本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律

昭和二十二年法律第七四号


      詳細

    
第一条

この法律は、日本国憲法の施行に伴い、民法について、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚する応急的措置を講ずることを目的とする。

第二条

妻又は母であることに基いて法律上の能力その他を制限する規定は、これを適用しない。

第三条

戸主、家族その他家に関する規定は、これを適用しない。

第四条

成年者の婚姻、離婚、養子縁組及び離縁については、父母の同意を要しない。

第五条

夫婦は、その協議で定める場所に同居するものとする。

2 夫婦の財産関係に関する規定で両性の本質的平等に反するものは、これを適用しない。

3 配偶者の一方に著しい不貞の行為があつたときは、他の一方は、これを原因として離婚の訴を提起することができる。

第六条

親権は、父母が共同してこれを行う。

2 父母が離婚するとき、又は父が子を認知するときは、親権を行う者は、父母の協議でこれを定めなければならない。協議が調わないとき、又は協議することができないときは、裁判所が、これを定める。

3 裁判所は、子の利益のために、親権者を変更することができる。

第七条

家督相続に関する規定は、これを適用しない。

2 相続については、第八条及び第九条の規定によるの外、遺産相続に関する規定に従う。

第八条

直系卑属、直系尊属及び兄弟姉妹は、その順序により相続人となる。

2 配偶者は、常に相続人となるものとし、その相続分は、左の規定に従う。

一 直系卑属とともに相続人であるときは、三分の一とする。

二 直系尊属とともに相続人であるときは、二分の一とする。

三 兄弟姉妹とともに相続人であるときは、三分の二とする。

第九条

兄弟姉妹以外の相続人の遺留分の額は、左の規定に従う。

一 直系卑属のみが相続人であるとき、又は直系卑属及び配偶者が相続人であるときは、被相続人の財産の二分の一とする。

二 その他の場合は、被相続人の財産の三分の一とする。

第十条

の法律の規定に反する他の法律の規定は、これを適用しない。

附 則

1 この法律は、日本国憲法施行の日から、これを施行する。

2 この法律は、昭和二十三年一月一日から、その効力を失う。