、次のグラフが見出しでいう「資金不足」だ。

9年前、2014年1〜3月期だろうか。家計という濃い青のグラフがゼロを下回り、そして今年の1〜3月期も同じくゼロを下回っている。

つまり、2014年からずっと、家計の資金過不足いわゆるキャッシュフローはプラスで増え続けていたということになる。

記事にもこうある。

家計の現預金はじわじわと膨張が続いています。15年ごろに900兆円程度だった現預金は、19年12月に初めて1000兆円を超えました。

同日経新聞

もうお分かりだと思うが、家計が生活費で借金したというわけではなく、ただ、溜め込んでいた現預金が減った、いわゆるタンス預金が減ったというわけだ。

さらに記事はこう続く。

統計からは日本でも「貯蓄から投資」の機運が高まってきたことが分かります。前年比でみると現預金は1.7%増だったのに対し、株式は2.7%増でした。

昨年2022年の家計の前年比は、現預金の伸びより株式への投資の伸びの方が大きかったというのです。

つまり、記事にあるとおり、金利のつかないタンス預金から運用益の見込める投資へとお金の持ち方、使い途がシフトしてきたということです。

日銀がいくら金融緩和で市中に出回る資金を増やしても、タンス預金は増えるばかりでは景気はよくなりません。

家計の資金を消費することは、その消費の目的物、モノやサービスを提供した会社の収益となり、その収益から労働者の賃金が支払われます。

つまり、お金を消費することは、労働者の賃金の源泉、みなもとになるのです。

そして、資本主義社会では、その労働賃金を増やすために必要なお金が「投資」によって生まれます。

資本が増えないと労働賃金は増えません。

もし、資本は増えないまま労働賃金を増やすと会社は維持できないので、失業者が増えるだけです。

そして、いくら働いても暮らしは豊かにはならず現状維持(アダムスミスは「停滞」という) のままです。

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