民事訴訟法(昭和四十七年施行)

明治23年4月21日法律第29号
昭和47年4月1日施行
第一編 総則
        第一章 裁判所
         第一節 管轄    第二節 裁判所職員ノ除斥、忌避及回避   第二章 当事者
         第一節 当事者能力及訴訟能力    第二節 共同訴訟
         第三節 訴訟参加
         第四節 訴訟代理人及輔佐人
        第三章 訴訟費用
         第一節 訴訟費用ノ負担    第二節 訴訟費用ノ担保
         第三節 訴訟上ノ救助
        第四章 訴訟手続
         第一節 口頭弁論
         第二節 期日及期間
         第三節 送達
         第四節 裁判
         第五節 訴訟手続ノ中断及中止  第二編 第一審ノ訴訟手続
        第一章 訴
        第二章 弁論及其ノ準備
        第三章 証拠
         第一節 総則
         第二節 証人訊問
         第三節 鑑定
         第四節 書証
         第五節 検証
         第六節 当事者訊問
         第七節 証拠保全   第四章 簡易裁判所ノ訴訟手続ニ関スル特則  第三編 上訴
        第一章 控訴
        第二章 上告
        第三章 抗告
       第四編 再審
       第五編 督促手続  第五編ノ二 手形訴訟及小切手訴訟ニ関スル特則  第六編 強制執行
        第一章 総則
        第二章 金銭ノ債権ニ付テノ強制執行    第一節 動産ニ対スル強制執行
          第一款 通則     第二款 有体動産ニ対スル強制執行     第三款 債権及ヒ他ノ財産権ニ対スル強制執行     第四款 配当手続    第二節 不動産ニ対スル強制執行     第一款 通則
          第二款 強制競売
          第三款 強制管理    第三節 船舶ニ対スル強制執行   第三章 金銭ノ支払ヲ目的トセサル債権ニ付テノ強制執行   第四章 仮差押及ヒ仮処分
       第七編 公示催告手続
       第八編 仲裁手続
詳細

第一編 総則

第一章 裁判所

第一節 管轄

第一条 訴ハ被告ノ普通裁判籍所在地ノ裁判所ノ管轄ニ属ス 第二条 人ノ普通裁判籍ハ住所ニ依リテ定ル 2 日本ニ住所ナキトキ又ハ住所ノ知レサルトキハ普通裁判籍ハ居所ニ依リ、居所ナキトキ又ハ居所ノ知レサルトキハ最後ノ住所ニ依リテ定ル 第三条 大使、公使其ノ他外国ニ在リテ治外法権ヲ享クル日本人カ前条ノ規定ニ依リ普通裁判籍ヲ有セサルトキハ其ノ者ノ普通裁判籍ハ最高裁判所ノ 定ムル地ニ在ルモノトス 第四条 法人其ノ他ノ社団又ハ財団ノ普通裁判籍ハ其ノ主タル事務所又ハ営業所ニ依リ、事務所又ハ営業所ナキトキハ主タル業務担当者ノ住所ニ依リ テ定ル 2 国ノ普通裁判籍ハ訴訟ニ付国ヲ代表スル官庁ノ所在地ニ依リテ定ル 3 第一項ノ規定ハ外国ノ社団又ハ財団ノ普通裁判籍ニ付テハ日本ニ於ケル事務所、営業所又ハ業務担当者ニ之ヲ適用ス 第五条 財産権上ノ訴ハ義務履行地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第六条 手形又ハ小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求ヲ目的トスル訴ハ手形又ハ小切手ノ支払地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第七条 船員ニ対スル財産権上ノ訴ハ船舶ノ船籍ノ所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第八条 日本ニ住所ナキ者又ハ住所ノ知レサル者ニ対スル財産権上ノ訴ハ請求若ハ其ノ担保ノ目的又ハ差押フルコトヲ得ヘキ被告ノ財産ノ所在地ノ裁 判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第九条 事務所又ハ営業所ヲ有スル者ニ対スル訴ハ其ノ事務所又ハ営業所ニ於ケル業務ニ関スルモノニ限リ其ノ所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ 得 第十条 船舶又ハ航海ニ関シ船舶所有者其ノ他船舶ノ利用ヲ為ス者ニ対スル訴ハ船籍ノ所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第十一条 船舶債権其ノ他船舶ヲ以テ担保スル債権ニ基ク訴ハ船舶ノ所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第十二条 会社其ノ他ノ社団ヨリ社員ニ対スル訴又ハ社員ヨリ社員ニ対スル訴ハ社員タル資格ニ基クモノニ限リ会社其ノ他ノ社団ノ普通裁判籍所在地 ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 2 前項ノ規定ハ社団又ハ財団ヨリ役員ニ対スル訴及会社ヨリ発起人又ハ検査役ニ対スル訴ニ之ヲ準用ス 第十三条 会社其ノ他ノ社団ノ債権者ヨリ社員ニ対スル訴ハ社員タル資格ニ基クモノニ限リ前条ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第十四条 第十二条及前条ノ規定ハ社団、財団、社員又ハ社団ノ債権者ヨリ社員、役員、発起人又ハ検査役タリシ者ニ対スル訴及社員タリシ者ヨリ社 員ニ対スル訴ニ之ヲ準用ス 第十五条 不法行為ニ関スル訴ハ其ノ行為アリタル地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 2 船舶ノ衝突其ノ他海上ノ事故ニ基ク損害賠償ノ訴ハ損害ヲ受ケタル船舶カ最初ニ到達シタル地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第十六条 海難救助ニ関スル訴ハ救助アリタル地又ハ救助セラレタル船舶カ最初ニ到達シタル地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第十七条 不動産ニ関スル訴ハ不動産所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第十八条 登記又ハ登録ニ関スル訴ハ登記又ハ登録ヲ為スヘキ地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第十九条 相続権ニ関スル訴又ハ遺留分若ハ遺贈其ノ他死亡ニ因リテ効力ヲ生スヘキ行為ニ関スル訴ハ相続開始ノ時ニ於ケル被相続人ノ普通裁判籍所 在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第二十条 相続債権其ノ他相続財産ノ負担ニ関スル訴ニシテ前条ノ規定ニ該当セサルモノハ相続財産ノ全部又ハ一部カ前条ノ裁判所ノ管轄区域内ニ在 ルトキニ限リ其ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 第二十一条 一ノ訴ヲ以テ数個ノ請求ヲ為ス場合ニ於テハ第一条乃至前条ノ規定ニ依リ一ノ請求ニ付管轄権ヲ有スル裁判所ニ其ノ訴ヲ提起スルコトヲ 得 第二十二条 裁判所法ニ依リ管轄カ訴訟ノ目的ノ価額ニ依リテ定ルトキハ其ノ価額ハ訴ヲ以テ主張スル利益ニ依リテ之ヲ算定ス 2 前項ノ価額ヲ算定スルコト能ハサルトキハ其ノ価額ハ三十万円ヲ超過スルモノト看做ス 第二十三条 一ノ訴ヲ以テ数個ノ請求ヲ為ストキハ其ノ価額ヲ合算ス 2 果実、損害賠償、違約金又ハ費用ノ請求カ訴訟ノ附帯ノ目的ナルトキハ其ノ価額ハ之ヲ訴訟ノ目的ノ価額ニ算入セス 第二十四条 左ノ場合ニ於テハ関係アル裁判所ニ共通スル直近上級裁判所ハ申立ニ因リ決定ヲ以テ管轄裁判所ヲ定ム 一 管轄裁判所カ法律上又ハ事実上裁判権ヲ行フコト能ハサルトキ 二 裁判所ノ管轄区域明確ナラサル為管轄裁判所カ定ラサルトキ 2 前項ノ決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス 第二十五条 当事者ハ第一審ニ限リ合意ニ依リ管轄裁判所ヲ定ムルコトヲ得 2 前項ノ合意ハ一定ノ法律関係ニ基ク訴ニ関シ且書面ヲ以テ之ヲ為スニ非サレハ其ノ効ナシ 第二十六条 被告カ第一審裁判所ニ於テ管轄違ノ抗弁ヲ提出セスシテ本案ニ付弁論ヲ為シ又ハ準備手続ニ於テ申述ヲ為シタルトキハ其ノ裁判所ハ管轄 権ヲ有ス 第二十七条 第一条、第五条乃至第二十一条、第二十五条及前条ノ規定ハ訴ニ付専属管轄ノ定アル場合ニハ之ヲ適用セス 第二十八条 裁判所ハ管轄ニ関スル事項ニ付職権ヲ以テ証拠調ヲ為スコトヲ得 第二十九条 裁判所ノ管轄ハ起訴ノ時ヲ標準トシテ之ヲ定ム 第三十条 裁判所ハ訴訟ノ全部又ハ一部カ其ノ管轄ニ属セスト認ムルトキハ決定ヲ以テ之ヲ管轄裁判所ニ移送ス 2 地方裁判所ハ訴訟カ其ノ管轄区域内ノ簡易裁判所ノ管轄ニ属スル場合ニ於テモ相当ト認ムルトキハ前項ノ規定ニ拘ラス申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ訴 訟ノ全部又ハ一部ニ付自ラ審理及裁判ヲ為スコトヲ得但シ訴ニ付専属管轄ノ定ノアル場合ハ此ノ限ニ在ラス 第三十一条 裁判所ハ其ノ管轄ニ属スル訴訟ニ付著キ損害又ハ遅滞ヲ避クル為必要アリト認ムルトキハ其ノ専属管轄ニ属スルモノヲ除クノ外申立ニ因 リ又ハ職権ヲ以テ訴訟ノ全部又ハ一部ヲ他ノ管轄裁判所ニ移送スルコトヲ得 第三十一条ノ二 簡易裁判所ハ訴訟カ其ノ管轄ニ属スル場合ニ於テモ相当ト認ムルトキハ其ノ専属管轄ニ属スルモノヲ除クノ外申立ニ因リ又ハ職権ヲ 以テ訴訟ノ全部又ハ一部ヲ其ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所ニ移送スルコトヲ得 第三十二条 移送ノ裁判ハ移送ヲ受ケタル裁判所ヲ覊束ス 2 移送ヲ受ケタル裁判所ハ更ニ事件ヲ他ノ裁判所ニ移送スルコトヲ得ス 第三十三条 移送ノ裁判及移送ノ申立ヲ却下シタル裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第三十四条 移送ノ裁判確定シタルトキハ訴訟ハ初ヨリ移送ヲ受ケタル裁判所ニ繋属シタルモノト看做ス 2 前項ノ場合ニ於テハ移送ノ裁判ヲ為シタル裁判所ノ裁判所書記官ハ其ノ裁判ノ正本ヲ訴訟記録ニ添附シ移送ヲ受ケタル裁判所ノ裁判所書記官ニ之ヲ 送付スルコトヲ要ス

第二節 裁判所職員ノ除斥、忌避及回避

第三十五条 裁判官ハ左ノ場合ニ於テハ法律上其ノ職務ノ執行ヨリ除斥セラル 一 裁判官又ハ其ノ配偶者若ハ配偶者タリシ者カ事件ノ当事者ナルトキ又ハ事件ニ付当事者ト共同権利者、共同義務者若ハ償還義務者タル関係ヲ有 スルトキ 二 裁判官カ当事者ノ四親等内ノ血族、三親等内ノ姻族若ハ同居ノ親族ナルトキ又ハナリシトキ 三 裁判官カ当事者ノ後見人、後見監督人又ハ保佐人ナルトキ 四 裁判官カ事件ニ付証人又ハ鑑定人ト為リタルトキ 五 裁判官カ事件ニ付当事者ノ代理人又ハ輔佐人ナルトキ又ハナリシトキ 六 裁判官カ事件ニ付仲裁判断ニ関与シ又ハ不服ヲ申立テラレタル前審ノ裁判ニ関与シタルトキ但シ他ノ裁判所ノ嘱託ニ因リ受託裁判官トシテ其ノ 職務ヲ行フコトヲ妨ケス 第三十六条 除斥ノ原因アルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ除斥ノ裁判ヲ為ス 第三十七条 裁判官ニ付裁判ノ公正ヲ妨クヘキ事情アルトキハ当事者ハ之ヲ忌避スルコトヲ得 2 当事者カ裁判官ノ面前ニ於テ弁論ヲ為シ又ハ準備手続ニ於テ申述ヲ為シタルトキハ其ノ裁判官ヲ忌避スルコトヲ得ス但シ忌避ノ原因カ其ノ後ニ生シ 又ハ当事者カ其ノ原因アルコトヲ知ラサリシトキハ此ノ限ニ在ラス 第三十八条 第三十六条又ハ前条ニ規定スル申立ハ其ノ原因ヲ開示シテ裁判官所属ノ裁判所ニ之ヲ為スコトヲ要ス 2 除斥又ハ忌避ノ原因ハ申立ヲ為シタル日ヨリ三日内ニ之ヲ疏明スルコトヲ要ス前条第二項但書ノ事実亦同シ 第三十九条 合議体ノ構成員タル裁判官及地方裁判所ノ一人ノ裁判官ノ除斥又ハ忌避ニ付テハ其ノ裁判官所属ノ裁判所カ、簡易裁判所ノ裁判官ノ除斥 又ハ忌避ニ付テハ其ノ裁判所ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所カ決定ヲ以テ裁判ヲ為ス 2 前項ノ裁判ハ地方裁判所ニ於テハ合議体ニ於テ之ヲ為ス 第四十条 裁判官ハ其ノ除斥又ハ忌避ニ付裁判ニ関与スルコトヲ得ス但シ意見ヲ述フルコトヲ得 第四十一条 除斥又ハ忌避ヲ理由アリトスル決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス之ヲ理由ナシトスル決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第四十二条 除斥又ハ忌避ノ申立アリタルトキハ其ノ申立ニ付テノ裁判ノ確定ニ至ル迄訴訟手続ヲ停止スルコトヲ要ス但シ急速ヲ要スル行為ニ付テハ 此ノ限ニ在ラス 第四十三条 第三十五条及第三十七条第一項ノ場合ニ於テハ裁判官ハ監督権アル裁判所ノ許可ヲ得テ回避スルコトヲ得 第四十四条 本節ノ規定ハ裁判所書記官ニ之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ裁判ハ裁判所書記官所属ノ裁判所之ヲ為シ簡易裁判所ノ裁判所書記官ノ回避ノ 許可ハ其ノ裁判所ノ裁判所法第三十七条ニ規定スル裁判官之ヲ為ス

第二章 当事者

第一節 当事者能力及訴訟能力

第四十五条 当事者能力、訴訟能力及訴訟無能力者ノ法定代理ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外民法其ノ他ノ法令ニ従フ訴訟行為ヲ為スニ必要ナ ル授権亦同シ 第四十六条 法人ニ非サル社団又ハ財団ニシテ代表者又ハ管理人ノ定アルモノハ其ノ名ニ於テ訴ヘ又ハ訴ヘラルルコトヲ得 第四十七条 共同ノ利益ヲ有スル多数者ニシテ前条ノ規定ニ該当セサルモノハ其ノ中ヨリ総員ノ為ニ原告若ハ被告ト為ルヘキ一人若ハ数人ヲ選定シ又 ハ之ヲ変更スルコトヲ得 2 訴訟ノ繋属ノ後前項ノ規定ニ依リテ原告又ハ被告ト為ルヘキ者ヲ定メタルトキハ他ノ当事者ハ当然訴訟ヨリ脱退ス 第四十八条 前条ノ規定ニ依リテ選定セラレタル当事者中死亡其ノ他ノ事由ニ因リ其ノ資格ヲ喪失シタル者アルトキハ他ノ当事者ニ於テ総員ノ為ニ訴 訟行為ヲ為スコトヲ得 第四十九条 未成年者及禁治産者ハ法定代理人ニ依リテノミ訴訟行為ヲ為スコトヲ得但シ未成年者カ独立シテ法律行為ヲ為スコトヲ得ル場合ハ此ノ限 ニ在ラス 第五十条 準禁治産者又ハ法定代理人カ相手方ノ提起シタル訴又ハ上訴ニ付訴訟行為ヲ為スニハ保佐人又ハ後見監督人ノ同意其ノ他ノ授権ヲ要セス 2 準禁治産者又ハ法定代理人カ訴、控訴若ハ上告ノ取下、和解、請求ノ抛棄若ハ認諾又ハ第七十二条ノ規定ニ依ル脱退ヲ為スニハ常ニ特別ノ授権アル コトヲ要ス第四百五十二条(第四百六十三条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル異議ノ取下又ハ取下ノ同意亦同ジ 第五十一条 外国人ハ其ノ本国法ニ依レハ訴訟能力ヲ有セサルトキト雖日本ノ法律ニ依レハ訴訟能力ヲ有スヘキトキハ之ヲ訴訟能力者ト看做ス 第五十二条 法定代理権又ハ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権ハ書面ヲ以テ之ヲ証スルコトヲ要ス第四十七条ノ規定ニ依ル当事者ノ選定及変更亦同シ 2 前項ノ書面ハ訴訟記録ニ之ヲ添附スルコトヲ要ス 第五十三条 訴訟能力、法定代理権又ハ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権ノ欠缺アルトキハ裁判所ハ期間ヲ定メテ其ノ補正ヲ命シ若遅滞ノ為損害ヲ生ス ル虞アルトキハ一時訴訟行為ヲ為サシムルコトヲ得 第五十四条 訴訟能力、法定代理権又ハ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権ノ欠缺アル者カ為シタル訴訟行為ハ其ノ欠缺ナキニ至リタル当事者又ハ法定代 理人ノ追認ニ因リ行為ノ時ニ遡リテ其ノ効力ヲ生ス 第五十五条 第五十三条及前条ノ規定ハ第四十七条ノ規定ニ依ル当事者カ訴訟行為ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス 第五十六条 法定代理人ナキ場合又ハ法定代理人カ代理権ヲ行フコト能ハサル場合ニ於テ未成年者又ハ禁治産者ニ対シ訴訟行為ヲ為サムトスル者ハ遅 滞ノ為損害ヲ受クル虞アルコトヲ疏明シテ受訴裁判所ノ裁判長ニ特別代理人ノ選任ヲ申請スルコトヲ得 2 裁判所ハ何時ニテモ特別代理人ヲ改任スルコトヲ得 3 特別代理人カ訴訟行為ヲ為スニハ後見人ト同一ノ授権アルコトヲ要ス 4 特別代理人ノ選任及改任ノ命令ハ特別代理人ニモ之ヲ送達スルコトヲ要ス 第五十七条 法定代理権ノ消滅ハ本人又ハ代理人ヨリ之ヲ相手方ニ通知スルニ非サレハ其ノ効ナシ 2 前項ノ規定ハ第四十七条ノ規定ニ依ル当事者ノ変更ニ之ヲ準用ス 第五十八条 本法中法定代理及法定代理人ニ関スル規定ハ法人ノ代表者及法人ニ非スシテ其ノ名ニ於テ訴ヘ又ハ訴ヘラルルコトヲ得ル社団又ハ財団ノ 代表者又ハ管理人ニ之ヲ準用ス

第二節 共同訴訟

第五十九条 訴訟ノ目的タル権利又ハ義務カ数人ニ付共通ナルトキ又ハ同一ノ事実上及法律上ノ原因ニ基クトキハ其ノ数人ハ共同訴訟人トシテ訴ヘ又 ハ訴ヘラルルコトヲ得訴訟ノ目的タル権利又ハ義務カ同種ニシテ事実上及法律上同種ノ原因ニ基クトキ亦同シ 第六十条 他人間ノ訴訟ノ目的ノ全部又ハ一部ヲ自己ノ為ニ請求スル者ハ其ノ訴訟ノ繋属中当事者双方ヲ共同被告トシ第一審ノ受訴裁判所ニ訴ヲ提起 スルコトヲ得 第六十一条 共同訴訟人ノ一人ノ訴訟行為又ハ之ニ対スル相手方ノ訴訟行為及其ノ一人ニ付生シタル事項ハ他ノ共同訴訟人ニ影響ヲ及ホサス 第六十二条 訴訟ノ目的カ共同訴訟人ノ全員ニ付合一ニノミ確定スヘキ場合ニ於テハ其ノ一人ノ訴訟行為ハ全員ノ利益ニ於テノミ其ノ効力ヲ生ス 2 共同訴訟人ノ一人ニ対スル相手方ノ訴訟行為ハ全員ニ対シテ其ノ効力ヲ生ス 3 共同訴訟人ノ一人ニ付訴訟手続ノ中断又ハ中止ノ原因アルトキハ其ノ中断又ハ中止ハ全員ニ付其ノ効力ヲ生ス 第六十三条 第五十条第一項ノ規定ハ前条第一項ノ場合ニ於テ共同訴訟人ノ一人カ提起シタル上訴ニ付他ノ共同訴訟人ノ為スヘキ訴訟行為ニ之ヲ準用 ス

第三節 訴訟参加

第六十四条 訴訟ノ結果ニ付利害関係ヲ有スル第三者ハ其ノ訴訟ノ繋属中当事者ノ一方ヲ補助スル為訴訟ニ参加スルコトヲ得 第六十五条 参加ノ申出ハ参加ノ趣旨及理由ヲ具シ参加ニ依リテ訴訟行為ヲ為スヘキ裁判所ニ之ヲ為スコトヲ要ス 2 書面ニ依リテ参加ノ申出ヲ為シタル場合ニ於テハ其ノ書面ハ之ヲ当事者双方ニ送達スルコトヲ要ス 3 参加ノ申出ハ参加人トシテ為シ得ル訴訟行為ト共ニ之ヲ為スコトヲ得 第六十六条 当事者カ参加ニ付異議ヲ述ヘタルトキハ参加ノ理由ハ之ヲ疏明スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ裁判所ハ参加ノ許否ニ付決定ヲ以テ裁判 ヲ為ス 2 前項ノ裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第六十七条 当事者カ参加ニ付異議ヲ述ヘスシテ弁論ヲ為シ又ハ準備手続ニ於テ申述ヲ為シタルトキハ異議ヲ述フル権利ヲ失フ 第六十八条 参加人ハ参加ニ付異議アル場合ニ於テモ参加ヲ許ササル裁判確定セサル間ハ訴訟行為ヲ為スコトヲ得 2 参加人ノ訴訟行為ハ当事者カ之ヲ援用シタルトキハ参加ヲ許ササル裁判確定シタル場合ニ於テモ其ノ効力ヲ有ス 第六十九条 参加人ハ訴訟ニ付攻撃又ハ防禦ノ方法ノ提出、異議ノ申立、上訴ノ提起其ノ他一切ノ訴訟行為ヲ為スコトヲ得但シ参加ノ時ニ於ケル訴訟 ノ程度ニ従ヒ為スコトヲ得サルモノハ此ノ限ニ在ラス 2 参加人ノ訴訟行為カ被参加人ノ訴訟行為ト牴触スルトキハ其ノ効力ヲ有セス 第七十条 前条ノ規定ニ依リテ参加人カ訴訟行為ヲ為スコトヲ得ス又ハ其ノ訴訟行為カ効力ヲ有セサリシ場合、被参加人カ参加人ノ訴訟行為ヲ妨ケタ ル場合及被参加人カ参加人ノ為スコト能ハサル訴訟行為ヲ故意又ハ過失ニ因リテ為ササリシ場合ヲ除クノ外裁判ハ参加人ニ対シテモ其ノ効力ヲ有ス 第七十一条 訴訟ノ結果ニ因リテ権利ヲ害セラルヘキコトヲ主張スル第三者又ハ訴訟ノ目的ノ全部若ハ一部カ自己ノ権利ナルコトヲ主張スル第三者ハ 当事者トシテ訴訟ニ参加スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第六十二条及第六十五条ノ規定ヲ準用ス 第七十二条 前条ノ規定ニ依リ自己ノ権利ヲ主張スル為訴訟ニ参加シタル者アル場合ニ於テハ参加前ノ原告又ハ被告ハ相手方ノ承諾ヲ得テ訴訟ヨリ脱 退スルコトヲ得但シ判決ハ脱退シタル当事者ニ対シテモ其ノ効力ヲ有ス 第七十三条 訴訟ノ繋属中其ノ訴訟ノ目的タル権利ノ全部又ハ一部ヲ譲受ケタルコトヲ主張シ第七十一条ノ規定ニ依リテ訴訟参加ヲ為シタルトキハ其 ノ参加ハ訴訟ノ繋属ノ初ニ遡リテ時効ノ中断又ハ法律上ノ期間遵守ノ効力ヲ生ス 第七十四条 訴訟ノ繋属中第三者カ其ノ訴訟ノ目的タル債務ヲ承継シタルトキハ裁判所ハ当事者ノ申立ニ因リ其ノ第三者ヲシテ訴訟ヲ引受ケシムルコ トヲ得 2 裁判所ハ前項ノ規定ニ依リテ決定ヲ為ス前当事者及第三者ヲ審訊スルコトヲ要ス 3 第七十二条ノ規定中脱退及判決ノ効力ニ関スルモノハ第一項ノ規定ニ依リテ訴訟ノ引受アリタル場合ニ之ヲ準用ス 第七十五条 訴訟ノ目的カ当事者ノ一方及第三者ニ付合一ニノミ確定スヘキ場合ニ於テハ其ノ第三者ハ共同訴訟人トシテ訴訟ニ参加スルコトヲ得此ノ 場合ニ於テハ第六十五条ノ規定ヲ準用ス 第七十六条 当事者ハ訴訟ノ繋属中参加ヲ為スコトヲ得ル第三者ニ其ノ訴訟ノ告知ヲ為スコトヲ得 2 訴訟告知ヲ受ケタル者ハ更ニ訴訟告知ヲ為スコトヲ得 第七十七条 訴訟告知ハ理由及訴訟ノ程度ヲ記載シタル書面ヲ裁判所ニ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス 2 前項ノ書面ハ相手方ニモ之ヲ送達スルコトヲ要ス 第七十八条 訴訟告知ヲ受ケタル者カ参加セサリシ場合ニ於テモ第七十条ノ規定ノ適用ニ付テハ参加スルコトヲ得ヘカリシ時ニ参加シタルモノト看做 ス

第四節 訴訟代理人及輔佐人

第七十九条 法令ニ依リテ裁判上ノ行為ヲ為スコトヲ得ル代理人ノ外弁護士ニ非サレハ訴訟代理人タルコトヲ得ス但シ簡易裁判所ニ於テハ許可ヲ得テ 弁護士ニ非サル者ヲ訴訟代理人ト為スコトヲ得 2 前項ノ許可ハ何時ニテモ之ヲ取消スコトヲ得 第八十条 訴訟代理人ノ権限ハ書面ヲ以テ之ヲ証スルコトヲ要ス 2 前項ノ書面カ私文書ナルトキハ裁判所ハ当該吏員ノ認証ヲ受クヘキ旨ヲ訴訟代理人ニ命スルコトヲ得 3 前二項ノ規定ハ当事者カ口頭ヲ以テ訴訟代理人ヲ選任シ裁判所書記官カ調書ニ其ノ陳述ヲ記載シタル場合ニハ之ヲ適用セス 第八十一条 訴訟代理人ハ委任ヲ受ケタル事件ニ付反訴、参加、強制執行、仮差押及仮処分ニ関スル訴訟行為ヲ為シ且弁済ヲ受領スルコトヲ得 2 左ニ掲クル事項ニ付テハ特別ノ委任ヲ受クルコトヲ要ス 一 反訴ノ提起 二 訴ノ取下、和解、請求ノ抛棄若ハ認諾又ハ第七十二条ノ規定ニ依ル脱退 三 控訴、上告又ハ其ノ取下 四 第四百五十二条(第四百六十三条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル異議ノ取下又ハ取下ノ同意 五 代理人ノ選任 3 訴訟代理権ハ之ヲ制限スルコトヲ得ス但シ弁護士ニ非サル訴訟代理人ニ付テハ此ノ限ニ在ラス 第八十二条 前条ノ規定ハ法令ニ依リテ裁判上ノ行為ヲ為スコトヲ得ル代理人ノ権限ヲ妨ケス 第八十三条 数人ノ訴訟代理人アルトキハ各自当事者ヲ代理ス 2 当事者カ前項ノ規定ニ異ル定ヲ為スモ其ノ効力ヲ生セス 第八十四条 訴訟代理人ノ事実上ノ陳述ハ当事者カ直ニ之ヲ取消シ又ハ更正シタルトキハ其ノ効力ヲ生セス 第八十五条 訴訟代理権ハ当事者ノ死亡若ハ訴訟能力ノ喪失、当事者タル法人ノ合併ニ因ル消滅、当事者タル受託者ノ信託ノ任務終了又ハ法定代理人 ノ死亡、訴訟能力ノ喪失若ハ代理権ノ消滅、変更ニ因リテ消滅セス 第八十六条 一定ノ資格ヲ有スル者ニシテ自己ノ名ヲ以テ他人ノ為訴訟ノ当事者タルモノノ訴訟代理人ノ代理権ハ当事者ノ資格ノ喪失ニ因リテ消滅セ ス 2 前項ノ規定ハ第四十七条ノ規定ニ依リテ選定セラレタル当事者カ其ノ資格ヲ喪失シタル場合ニ之ヲ準用ス 第八十七条 第五十二条第二項、第五十三条、第五十四条及第五十七条ノ規定ハ訴訟代理ニ之ヲ準用ス 第八十八条 当事者又ハ訴訟代理人ハ裁判所ノ許可ヲ得テ輔佐人ト共ニ出頭スルコトヲ得此ノ許可ハ何時ニテモ之ヲ取消スコトヲ得 2 輔佐人ノ陳述ハ当事者又ハ訴訟代理人カ直ニ之ヲ取消シ又ハ更正セサルトキハ自ラ之ヲ為シタルモノト看做ス

第三章 訴訟費用

第一節 訴訟費用ノ負担

第八十九条 訴訟費用ハ敗訴ノ当事者ノ負担トス 第九十条 裁判所ハ事情ニ従ヒ勝訴ノ当事者ヲシテ其ノ権利ノ伸張若ハ防禦ニ必要ナラサル行為ニ因リテ生シタル訴訟費用又ハ訴訟ノ程度ニ於テ相手 方ノ権利ノ伸張若ハ防禦ニ必要ナリシ行為ニ因リテ生シタル訴訟費用ノ全部又ハ一部ヲ負担セシムルコトヲ得 第九十一条 当事者カ適当ノ時期ニ攻撃若ハ防禦ノ方法ヲ提出セサル為又ハ期日若ハ期間ノ懈怠其ノ他当事者ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リ訴訟ヲ遅滞セ シメタルトキハ裁判所ハ之ヲシテ其ノ勝訴ノ場合ニ於テモ遅滞ニ因リテ生シタル訴訟費用ノ全部又ハ一部ヲ負担セシムルコトヲ得 第九十二条 一部敗訴ノ場合ニ於テ各当事者ノ負担スヘキ訴訟費用ハ裁判所ノ意見ヲ以テ之ヲ定ム但シ事情ニ従ヒ当事者ノ一方ヲシテ訴訟費用ノ全部 ヲ負担セシムルコトヲ得 第九十三条 共同訴訟人ハ平等ノ割合ヲ以テ訴訟費用ヲ負担ス但シ裁判所ハ事情ニ従ヒ共同訴訟人ヲシテ連帯シテ訴訟費用ヲ負担セシメ又ハ他ノ方法 ニ依リ之ヲ負担セシムルコトヲ得 2 裁判所ハ前項ノ規定ニ拘ラス権利ノ伸張又ハ防禦ニ必要ナラサル行為ヲ為シタル当事者ヲシテ其ノ行為ニ因リテ生シタル費用ヲ負担セシムルコトヲ 得 第九十四条 第八十九条乃至前条ノ規定ハ当事者カ参加ニ付異議ヲ述ヘタル場合ニ於テハ其ノ異議ニ因リテ生シタル訴訟費用ノ参加人ト異議ヲ述ヘタ ル当事者トノ間ニ於ケル負担ニ関シ之ヲ準用ス参加ニ因リテ生シタル訴訟費用ノ参加人ト相手方トノ間ニ於ケル負担ニ付亦同シ 第九十五条 裁判所ハ事件ヲ完結スル裁判ニ於テ職権ヲ以テ其ノ審級ニ於ケル訴訟費用ノ全部ニ付裁判ヲ為スコトヲ要ス但シ事情ニ従ヒ事件ノ一部又 ハ中間ノ争ニ関スル裁判ニ於テ其ノ費用ノ裁判ヲ為スコトヲ得 第九十六条 上級裁判所カ本案ノ裁判ヲ変更スル場合ニ於テハ訴訟ノ総費用ニ付裁判ヲ為スコトヲ要ス事件ノ差戻又ハ移送ヲ受ケタル裁判所カ其ノ事 件ヲ完結スル裁判ヲ為ス場合亦同シ 第九十七条 当事者カ裁判所ニ於テ和解ヲ為シタル場合ニ於テ和解ノ費用及訴訟費用ノ負担ニ付別段ノ定ヲ為ササルトキハ其ノ費用ハ各自之ヲ負担ス 第九十八条 法定代理人、訴訟代理人、裁判所書記官又ハ執行官カ故意又ハ重大ナル過失ニ因リテ無益ナル費用ヲ生セシメタルトキハ受訴裁判所ハ申 立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ此等ノ者ニ対シ其ノ費用額ノ償還ヲ命スルコトヲ得 2 前項ノ規定ハ法定代理人又ハ訴訟代理人トシテ訴訟行為ヲ為シタル者カ其ノ代理権又ハ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権アルコトヲ証明スルコト能ハ ス又ハ追認ヲ得サリシ場合ニ於テ其ノ訴訟行為ニ因リテ生シタル訴訟費用ニ之ヲ準用ス 3 前二項ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第九十九条 裁判所カ前条第二項ノ場合ニ於テ訴ヲ却下シタルトキハ訴訟費用ハ代理人トシテ訴訟行為ヲ為シタル者ノ負担トス 第百条 裁判所カ訴訟費用ノ負担ヲ定ムル裁判ニ於テ其ノ額ヲ定メサルトキハ第一審ノ受訴裁判所ハ其ノ裁判カ執行力ヲ生シタル後申立ニ因リ決定ヲ 以テ之ヲ定ム 2 訴訟費用額ノ確定ヲ求ムル申立ヲ為スニハ費用計算書及其ノ謄本並費用額ノ疏明ニ必要ナル書面ヲ提出スルコトヲ要ス 3 第一項ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第百一条 裁判所ハ訴訟費用額ヲ定ムル決定ヲ為ス前相手方ニ費用計算書ノ謄本ヲ交付シ陳述ヲ為スヘキ旨並一定ノ期間内ニ費用計算書及費用額ノ疏 明ニ必要ナル書面ヲ提出スヘキ旨ヲ催告スルコトヲ要ス 2 相手方カ期間内ニ前項ノ書面ヲ提出セサルトキハ裁判所ハ申立人ノ費用ノミニ付裁判ヲ為スコトヲ得但シ相手方ノ費用額ノ確定ヲ求ムル申立ヲ妨ケ ス 第百二条 裁判所カ訴訟費用額ヲ定ムル裁判ヲ為ス場合ニ於テハ前条第二項ノ場合ヲ除クノ外各当事者ノ負担スヘキ費用ハ其ノ対当額ニ付相殺アリタ ルモノト看做ス 第百三条 第九十七条ノ場合ニ於テ当事者カ訴訟費用ノ負担ヲ定メ其ノ額ヲ定メサルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ決定ヲ以テ其ノ額ヲ定ムルコトヲ要ス 此ノ場合ニ於テハ第百条第二項第三項、第百一条及前条ノ規定ヲ準用ス 第百四条 前条ノ場合ヲ除クノ外訴訟カ裁判ニ因ラスシテ完結シタルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ決定ヲ以テ訴訟費用ノ額ヲ定メ且其ノ負担ヲ命スルコ トヲ要ス参加又ハ之ニ付テノ異議ノ取下アリタルトキ亦同シ 2 第八十九条乃至第九十四条、第百条第二項第三項、第百一条及第百二条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス 第百五条 裁判所ハ裁判所書記官ヲシテ訴訟費用額ノ計算ヲ為サシムルコトヲ得 第百六条 削除

第二節 訴訟費用ノ担保

第百七条 原告カ日本ニ住所、事務所及営業所ヲ有セサルトキハ裁判所ハ被告ノ申立ニ因リ訴訟費用ノ担保ヲ供スヘキコトヲ原告ニ命スルコトヲ要ス 担保ニ不足ヲ生シタルトキ亦同シ 2 前項ノ規定ハ請求ノ一部ニ付争ナキ場合ニ於テ其ノ額カ担保ニ十分ナルトキハ之ヲ適用セス 第百八条 担保ヲ供スヘキ事由アルコトヲ知リタル後被告カ本案ニ付弁論ヲ為シ又ハ準備手続ニ於テ申述ヲ為シタルトキハ担保ノ申立ヲ為スコトヲ得 ス 第百九条 担保ノ申立ヲ為シタル被告ハ原告カ担保ヲ供スル迄応訴ヲ拒ムコトヲ得 第百十条 裁判所ハ担保ヲ供スヘキコトヲ命スル決定ニ於テ担保額及担保ヲ供スヘキ期間ヲ定ムルコトヲ要ス 2 担保額ハ被告カ各審ニ於テ支出スヘキ費用ノ総額ヲ標準トシテ之ヲ定ム 第百十一条 担保ノ申立ニ関スル裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第百十二条 担保ヲ供スルニハ金銭又ハ裁判所カ相当ト認ムル有価証券ヲ供託スルコトヲ要ス但シ当事者カ別段ノ契約ヲ為シタルトキハ其ノ契約ニ依 ル 第百十三条 被告ハ訴訟費用ニ付前条ノ規定ニ依リテ供託シタル金銭又ハ有価証券ノ上ニ質権者ト同一ノ権利ヲ有ス 第百十四条 原告カ担保ヲ供スヘキ期間内ニ之ヲ供セサルトキハ裁判所ハ口頭弁論ヲ経スシテ判決ヲ以テ訴ヲ却下スルコトヲ得但シ判決前担保ヲ供シ タルトキハ此ノ限ニ在ラス 第百十五条 担保ヲ供シタル者カ担保ノ事由止ミタルコトヲ証明シタルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ担保取消ノ決定ヲ為スコトヲ要ス 2 担保ヲ供シタル者カ担保取消ニ付担保権利者ノ同意ヲ得タルコトヲ証明シタルトキ亦前項ニ同シ 3 訴訟ノ完結後裁判所カ担保ヲ供シタル者ノ申立ニ因リ担保権利者ニ対シ一定ノ期間内ニ其ノ権利ヲ行使スヘキ旨ヲ催告シ担保権利者カ其ノ行使ヲ為 ササルトキハ担保取消ニ付担保権利者ノ同意アリタルモノト看做ス 4 第一項及第二項ノ規定ニ依ル決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第百十六条 裁判所ハ担保ヲ供シタル者ノ申立ニ因リ決定ヲ以テ供託シタル担保物ノ変換ヲ命スルコトヲ得 2 前項ノ規定ハ供託シタル担保ヲ契約ニ因リテ他ノ担保ニ変換スルコトヲ妨ケス 第百十七条 第百九条、第百十条第一項及第百十一条乃至前条ノ規定ハ他ノ法令ニ依リテ訴ノ提起ニ付供スヘキ担保ニ之ヲ準用ス 第三節 訴訟上ノ救助 第百十八条 訴訟費用ヲ支払フ資力ナキ者ニ対シテハ裁判所ハ申立ニ因リ訴訟上ノ救助ヲ与フルコトヲ得但シ勝訴ノ見込ナキニ非サルトキニ限ル 第百十九条 訴訟上ノ救助ハ各審ニ於テ之ヲ与フ 2 救助ノ事由ハ之ヲ疏明スルコトヲ要ス 第百二十条 訴訟上ノ救助ハ訴訟及強制執行ニ付左ノ効力ヲ生ス 一 裁判費用並執行官ノ手数料及其ノ職務ノ執行ニ要スル費用ノ支払ノ猶予 二 裁判所ニ於テ附添ヲ命シタル弁護士ノ報酬及立替金ノ支払ノ猶予 三 訴訟費用ノ担保ノ免除 第百二十一条 訴訟上ノ救助ハ之ヲ受ケタル者ノ為ニノミ其ノ効力ヲ有ス 2 裁判所ハ訴訟ノ承継人ニ対シ猶予シタル費用ノ支払ヲ命ス 第百二十二条 訴訟上ノ救助ヲ受ケタル者カ訴訟費用ノ支払ヲ為ス資力ヲ有スルコト判明シ又ハ之ヲ有スルニ至リタルトキハ訴訟記録ノ存スル裁判所 ハ利害関係人ノ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ何時ニテモ救助ヲ取消シ猶予シタル訴訟費用ノ支払ヲ命スルコトヲ得 第百二十三条 訴訟上ノ救助ヲ受ケタル者ニ支払ヲ猶予シタル費用ハ其ノ負担ヲ命セラレタル相手方ヨリ直接ニ之ヲ取立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テ 弁護士又ハ執行官ハ訴訟上ノ救助ヲ受ケタル者ノ有スル債務名義ニ依リ報酬又ハ手数料及立替金ニ付費用額ヲ定ムル申立及強制執行ヲ為スコトヲ得 2 弁護士又ハ執行官ハ報酬又ハ手数料及立替金ニ付当事者ニ代リ第百三条又ハ第百四条ノ裁判ヲ求ムル申立ヲ為スコトヲ得 第百二十四条 本節ニ規定スル裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得

第四章 訴訟手続

第一節 口頭弁論

第百二十五条 当事者ハ訴訟ニ付裁判所ニ於テ口頭弁論ヲ為スコトヲ要ス但シ決定ヲ以テ完結スヘキ事件ニ付テハ裁判所口頭弁論ヲ為スヘキカ否ヲ定 ム 2 前項但書ノ規定ニ依リテ口頭弁論ヲ為ササル場合ニ於テハ裁判所ハ当事者ヲ審訊スルコトヲ得 3 前二項ノ規定ハ別段ノ規定アル場合ニハ之ヲ適用セス 第百二十六条 口頭弁論ハ裁判長之ヲ指揮ス 2 裁判長ハ発言ヲ許シ又ハ其ノ命ニ従ハサル者ニ発言ヲ禁スルコトヲ得 第百二十七条 裁判長ハ訴訟関係ヲ明瞭ナラシムル為事実上及法律上ノ事項ニ関シ当事者ニ対シテ問ヲ発シ又ハ立証ヲ促スコトヲ得 2 陪席裁判官ハ裁判長ニ告ケテ前項ニ規定スル処置ヲ為スコトヲ得 3 当事者ハ裁判長ニ対シ必要ナル発問ヲ求ムルコトヲ得 第百二十八条 裁判長ハ前条ノ規定ニ依リテ当事者ヲシテ釈明セシムヘキ事項ヲ指示シ口頭弁論期日前準備ヲ為スヘキコトヲ命スルコトヲ得 第百二十九条 当事者カ弁論ノ指揮ニ関スル裁判長ノ命又ハ第百二十七条若ハ前条ノ規定ニ依ル裁判長若ハ陪席裁判官ノ処置ニ対シ異議ヲ述ヘタルト キハ裁判所決定ヲ以テ其ノ異議ニ付裁判ヲ為ス 第百三十条 受命裁判官ヲシテ其ノ職務ヲ行ハシムヘキ場合ニ於テハ裁判長其ノ裁判官ヲ指定ス 2 裁判所ノ為ス嘱託ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外裁判長之ヲ為ス 第百三十一条 裁判所ハ訴訟関係ヲ明瞭ナラシムル為左ノ処分ヲ為スコトヲ得 一 当事者本人又ハ其ノ法定代理人ノ出頭ヲ命スルコト 二 訴訟書類又ハ訴訟ニ於テ引用シタル文書其ノ他ノ物件ニシテ当事者ノ所持スルモノヲ提出セシムルコト 三 当事者又ハ第三者ノ提出シタル文書其ノ他ノ物件ヲ裁判所ニ留置クコト 四 検証ヲ為シ又ハ鑑定ヲ命スルコト 五 必要ナル調査ヲ嘱託スルコト 2 前項ニ規定スル検証、鑑定及調査ノ嘱託ニ付テハ証拠調ニ関スル規定ヲ準用ス 第百三十二条 裁判所ハ口頭弁論ノ制限、分離若ハ併合ヲ命シ又ハ其ノ命ヲ取消スコトヲ得 第百三十三条 裁判所ハ終結シタル口頭弁論ノ再開ヲ命スルコトヲ得 第百三十四条 弁論ニ与ル者カ日本語ニ通セサルトキ又ハ聾若ハ唖ナルトキハ通事ヲ立会ハシム但シ聾者又ハ唖者ニハ文字ヲ以テ問ヒ又ハ陳述ヲ為サ シムルコトヲ得 2 鑑定人ニ関スル規定ハ通事ニ之ヲ準用ス 第百三十五条 裁判所ハ訴訟関係ヲ明瞭ナラシムル為必要ナル陳述ヲ為スコト能ハサル当事者、代理人又ハ輔佐人ノ陳述ヲ禁シ弁論続行ノ為新期日ヲ 定ムルコトヲ得 2 前項ノ規定ニ依リテ陳述ヲ禁シタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ裁判所ハ弁護士ノ附添ヲ命スルコトヲ得 3 訴訟代理人ノ陳述ヲ禁シ又ハ弁護士ノ附添ヲ命シタルトキハ本人ニ其ノ旨ヲ通知スルコトヲ要ス 第百三十六条 裁判所ハ訴訟ノ如何ナル程度ニ在ルヲ問ハス和解ヲ試ミ又ハ受命裁判官若ハ受託裁判官ヲシテ之ヲ試ミシムルコトヲ得 2 裁判所又ハ受命裁判官若ハ受託裁判官ハ和解ノ為当事者本人又ハ其ノ法定代理人ノ出頭ヲ命スルコトヲ得 第百三十七条 攻撃又ハ防禦ノ方法ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外口頭弁論ノ終結ニ至ル迄之ヲ提出スルコトヲ得 第百三十八条 原告又ハ被告カ最初ニ為スヘキ口頭弁論ノ期日ニ出頭セス又ハ出頭スルモ本案ノ弁論ヲ為ササルトキハ其ノ者ノ提出シタル訴状、答弁 書其ノ他ノ準備書面ニ記載シタル事項ハ之ヲ陳述シタルモノト看做シ出頭シタル相手方ニ弁論ヲ命スルコトヲ得 第百三十九条 当事者カ故意又ハ重大ナル過失ニ因リ時機ニ後レテ提出シタル攻撃又ハ防禦ノ方法ハ之カ為訴訟ノ完結ヲ遅延セシムヘキモノト認メタ ルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ却下ノ決定ヲ為スコトヲ得 2 攻撃又ハ防禦ノ方法ニシテ其ノ趣旨明瞭ナラサルモノニ付当事者カ必要ナル釈明ヲ為サス又ハ釈明ヲ為スヘキ期日ニ出頭セサルトキ亦前項ニ同シ 第百四十条 当事者カ口頭弁論ニ於テ相手方ノ主張シタル事実ヲ明ニ争ハサルトキハ其ノ事実ヲ自白シタルモノト看做ス但シ弁論ノ全趣旨ニ依リ其ノ 事実ヲ争ヒタルモノト認ムヘキ場合ハ此ノ限ニ在ラス 2 相手方ノ主張シタル事実ヲ知ラサル旨ノ陳述ヲ為シタル者ハ其ノ事実ヲ争ヒタルモノト推定ス 3 第一項ノ規定ハ当事者カ口頭弁論ノ期日ニ出頭セサル場合ニ之ヲ準用ス但シ口頭弁論期日ニ出頭セサル当事者カ公示送達ニ依ル呼出ヲ受ケタルモノ ナルトキハ此ノ限ニ在ラス 第百四十一条 当事者カ訴訟手続ニ関スル規定ノ違背ヲ知リ又ハ之ヲ知ルコトヲ得ヘカリシ場合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘサルトキハ之ヲ述フル権利 ヲ失フ但シ抛棄スルコトヲ得サルモノハ此ノ限ニ在ラス 第百四十二条 口頭弁論ニ付テハ裁判所書記官期日毎ニ調書ヲ作ルコトヲ要ス 第百四十三条 調書ニハ左ノ事項ヲ記載シ裁判所書記官之ニ署名捺印シ尚裁判長之ニ捺印スルコトヲ要ス但シ裁判所書記官ハ署名捺印ニ代ヘテ記名捺 印スルコトヲ得 一 事件ノ表示 二 裁判官及裁判所書記官ノ氏名 三 立会ヒタル検察官ノ氏名 四 出頭シタル当事者、代理人、輔佐人及通事並闕席シタル当事者ノ氏名 五 弁論ノ場所及年月日 六 弁論ヲ公開シタルコト又ハ公開セサル場合ニ於テハ其ノ理由 2 裁判長支障アルトキハ陪席裁判官之ニ代リテ捺印シ且其ノ事由ヲ記載スルコトヲ要ス但シ裁判官皆支障アルトキハ裁判所書記官其ノ旨ヲ記載スルヲ 以テ足ル 第百四十四条 調書ニハ弁論ノ要領ヲ記載シ殊ニ左ノ事項ヲ明確ニスルコトヲ要ス 一 和解、認諾、抛棄、取下及自白 二 証人、鑑定人ノ宣誓及陳述 三 検証ノ結果 四 裁判長ノ記載ヲ命シタル事項及当事者ノ請求ニ因リ記載ヲ許シタル事項 五 書面ニ作ラサル裁判 六 裁判ノ言渡 第百四十五条 調書ニハ書面、写真其ノ他裁判所ニ於テ適当ト認ムルモノヲ引用シ訴訟記録ニ添附シテ之ヲ調書ノ一部ト為スコトヲ得 第百四十六条 調書ノ記載ハ申立ニ因リ法廷ニ於テ関係人ニ之ヲ読聞カセ又ハ閲覧セシメ且調書ニ其ノ旨ヲ記載スルコトヲ要ス 2 調書ノ記載ニ付関係人カ異議ヲ述ヘタルトキハ調書ニ其ノ趣旨ヲ記載スルコトヲ要ス 第百四十七条 口頭弁論ノ方式ニ関スル規定ノ遵守ハ調書ニ依リテノミ之ヲ証スルコトヲ得但シ調書カ滅失シタルトキハ此ノ限ニ在ラス 第百四十八条 裁判所必要アリト認ムルトキハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ速記者ヲシテ口頭弁論ニ於ケル陳述ノ全部又ハ一部ヲ筆記セシムルコトヲ得 第百四十九条 第百四十二条乃至前条ノ規定ハ裁判所ノ審訊、受命裁判官又ハ受託裁判官ノ審問及証拠調ニ之ヲ準用ス 第百五十条 申立其ノ他ノ申述ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外書面又ハ口頭ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得 2 口頭ヲ以テ申述ヲ為スニハ裁判所書記官ノ面前ニ於テ陳述ヲ為スコトヲ要ス 3 前項ノ場合ニ於テハ裁判所書記官調書ヲ作リ之ニ署名捺印スルコトヲ要ス但シ署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得 第百五十一条 何人モ訴訟記録ノ閲覧ヲ裁判所書記官ニ請求スルコトヲ得但シ訴訟記録ノ保存又ハ裁判所ノ執務ニ支障アルトキハ此ノ限ニ在ラス 2 公開ヲ禁止シタル口頭弁論ニ係ル訴訟記録ニ付テハ当事者及利害関係ヲ疏明シタル第三者ニ限リ前項ノ規定ニ依ル請求ヲ為スコトヲ得 3 当事者ハ訴訟記録ノ謄写又ハ其ノ正本、謄本、抄本若ハ訴訟ニ関スル事項ノ証明書ノ交付ヲ裁判所書記官ニ請求スルコトヲ得利害関係ヲ疏明シタル 第三者亦同シ 4 訴訟記録ノ正本、謄本又ハ抄本ニハ其ノ正本、謄本又ハ抄本ナルコトヲ記載シ裁判所書記官之ニ署名捺印シ且裁判所ノ印ヲ押捺スルコトヲ要ス但シ 署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得

第二節 期日及期間

第百五十二条 期日ハ裁判長之ヲ定ム 2 受命裁判官又ハ受託裁判官ノ審問ノ期日ハ其ノ裁判官之ヲ定ム 3 期日ノ指定ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ之ヲ為ス 4 準備手続ヲ経タル口頭弁論ノ期日ノ変更ハ已ムコトヲ得サル事由ノ存スル場合ニ非サレハ之ヲ許スコトヲ得ス 5 準備手続ヲ経サル口頭弁論ニ於ケル最初ノ期日ノ変更ハ顕著ナル事由ノ存セサルトキト雖当事者ノ合意アル場合ニ於テハ之ヲ許ス準備手続ニ於ケル 最初ノ期日ノ変更亦同シ 第百五十三条 期日ハ已ムコトヲ得サル場合ニ限リ日曜日其ノ他ノ一般ノ休日ニ之ヲ定ムルコトヲ得 第百五十四条 期日ニ於ケル呼出ハ呼出状ヲ送達シテ之ヲ為ス但シ当該事件ニ付出頭シタル者ニ対シテハ期日ヲ告知スルヲ以テ足ル 第百五十五条 期日ハ事件ノ呼上ヲ以テ之ヲ開始ス 第百五十六条 期間ノ計算ハ民法ニ従フ 2 期間ノ末日カ日曜日其ノ他ノ一般ノ休日ニ当ルトキハ期間ハ其ノ翌日ヲ以テ満了ス 第百五十七条 期間ヲ定ムル裁判ニ於テ始期ヲ定メサルトキハ其ノ期間ハ裁判カ効力ヲ生シタル時ヨリ進行ヲ始ム 第百五十八条 裁判所ハ法定期間又ハ其ノ定メタル期間ヲ伸長シ又ハ之ヲ短縮スルコトヲ得但シ不変期間ハ此ノ限ニ在ラス 2 不変期間ニ付テハ裁判所ハ遠隔ノ地ニ住所又ハ居所ヲ有スル者ノ為附加期間ヲ定ムルコトヲ得 3 裁判長、受命裁判官又ハ受託裁判官ハ其ノ定メタル期間ヲ伸長シ又ハ之ヲ短縮スルコトヲ得 第百五十九条 当事者カ其ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因リ不変期間ヲ遵守スルコト能ハサリシ場合ニ於テハ其ノ事由ノ止ミタル後一週間内ニ限リ懈 怠シタル訴訟行為ノ追完ヲ為スコトヲ得外国ニ在ル当事者ニ付テハ此ノ期間ハ之ヲ二月トス 2 前項ノ期間ニ付テハ前条ノ規定ヲ適用セズ 第三節 送達 第百六十条 送達ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外職権ヲ以テ之ヲ為ス 第百六十一条 送達ニ関スル事務ハ裁判所書記官之ヲ取扱フ 2 前項ノ事務ノ取扱ハ送達地ノ地方裁判所ノ裁判所書記官ニ之ヲ嘱託スルコトヲ得 第百六十二条 送達ハ執行官又ハ郵便ニ依リ之ヲ為ス 2 郵便ニ依ル送達ニ在リテハ郵便集配人ヲ以テ送達ヲ為ス吏員トス 第百六十三条 当該事件ニ付出頭シタル者ニ対シテハ裁判所書記官自ラ送達ヲ為スコトヲ得 第百六十四条 送達ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外送達ヲ受クヘキ者ニ送達スヘキ書類ノ謄本ヲ交付シテ之ヲ為ス 2 送達スヘキ書類ノ提出ニ代ヘ調書ヲ作リタルトキハ其ノ調書ノ謄本又ハ抄本ヲ交付シテ送達ヲ為ス 第百六十五条 訴訟無能力者ニ対スル送達ハ其ノ法定代理人ニ之ヲ為ス 第百六十六条 数人カ共同シテ代理権ヲ行フヘキ場合ニ於テハ送達ハ其ノ一人ニ之ヲ為スヲ以テ足ル 第百六十七条 削除 第百六十八条 在監者ニ対スル送達ハ監獄ノ長ニ之ヲ為ス 第百六十九条 送達ハ之ヲ受クヘキ者ノ住所、居所、営業所又ハ事務所ニ於テ之ヲ為ス但シ法定代理人ニ対スル送達ハ本人ノ営業所又ハ事務所ニ於テ モ之ヲ為スコトヲ得 2 送達ヲ受クヘキ者カ日本ニ住所、居所、営業所又ハ事務所ヲ有スルコト明ナラサルトキハ送達ハ其ノ者ニ出会ヒタル場所ニ於テ之ヲ為スコトヲ得住 所、居所、営業所又ハ事務所ヲ有スル者カ送達ヲ受クルコトヲ拒マサルトキ亦同シ 第百七十条 当事者、法定代理人又ハ訴訟代理人ハ受訴裁判所ノ所在地ニ住所、居所、営業所又ハ事務所ヲ有セサルトキハ其ノ裁判所ノ所在地ニ於テ 送達ヲ受クヘキ場所及送達受取人ヲ定メ之ヲ届出ツルコトヲ要ス 2 送達ヲ受クヘキ者カ前項ノ届出ヲ為ササルトキハ其ノ者ニ対シテ送達スヘキ書類ハ前条第一項ノ規定ニ依リ送達スヘキ場所ニ宛テ書留郵便ニ付シテ 之ヲ発送スルコトヲ得 3 第一項ノ届出ハ送達ヲ受クヘキ者カ受訴裁判所ノ所在地ニ住所、居所、営業所又ハ事務所ヲ有スル場合ニ於テモ亦之ヲ為スコトヲ得 第百七十一条 送達ヲ為スヘキ場所ニ於テ送達ヲ受クヘキ者ニ出会ハサルトキハ事務員、雇人又ハ同居者ニシテ事理ヲ弁識スルニ足ルヘキ知能ヲ具フ ル者ニ書類ヲ交付スルコトヲ得 2 前項ニ掲クル者其ノ他書類ノ交付ヲ受クヘキ者カ正当ノ事由ナクシテ之ヲ受クルコトヲ拒ミタルトキハ送達ヲ為スヘキ場所ニ書類ヲ差置クコトヲ得 第百七十二条 前条ノ規定ニ依リテ送達ヲ為スコト能ハサル場合ニ於テハ裁判所書記官書類ヲ書留郵便ニ付シテ之ヲ発送スルコトヲ得 第百七十三条 第百七十条第二項又ハ前条ノ規定ニ依リテ書類ヲ郵便ニ付シテ発送シタル場合ニ於テハ其ノ発送ノ時ニ於テ送達アリタルモノト看做ス 第百七十四条 削除 第百七十五条 外国ニ於テ為スヘキ送達ハ裁判長其ノ国ノ管轄官庁又ハ其ノ国ニ駐在スル日本ノ大使、公使若ハ領事ニ嘱託シテ之ヲ為ス 第百七十六条 削除 第百七十七条 送達ヲ為シタル吏員ハ書面ヲ作リ送達ニ関スル事項ヲ記載シ之ヲ裁判所ニ提出スルコトヲ要ス 第百七十八条 当事者ノ住所、居所其ノ他送達ヲ為スヘキ場所カ知レサル場合又ハ外国ニ於テ為スヘキ送達ニ付第百七十五条ノ規定ニ依ルコト能ハス 若ハ之ニ依ルモ其ノ効ナシト認ムヘキ場合ニ於テハ申立ニ因リ裁判長ノ許可ヲ得テ公示送達ヲ為スコトヲ得同条ノ規定ニ依リ外国ノ管轄官庁ニ嘱託 ヲ発シタル後六月ヲ経過スルモ其ノ送達ヲ証スル書面ノ送付ナキ場合亦同ジ 2 前項ノ場合ニ於テ裁判所ハ訴訟ノ遅滞ヲ避クル為必要アリト認ムルトキハ申立ナキトキト雖公示送達ヲ為スヘキコトヲ命スルコトヲ得 3 同一ノ当事者ニ対スル爾後ノ公示送達ハ職権ヲ以テ之ヲ為ス但シ第一項後段ノ場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ 第百七十九条 公示送達ハ裁判所書記官送達スヘキ書類ヲ保管シ何時ニテモ送達ヲ受クヘキ者ニ交付スヘキ旨ヲ裁判所ノ掲示場ニ掲示シテ之ヲ為ス但 シ呼出状ノ送達ハ呼出状ヲ掲示場ニ貼附シテ之ヲ為ス 2 裁判所ハ公示送達アリタルコトヲ官報又ハ新聞紙ニ掲載スヘキコトヲ命スルコトヲ得但シ外国ニ於テ為スヘキ送達ニ付テハ公示送達アリタルコトヲ 郵便ニ付シテ通知スルコトヲ得 第百八十条 公示送達ハ前条第一項ノ規定ニ依ル掲示ヲ始メ又ハ貼附ヲ為シタル日ヨリ二週間ヲ経過スルニ因リテ其ノ効力ヲ生ス但シ第百七十八条第 三項ノ公示送達ハ掲示ヲ始メ又ハ貼附ヲ為シタル日ノ翌日ニ於テ其ノ効力ヲ生ス 2 外国ニ於テ為スヘキ送達ニ付為シタル公示送達ニ在リテハ前項ノ期間ハ之ヲ六週間トス 3 前二項ノ期間ハ之ヲ短縮スルコトヲ得ス 第百八十一条 送達ニ関スル裁判長ノ権限ハ受命裁判官、受託裁判官及送達地ノ地方裁判所ノ裁判官亦之ヲ有ス

第四節 裁判

第百八十二条 訴訟カ裁判ヲ為スニ熟スルトキハ裁判所ハ終局判決ヲ為ス 第百八十三条 訴訟ノ一部カ裁判ヲ為スニ熟スルトキハ裁判所ハ其ノ一部ニ付終局判決ヲ為スコトヲ得 2 前項ノ規定ハ口頭弁論ノ併合ヲ命シタル数個ノ訴訟中其ノ一カ裁判ヲ為スニ熟スル場合及本訴又ハ反訴カ裁判ヲ為スニ熟スル場合ニ之ヲ準用ス 第百八十四条 独立シタル攻撃又ハ防禦ノ方法其ノ他中間ノ争ニ付裁判ヲ為スニ熟スルトキハ裁判所ハ中間判決ヲ為スコトヲ得請求ノ原因及数額ニ付 争アル場合ニ於テ其ノ原因ニ付亦同シ 第百八十五条 裁判所ハ判決ヲ為スニ当リ其ノ為シタル口頭弁論ノ全趣旨及証拠調ノ結果ヲ斟酌シ自由ナル心証ニ依リ事実上ノ主張ヲ真実ト認ムヘキ カ否ヲ判断ス 第百八十六条 裁判所ハ当事者ノ申立テサル事項ニ付判決ヲ為スコトヲ得ス 第百八十七条 判決ハ其ノ基本タル口頭弁論ニ関与シタル裁判官之ヲ為ス 2 裁判官ノ更迭アル場合ニ於テハ当事者ハ従前ノ口頭弁論ノ結果ヲ陳述スルコトヲ要ス 3 単独ノ裁判官ノ更迭アリタル場合ニ於テ従前訊問ヲ為シタル証人ニ付当事者カ更ニ訊問ノ申出ヲ為シタルトキハ裁判所ハ其ノ訊問ヲ為スコトヲ要ス 合議体ノ裁判官ノ過半数カ更迭シタル場合ニ於テ従前訊問ヲ為シタル証人ニ付当事者カ更ニ訊問ノ申出ヲ為シタルトキ亦同シ 第百八十八条 判決ハ言渡ニ因リテ其ノ効力ヲ生ス 第百八十九条 判決ノ言渡ハ判決原本ニ基キ裁判長主文ヲ朗読シテ之ヲ為ス 2 裁判長ハ相当ト認ムルトキハ判決ノ理由ヲ朗読シ又ハ口頭ヲ以テ其ノ要領ヲ告クルコトヲ得 第百九十条 判決ノ言渡ハ口頭弁論終結ノ日ヨリ二週間内ニ之ヲ為ス但シ事件繁雑ナルトキ其ノ他特別ノ事情アルトキハ此ノ限ニ在ラス 2 判決ノ言渡ハ当事者カ在廷セサル場合ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得 第百九十一条 判決ニハ左ノ事項ヲ記載シ判決ヲ為シタル裁判官之ニ署名捺印スルコトヲ要ス 一 主文 二 事実及争点 三 理由 四 当事者及法定代理人 五 裁判所 2 事実及争点ノ記載ハ口頭弁論ニ於ケル当事者ノ陳述ニ基キ要領ヲ摘示シテ之ヲ為スコトヲ要ス 3 裁判官判決ニ署名捺印スルニ支障アルトキハ他ノ裁判官判決ニ其ノ事由ヲ記載シテ署名捺印スルコトヲ要ス 第百九十二条 判決ハ言渡後遅滞ナク之ヲ裁判所書記官ニ交付シ裁判所書記官ハ言渡及交付ノ日ヲ附記シ之ニ捺印スルコトヲ要ス 第百九十三条 判決ハ交付ヲ受ケタル日ヨリ二週間内ニ之ヲ当事者ニ送達スルコトヲ要ス 2 判決ノ送達ハ正本ヲ以テ之ヲ為ス 第百九十三条ノ二 判決カ法令ニ違背シタルコトヲ発見シタルトキハ裁判所ハ其ノ言渡後一週間内ニ限リ変更ノ判決ヲ為スコトヲ得但シ判決確定シタ ルトキ又ハ判決ヲ変更スル為事件ニ付尚弁論ヲ為ス必要アルトキハ此ノ限ニ在ラス 2 変更ノ判決ハ口頭弁論ヲ経スシテ之ヲ為ス 3 前項ノ判決ノ言渡期日ノ呼出ニ於テハ公示送達ニ依ル場合ヲ除クノ外呼出状ヲ送達ヲ受クヘキ者ノ住所、居所其ノ他送達ヲ為スヘキ場所ニ宛テ発シ タル時ニ於テ其ノ送達アリタルモノト看做ス 第百九十四条 判決ニ違算、書損其ノ他之ニ類スル明白ナル誤謬アルトキハ裁判所ハ何時ニテモ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ更正決定ヲ為スコトヲ得 2 更正決定ハ判決ノ原本及正本ニ之ヲ附記スルコトヲ要ス但シ正本ニ附記スルコト能ハサルトキハ決定ノ正本ヲ作リ之ヲ当事者ニ送達スルコトヲ要ス 3 更正決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得但シ判決ニ対シ適法ノ控訴アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス 第百九十五条 裁判所カ請求ノ一部ニ付裁判ヲ脱漏シタルトキハ訴訟ハ其ノ請求ノ部分ニ付仍裁判所ニ繋属ス 2 訴訟費用ノ裁判ヲ脱漏シタル場合ニ於テハ裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ其ノ訴訟費用ニ付裁判ヲ為ス此ノ場合ニ於テハ第百四条ノ規定ヲ準用 ス 3 前項ノ規定ニ依ル訴訟費用ノ裁判ハ本案判決ニ対シ適法ノ控訴アリタルトキハ其ノ効力ヲ失フ此ノ場合ニ於テハ控訴裁判所ハ訴訟ノ総費用ニ付裁判 ヲ為ス 第百九十六条 財産権上ノ請求ニ関スル判決ニ付テハ裁判所ハ必要アリト認ムルトキハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ担保ヲ供シ又ハ供セスシテ仮執行ヲ 為スコトヲ得ヘキコトヲ宣言スルコトヲ得 2 手形又ハ小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及之ニ附帯スル法定利率ニ依ル損害賠償ノ請求ニ関スル判決ニ付テハ裁判所ハ職権ヲ以テ担保ヲ供セズシテ 仮執行ヲ為スコトヲ得ベキコトヲ宣言スルコトヲ要ス但シ裁判所相当ト認ムルトキハ仮執行ヲ担保ノ提供ニ繋ラシムルコトヲ得 3 裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ担保ヲ供シテ仮執行ヲ免ルルコトヲ得ヘキコトヲ宣言スルコトヲ得 4 前三項ノ宣言ハ判決主文ニ之ヲ掲クルコトヲ要ス 第百九十六条ノ二 仮執行ノ宣言ノ申立ニ付裁判ヲ為サザリシトキ又ハ職権ヲ以テ仮執行ノ宣言ヲ為スベキ場合ニ於テ之ヲ為サザリシトキハ裁判所ハ 申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ補充ノ決定ヲ為ス前条第三項ノ申立ニ付裁判ヲ為サザリシトキ亦同ジ 2 第百九十四条第二項ノ規定ハ前項ノ決定ニ之ヲ準用ス 2 第百九十四条第二項ノ規定ハ前項ノ決定ニ之ヲ準用ス 第百九十七条 第百十二条、第百十三条、第百十五条及第百十六条ノ規定ハ第百九十六条ノ担保ニ之ヲ準用ス 第百九十八条 仮執行ノ宣言ハ其ノ宣言又ハ本案判決ヲ変更スル判決ノ言渡ニ因リ変更ノ限度ニ於テ其ノ効力ヲ失フ 2 本案判決ヲ変更スル場合ニ於テハ裁判所ハ被告ノ申立ニ因リ其ノ判決ニ於テ仮執行ノ宣言ニ基キ被告カ給付シタルモノノ返還及仮執行ニ因リ又ハ之 ヲ免ルル為被告ノ受ケタル損害ノ賠償ヲ原告ニ命スルコトヲ要ス 3 仮執行ノ宣言ノミヲ変更シタルトキハ後ニ本案判決ヲ変更スル判決ニ付前項ノ規定ヲ適用ス 第百九十九条 確定判決ハ主文ニ包含スルモノニ限リ既判力ヲ有ス 2 相殺ノ為主張シタル請求ノ成立又ハ不成立ノ判断ハ相殺ヲ以テ対抗シタル額ニ付既判力ヲ有ス 第二百条 外国裁判所ノ確定判決ハ左ノ条件ヲ具備スル場合ニ限リ其ノ効力ヲ有ス 一 法令又ハ条約ニ於テ外国裁判所ノ裁判権ヲ否認セサルコト 二 敗訴ノ被告カ日本人ナル場合ニ於テ公示送達ニ依ラスシテ訴訟ノ開始ニ必要ナル呼出若ハ命令ノ送達ヲ受ケタルコト又ハ之ヲ受ケサルモ応訴シ タルコト 三 外国裁判所ノ判決カ日本ニ於ケル公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反セサルコト 四 相互ノ保証アルコト 第二百一条 確定判決ハ当事者、口頭弁論終結後ノ承継人又ハ其ノ者ノ為請求ノ目的物ヲ所持スル者ニ対シテ其ノ効力ヲ有ス 2 他人ノ為原告又ハ被告ト為リタル者ニ対スル確定判決ハ其ノ他人ニ対シテモ効力ヲ有ス 3 前二項ノ規定ハ仮執行ノ宣言ニ之ヲ準用ス 第二百二条 不適法ナル訴ニシテ其ノ欠缺カ補正スルコト能ハサルモノナル場合ニ於テハ口頭弁論ヲ経スシテ判決ヲ以テ之ヲ却下スルコトヲ得 第二百三条 和解又ハ請求ノ抛棄若ハ認諾ヲ調書ニ記載シタルトキハ其ノ記載ハ確定判決ト同一ノ効力ヲ有ス 第二百四条 決定及命令ハ相当ト認ムル方法ヲ以テ之ヲ告知スルニ因リテ其ノ効力ヲ生ス 2 裁判所書記官ハ告知ノ方法、場所及年月日ヲ裁判ノ原本ニ附記シ之ニ捺印スルコトヲ要ス 第二百五条 訴訟ノ指揮ニ関スル決定及命令ハ何時ニテモ之ヲ取消スコトヲ得 第二百六条 裁判所書記官ノ処分ニ対スル異議ニ付テハ其ノ裁判所書記官所属ノ裁判所決定ヲ以テ裁判ヲ為ス 第二百七条 決定及命令ニハ其ノ性質ニ反セサル限リ判決ニ関スル規定ヲ準用ス但シ署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得 第二百七条ノ二 判決以外ノ裁判ハ判事補単独ニテ之ヲ為スコトヲ得

第五節 訴訟手続ノ中断及中止

第二百八条 当事者カ死亡シタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ相続人、相続財産管理人其ノ他法令ニ依リ訴訟ヲ続行スヘキ者ハ訴訟手続 ヲ受継クコトヲ要ス 2 相続人ハ相続ノ抛棄ヲ為スコトヲ得ル間ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ得ス 第二百九条 当事者タル法人カ合併ニ因リテ消滅シタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ合併ニ因リテ設立シタル法人又ハ合併後存続スル法 人ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス 2 前項ノ規定ハ合併ヲ以テ相手方ニ対抗スルコトヲ得サル場合ニハ之ヲ適用セス 第二百十条 当事者カ訴訟能力ヲ失ヒタルトキ又ハ其ノ法定代理人カ死亡シ若ハ代理権ヲ失ヒタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ法定代理 人又ハ訴訟能力ヲ有スルニ至リタル当事者ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス 第二百十一条 受託者ノ信託ノ任務終了シタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ新受託者訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス 第二百十二条 一定ノ資格ヲ有スル者カ自己ノ名ヲ以テ他人ノ為訴訟ノ当事者タル場合ニ於テ其ノ資格ヲ喪失シタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合 ニ於テハ同一ノ資格ヲ有スル者訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス当事者ノ死亡ニ因リ訴訟手続カ中断シタル場合亦同シ 2 第四十七条ノ規定ニ依リテ原告又ハ被告ト為ルヘキ者ヲ選定シタル訴訟ニ於テ其ノ選定セラレタル当事者ノ全員カ其ノ資格ヲ喪失シタルトキハ訴訟 手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ選定ヲ為シタル者ノ総員又ハ新ニ原告若ハ被告トシテ選定セラレタル者ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス 第二百十三条 第二百八条第一項、第二百九条第一項及第二百十条乃至前条ノ規定ハ訴訟代理人アル間ハ之ヲ適用セス 第二百十四条 当事者カ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキハ破産財団ニ関スル訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テ破産法ニ依ル受継アル迄ニ破産手続ノ解止ア リタルトキハ破産者ハ当然訴訟手続ヲ受継ス 第二百十五条 破産法ニ依リテ破産財団ニ関スル訴訟手続ノ受継アリタル後破産手続ノ解止アリタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ破産者 ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス 第二百十六条 訴訟手続ノ受継ハ相手方ニ於テモ亦之ヲ為スコトヲ得 第二百十七条 訴訟手続受継ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ之ヲ相手方ニ通知スルコトヲ要ス 第二百十八条 訴訟手続受継ノ申立ハ裁判所職権ヲ以テ之ヲ調査シ理由ナシト認メタルトキハ決定ヲ以テ之ヲ却下スルコトヲ要ス 2 裁判ノ送達後中断シタル訴訟手続ノ受継ニ付テハ其ノ裁判ヲ為シタル裁判所裁判ヲ為スコトヲ要ス 第二百十九条 裁判所ハ当事者カ訴訟手続ノ受継ヲ為ササル場合ニ於テモ職権ヲ以テ其ノ続行ヲ命スルコトヲ得 第二百二十条 天災其ノ他ノ事故ニ因リテ裁判所カ職務ヲ行フコト能ハサルトキハ訴訟手続ハ其ノ事故ノ止ム迄中止ス 第二百二十一条 当事者カ不定期間ノ故障ニ因リ訴訟手続ヲ続行スルコト能ハサルトキハ裁判所ハ決定ヲ以テ其ノ中止ヲ命スルコトヲ得 2 裁判所ハ前項ノ決定ヲ取消スコトヲ得 第二百二十二条 判決ノ言渡ハ訴訟手続ノ中断中ト雖之ヲ為スコトヲ得 2 訴訟手続ノ中断又ハ中止ハ期間ノ進行ヲ止メ訴訟手続ノ受継ノ通知又ハ続行ノ時ヨリ更ニ全期間ノ進行ヲ始ム

第二編 第一審ノ訴訟手続

第一章 訴

第二百二十三条 訴ノ提起ハ訴状ヲ裁判所ニ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス 第二百二十四条 訴状ニハ当事者、法定代理人並請求ノ趣旨及原因ヲ記載スルコトヲ要ス 2 準備書面ニ関スル規定ハ訴状ニ之ヲ準用ス 第二百二十五条 確認ノ訴ハ法律関係ヲ証スル書面ノ真否ヲ確定スル為ニモ之ヲ提起スルコトヲ得 第二百二十六条 将来ノ給付ヲ求ムル訴ハ予メ其ノ請求ヲ為ス必要アル場合ニ限リ之ヲ提起スルコトヲ得 第二百二十七条 数個ノ請求ハ同種ノ訴訟手続ニ依ル場合ニ限リ一ノ訴ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得 第二百二十八条 訴状カ第二百二十四条第一項ノ規定ニ違背スル場合ニ於テハ裁判長ハ相当ノ期間ヲ定メ其ノ期間内ニ欠缺ヲ補正スヘキコトヲ命スル コトヲ要ス法律ノ規定ニ従ヒ訴ノ提起ノ手数料ヲ納付セザル場合亦同シ 2 原告カ欠缺ノ補正ヲ為ササルトキハ裁判長ハ命令ヲ以テ訴状ヲ却下スルコトヲ要ス 3 前項ノ命令ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 4 抗告状ニハ却下セラレタル訴状ヲ添附スルコトヲ要ス 第二百二十九条 訴状ハ之ヲ被告ニ送達スルコトヲ要ス 2 前条ノ規定ハ訴状ノ送達ヲ為スコト能ハサル場合ニ之ヲ準用ス 第二百三十条 訴ノ提起アリタルトキハ裁判長ハ口頭弁論ノ期日ヲ定メ当事者ヲ呼出スコトヲ要ス 第二百三十一条 裁判所ニ繋属スル事件ニ付テハ当事者ハ更ニ訴ヲ提起スルコトヲ得ス 第二百三十二条 原告ハ請求ノ基礎ニ変更ナキ限リ口頭弁論ノ終結ニ至ル迄請求又ハ請求ノ原因ヲ変更スルコトヲ得但シ之ニ因リ著ク訴訟手続ヲ遅滞 セシムヘキ場合ハ此ノ限ニ在ラス 2 請求ノ変更ハ書面ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 3 前項ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 第二百三十三条 裁判所カ請求又ハ請求ノ原因ノ変更ヲ不当ナリト認ムルトキハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ其ノ変更ヲ許ササル旨ノ決定ヲ為スコトヲ 要ス 第二百三十四条 裁判カ訴訟ノ進行中ニ争ト為リタル法律関係ノ成立又ハ不成立ニ繋ルトキハ当事者ハ請求ヲ拡張シテ其ノ法律関係ノ確認ノ判決ヲ求 ムルコトヲ得但シ其ノ確認ノ請求カ他ノ裁判所ノ管轄ニ専属セサルトキニ限ル 2 前項ノ規定ニ依ル請求ノ拡張ハ書面ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 3 前項ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 第二百三十五条 時効ノ中断又ハ法律上ノ期間遵守ノ為必要ナル裁判上ノ請求ハ訴ヲ提起シタル時又ハ第二百三十二条第二項若ハ前条第二項ノ規定ニ 依リ書面ヲ裁判所ニ提出シタル時ニ於テ其ノ効力ヲ生ス 第二百三十六条 訴ハ判決ノ確定ニ至ル迄其ノ全部又ハ一部ヲ取下クルコトヲ得 2 訴ノ取下ハ相手方カ本案ニ付準備書面ヲ提出シ、準備手続ニ於テ申述ヲ為シ又ハ口頭弁論ヲ為シタル後ニ在リテハ相手方ノ同意ヲ得ルニ非サレハ其 ノ効力ヲ生セス 3 訴ノ取下ハ書面ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス但シ口頭弁論ニ於テ又ハ準備手続中準備手続ヲ為ス裁判官ノ面前ニ於テ口頭ヲ以テ之ヲ為スコトヲ妨ケ ス 4 訴状送達ノ後ニ在リテハ取下ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 5 第三項但書ノ場合ニ於テ相手方カ期日ニ出頭セサルトキハ口頭弁論又ハ準備手続ノ調書ノ謄本ヲ之ニ送達スルコトヲ要ス 6 訴ノ取下ノ書面ノ送達アリタル日ヨリ三月内ニ相手方カ異議ヲ述ヘサルトキハ訴ノ取下ニ同意シタルモノト看做ス第三項但書ノ場合ニ於テ相手方カ 期日ニ出頭シタル場合ニ於テハ訴ノ取下アリタル日ヨリ、相手方カ期日ニ出頭セサル場合ニ於テハ前項ノ謄本ノ送達アリタル日ヨリ三月内ニ相手方 カ異議ヲ述ヘサルトキ亦同シ 第二百三十七条 訴訟ハ訴ノ取下アリタル部分ニ付テハ初ヨリ繋属ナカリシモノト看做ス 2 本案ニ付終局判決アリタル後訴ヲ取下ケタル者ハ同一ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ス 第二百三十八条 当事者双方カ口頭弁論ノ期日ニ出頭セス又ハ弁論ヲ為サスシテ退廷シタル場合ニ於テ三月内ニ期日指定ノ申立ヲ為ササルトキハ訴ノ 取下アリタルモノト看做ス 第二百三十九条 被告ハ口頭弁論ノ終結ニ至ル迄本訴ノ繋属スル裁判所ニ反訴ヲ提起スルコトヲ得但シ其ノ目的タル請求カ他ノ裁判所ノ管轄ニ専属セ サルトキ及本訴ノ目的タル請求又ハ防禦ノ方法ト牽連スルトキニ限ル 第二百四十条 反訴ニ付テハ本訴ニ関スル規定ニ依ル 第二百四十一条 本訴ノ取下アリタルトキハ被告ハ原告ノ同意ヲ得スシテ反訴ヲ取下クルコトヲ得

第二章 弁論及其ノ準備

第二百四十二条 口頭弁論ハ書面ヲ以テ之ヲ準備スルコトヲ要ス 第二百四十三条 準備書面ハ之ニ記載シタル事項ニ付相手方カ準備ヲ為スニ必要ナル期間ヲ存シ之ヲ裁判所ニ提出シ裁判所ハ之ヲ相手方ニ送達スルコ トヲ要ス 2 裁判長ハ準備書面ヲ提出スヘキ期間ヲ定ムルコトヲ得 第二百四十四条 準備書面ニハ左ノ事項ヲ記載シ当事者又ハ代理人之ニ署名捺印スルコトヲ要ス但シ署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得 一 当事者ノ氏名、名称又ハ商号、職業及住所 二 代理人ノ氏名、職業及住所 三 事件ノ表示 四 攻撃又ハ防禦ノ方法 五 相手方ノ請求及攻撃又ハ防禦ノ方法ニ対スル陳述 六 附属書類ノ表示 七 年月日 八 裁判所ノ表示 第二百四十五条 当事者ノ所持スル文書ニシテ準備書面ニ引用シタルモノハ準備書面ノ各通ニ其ノ謄本ヲ添附スルコトヲ要ス 2 文書ノ一部ノミヲ必要トスルトキハ其ノ抄本ヲ添附シ文書カ大部ナルトキハ其ノ文書ヲ表示スルヲ以テ足ル 第二百四十六条 前条ノ文書ハ相手方ノ求ニ因リ其ノ原本ヲ閲覧セシムルコトヲ要ス 第二百四十七条 準備書面ニ記載セサル事実ハ相手方カ在廷セサルトキハ口頭弁論ニ於テ之ヲ主張スルコトヲ得ス 第二百四十八条 外国語ヲ以テ作リタル文書ニハ其ノ訳文ヲ添附スルコトヲ要ス 第二百四十九条 裁判所ハ口頭弁論ノ準備手続ヲ為スコトヲ得 第二百五十条 準備手続ノ調書ニハ当事者ノ陳述ニ基キ第二百四十四条第四号及第五号ニ掲クル事項ヲ記載シ殊ニ証拠ニ付テハ其ノ申出ヲ明確ニスル コトヲ要ス 2 準備手続ヲ為ス裁判官相当ト認ムルトキハ準備書面ヲ以テ前項ノ陳述及調書ニ代フルコトヲ得 第二百五十一条 当事者ノ一方カ期日ニ出頭セサルトキハ前条ノ調書ノ謄本ヲ之ニ送達シ新期日ヲ定メ当事者双方ヲ呼出スコトヲ得 第二百五十二条 準備手続ヲ為ス裁判官ハ当事者ヲシテ準備書面ヲ提出セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第二百四十三条ノ規定ヲ準用ス 第二百五十三条 当事者カ期日ニ出頭セス又ハ前条ノ規定ニ依リ準備手続ヲ為ス裁判官ノ定メタル期間内ニ準備書面ヲ提出セサルトキハ準備手続ヲ為 ス裁判官ハ準備手続ヲ終結スルコトヲ得 第二百五十四条 当事者ハ口頭弁論ニ於テ準備手続ノ結果ヲ陳述スルコトヲ要ス 第二百五十五条 調書又ハ之ニ代ルヘキ準備書面ニ記載セサル事項ハ口頭弁論ニ於テ之ヲ主張スルコトヲ得ス但シ其ノ事項カ裁判所職権ヲ以テ調査ス ヘキモノナルトキ、著ク訴訟ヲ遅滞セシメサルトキ又ハ重大ナル過失ナクシテ準備手続ニ於テ之ヲ提出スルコト能ハサリシコトヲ疏明シタルトキハ 此ノ限ニ在ラス 2 前項但書ノ規定ハ第二百四十七条ノ規定ノ適用ヲ妨ケス 3 訴状又ハ準備手続前ニ提出シタル準備書面ニ記載シタル事項ハ調書又ハ之ニ代ルヘキ準備書面ニ記載セサルモノト雖口頭弁論ニ於テ之ヲ主張スルコ トヲ妨ケス 第二百五十六条 第百二十六条乃至第百二十九条、第百三十一条、第百三十三条乃至第百四十八条及第二百三十八条ノ規定ハ準備手続ニ之ヲ準用ス

第三章 証拠

第一節 総則

第二百五十七条 裁判所ニ於テ当事者カ自白シタル事実及顕著ナル事実ハ之ヲ証スルコトヲ要セス 第二百五十八条 証拠ノ申出ハ証スヘキ事実ヲ表示シテ之ヲ為スコトヲ要ス 2 証拠ノ申出ハ期日前ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得 第二百五十九条 当事者ノ申出テタル証拠ニシテ裁判所ニ於テ不必要ト認ムルモノハ之ヲ取調フルコトヲ要セス 第二百六十条 証拠調ニ付不定期間ノ障碍アルトキハ裁判所ハ証拠調ヲ為ササルコトヲ得 第二百六十一条 削除 第二百六十二条 裁判所ハ必要ナル調査ヲ官庁若ハ公署、外国ノ官庁若ハ公署又ハ学校、商業会議所、取引所其ノ他ノ団体ニ嘱託スルコトヲ得 第二百六十三条 証拠調ハ当事者カ期日ニ出頭セサル場合ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得 第二百六十四条 外国ニ於テ為スヘキ証拠調ハ其ノ国ノ管轄官庁又ハ其ノ国ニ駐在スル日本ノ大使、公使若ハ領事ニ之ヲ嘱託シテ為スコトヲ要ス 2 外国ニ於テ為シタル証拠調ハ其ノ国ノ法律ニ違背スルモ本法ニ違背セサルトキハ其ノ効力ヲ有ス 第二百六十五条 裁判所ハ相当ト認ムルトキハ裁判所外ニ於テ証拠調ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ合議体ノ構成員ニ命シ又ハ地方裁判所若ハ簡易 裁判所ニ嘱託シテ証拠調ヲ為サシムルコトヲ得 2 受託裁判官カ他ノ地方裁判所又ハ簡易裁判所ニ於テ証拠調ヲ為スコトヲ相当ト認ムルトキハ更ニ証拠調ノ嘱託ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ 旨ヲ受訴裁判所及当事者ニ通知スルコトヲ要ス 第二百六十六条 受託裁判官ハ証拠調ニ関スル記録ヲ受訴裁判所ニ送付スルコトヲ要ス 第二百六十七条 疏明ハ即時ニ取調フルコトヲ得ヘキ証拠ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 2 裁判所ハ当事者若ハ法定代理人ヲシテ保証金ヲ供託セシメ又ハ其ノ主張ノ真実ナルコトヲ宣誓セシメ之ヲ以テ疏明ニ代フルコトヲ得 3 第二百八十六条乃至第二百八十九条ノ規定ハ前項ノ宣誓ニ之ヲ準用ス 第二百六十八条 前条第二項ノ規定ニ依リテ保証金ノ供託ヲ為シタル当事者又ハ法定代理人カ虚偽ノ申述ヲ為シタルトキハ裁判所決定ヲ以テ保証金ヲ 没取ス 第二百六十九条 第二百六十七条第二項ノ規定ニ依リテ宣誓ヲ為シタル当事者又ハ法定代理人カ虚偽ノ申述ヲ為シタルトキハ宣誓ヲ為サシメタル裁判 所決定ヲ以テ五千円以下ノ過料ニ処ス 第二百七十条 第二百六十八条及前条ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得

第二節 証人訊問

第二百七十一条 裁判所ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外何人ト雖証人トシテ之ヲ訊問スルコトヲ得 第二百七十二条 官吏又ハ官吏タリシ者ヲ証人トシテ職務上ノ秘密ニ付訊問スル場合ニ於テハ裁判所ハ当該監督官庁ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス 2 前項ノ規定ハ他ノ公務員ニ付之ヲ準用ス 第二百七十三条 内閣総理大臣其ノ他ノ国務大臣又ハ其ノ職ニ在リタル者ヲ証人トシテ職務上ノ秘密ニ付訊問スル場合ニ於テハ裁判所ハ内閣ノ承認ヲ 得ルコトヲ要ス 第二百七十四条 衆議院若ハ参議院ノ議員又ハ議員タリシ者ヲ証人トシテ職務上ノ秘密ニ付訊問スル場合ニ於テハ裁判所ハ其ノ院ノ承認ヲ得ルコトヲ 要ス 第二百七十五条 証人訊問ノ申出ハ証人ヲ指定シテ之ヲ為スコトヲ要ス 第二百七十六条 証人ノ呼出状ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス 一 当事者ノ表示 二 訊問事項ノ要領 三 出頭セサル場合ニ於ケル法律上ノ制裁 第二百七十七条 証人カ正当ノ事由ナクシテ出頭セサルトキハ裁判所ハ決定ヲ以テ之ニ因リテ生シタル訴訟費用ノ負担ヲ命シ且五千円以下ノ過料ニ処 ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第二百七十七条ノ二 証人カ正当ノ事由ナクシテ出頭セサルトキハ五千円以下ノ罰金又ハ拘留ニ処ス 2 前項ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情状ニ因リ罰金及拘留ヲ併科スルコトヲ得 第二百七十八条 裁判所ハ正当ノ事由ナクシテ出頭セサル証人ノ勾引ヲ命スルコトヲ得 2 前項ノ勾引ニハ刑事訴訟法中勾引ニ関スル規定ヲ準用ス 第二百七十九条 左ノ場合ニ於テハ受命裁判官又ハ受託裁判官ヲシテ証人ノ訊問ヲ為サシムルコトヲ得 一 証人カ受訴裁判所ニ出頭スル義務ナキトキ又ハ正当ノ事由ニ因リ出頭スルコト能ハサルトキ 二 証人カ受訴裁判所ニ出頭スルニ付不相当ノ費用又ハ時間ヲ要スルトキ 第二百八十条 証言カ証人又ハ左ニ掲クル者ノ刑事上ノ訴追又ハ処罰ヲ招ク虞アル事項ニ関スルトキハ証人ハ証言ヲ拒ムコトヲ得証言カ此等ノ者ノ恥 辱ニ帰スヘキ事項ニ関スルトキ亦同シ 一 証人ノ配偶者、四親等内ノ血族若ハ三親等内ノ姻族又ハ証人ト此等ノ親族関係アリタル者 二 証人ノ後見人又ハ証人ノ後見ヲ受クル者 三 証人カ主人トシテ仕フル者 第二百八十一条 左ノ場合ニ於テハ証人ハ証言ヲ拒ムコトヲ得 一 第二百七十二条乃至第二百七十四条ノ場合 二 医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教又ハ祷祀ノ職ニ在ル者又ハ此等ノ職ニ在リタル者カ職務上知 リタル事実ニシテ黙秘スヘキモノニ付訊問ヲ受クルトキ 三 技術又ハ職業ノ秘密ニ関スル事項ニ付訊問ヲ受クルトキ 2 前項ノ規定ハ証人カ黙秘ノ義務ヲ免セラレタル場合ニハ之ヲ適用セス 第二百八十二条 証言拒絶ノ理由ハ之ヲ疏明スルコトヲ要ス 第二百八十三条 第二百八十一条第一項第一号ノ場合ヲ除クノ外証言拒絶ノ当否ニ付テハ受訴裁判所当事者ヲ審訊シテ裁判ヲ為ス 2 証言拒絶ニ関スル裁判ニ対シテハ当事者及証人ハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第二百八十四条 証言拒絶ヲ理由ナシトスル裁判確定シタル後証人カ故ナク証言ヲ拒ムトキハ第二百七十七条及第二百七十七条ノ二ノ規定ヲ準用ス 第二百八十五条 裁判長ハ証人ヲシテ訊問前宣誓ヲ為サシムルコトヲ要ス但シ特別ノ事由アルトキハ訊問後之ヲ為サシムルコトヲ得 第二百八十六条 宣誓ハ起立シテ厳粛ニ之ヲ行フコトヲ要ス 第二百八十七条 裁判長ハ宣誓前宣誓ノ趣旨ヲ諭示シ且偽証ノ罰ヲ警告スルコトヲ要ス 第二百八十八条 宣誓ハ証人ヲシテ宣誓書ヲ朗読セシメ且之ニ署名捺印セシメテ之ヲ為ス証人宣誓書ヲ朗読スルコト能ハサルトキハ裁判長代リテ之ヲ 朗読ス 2 宣誓書ニハ良心ニ従ヒ真実ヲ述ヘ何事ヲモ黙秘セス又何事ヲモ附加セサルコトヲ誓フ旨ヲ記載スルコトヲ要ス 第二百八十九条 左ニ掲クル者ヲ証人トシテ訊問スルニハ宣誓ヲ為サシムルコトヲ得ス 一 十六年未満ノ者 二 宣誓ノ趣旨ヲ理解スルコト能ハサル者 第二百九十条 第二百八十条ノ規定ニ該当スル証人ニシテ証言拒絶ノ権利ヲ行ハサル者ヲ訊問スルニハ宣誓ヲ為サシメサルコトヲ得 第二百九十一条 証人カ自己又ハ第二百八十条ニ掲クル者ニ著キ利害関係アル事項ニ付訊問ヲ受クルトキハ宣誓ヲ拒ムコトヲ得 第二百九十二条 宣誓ヲ為サシメスシテ証人ヲ訊問シタルトキハ其ノ旨及事由ヲ調書ニ記載スルコトヲ要ス 第二百九十三条 第二百七十七条、第二百七十七条ノ二、第二百八十二条及第二百八十三条ノ規定ハ証人カ宣誓ヲ拒ム場合ニ之ヲ準用ス 第二百九十四条 証人ハ其ノ訊問ノ申出ヲ為シタル当事者先ツ之ヲ訊問シ其ノ訊問ノ終リタル後他ノ当事者之ヲ訊問スルコトヲ得 2 裁判長ハ当事者ノ訊問ノ終リタル後証人ヲ訊問スルコトヲ得 3 裁判長ハ必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ自ラ訊問シ又ハ当事者ノ訊問ヲ許スコトヲ得 4 当事者ノ訊問カ既ニ為シタル訊問ト重複スルトキ、争点ニ関係ナキ事項ニ亘ルトキ其ノ他特ニ必要アリト認ムルトキハ裁判長ハ之ヲ制限スルコトヲ 得 5 陪席裁判官ハ裁判長ニ告ケ証人ヲ訊問スルコトヲ得 第二百九十五条 当事者ハ前条ノ規定ニ依ル訊問ノ許否又ハ制限ニ付異議ヲ述フルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ裁判所異議ニ付裁判ヲ為ス 第二百九十六条 裁判長ハ必要アリト認ムルトキハ証人相互ノ対質ヲ命スルコトヲ得 第二百九十七条 裁判長ハ必要アリト認ムルトキハ証人ヲシテ文字ノ手記其ノ他必要ナル行為ヲ為サシムルコトヲ得 第二百九十八条 裁判長ハ必要アリト認ムルトキハ後ニ訊問スヘキ証人ニ在廷ヲ許スコトヲ得 第二百九十九条 証人ハ書類ニ依リテ陳述ヲ為スコトヲ得ス但シ裁判長ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラス 第三百条 受命裁判官又ハ受託裁判官カ証人訊問ヲ為ス場合ニ於テハ裁判所及裁判長ノ職務ハ其ノ裁判官之ヲ行フ但シ第二百九十五条ノ規定ニ依ル異 議ノ裁判ハ受訴裁判所之ヲ為ス

第三節 鑑定

第三百一条 鑑定ニハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外前節ノ規定ヲ準用ス 第三百二条 鑑定ニ必要ナル学識経験アル者ハ鑑定ヲ為ス義務ヲ負フ 2 第二百八十条又ハ第二百九十一条ノ規定ニ依リテ証言又ハ宣誓ヲ拒ミ得ル者ト同一ノ地位ニ在ル者及第二百八十九条ニ掲クル者ハ鑑定人タルコトヲ 得ス 第三百三条 鑑定人ハ之ヲ勾引スルコトヲ得ス 第三百四条 鑑定人ハ受訴裁判所、受命裁判官又ハ受託裁判官之ヲ指定ス 第三百五条 鑑定人ニ付誠実ニ鑑定ヲ為スコトヲ妨クヘキ事情アルトキハ当事者ハ其ノ鑑定人カ鑑定事項ニ付陳述ヲ為ス前之ヲ忌避スルコトヲ得陳述 ヲ為シタルトキト雖其ノ後ニ忌避ノ原因ヲ生シ又ハ当事者カ其ノ原因アルコトヲ知リタルトキ亦同シ 第三百六条 忌避ノ申立ハ受訴裁判所、受命裁判官又ハ受託裁判官ニ之ヲ為スコトヲ要ス 2 忌避ノ事由ハ之ヲ疏明スルコトヲ要ス 3 忌避ヲ理由アリトスル決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス之ヲ理由ナシトスル決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第三百七条 宣誓書ニハ良心ニ従ヒ誠実ニ鑑定ヲ為スコトヲ誓フ旨ヲ記載スルコトヲ要ス 第三百八条 裁判長ハ鑑定人ヲシテ書面又ハ口頭ヲ以テ共同ニテ又ハ各別ニ意見ヲ述ヘシムルコトヲ得 第三百九条 特別ノ学識経験ニ依リテ知リ得タル事実ニ関スル訊問ニ付テハ証人訊問ニ関スル規定ニ依ル 第三百十条 裁判所必要アリト認ムルトキハ官庁若ハ公署、外国ノ官庁若ハ公署又ハ相当ノ設備アル法人ニ鑑定ヲ嘱託スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ 宣誓ニ関スル規定ヲ除クノ外本節ノ規定ヲ準用ス 2 前項ノ場合ニ於テ裁判所必要アリト認ムルトキハ官庁、公署又ハ法人ノ指定シタル者ヲシテ鑑定書ノ説明ヲ為サシムルコトヲ得

第四節 書証

第三百十一条 書証ノ申出ハ文書ヲ提出シ又ハ之ヲ所持スル者ニ其ノ提出ヲ命セムコトヲ申立テ之ヲ為スコトヲ要ス 第三百十二条 左ノ場合ニ於テハ文書ノ所持者ハ其ノ提出ヲ拒ムコトヲ得ス 一 当事者カ訴訟ニ於テ引用シタル文書ヲ自ラ所持スルトキ 二 挙証者カ文書ノ所持者ニ対シ其ノ引渡又ハ閲覧ヲ求ムルコトヲ得ルトキ 三 文書カ挙証者ノ利益ノ為ニ作成セラレ又ハ挙証者ト文書ノ所持者トノ間ノ法律関係ニ付作成セラレタルトキ 第三百十三条 文書提出ノ申立ニハ左ノ事項ヲ明ニスルコトヲ要ス 一 文書ノ表示 二 文書ノ趣旨 三 文書ノ所持者 四 証スヘキ事実 五 文書提出ノ義務ノ原因 第三百十四条 裁判所カ文書提出ノ申立ヲ理由アリト認メタルトキハ決定ヲ以テ文書ノ所持者ニ対シ其ノ提出ヲ命ス 2 第三者ニ対シ文書ノ提出ヲ命スル場合ニ於テハ其ノ第三者ヲ審訊スルコトヲ要ス 第三百十五条 文書提出ノ申立ニ関スル決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第三百十六条 当事者カ文書提出ノ命ニ従ハサルトキハ裁判所ハ文書ニ関スル相手方ノ主張ヲ真実ト認ムルコトヲ得 第三百十七条 当事者カ相手方ノ使用ヲ妨クル目的ヲ以テ提出ノ義務アル文書ヲ毀滅シ其ノ他之ヲ使用スルコト能ハサルニ至ラシメタルトキハ裁判所 ハ其ノ文書ニ関スル相手方ノ主張ヲ真実ト認ムルコトヲ得 第三百十八条 第三者カ文書提出ノ命ニ従ハサルトキハ裁判所ハ決定ヲ以テ五千円以下ノ過料ニ処ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第三百十九条 書証ノ申出ハ第三百十一条ノ規定ニ拘ラス文書ノ所持者ニ其ノ文書ノ送付ヲ嘱託セムコトヲ申立テ之ヲ為スコトヲ得但シ当事者カ法令 ニ依リテ文書ノ正本又ハ謄本ノ交付ヲ求ムルコトヲ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラス 第三百二十条 裁判所ハ必要アリト認ムルトキハ提出又ハ送付ニ係ル文書ヲ留置クコトヲ得 第三百二十一条 第二百六十五条ノ規定ニ依リテ受命裁判官又ハ受託裁判官ヲシテ文書ニ付証拠調ヲ為サシムル場合ニ於テハ裁判所ハ受命裁判官又ハ 受託裁判官ノ調書ニ記載スヘキ事項ヲ定ムルコトヲ得 2 前項ノ調書ニハ文書ノ謄本又ハ抄本ヲ添附スルコトヲ要ス 第三百二十二条 文書ノ提出又ハ送付ハ原本、正本又ハ認証アル謄本ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス 2 裁判所ハ前項ノ規定ニ拘ラス原本ノ提出ヲ命シ又ハ送付ヲ為サシムルコトヲ得 3 裁判所ハ当事者ヲシテ其ノ引用シタル文書ノ謄本又ハ抄本ヲ提出セシムルコトヲ得 第三百二十三条 文書ハ其ノ方式及趣旨ニ依リ官吏其ノ他ノ公務員カ職務上作成シタルモノト認ムヘキトキハ之ヲ真正ナル公文書ト推定ス 2 公文書ノ真否ニ付疑アルトキハ裁判所ハ職権ヲ以テ当該官庁又ハ公署ニ問合ヲ為スコトヲ得 第三百二十四条 前条ノ規定ハ外国ノ官庁又ハ公署ノ作成ニ係ルモノト認ムヘキ文書ニ之ヲ準用ス 第三百二十五条 私文書ハ其ノ真正ナルコトヲ証スルコトヲ要ス 第三百二十六条 私文書ハ本人又ハ其ノ代理人ノ署名又ハ捺印アルトキハ之ヲ真正ナルモノト推定ス 第三百二十七条 文書ノ真否ハ筆跡又ハ印影ノ対照ニ依リテモ之ヲ証スルコトヲ得 第三百二十八条 第三百十一条、第三百十四条乃至第三百十七条及第三百十九条乃至第三百二十一条ノ規定ハ対照ノ用ニ供スヘキ筆跡又ハ印影ヲ具フ ル文書其ノ他ノ物件ノ提出又ハ送付ニ之ヲ準用ス 2 第三者カ正当ノ事由ナクシテ前項ノ規定ニ依ル提出ノ命ニ従ハサルトキハ裁判所ハ決定ヲ以テ五千円以下ノ過料ニ処ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告 ヲ為スコトヲ得 第三百二十九条 対照ニ適当ナル筆跡ナキトキハ裁判所ハ対照ノ用ニ供スヘキ文字ノ手記ヲ相手方ニ命スルコトヲ得 2 相手方カ正当ノ事由ナクシテ前項ノ規定ニ依ル裁判所ノ命ニ従ハサルトキハ裁判所ハ文書ノ真否ニ関スル挙証者ノ主張ヲ真実ト認ムルコトヲ得書様 ヲ変シテ手記シタルトキ亦同シ 第三百三十条 対照ノ用ニ供シタル書類ノ原本、謄本又ハ抄本ハ之ヲ調書ニ添附スルコトヲ要ス 第三百三十一条 当事者又ハ其ノ代理人カ故意又ハ重大ナル過失ニ因リ真実ニ反シテ文書ノ真正ヲ争ヒタルトキハ裁判所決定ヲ以テ五千円以下ノ過料 ニ処ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 2 前項ノ場合ニ於テ文書ノ真正ヲ争ヒタル当事者又ハ代理人カ訴訟ノ繋属中其ノ真正ナルコトヲ認メタルトキハ裁判所ハ事情ニ依リ前項ノ決定ヲ取消 スコトヲ得 第三百三十二条 本節ノ規定ハ証徴ノ為作リタル物件ニシテ文書ニ非サルモノニ之ヲ準用ス 第五節 検証 第三百三十三条 検証ノ申出ハ検証ノ目的ヲ表示シテ之ヲ為スコトヲ要ス 第三百三十四条 受命裁判官又ハ受託裁判官ハ検証ヲ為スニ当リ必要アリト認ムルトキハ鑑定ヲ命スルコトヲ得 第三百三十五条 第三百十一条、第三百十四条乃至第三百十七条及第三百十九条乃至第三百二十一条ノ規定ハ検証ノ目的ノ提示又ハ送付ニ之ヲ準用ス 2 第三者カ正当ノ事由ナクシテ前項ノ規定ニ依ル提示ノ命ニ従ハサルトキハ裁判所ハ決定ヲ以テ五千円以下ノ過料ニ処ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告 ヲ為スコトヲ得

第六節 当事者訊問

第三百三十六条 裁判所カ証拠調ニ依リテ心証ヲ得ルコト能ハサルトキハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ当事者本人ヲ訊問スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ 当事者ヲシテ宣誓ヲ為サシムルコトヲ得 第三百三十七条 裁判長必要アリト認ムルトキハ当事者相互又ハ当事者ト証人トノ対質ヲ命スルコトヲ得 第三百三十八条 当事者カ正当ノ事由ナクシテ呼出ニ応セス又ハ宣誓若ハ陳述ヲ拒ミタルトキハ裁判所ハ訊問事項ニ関スル相手方ノ主張ヲ真実ト認ム ルコトヲ得 第三百三十九条 宣誓シタル当事者カ虚偽ノ陳述ヲ為シタルトキハ裁判所決定ヲ以テ五千円以下ノ過料ニ処ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコト ヲ得 2 第三百三十一条第二項ノ規定ハ前項ノ決定ニ之ヲ準用ス 第三百四十条 当事者ヲ訊問シタルトキハ其ノ陳述及宣誓ヲ為サシメ又ハ為サシメサルコトヲ調書ニ記載スルコトヲ要ス 第三百四十一条 第三百三十六条乃至前条ノ規定ハ訴訟ニ於テ当事者ヲ代表スル法定代理人ニ之ヲ準用ス但シ当事者本人ヲ訊問スルコトヲ妨ケス 第三百四十二条 第二百七十六条、第二百七十九条、第二百八十五条乃至第二百八十九条、第二百九十四条、第二百九十五条、第二百九十七条、第二 百九十九条及第三百条ノ規定ハ本節ノ訊問ニ之ヲ準用ス 第七節 証拠保全 第三百四十三条 裁判所ハ予メ証拠調ヲ為スニ非サレハ其ノ証拠ヲ使用スルニ困難ナル事情アリト認ムルトキハ申立ニ因リ本章ノ規定ニ従ヒ証拠調ヲ 為スコトヲ得 第三百四十四条 証拠保全ノ申立ハ訴訟ノ繋属中ニ在リテハ其ノ証拠ヲ使用スヘキ審級ノ裁判所ニ、其ノ提起前ニ在リテハ訊問ヲ受クヘキ者若ハ文書 ヲ所持スル者ノ居所又ハ検証物ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所又ハ簡易裁判所ニ之ヲ為スコトヲ要ス 2 急迫ナル場合ニ於テハ訴ノ提起後ト雖前項ノ地方裁判所又ハ簡易裁判所ニ証拠保全ノ申立ヲ為スコトヲ得 第三百四十五条 証拠保全ノ申立ニハ左ノ事項ヲ明ニスルコトヲ要ス 一 相手方ノ表示 二 証スヘキ事実 三 証拠 四 証拠保全ノ事由 2 証拠保全ノ事由ハ之ヲ疏明スルコトヲ要ス 第三百四十六条 証拠保全ノ申立ハ相手方ヲ指定スルコト能ハサル場合ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ裁判所ハ相手方ト為ルヘキ者ノ為 ニ特別代理人ヲ選任スルコトヲ得 第三百四十七条 裁判所ハ必要アリト認ムルトキハ訴訟ノ繋属中職権ヲ以テ証拠保全ノ決定ヲ為スコトヲ得 第三百四十八条 証拠保全ノ決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス 第三百四十九条 証拠調ノ期日ニハ申立人及相手方ヲ呼出スコトヲ要ス但シ急速ヲ要スル場合ハ此ノ限ニ在ラス 第三百五十条 証拠保全ニ関スル記録ハ本訴訟ノ記録ノ存スル裁判所ニ之ヲ送付スルコトヲ要ス 第三百五十一条 証拠保全ニ関スル費用ハ訴訟費用ノ一部トス 第三百五十一条ノ二 証拠保全ノ手続ニ於テ訊問シタル証人ニ付当事者カ口頭弁論ニ於ケル訊問ノ申出ヲ為シタルトキハ裁判所ハ其ノ訊問ヲ為スコト ヲ要ス

第四章 簡易裁判所ノ訴訟手続ニ関スル特則

第三百五十二条 簡易裁判所ニ於テハ簡易ナル手続ニ依リ迅速ニ紛議ヲ解決スルモノトス 第三百五十三条 訴ハ口頭ヲ以テ之ヲ提起スルコトヲ得 第三百五十四条 当事者双方ハ任意ニ裁判所ニ出頭シ訴訟ニ付口頭弁論ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ訴ノ提起ハ口頭ノ陳述ニ依リテ之ヲ為ス 第三百五十五条 被告カ反訴ヲ以テ地方裁判所ノ管轄ニ属スル請求ヲ為シタル場合ニ於テ相手方ノ申立アルトキハ簡易裁判所ハ決定ヲ以テ本訴及反訴 ヲ地方裁判所ニ移送スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ第三十二条及第三十四条ノ規定ヲ準用ス 2 移送ノ決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス 第三百五十六条 民事上ノ争ニ付テハ当事者ハ請求ノ趣旨及原因並争ノ実情ヲ表示シテ相手方ノ普通裁判籍所在地ノ簡易裁判所ニ和解ノ申立ヲ為スコ トヲ得 2 和解調ヒタルトキハ之ヲ調書ニ記載スルコトヲ要ス 3 和解調ハサル場合ニ於テ裁判所ハ和解ノ期日ニ出頭シタル当事者双方ノ申立アルトキハ直ニ訴訟ノ弁論ヲ命ス此ノ場合ニ於テハ和解ノ申立ヲ為シタ ル者ハ其ノ申立ヲ為シタル時ニ於テ訴ヲ提起シタルモノト看做シ和解ノ費用ハ之ヲ訴訟費用ノ一部トス 4 申立人又ハ相手方カ和解ノ期日ニ出頭セサルトキハ裁判所ハ和解調ハサルモノト看做スコトヲ得 第三百五十六条ノ二 期日ニ於ケル呼出ハ第百五十四条ニ定ムル方法以外ノ相当ト認ムル方法ニ依リテ之ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ期日ニ出頭 セサル当事者、証人又ハ鑑定人ニ対シ法律上ノ制裁其ノ他期日ノ懈怠ニ因ル不利益ヲ帰スルコトヲ得ス 第三百五十七条 口頭弁論ハ書面ヲ以テ之ヲ準備スルコトヲ要セス 2 相手方カ準備ヲ為スニ非サレハ陳述ヲ為スコト能ハスト認ムヘキ事項ハ前項ノ規定ニ拘ラス書面ヲ以テ之ヲ準備スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ準 備書面ノ提出ニ代ヘ口頭弁論前直接ニ相手方ニ其ノ事項ヲ通知スルコトヲ得 3 第二百四十七条ノ規定ハ前項ノ通知ヲ為ササル場合ニ之ヲ準用ス 第三百五十八条 第百三十八条ノ規定ハ原告又ハ被告カ口頭弁論続行ノ期日ニ出頭セス又ハ出頭スルモ本案ノ弁論ヲ為ササル場合ニ之ヲ準用ス 第三百五十八条ノ二 調書ハ当事者ニ異議アル場合ヲ除クノ外裁判官ノ許可アルトキハ之ニ記載スヘキ事項ヲ省略スルコトヲ得 2 前項ノ規定ハ口頭弁論ノ方式ニ関スル規定ノ遵守並和解、認諾、抛棄、取下及自白ニ付テハ之ヲ適用セス 第三百五十八条ノ三 裁判所ハ相当ト認ムルトキハ証人又ハ鑑定人ノ訊問ニ代ヘ書面ノ提出ヲ為サシムルコトヲ得 第三百五十八条ノ四 裁判所ハ必要アリト認ムルトキハ和解ヲ試ミルニ付司法委員ヲシテ補助ヲ為サシメ又ハ司法委員ヲシテ審理ニ立会ハシメ事件ニ 付其ノ意見ヲ徴スルコトヲ得 第三百五十八条ノ五 司法委員ノ員数ハ各事件ニ付一人以上トス 2 司法委員ハ毎年予メ地方裁判所ノ選任シタル者ノ中ヨリ各事件ニ付裁判所之ヲ指定ス 3 前項ノ規定ニ依リ選任セラルル者ノ資格、員数其ノ他同項ノ選任ニ関シ必要ナル事項ハ最高裁判所之ヲ定ム 第三百五十八条ノ六 司法委員ニ対シテハ最高裁判所ノ定ムル額ノ旅費、日当及止宿料ヲ給ス 第三百五十九条 判決ニ事実及理由ヲ記載スルニハ請求ノ趣旨及原因ノ要旨、其ノ原因ノ有無並請求ヲ排斥スル理由タル抗弁ノ要旨ヲ表示スルヲ以テ 足ル

第三編 上訴

第一章 控訴

第三百六十条 控訴ハ地方裁判所カ第一審トシテ為シタル終局判決又ハ簡易裁判所ノ終局判決ニ対シテ之ヲ為スコトヲ得但シ終局判決後当事者双方共 ニ上告ヲ為ス権利ヲ留保シテ控訴ヲ為ササル旨ノ合意ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラス 2 第二十五条第二項ノ規定ハ前項ノ合意ニ之ヲ準用ス 第三百六十一条 訴訟費用ノ裁判ニ対シテハ独立シテ控訴ヲ為スコトヲ得ス 第三百六十二条 終局判決前ノ裁判ハ控訴裁判所ノ判断ヲ受ク但シ不服ヲ申立ツルコトヲ得サル裁判及抗告ヲ以テ不服ヲ申立ツルコトヲ得ル裁判ハ此 ノ限ニ在ラス 第三百六十三条 控訴ハ控訴審ノ終局判決アル迄之ヲ取下クルコトヲ得 2 第二百三十六条第三項乃至第五項、第二百三十七条第一項及第二百三十八条ノ規定ハ控訴ノ取下ニ之ヲ準用ス 第三百六十四条 控訴ヲ為ス権利ハ之ヲ抛棄スルコトヲ得 第三百六十五条 控訴権ノ抛棄ハ控訴提起前ニ在リテハ第一審裁判所、控訴提起後ニ在リテハ控訴裁判所ニ対スル申述ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 2 控訴提起後ノ控訴権ノ抛棄ハ控訴ノ取下ト共ニ之ヲ為スコトヲ要ス 3 控訴権抛棄ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 第三百六十六条 控訴ハ判決ノ送達アリタル日ヨリ二週間内ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス但シ其ノ期間前提起シタル控訴ノ効力ヲ妨ケス 2 前項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス 第三百六十七条 控訴ノ提起ハ控訴状ヲ第一審裁判所又ハ控訴裁判所ニ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス 2 控訴状ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス 一 当事者及法定代理人 二 第一審判決ノ表示及其ノ判決ニ対シ控訴ヲ為ス旨 第三百六十八条 準備書面ニ関スル規定ハ控訴状ニ之ヲ準用ス 第三百六十九条 第一審裁判所ニ控訴状ノ提出アリタルトキハ裁判所書記官ハ訴訟記録ニ控訴状ヲ添附シテ遅滞ナク之ヲ控訴裁判所ノ裁判所書記官ニ 送付スルコトヲ要ス 2 控訴裁判所ニ控訴状ノ提出アリタルトキハ裁判所書記官ハ遅滞ナク第一審裁判所ノ裁判所書記官ニ訴訟記録ノ送付ヲ求ムルコトヲ要ス 第三百七十条 第二百二十八条ノ規定ハ控訴状カ第三百六十七条第二項ノ規定ニ違背スル場合、法律ノ規定ニ従ヒ控訴ノ提起ノ手数料ヲ納付セザル場 合及控訴状ノ送達ヲ為スコト能ハサル場合ニ之ヲ準用ス 第三百七十一条 控訴状ハ之ヲ被控訴人ニ送達スルコトヲ要ス 第三百七十二条 被控訴人ハ控訴権消滅ノ後ト雖口頭弁論ノ終結ニ至ル迄附帯控訴ヲ為スコトヲ得 第三百七十三条 附帯控訴ハ控訴ノ取下アリタルトキ又ハ不適法トシテ控訴ノ棄却アリタルトキハ其ノ効力ヲ失フ但シ控訴ノ要件ヲ具備スルモノハ之 ヲ独立ノ控訴ト看做ス 第三百七十四条 附帯控訴ニ付テハ控訴ニ関スル規定ニ依ル 第三百七十五条 控訴裁判所ハ第一審ノ判決ニ付不服ノ申立ナキ部分ニ限リ申立ニ因リ決定ヲ以テ仮執行ノ宣言ヲ為スコトヲ得 第三百七十六条 仮執行ニ関スル控訴審ノ裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス 2 前条ノ申立ヲ却下スル決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第三百七十七条 口頭弁論ハ当事者カ第一審ノ判決ノ変更ヲ求ムル限度ニ於テノミ之ヲ為ス 2 当事者ハ第一審ニ於ケル口頭弁論ノ結果ヲ陳述スルコトヲ要ス 第三百七十八条 前編第一章乃至第三章ノ規定ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外控訴審ノ訴訟手続ニ之ヲ準用ス 第三百七十九条 第一審ニ於テ為シタル訴訟行為ハ控訴審ニ於テモ其ノ効力ヲ有ス 第三百八十条 第一審ニ於テ為シタル準備手続ハ控訴審ニ於テモ其ノ効力ヲ有ス 第三百八十一条 控訴審ニ於テハ当事者ハ第一審裁判所カ管轄権ヲ有セサルコトヲ主張スルコトヲ得ス但シ専属管轄ニ付テハ此ノ限ニ在ラス 第三百八十二条 反訴ハ相手方ノ同意アル場合ニ限リ之ヲ提起スルコトヲ得 2 相手方カ異議ヲ述ヘスシテ反訴ノ本案ニ付弁論ヲ為シタルトキハ反訴ノ提起ニ同意シタルモノト看做ス 第三百八十三条 不適法ナル控訴ニシテ其ノ欠缺カ補正スルコト能ハサルモノナル場合ニ於テハ口頭弁論ヲ経スシテ判決ヲ以テ之ヲ却下スルコトヲ得 第三百八十四条 控訴裁判所ハ第一審判決ヲ相当トスルトキハ控訴ヲ棄却スルコトヲ要ス 2 判決カ其ノ理由ニ依レハ不当ナル場合ニ於テモ他ノ理由ニ依リテ正当ナルトキハ控訴ヲ棄却スルコトヲ要ス 第三百八十四条ノ二 前条第一項ノ規定ニ依リ控訴ヲ棄却スル場合ニ於テ控訴人カ訴訟ノ完結ヲ遅延セシムル目的ノミヲ以テ控訴ヲ提起シタルモノト 認ムルトキハ控訴裁判所ハ之ニ対シ控訴ノ提起ノ手数料トシテ納付スベキ金額ノ十倍以下ノ金銭ノ納付ヲ命スルコトヲ得 2 前項ノ裁判ハ判決主文ニ之ヲ掲クルコトヲ要ス 3 第一項ノ裁判ハ本案判決ヲ変更スル判決ノ言渡ニ因リ其ノ効力ヲ失フ 4 上告裁判所ハ上告ヲ棄却スル場合ニ於テモ第一項ノ裁判ヲ変更スルコトヲ得 第三百八十五条 第一審判決ノ変更ハ不服申立ノ限度ニ於テノミ之ヲ為スコトヲ得 第三百八十六条 控訴裁判所ハ第一審判決ヲ不当トスルトキハ之ヲ取消スコトヲ要ス 第三百八十七条 第一審ノ判決ノ手続カ法律ニ違背シタルトキハ控訴裁判所ハ判決ヲ取消スコトヲ要ス 第三百八十八条 訴ヲ不適法トシテ却下シタル第一審判決ヲ取消ス場合ニ於テハ控訴裁判所ハ事件ヲ第一審裁判所ニ差戻スコトヲ要ス 第三百八十九条 前条ノ場合ノ外控訴裁判所カ第一審判決ヲ取消ス場合ニ於テ事件ニ付尚弁論ヲ為ス必要アルトキハ之ヲ第一審裁判所ニ差戻スコトヲ 得 2 第一審裁判所ニ於ケル訴訟手続カ法律ニ違背シタルコトヲ理由トシテ事件ヲ差戻ストキハ其ノ訴訟手続ハ之ニ因リテ取消サレタルモノト看做ス 第三百九十条 事件カ管轄違ナルコトヲ理由トシテ第一審判決ヲ取消ストキハ控訴裁判所ハ判決ヲ以テ事件ヲ管轄裁判所ニ移送スルコトヲ要ス 第三百九十一条 判決ニ事実及理由ヲ記載スルニハ第一審判決ヲ引用スルコトヲ得 第三百九十二条 訴訟完結シタル後上訴ノ提起ナクシテ上訴期間満了シタルトキハ裁判所書記官ハ判決又ハ第三百七十条ノ規定ニ依ル命令ノ正本ヲ訴 訟記録ニ添附シ之ヲ第一審裁判所ノ裁判所書記官ニ送付スルコトヲ要ス

第二章 上告

第三百九十三条 上告ハ高等裁判所カ第二審又ハ第一審トシテ為シタル終局判決ニ対シテハ最高裁判所ニ、地方裁判所カ第二審トシテ為シタル終局判 決ニ対シテハ高等裁判所ニ之ヲ為スコトヲ得 2 第三百六十条第一項但書ノ場合ニ於テハ地方裁判所ノ判決ニ対シテハ最高裁判所ニ、簡易裁判所ノ判決ニ対シテハ高等裁判所ニ直ニ上告ヲ為スコト ヲ得 3 仮差押又ハ仮処分ニ関シテ為シタル判決ニ対シテハ上告ヲ為スコトヲ得ズ 第三百九十四条 上告ハ判決ニ憲法ノ解釈ノ誤アルコト其ノ他憲法ノ違背アルコト又ハ判決ニ影響ヲ及ボスコト明ナル法令ノ違背アルコトヲ理由トス ルトキニ限リ之ヲ為スコトヲ得 第三百九十五条 左ノ場合ニ於テハ常ニ上告ノ理由アルモノトス 一 法律ニ従ヒテ判決裁判所ヲ構成セサリシトキ 二 法律ニ依リ判決ニ関与スルコトヲ得サル裁判官カ判決ニ関与シタルトキ 三 専属管轄ニ関スル規定ニ違背シタルトキ 四 法定代理権、訴訟代理権又ハ代理人カ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権ノ欠缺アリタルトキ 五 口頭弁論公開ノ規定ニ違背シタルトキ 六 判決ニ理由ヲ附セス又ハ理由ニ齟齬アルトキ 2 前項第四号ノ規定ハ第五十四条又ハ第八十七条ノ規定ニ依ル追認アリタル場合ニハ之ヲ適用セス 第三百九十六条 前章ノ規定ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外上告及上告審ノ訴訟手続ニ之ヲ準用ス 第三百九十七条 上告ノ提起ハ上告状ヲ原裁判所ニ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス 2 前条ニ於テ準用スル第三百七十条ノ規定ニ依ル裁判長ノ職権ハ原裁判所ノ裁判長之ヲ行フ 第三百九十八条 上告状ニ上告ノ理由ヲ記載セザルトキハ最高裁判所規則ノ定ムル期間内ニ上告理由書ヲ原裁判所ニ提出スルコトヲ要ス 2 上告ノ理由ハ最高裁判所規則ノ定ムル方式ニ依リ之ヲ記載スルコトヲ要ス 第三百九十九条 左ノ各号ニ該当スルコト明ナル場合ニ於テハ原裁判所ハ決定ヲ以テ上告ヲ却下スルコトヲ要ス 一 上告ガ不適法ニシテ其ノ欠缺ガ補正スルコト能ハザルモノナルトキ 二 前条第一項ノ規定ニ違背シ上告理由書ヲ提出セズ又ハ上告ノ理由ノ記載ガ同条第二項ノ規定ニ違背スルトキ 2 前項ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第三百九十九条ノ二 原裁判所ハ上告状却下ノ命令又ハ上告却下ノ決定アリタル場合ヲ除クノ外事件ヲ上告裁判所ニ送付スルコトヲ要ス 第三百九十九条ノ三 第三百九十九条第一項各号ノ場合ニ於テハ上告裁判所ハ口頭弁論ヲ経ズシテ判決ヲ以テ上告ヲ却下スルコトヲ得 第四百条 裁判長ハ相当ノ期間ヲ定メ答弁書ヲ提出スヘキコトヲ被上告人ニ命スルコトヲ得 第四百一条 上告裁判所カ上告状、上告理由書、答弁書其ノ他ノ書類ニ依リ上告ヲ理由ナシト認ムルトキハ口頭弁論ヲ経スシテ判決ヲ以テ上告ヲ棄却 スルコトヲ得 第四百二条 上告裁判所ハ上告理由ニ基キ不服ノ申立アリタル限度ニ於テノミ調査ヲ為ス 第四百三条 原判決ニ於テ適法ニ確定シタル事実ハ上告裁判所ヲ覊束ス 第四百四条 第三百九十三条第二項ノ規定ニ依ル上告アリタル場合ニ於テハ上告裁判所ハ原判決ニ於ケル事実ノ確定カ法律ニ違背シタルコトヲ理由ト シテ其ノ判決ヲ破毀スルコトヲ得ス 第四百五条 第四百二条乃至前条ノ規定ハ裁判所カ職権ヲ以テ調査スヘキ事項ニ之ヲ適用セス 第四百六条 上告裁判所ハ原判決ニ付不服ノ申立ナキ部分ニ限リ申立ニ因リ決定ヲ以テ仮執行ノ宣言ヲ為スコトヲ得 第四百六条ノ二 高等裁判所カ上告裁判所タル場合ニ於テ最高裁判所ノ定ムル事由アルトキハ決定ヲ以テ事件ヲ最高裁判所ニ移送スルコトヲ要ス 第四百七条 上告ヲ理由アリトスルトキハ上告裁判所ハ原判決ヲ破毀シ事件ヲ原裁判所ニ差戻シ又ハ同等ナル他ノ裁判所ニ移送スルコトヲ要ス 2 差戻又ハ移送ヲ受ケタル裁判所ハ新口頭弁論ニ基キ裁判ヲ為スコトヲ要ス但シ上告裁判所カ破毀ノ理由ト為シタル事実上及法律上ノ判断ニ覊束セラ ル 3 原判決ニ関与シタル裁判官ハ前項ノ裁判ニ関与スルコトヲ得ス 第四百八条 左ノ場合ニ於テハ上告裁判所ハ事件ニ付裁判ヲ為スコトヲ要ス 一 確定シタル事実ニ付法令ノ適用ヲ誤リタルコトヲ理由トシテ判決ヲ破毀スル場合ニ於テ事件カ其ノ事実ニ基キ裁判ヲ為スニ熟スルトキ 二 事件カ裁判所ノ権限ニ属セサルコトヲ理由トシテ判決ヲ破毀スルトキ 第四百九条 差戻又ハ移送ノ判決アリタルトキハ裁判所書記官ハ其ノ判決ノ正本ヲ訴訟記録ニ添附シ差戻又ハ移送ヲ受ケタル裁判所ノ裁判所書記官ニ 之ヲ送付スルコトヲ要ス 第四百九条ノ二 高等裁判所カ上告審トシテ為シタル終局判決ニ対シテハ其ノ判決ニ憲法ノ解釈ノ誤アルコト其ノ他憲法ノ違背アルコトヲ理由トスル トキニ限リ最高裁判所ニ更ニ上告ヲ為スコトヲ得 2 仮差押又ハ仮処分ニ関シ高等裁判所ガ第二審若クハ第一審トシテ為シタル終局判決又ハ地方裁判所ガ第二審トシテ為シタル終局判決ニ対シテハ其ノ 判決ニ憲法ノ解釈ノ誤アルコト其ノ他憲法ノ違背アルコトヲ理由トスルトキニ限リ最高裁判所ニ特ニ上告ヲ為スコトヲ得 第四百九条ノ三 前条ノ上告及其ノ上告審ノ訴訟手続ニハ其ノ性質ニ反セサル限リ第二審又ハ第一審ノ終局判決ニ対スル上告ニ関スル規定ヲ準用ス但 シ前条第一項ノ上告ニ付テハ第四百三条中原判決トアルハ之ヲ地方裁判所カ第二審トシテ為シタル終局判決又ハ簡易裁判所ノ終局判決トス

第三章 抗告

第四百十条 口頭弁論ヲ経スシテ訴訟手続ニ関スル申立ヲ却下シタル決定又ハ命令ニ対シテハ抗告ヲ為スコトヲ得 第四百十一条 決定又ハ命令ヲ以テ裁判ヲ為スコトヲ得サル事項ニ付決定又ハ命令ヲ為シタルトキハ当事者ハ之ニ対シテ抗告ヲ為スコトヲ得 第四百十二条 受命裁判官又ハ受託裁判官ノ裁判ニ対シ不服アル当事者ハ受訴裁判所ニ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得但シ其ノ裁判カ受訴裁判所ノ裁判ナ ル場合ニ於テ之ニ対シ抗告ヲ為シ得ルモノナルトキニ限ル 2 抗告ハ異議ニ付テノ裁判ニ対シテ之ヲ為スコトヲ得 3 第一項ノ規定ハ最高裁判所又ハ高等裁判所ニ繋属スル事件ニ付受命裁判官又ハ受託裁判官ノ為シタル裁判ニ之ヲ準用ス 第四百十三条 抗告裁判所ノ決定ニ対シテハ其ノ決定ニ憲法ノ解釈ノ誤アルコト其ノ他憲法ノ違背アルコト又ハ決定ニ影響ヲ及ボスコト明ナル法令ノ 違背アルコトヲ理由トスルトキニ限リ更ニ抗告ヲ為スコトヲ得 第四百十四条 抗告及抗告裁判所ノ訴訟手続ニハ其ノ性質ニ反セサル限リ第一章ノ規定ヲ準用ス但シ前条ノ抗告及之ニ関スル訴訟手続ニハ前章ノ規定 ヲ準用ス 第四百十五条 即時抗告ハ裁判ノ告知アリタル日ヨリ一週間内ニ之ヲ為スコトヲ要ス 2 前項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス 第四百十六条 抗告(第四百十三条ノ抗告ヲ除ク)ハ原裁判所又ハ抗告裁判所ニ書面又ハ口頭ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス 2 抗告裁判所カ抗告ヲ受ケタル場合ニ於テ適当ト認ムルトキハ事件ヲ原裁判所ニ送付スルコトヲ得 第四百十七条 原裁判所カ抗告ヲ受ケ又ハ前条第二項ノ規定ニ依リ事件ノ送付ヲ受ケタル場合ニ於テ抗告ヲ理由アリト認ムルトキハ其ノ裁判ヲ更正ス ルコトヲ要ス 2 抗告ヲ理由ナシト認ムルトキハ意見ヲ附シ事件ヲ抗告裁判所ニ送付スルコトヲ要ス 第四百十八条 抗告ハ即時抗告ニ限リ執行停止ノ効力ヲ有ス 2 抗告裁判所又ハ原裁判ヲ為シタル裁判所若ハ裁判官ハ抗告ニ付決定アル迄原裁判ノ執行ヲ停止シ其ノ他必要ナル処分ヲ命スルコトヲ得 第四百十九条 抗告裁判所ハ抗告ニ付口頭弁論ヲ命セサル場合ニ於テハ抗告人其ノ他ノ利害関係人ヲ審訊スルコトヲ得 第四百十九条ノ二 不服ヲ申立ツルコトヲ得サル決定及命令ニ対シテハ其ノ裁判ニ憲法ノ解釈ノ誤アルコト其ノ他憲法ノ違背アルコトヲ理由トスルト キニ限リ最高裁判所ニ特ニ抗告ヲ為スコトヲ得 2 前項ノ抗告ノ提起期間ハ五日トス 2 前項ノ抗告ノ提起期間ハ五日トス 3 前項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス 第四百十九条ノ三 前条ノ抗告及之ニ関スル訴訟手続ニハ第四百十八条第二項ノ規定ヲ準用スルノ外其ノ性質ニ反セサル限リ第四百九条ノ二第一項ノ 上告及其ノ上告審ノ訴訟手続ニ関スル規定ヲ準用ス

第四編 再審

第四百二十条 左ノ場合ニ於テハ確定ノ終局判決ニ対シ再審ノ訴ヲ以テ不服ヲ申立ツルコトヲ得但シ当事者カ上訴ニ依リ其ノ事由ヲ主張シタルトキ又 ハ之ヲ知リテ主張セサリシトキハ此ノ限ニ在ラス 一 法律ニ従ヒテ判決裁判所ヲ構成セサリシトキ 二 法律ニ依リ裁判ニ関与スルコトヲ得サル裁判官カ裁判ニ関与シタルトキ 三 法定代理権、訴訟代理権又ハ代理人カ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権ノ欠缺アリタルトキ 四 裁判ニ関与シタル裁判官カ事件ニ付職務ニ関スル罪ヲ犯シタルトキ 五 刑事上罰スヘキ他人ノ行為ニ因リ自白ヲ為スニ至リタルトキ又ハ判決ニ影響ヲ及ホスヘキ攻撃若ハ防禦ノ方法ヲ提出スルコトヲ妨ケラレタルト キ 六 判決ノ証拠ト為リタル文書其ノ他ノ物件カ偽造又ハ変造セラレタルモノナリシトキ 七 証人、鑑定人、通事又ハ宣誓シタル当事者若ハ法定代理人ノ虚偽ノ陳述カ判決ノ証拠ト為リタルトキ 八 判決ノ基礎ト為リタル民事若ハ刑事ノ判決其ノ他ノ裁判又ハ行政処分カ後ノ裁判又ハ行政処分ニ依リテ変更セラレタルトキ 九 判決ニ影響ヲ及ホスヘキ重要ナル事項ニ付判断ヲ遺脱シタルトキ 十 不服ノ申立アル判決カ前ニ言渡サレタル確定判決ト牴触スルトキ 2 前項第四号乃至第七号ノ場合ニ於テハ罰スヘキ行為ニ付有罪ノ判決若ハ過料ノ裁判確定シタルトキ又ハ証拠欠缺外ノ理由ニ因リ有罪ノ確定判決若ハ 過料ノ確定裁判ヲ得ルコト能ハサルトキニ限リ再審ノ訴ヲ提起スルコトヲ得 3 控訴審ニ於テ事件ニ付本案判決ヲ為シタルトキハ第一審ノ判決ニ対シ再審ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ス 第四百二十一条 判決ノ基本タル裁判ニ付前条ニ定メタル事由アルトキハ其ノ裁判ニ対シ独立ノ不服ノ方法ヲ定メタル場合ニ於テモ其ノ事由ヲ以テ判 決ニ対スル再審ノ理由ト為スコトヲ得 第四百二十二条 再審ハ不服ノ申立アル判決ヲ為シタル裁判所ノ専属管轄トス 2 審級ヲ異ニスル裁判所カ同一事件ニ付為シタル判決ニ対スル再審ノ訴ハ上級裁判所併セテ之ヲ管轄ス 第四百二十三条 再審ノ訴訟手続ニハ其ノ性質ニ反セサル限リ各審級ニ於ケル訴訟手続ニ関スル規定ヲ準用ス 第四百二十四条 再審ノ訴ハ当事者カ判決確定後再審ノ事由ヲ知リタル日ヨリ三十日内ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス 2 前項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス 3 判決確定後五年ヲ経過シタルトキハ再審ノ訴ハ之ヲ提起スルコトヲ得ス 4 再審ノ事由カ判決確定後ニ生シタルトキハ前項ノ期間ハ其ノ事由発生ノ日ヨリ之ヲ起算ス 第四百二十五条 前条ノ規定ハ代理権ノ欠缺及第四百二十条第一項第十号ニ掲クル事項ヲ理由トスル再審ノ訴ニハ之ヲ適用セス 第四百二十六条 訴状ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス 一 当事者及法定代理人 二 不服ノ申立アル判決ノ表示及其ノ判決ニ対シ再審ヲ求ムル旨 三 不服ノ理由 第四百二十七条 本案ノ弁論及裁判ハ不服ノ範囲内ニ於テノミ之ヲ為スコトヲ得 2 不服ノ理由ハ之ヲ変更スルコトヲ得 第四百二十八条 再審ノ事由アル場合ニ於テモ判決ヲ正当トスルトキハ裁判所ハ再審ノ訴ヲ却下スルコトヲ要ス 第四百二十九条 即時抗告ヲ以テ不服ヲ申立ツルコトヲ得ル決定又ハ命令カ確定シタル場合ニ於テ第四百二十条第一項ニ掲クル事由アルトキハ確定判 決ニ対スル第四百二十条乃至前条ノ規定ニ準シ再審ノ申立ヲ為スコトヲ得

第五編 督促手続

第四百三十条 金銭其ノ他ノ代替物又ハ有価証券ノ一定ノ数量ノ給付ヲ目的トスル請求ニ付テハ裁判所ハ債権者ノ申立ニ因リ支払命令ヲ発スルコトヲ 得但シ日本ニ於テ公示送達ニ依ラスシテ其ノ命令ノ送達ヲ為スコトヲ得ヘキ場合ニ限ル 第四百三十一条 督促手続ハ債務者ノ普通裁判籍所在地ノ簡易裁判所又ハ第九条ノ規定ニ依ル管轄簡易裁判所ノ専属管轄トス 2 手形又ハ小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及之ニ附帯スル請求ニ関スル督促手続ハ前項ノ簡易裁判所又ハ手形若ハ小切手ノ支払地ノ簡易裁判所ノ専属 管轄トス 第四百三十二条 支払命令ノ申立ニハ其ノ性質ニ反セサル限リ訴ニ関スル規定ヲ準用ス 第四百三十三条 支払命令ノ申立カ第四百三十条若ハ管轄ニ関スル規定ニ違背スルトキ又ハ申立ノ趣旨ニ依リ請求ノ理由ナキコト明ナルトキハ其ノ申 立ハ之ヲ却下スルコトヲ要ス請求ノ一部ニ付支払命令ヲ発スルコトヲ得サルトキ其ノ一部ニ付亦同シ 2 申立却下ノ決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス 第四百三十四条 支払命令ハ債務者ヲ審訊セスシテ之ヲ発ス 2 債務者ハ支払命令ニ対シ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得 第四百三十五条 支払命令ニハ当事者、法定代理人並請求ノ趣旨及原因ヲ記載シ且債務者カ支払命令送達ノ日ヨリ二週間内ニ異議ヲ申立テサルトキハ 債権者ノ申立ニ因リ仮執行ノ宣言ヲ為スヘキ旨ヲ附記スルコトヲ要ス 第四百三十六条 支払命令ハ之ヲ当事者ニ送達スルコトヲ要ス 第四百三十七条 債務者カ仮執行ノ宣言前異議ヲ申立テタルトキハ支払命令ハ其ノ異議ノ範囲内ニ於テ効力ヲ失フ 第四百三十八条 債務者カ支払命令送達ノ日ヨリ二週間内ニ異議ヲ申立テサルトキハ裁判所ハ債権者ノ申立ニ因リ支払命令ニ手続ノ費用額ヲ附記シ仮 執行ノ宣言ヲ為スコトヲ要ス但シ其ノ宣言前異議ノ申立アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス 2 仮執行ノ宣言ハ支払命令ノ原本及正本ニ之ヲ記載シ其ノ正本ヲ当事者ニ送達スルコトヲ要ス 3 仮執行ノ申立却下ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第四百三十九条 債権者カ仮執行ノ申立ヲ為スコトヲ得ル時ヨリ三十日内ニ其ノ申立ヲ為ササルトキハ支払命令ハ其ノ効力ヲ失フ 第四百四十条 仮執行ノ宣言ヲ附シタル支払命令送達ノ日ヨリ二週間ヲ経過シタルトキハ債務者ハ其ノ支払命令ニ対シ異議ヲ申立ツルコトヲ得ス 2 前項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス 第四百四十一条 簡易裁判所カ異議ヲ不適法ト認ムルトキハ請求カ地方裁判所ノ管轄ニ属スル場合ニ於テモ決定ヲ以テ其ノ異議ヲ却下スルコトヲ要ス 此ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第四百四十二条 支払命令ニ対シ適法ナル異議ノ申立アリタルトキハ異議アル請求ニ付テハ其ノ目的ノ価額ニ従ヒ支払命令ノ申立ノ時ニ於テ其ノ命令 ヲ発シタル簡易裁判所又ハ其ノ簡易裁判所ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所ニ訴ノ提起アリタルモノト看做ス此ノ場合ニ於テハ督促手続ノ費用ハ之ヲ 訴訟費用ノ一部トス 2 前項ノ規定ニ依リテ地方裁判所ニ訴ノ提起アリタルモノト看做サレタル場合ニ於テハ裁判所書記官ハ遅滞ナク訴訟記録ヲ地方裁判所ノ裁判所書記官 ニ送付スルコトヲ要ス 第四百四十三条 仮執行ノ宣言ヲ附シタル支払命令ニ対シ異議ノ申立ナキトキ又ハ異議却下ノ決定確定シタルトキハ支払命令ハ確定判決ト同一ノ効力 ヲ有ス

第五編ノ二 手形訴訟及小切手訴訟ニ関スル特則

第四百四十四条 手形ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及之ニ附帯スル法定利率ニ依ル損害賠償ノ請求ヲ目的トスル訴ニ付テハ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求 ムルコトヲ得 2 手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムル旨ノ申述ハ訴状ニ記載シテ之ヲ為スコトヲ要ス 第四百四十五条 手形訴訟ニ於テハ反訴ハ之ヲ提起スルコトヲ得ズ 第四百四十六条 手形訴訟ニ於テハ証拠調ハ書証ニ限リ之ヲ為スコトヲ得 2 文書ノ提出ノ命令又ハ送付ノ嘱託ハ之ヲ為スコトヲ得ズ対照ノ用ニ供スベキ筆跡又ハ印影ヲ具フル物件ニ付亦同ジ 3 文書ノ真否又ハ手形ノ呈示ニ関スル事実ニ付テハ申立ニ因リ当事者本人又ハ訴訟ニ於テ当事者ヲ代表スル法定代理人ヲ訊問スルコトヲ得 4 証拠調ノ嘱託ハ之ヲ為スコトヲ得ズ第二百六十二条ノ規定ニ依ル調査ノ嘱託亦同ジ 5 前各項ノ規定ハ裁判所ガ職権ヲ以テ調査スベキ事項ニハ之ヲ適用セズ 第四百四十七条 原告ハ口頭弁論ノ終結ニ至ル迄被告ノ承諾ヲ要セズシテ訴訟ヲ通常ノ手続ニ移行セシムル旨ノ申述ヲ為スコトヲ得 2 訴訟ハ前項ノ申述アリタル時ニ於テ通常ノ手続ニ移行スルモノトシ裁判所ハ直ニ其ノ旨ヲ記載シタル書面ヲ被告ニ送達スルコトヲ要ス但シ其ノ申述 ガ被告ノ出頭シタル期日ニ於テ口頭ヲ以テ為サレタルモノナルトキハ其ノ送達ハ之ヲ為スコトヲ要セズ 3 訴訟ガ通常ノ手続ニ移行シタルトキハ手形訴訟ノ為既ニ指定シタル期日ハ通常ノ手続ノ為ニ之ヲ指定シタルモノト看做ス 第四百四十八条 裁判所ハ被告ガ口頭弁論ニ於テ原告ノ主張シタル事実ヲ争ハズ其ノ他何ラノ防禦ノ方法ヲモ提出セザル場合ニ於テハ前条第二項ノ書 面ノ送達前ト雖口頭弁論ヲ終結スルコトヲ得 第四百四十九条 請求ノ全部又ハ一部ガ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ為スコトヲ得ザルモノナルトキハ裁判所ハ口頭弁論ヲ経ズシテ判決ヲ以テ訴ノ全 部又ハ一部ヲ却下スルコトヲ得 2 原告ガ前項ノ判決ノ送達アリタル日ヨリ二週間内ニ同項ノ請求ニ付通常ノ手続ニ依リ訴ヲ提起シタルトキハ第二百三十五条ノ規定ノ適用ニ付テハ其 ノ訴ノ提起ハ前ノ訴ノ提起ノ時ニ於テ之ヲ為シタルモノト看做ス 第四百五十条 手形訴訟ノ終局判決ニ対シテハ控訴ヲ為スコトヲ得ズ但シ前条第一項ノ判決ヲ除クノ外訴ヲ却下シタル判決ニ対シテハ此ノ限ニ在ラズ 第四百五十一条 手形訴訟ノ終局判決ニ対シテハ訴ヲ却下シタル判決ヲ除クノ外判決ノ送達アリタル日ヨリ二週間内ニ其ノ判決ヲ為シタル裁判所ニ異 議ヲ申立ツルコトヲ得但シ其ノ期間前申立テタル異議ノ効力ヲ妨ゲズ 2 前項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス 第四百五十二条 異議ハ通常ノ手続ニ依ル第一審ノ終局判決アル迄之ヲ取下グルコトヲ得 2 異議ノ取下ハ相手方ノ同意ヲ得ルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ 3 第二百三十六条第三項乃至第六項、第二百三十七条第一項及第二百三十八条ノ規定ハ異議ノ取下ニ之ヲ準用ス 第四百五十三条 異議ヲ申立ツル権利ハ其ノ申立前ニ限リ之ヲ抛棄スルコトヲ得 2 異議申立権ノ抛棄ハ裁判所ニ対スル申述ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 3 異議申立権抛棄ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 第四百五十四条 異議ノ申立ハ書面ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 2 準備書面ニ関スル規定ハ前項ノ書面ニ之ヲ準用ス 3 第一項ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 第四百五十五条 不適法ナル異議ニシテ其ノ欠缺ガ補正スルコト能ハザルモノナル場合ニ於テハ口頭弁論ヲ経ズシテ判決ヲ以テ之ヲ却下スルコトヲ得 第四百五十六条 適法ナル異議アリタルトキハ訴訟ハ口頭弁論終結前ノ程度ニ復スルモノトシ其ノ審理及裁判ハ通常ノ手続ニ依リテ之ヲ為ス 第四百五十七条 前条ノ規定ニ依リテ為スベキ判決ガ手形訴訟ノ判決ト符合スルトキハ裁判所ハ手形訴訟ノ判決ヲ認可スルコトヲ要ス但シ手形訴訟ノ 判決ノ手続ガ法律ニ違背シタルモノナルトキハ此ノ限ニ在ラズ 2 前項ノ規定ニ依リ手形訴訟ノ判決ヲ認可スル場合ヲ除クノ外新判決ニ於テハ手形訴訟ノ判決ヲ取消スコトヲ要ス 第四百五十八条 異議ヲ却下シ又ハ手形訴訟ニ於テ為シタル訴訟費用ノ裁判ヲ認可スル場合ニ於テハ裁判所ハ異議ノ申立アリタル後ノ訴訟費用ニ付裁 判ヲ為スコトヲ要ス 2 第百九十五条第三項ノ規定ハ手形訴訟ノ判決ニ対シ適法ナル異議アリタル場合ニ之ヲ準用ス 第四百五十九条 判決ニ事実及理由ヲ記載スルニハ手形訴訟ノ判決ヲ引用スルコトヲ得 第四百六十条 異議ヲ却下シタル第一審判決ヲ取消ス場合ニ於テハ控訴裁判所ハ事件ヲ第一審裁判所ニ差戻スコトヲ要ス 第四百六十一条 第三百五十六条第三項後段ノ規定ニ依リテ提起アリタルモノト看做サルル訴ニ付テハ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムル旨ノ申述ハ 同項前段ノ申立ノ際之ヲ為スコトヲ要ス 第四百六十二条 第四百四十二条第一項ノ規定ニ依リテ提起アリタルモノト看做サルル訴ニ付テハ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムル旨ノ申述ハ支払 命令ノ申立ノ際之ヲ為スコトヲ要ス 2 前項ノ申述アリタルトキハ支払命令ニ其ノ旨ヲ附記スベシ 3 第四百三十八条第一項ノ規定ニ依ル仮執行ノ宣言アリタルトキハ第一項ノ申述ハナカリシモノト看做ス 第四百六十三条 小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及之ニ附帯スル法定利率ニ依ル損害賠償ノ請求ヲ目的トスル訴ニ付テハ小切手訴訟ニ依ル審理及裁判 ヲ求ムルコトヲ得 2 第四百四十四条第二項及第四百四十五条乃至前条ノ規定ハ小切手訴訟ニ関シテ之ヲ準用ス 第四百六十四条乃至第四百九十六条 削除

第六編 強制執行

第一章 総則

第四百九十七条 強制執行ハ確定ノ終局判決又ハ仮執行ノ宣言ヲ付シタル終局判決ニ因リテ之ヲ為ス 第四百九十七条ノ二 判決カ其判決ニ表示シタル当事者以外ノ者ニ対シ効力ヲ有ス可キトキハ其者ニ対シ又ハ其者ノ為メニモ之ヲ執行スルコトヲ得但 第六十四条ノ規定ニ依ル参加人ニ付テハ此限ニ在ラス 2 前項ノ場合ニ於テ執行力アル正本ノ付与ニ付テハ第五百十九条乃至第五百二十一条ノ規定ヲ準用ス 第四百九十八条 判決ハ適法ナル上訴(第四百九条ノ二ノ上告ヲ除ク)ノ提起又ハ第四百五十一条(第四百六十三条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含 ム)ノ異議ノ申立ニ付キ定メタル期間ノ満了前ニハ確定セサルモノトス 2 判決ノ確定ハ前項ノ期間内ニ上訴(第四百九条ノ二ノ上告ヲ除ク)ヲ提起シ又ハ同項ノ異議ヲ申立ツルニ因リ之ヲ遮断ス 第四百九十九条 原告若クハ被告カ判決ノ確定ニ付キ証明書ヲ求ムルトキハ第一審裁判所ノ裁判所書記官ハ記録ニ基キ之ヲ付与ス 2 訴訟カ猶ホ上級審ニ於テ繋属中ナルトキハ上級裁判所ノ裁判所書記官ハ判決ノ確定ト為リタル部分ノミニ付キ証明書ヲ付与ス 3 判決ニ対シ上訴ノ提起ナキ場合ニ非サレハ証明書ヲ付与スルコトヲ得サルトキニ限リ上訴ヲ管轄スル裁判所ノ裁判所書記官カ不変期間内ニ上訴ノ提 起ナキコトヲ認メタル証明書ヲ以テ足ル
第500条

第五百条 第四百九条ノ二ノ上告ノ提起アリタル場合又ハ再審ヲ求ムル申立アリタル場合ニ於テ不服ノ理由トシテ主張シタル事情ガ法律上理由アリト 見エ且事実上ノ点ニ付疎明アリタルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ保証ヲ立テシメ又ハ保証ヲ立テシメスシテ強制執行ヲ一時停止ス可キコトヲ命シ又ハ 保証ヲ立テシメテ強制執行ヲ為ス可キコトヲ命シ及ヒ保証ヲ立テシメテ其為シタル強制処分ヲ取消ス可キヲ命スルコトヲ得

2 保証ヲ立テシメスシテ為ス強制執行ノ停止ハ其執行ニ因リ償フコト能ハサル損害ヲ生ス可キコトヲ疏明スルトキニ限リ之ヲ許ス

3 右裁判ハ口頭弁論ヲ経スシテ之ヲ為スコトヲ得其裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス

4 第一項ノ裁判ハ第四百九条ノ二ノ上告ノ提起アリタル場合ニ於テ訴訟記録ガ原裁判所ニ存スルトキハ原裁判所之ヲ為ス

第五百一条乃至第五百十条 削除
第511条

第五百十一条 仮執行ノ宣言ヲ付シタル判決ニ対シ上告ヲ提起シタル場合ニ於テ其執行ニ因リ償フコト能ハザル損害ヲ生ズ可キコトヲ疎明シタルトキ ハ裁判所ハ申立ニ因リ保証ヲ立テシメ又ハ保証ヲ立テシメズシテ強制執行ヲ一時停止ス可キコトヲ命ジ又ハ保証ヲ立テシメテ其為シタル強制処分ヲ 取消ス可キヲ命ズルコトヲ得

2 右裁判ニ付テハ第五百条第三項及ビ第四項ノ規定ヲ準用ス

第512条

第五百十二条 仮執行ノ宣言ヲ付シタル判決ニ対シ控訴ヲ提起シタルトキ又ハ仮執行ノ宣言ヲ付シタル支払命令ニ対シ異議ヲ申立テタルトキハ裁判所 ハ申立ニ因リ保証ヲ立テシメ又ハ保証ヲ立テシメズシテ強制執行ヲ一時停止ス可キコトヲ命ジ又ハ保証ヲ立テシメテ強制執行ヲ為ス可キコトヲ命ジ 及ビ保証ヲ立テシメテ其為シタル強制処分ヲ取消ス可キヲ命ズルコトヲ得

右裁判ニ付テハ第五百条第二項及ビ第三項ノ規定ヲ準用ス

第五百十二条ノ二 手形又ハ小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及ビ之ニ附帯スル法定利率ニ依ル損害賠償ノ請求ニ付キ仮執行ノ宣言ヲ付シタル判決ニ対 シ控訴ヲ提起シタル場合ニ於テハ原判決ノ取消又ハ変更ノ原因トナルベキ事情ニ付キ疎明アリタルトキニ限リ裁判所ハ申立ニ因リ保証ヲ立テシメ若 クハ保証ヲ立テシメズシテ強制執行ヲ一時停止ス可キコトヲ命ジ又ハ保証ヲ立テシメテ強制執行ヲ為ス可キコトヲ命ジ及ビ保証ヲ立テシメテ其為シ タル強制処分ヲ取消ス可キヲ命ズルコトヲ得第五百条第三項ノ規定ハ此場合ニ之ヲ準用ス 2 前項ノ規定ハ仮執行ノ宣言ヲ付シタル手形訴訟若クハ小切手訴訟ノ判決ニ対シ異議ノ申立アリタル場合又ハ同項ニ掲グル請求ニ付キ仮執行ノ宣言ヲ 付シタル支払命令ニ対シ異議ヲ申立テタル場合ニ之ヲ準用ス 3 前二項ノ裁判ハ訴訟記録ガ原裁判所ニ存スル間ハ原裁判所モ亦之ヲ為スコトヲ得 第五百十三条 本編ノ規定ニ従ヒ原告若クハ被告ニ保証ヲ立ツル義務ヲ負ハシメ若クハ保証ヲ立テ又ハ供託ヲ為スコトヲ許シタル場合ニ於テハ原告若 クハ被告ハ其普通裁判籍ヲ有スル地ノ地方裁判所又ハ執行裁判所ニ保証ヲ立テ又ハ供託ヲ為スコトヲ得 2 保証ヲ立テ又ハ供託ヲ為シタルコトニ付テハ求ニ因リ証明書ヲ付与ス可シ 3 第百十二条、第百十三条、第百十五条及ヒ第百十六条ノ規定ハ第一項ノ規定ニ依ル保証ニ付キ之ヲ準用ス 第五百十四条 外国裁判所ノ判決ニ因レル強制執行ハ本邦ノ裁判所ニ於テ執行判決ヲ以テ其適法ナルコトヲ言渡シタルトキニ限リ之ヲ為スコトヲ得 2 執行判決ヲ求ムル訴ニ付テハ債務者ノ普通裁判籍ヲ有スル地ノ地方裁判所之ヲ管轄シ又普通裁判籍ナキトキハ第八条ノ規定ニ従ヒテ債務者ニ対スル 訴ヲ管轄スル裁判所之ヲ管轄ス 第五百十五条 執行判決ハ裁判ノ当否ヲ調査セスシテ之ヲ為ス可シ 2 執行判決ヲ求ムル訴ハ左ノ場合ニ於テハ之ヲ却下ス可シ 第一 外国裁判所ノ判決ノ確定ト為リタルコトヲ証明セサルトキ 第二 外国判決カ第二百条ノ条件ヲ具備セサルトキ 第五百十六条 強制執行ハ執行文ヲ付シタル判決ノ正本ニ基キ之ヲ為ス 2 執行力アル正本ハ第一審裁判所ノ裁判所書記官又訴訟カ上級裁判所ニ繋属スルトキハ其裁判所ノ裁判所書記官之ヲ付与ス 3 執行力アル正本ヲ求ムル申立ハ口頭ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得 第五百十七条 執行文ハ判決ノ正本ノ末尾ニ之ヲ附記ス 2 其文式左ノ如シ 前記ノ正本ハ被告某若クハ原告某ニ対シ強制執行ノ為メ原告某若クハ被告某ニ之ヲ付与ス 3 執行文ニハ裁判所書記官署名捺印シ且裁判所ノ印ヲ押ス可シ但署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得 第五百十八条 執行力アル正本ハ判決ノ確定シタルトキ又ハ仮執行ノ宣言アリタルトキニ限リ之ヲ付与ス 2 判決ノ執行カ其旨趣ニ従ヒ保証ヲ立ツルコトニ繋ル場合ノ外他ノ条件ニ繋ル場合ニ於テハ債権者カ証明書ヲ以テ其条件ヲ履行シタルコトヲ証スルト キニ限リ執行力アル正本ヲ付与スルコトヲ得 第五百十九条 執行力アル正本ハ判決ニ表示シタル債権者ノ承継人ノ為ニ之ヲ付与シ又ハ判決ニ表示シタル債務者ノ一般ノ承継人ニ対シ之ヲ付与スル コトヲ得但其承継カ裁判所ニ於テ明白ナルトキ又ハ証明書ヲ以テ之ヲ証スルトキニ限ル 2 此承継カ裁判所ニ於テ明白ナルトキハ之ヲ執行文ニ記載ス可シ 第五百二十条 第五百十八条第二項及ヒ第五百十九条ノ場合ニ於テハ執行力アル正本ハ裁判長ノ命令アルトキニ限リ之ヲ付与スルコトヲ得 2 裁判長ハ其命令前ニ書面又ハ口頭ヲ以テ債務者ヲ審訊スルコトヲ得 3 右命令ハ執行文ニ之ヲ記載ス可シ 第五百二十一条 第五百十八条第二項及ヒ第五百十九条ニ依リ必要ナル証明ヲ為ス能ハサルトキハ債権者ハ判決ニ基キ執行文ノ付与ニ付キ第一審ノ受 訴裁判所ニ訴ヲ起スコトヲ得 第五百二十二条 執行文ノ付与ニ対シ債務者カ異議ヲ申立テタルトキハ其執行文ヲ付与シタル裁判所書記官ノ属スル裁判所之ヲ裁判ス 2 裁判長ハ其裁判前ニ仮処分ヲ為スコトヲ得殊ニ保証ヲ立テシメ若クハ之ヲ立テシメスシテ強制執行ヲ一時停止シ又ハ保証ヲ立テシメテ強制執行ヲ続 行ス可キヲ命スルコトヲ得 第五百二十三条 債権者カ執行力アル正本ノ数通ヲ求メ又ハ前ニ付与シタル正本ヲ返還セスシテ更ニ同一判決ノ正本ヲ求ムルトキハ裁判長ノ命令アル トキニ限リ之ヲ付与スルコトヲ得 2 裁判長ハ其命令ノ前ニ書面又ハ口頭ヲ以テ債務者ヲ審訊スルコトヲ得 3 相手方ヲ審訊セスシテ執行力アル正本ノ数通ヲ付与シ又ハ更ニ正本ヲ付与シタルトキハ其旨ヲ相手方ニ通知ス可シ 4 正本ノ数通ヲ付与シ又ハ更ニ正本ヲ付与シタルトキハ其旨ヲ明記ス可シ 第五百二十四条 執行力アル正本ノ付与前ニ判決ノ原本ニ原告ノ為メ若クハ被告ノ為ニ之ヲ付与スル旨且之ヲ付与スル日時ヲ記載ス可シ 第五百二十五条 執行力アル正本ノ効力ハ之ヲ付与シタル裁判所ノ管轄内ニ止マラス総テ本邦ノ裁判区域内ニ及フモノトス 第五百二十六条 債権者ハ一箇ノ地又ハ一箇ノ方法ニテ強制執行ヲ為スモ完全ナル弁済ヲ得ル能ハサルトキハ数通ノ執行力アル正本ニ基キ数箇ノ地又 ハ数箇ノ方法ニテ同時ニ強制執行ヲ為ス権利ヲ有ス 第五百二十七条 債権者ハ執行ヲ為ス可キ地ヲ管轄スル地方裁判所ノ所在地ニ住居ヲモ事務所ヲモ有セサルトキハ其所在地ニ仮住所ヲ選定シ其旨ヲ裁 判所ニ届出ツ可シ 第五百二十八条 強制執行ハ之ヲ求ムル者及ヒ之ヲ受クル者ノ氏名ヲ判決又ハ之ニ附記スル執行文ニ表示シ且判決ヲ既ニ送達シ又ハ同時ニ送達シタル トキニ限リ之ヲ始ムルコトヲ得 2 判決ノ執行カ其旨趣ニ従ヒ債権者ノ証明ス可キ事実ノ到来ニ繋ルトキ又ハ判決ノ執行カ判決ニ表示シタル債権者ノ承継人ノ為ニ為シ又ハ判決ニ表示 シタル債務者ノ承継人ニ対シ為ス可キトキハ執行ス可キ判決ノ外尚ホ之ニ附記スル執行文ヲ強制執行ヲ始ムル前ニ送達スルコトヲ要ス 3 若シ証明書ニ依リ執行文ヲ付与シタルトキハ亦其証書ノ謄本ヲ強制執行ヲ始ムル前ニ送達シ又ハ同時ニ送達スルコトヲ要ス 第五百二十九条 請求ノ主張カ或ル日時ノ到来ニ繋ルトキハ其日時ノ満了後ニ限リ強制執行ヲ始ムルコトヲ得 2 若シ執行カ債権者ヨリ保証ヲ立ツルコトニ繋ルトキハ債権者カ保証ヲ立テタルコトニ付テノ公正ノ証明書ヲ提出シ且其謄本ヲ既ニ送達シ又ハ同時ニ 送達シタルトキニ限リ其執行ヲ始ムルコトヲ得 第五百三十条 削除 第五百三十一条 強制執行ハ此法律ニ於テ別段ノ規定ナキトキニ限リ執行官之ヲ実施ス 第五百三十二条 削除 第五百三十三条 適法ナル強制執行ノ申立アリタルトキハ執行官ハ支払其他ノ給付ヲ受取リ其受取リタルモノニ付キ有効ニ受取ノ証書ヲ作リ之ヲ交付 シ且債務者ニ於テ其義務ヲ完全ニ尽シタルトキハ執行力アル正本ヲ債務者ニ交付スルコトヲ得 第五百三十四条 執行官ハ執行力アル正本ヲ所持スルニ非ザレバ債務者及ビ第三者ニ対シ強制執行及ビ前条ニ掲ゲタル行為を為スコトヲ得ズ 第五百三十五条 執行官ハ債務者カ其義務ヲ完全ニ尽シタルトキハ執行力アル正本及ヒ受取ノ証ヲ之ニ交付シ又其義務ノ一分ヲ尽シタルトキハ執行力 アル正本ニ其旨ヲ附記シ且受取ノ証ヲ債務者ニ交付ス可シ 2 債務者カ後ニ債権者ニ対シ受取ノ証ヲ求ムル権利ハ前項ノ規定ニ因リテ妨ケラルルコト無シ 第五百三十六条 執行官ハ執行ノ為メ必要ナル場合ニ於テハ債務者ノ住居、倉庫及ヒ筐匣ヲ捜索シ又ハ閉鎖シタル戸扉及ヒ筐匣ヲ開カシムル権利ヲ有 ス 2 抵抗ヲ受クル場合ニ於テハ執行官ハ威力ヲ用ヰ且警察上ノ援助ヲ求ムルコトヲ得 第五百三十七条 執行官ハ執行行為ヲ為スニ際シ抵抗ヲ受クルトキ又ハ債務者ノ住居ニ於テ執行行為ヲ為スニ際シ債務者又ハ成長シタル其同居ノ親族 若クハ雇人ニ出会ハサルトキハ成丁者二人又ハ市町村ノ吏員若クハ警察官一人ヲ証人トシテ立会ハシム可シ 第五百三十八条 強制執行ニ付キ利害ノ関係ヲ有スル各人ニハ其求ニ因リ執行官ノ記録ノ閲覧ヲ許シ及ヒ記録中ニ存スル書類ノ謄本ヲ付与スルコトヲ 要ス 第五百三十九条 日曜日其他ノ一般ノ休日又ハ午後七時ヨリ翌日ノ午前七時マデノ間ニ於テハ執行裁判所ノ許可アルトキニ限リ執行行為ヲ為スコトヲ 得 2 右許可ノ命令ハ強制執行ノ際之ヲ示ス可シ 第五百四十条 執行官ハ各執行行為ニ付キ調書ヲ作リ之ニ署名捺印ス可シ但署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得 2 此調書ニハ左ノ諸件ヲ具備スルコトヲ要ス 第一 調書ヲ作リタル場所、年月日 第二 執行行為ノ目的物及ヒ其重要ナル事情ノ略記 第三 執行ニ与カリタル各人ノ表示 第四 右各人ノ署名捺印 第五 調書ヲ其各人ニ読聞セ又ハ閲覧セシメ其承諾ノ後署名捺印ヲ為シタルコトノ開示 3 第四号及ヒ第五号ノ要件ヲ具備スルコト能ハサルトキハ其理由ヲ記載ス可シ 第五百四十一条 執行行為ニ属スル催告其他ノ通知ハ執行官口頭ヲ以テ之ヲ為シ且調書ニ之ヲ記載ス可シ 2 若シ口頭ヲ以テ催告又ハ通知ヲ為ス能ハサルトキハ第百六十八条、第百七十一条及ヒ第百七十二条ノ規定ヲ準用シテ其調書ノ謄本ヲ送達シ又別ニ送 達証ヲ作ラサルトキハ調書ニ其送達ヲ為シタルコトヲ記載ス可シ 3 若シ強制執行ノ地ニ於テモ執行裁判所ノ管轄内ニ於テモ送達ヲ為ス能ハサルトキハ催告又ハ通知ヲ受ク可キ者ニ郵便ヲ以テ調書ノ謄本ヲ送達シ且之 ヲ郵便ニ付シタルコトヲ調書ニ記載ス可シ 第五百四十二条 執行行為ノ際債務者ニ為ス可キ送達及ヒ通知ハ債務者ノ所在明カナラサルトキ又ハ外国ニ在ルトキハ之ヲ必要トセス 第五百四十三条 此法律ニ於テ裁判所ニ任カセタル執行行為ノ処分又ハ其行為ノ共力ハ執行裁判所トシテ地方裁判所ノ管轄ニ属ス 2 法律ニ於テ別段ニ裁判所ヲ指定セサル各箇ノ場合ニ於テハ執行手続ヲ為ス可キ地又ハ之ヲ為シタル地ヲ管轄スル地方裁判所ヲ以テ執行裁判所ト看做 ス 3 執行裁判所ノ裁判ハ口頭弁論ヲ経スシテ之ヲ為スコトヲ得 第五百四十四条 強制執行ノ方法又ハ執行ニ際シ執行官ノ遵守ス可キ手続ニ関スル申立及ヒ異議ニ付テハ執行裁判所之ヲ裁判ス又執行裁判所ハ第五百 二十二条第二項ニ定メタル命ヲ発スル権利ヲ有ス 2 執行官ガ強制執行ノ申立ヲ却下シタル場合ニ於ケル異議ニ付テモ亦前項ト同様トス 第五百四十五条 判決ニ因リテ確定シタル請求ニ関スル債務者ノ異議ハ訴ヲ以テ第一審ノ受訴裁判所ニ之ヲ主張ス可シ 2 右ノ異議ハ此法律ノ規定ニ従ヒ遅クトモ異議ヲ主張スルコトヲ要スル口頭弁論ノ終結後ニ其原因ヲ生シタルトキニ限リ之ヲ許ス 3 債務者カ数箇ノ異議ヲ有スルトキハ同時ニ之ヲ主張スルコトヲ要ス 第五百四十六条 前条ノ規定ハ第五百十八条第二項及ヒ第五百十九条ノ場合ニ於テ債務者カ執行文付与ノ際証明シタリト認メラレタル事実ノ到来ニシ テ此ニ因リ判決ノ執行ヲ為シ得ヘキモノヲ争ヒ又ハ認メラレタル承継ヲ争フトキハ亦之ヲ準用ス但此場合ニ於テ第五百二十二条ノ規定ニ従ヒ執行文 ノ付与ニ対シ異議ヲ申立ツル債務者ノ権ハ此カ為ニ妨ケラルルコト無シ 第五百四十七条 強制執行ノ続行ハ前二条ノ場合ニ於ケル異議ノ訴ノ提起ニ因リテ妨ケラルルコト無シ 2 然レトモ異議ノ為メ主張シタル事情カ法律上理由アリト見エ且事実上ノ点ニ付キ疏明アリタルトキハ受訴裁判所ハ申立ニ因リ判決ヲ為スニ至ルマテ 保証ヲ立テシメ若クハ之ヲ立テシメスシテ強制執行ヲ停止ス可キコトヲ命シ又ハ保証ヲ立テシメテ強制執行ヲ続行ス可キコトヲ命シ又ハ其為シタル 執行処分ヲ保証ヲ立テシメテ取消ス可キヲ命スルコトヲ得 3 右裁判ハ口頭弁論ヲ経スシテ之ヲ為シ又急迫ナル場合ニ於テハ裁判長之ヲ為スコトヲ得 4 急迫ナル場合ニ於テハ執行裁判所モ亦此権利ヲ行使スルコトヲ得此場合ニ於テハ執行裁判所ハ受訴裁判所ノ裁判ヲ提出セシムル為ニ相当ノ期間ヲ定 ム可シ此期間ヲ徒過シタルトキハ債権者ノ申立ニ因リ強制執行ヲ続行ス 第五百四十八条 受訴裁判所ハ異議ノ訴ニ付キ裁判スル判決ニ於テ前条ニ掲ケタル命ヲ発シ又ハ既ニ発シタル命ヲ取消シ之ヲ変更シ若クハ之ヲ認可ス ルコトヲ得 2 判決中前項ニ掲クル事項ニ限リ職権ヲ以テ仮執行ノ宣言ヲ為ス可シ 3 右裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス 第五百四十九条 第三者カ強制執行ノ目的物ニ付キ所有権ヲ主張シ其他目的物ノ譲渡若クハ引渡ヲ妨クル権利ヲ主張スルトキハ訴ヲ以テ債権者ニ対シ 其強制執行ニ対スル異議ヲ主張シ又債務者ニ於テ其異議ヲ正当ナリトセサルトキハ債権者及ヒ債務者ニ対シテ之ヲ主張ス可シ 2 右訴ヲ債権者及ヒ債務者ニ対シテ起ストキハ之ヲ共同被告ト為ス 3 右訴ハ執行裁判所ノ管轄ニ属ス 4 強制執行ノ停止及ヒ既ニ為シタル執行処分ノ取消ニ付テハ第五百四十七条及ヒ第五百四十八条ノ規定ヲ準用ス但執行処分ノ取消ハ保証ヲ立テシメス シテ之ヲ為スコトヲ得 第五百五十条 強制執行ハ左ノ書類ヲ提出シタル場合ニ於テ之ヲ停止シ又ハ之ヲ制限ス可シ 第一 執行ス可キ判決若クハ其仮執行ヲ取消ス旨又ハ強制執行ヲ許サストシテ宣言シ若クハ其停止ヲ命シタル旨ヲ記載シタル執行力アル裁判ノ正本 第二 執行又ハ執行処分ノ一時ノ停止ヲ命シタル旨ヲ記載シタル裁判ノ正本 第三 執行ヲ免カルル為メ担保ヲ供シタルコトヲ証スル書面 第四 執行ス可キ判決ノ後ニ債権者カ弁済ヲ受ケ又ハ義務履行ノ猶予ヲ承諾シタル旨ヲ記載シタル証書 第五百五十一条 前条第一号及ヒ第三号ノ場合ニ於テハ既ニ為シタル執行処分ヲモ取消ス可ク第四号ノ場合ニ於テハ既ニ為シタル執行処分ヲ一時保持 セシム可ク第二号ノ場合ニ於テハ其裁判ヲ以テ従前ノ執行行為ノ取消ヲ命セサルトキニ限リ既ニ為シタル執行処分ヲ一時保持セシム可シ 第五百五十二条 強制執行ノ開始後ニ債務者カ死亡スルトキハ強制執行ハ遺産ニ対シ之ヲ続行ス可シ 2 債務者ノ知ルコトヲ要スル執行行為ヲ実施スル場合ニ於テ相続人アラサルトキ又ハ相続人ノ所在明カナラサルトキハ執行裁判所ハ債権者ノ申立ニ因 リ遺産又ハ相続人ノ為メ特別代理人ヲ任ス可シ 第五百五十三条 削除 第五百五十四条 強制執行ノ費用ハ必要ナリシ部分ニ限リ債務者ノ負担ニ帰ス此費用ハ強制執行ヲ受クル請求ト同時ニ之ヲ取立ツ可シ 2 強制執行ノ基本タル判決ヲ廃棄若クハ破毀シタルトキハ其費用ハ之ヲ債務者ニ弁済ス可シ 第五百五十五条 執行ノ為メ官庁ノ援助ヲ必要トスルトキハ裁判所ハ其援助ヲ官庁ニ求ム可シ 第五百五十六条 削除 第五百五十七条 外国ニ於テ強制執行ヲ為ス可キ場合ニ於テ其外国官庁カ本邦裁判所ニ法律上ノ共助ヲ為ス可キトキハ債権者ノ申立ニ因リ第一審ノ受 訴裁判所ハ之ヲ外国官庁ニ嘱託ス可シ 2 外国駐在ノ本邦領事ニ依リ強制執行ヲ為シ得ヘキトキハ第一審ノ受訴裁判所ハ之ヲ其領事ニ嘱託ス可シ 第五百五十八条 強制執行ノ手続ニ於テ口頭弁論ヲ経スシテ為スコトヲ得ル裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第五百五十九条 強制執行ハ左ノ諸件ニ付テモ亦之ヲ為スコトヲ得 第一 抗告ヲ以テノミ不服ヲ申立ツルコトヲ得ル裁判 第二 仮執行ノ宣言ヲ付シタル支払命令 第三 公証人カ其権限内ニ於テ成規ノ方式ニ依リ作リタル証書但一定ノ金額ノ支払又ハ他ノ代替物若クハ有価証券ノ一定ノ数量ノ給付ヲ以テ目的ト スル請求ニ付キ作リタル証書ニシテ直チニ強制執行ヲ受ク可キ旨ヲ記載シタルモノニ限ル 第五百六十条 前条ニ掲ケタル債務名義及ヒ訴訟上ノ和解並ニ請求ノ抛棄又ハ認諾ニ因レル強制執行ニハ第五百十六条乃至第五百二十九条、第五百三 十一条乃至第五百五十二条、第五百五十四条、第五百五十五条、第五百五十七条及ヒ第五百五十八条ノ規定ヲ準用ス但第五百六十条ノ二、第五百六 十一条又ハ第五百六十二条ノ規定ニ依リ差異ノ生スルトキハ此限ニ在ラス 第五百六十条ノ二 簡易裁判所ニ於テ為シタル和解ニ関シテハ執行文付与ニ付テノ訴又ハ請求ニ関シ異議ヲ主張スル訴又ハ執行文付与ノ際証明シタリ ト認メタル事実ノ到来ニ係リ此ニ因リテ和解ノ執行ヲ為シ得ベキモノヲ争ヒ若クハ認メタル承継ヲ争フ訴ハ其和解ニ係ル請求ガ簡易裁判所ノ管轄ニ 属セザルモノナルトキハ其簡易裁判所ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所ニ之ヲ起ス可シ 第五百六十一条 仮執行ノ宣言ヲ付シタル支払命令ニハ其命令ヲ発シタル後債権者又ハ債務者ニ於テ承継アル場合ニ限リ執行文ヲ附記スルコトヲ要ス 2 請求ニ関スル異議ハ仮執行ノ宣言ヲ付シタル支払命令ノ送達後ニ生シタル原因ニ基クトキニ限リ之ヲ許ス 3 執行文付与ニ付テノ訴又ハ請求ニ関シ異議ヲ主張スル訴又ハ執行文付与ノ際到来シタリト認メタル承継ヲ争フ訴ハ仮執行ノ宣言ヲ付シタル支払命令 ヲ発シタル簡易裁判所之ヲ管轄ス但其請求カ簡易裁判所ノ管轄ニ属セサルモノナルトキハ管轄地方裁判所ニ其訴ヲ起ス可シ 第五百六十一条ノ二 過料ノ裁判及ヒ第三百八十四条ノ二第一項ノ裁判ハ検察官ノ命令ヲ以テ之ヲ執行ス此命令ハ執行力アル債務名義ト同一ノ効力ヲ 有ス 第五百六十二条 公証人ノ作リタル証書ノ執行力アル正本ハ其証書ヲ保存スル公証人之ヲ付与ス 2 執行文付与ニ関スル異議ニ付テノ裁判及ヒ更ニ執行文付与ニ付テノ裁判ハ公証人職務上ノ住所ヲ有スル地ヲ管轄スル地方裁判所ニ於テ之ヲ為ス 3 請求ニ関スル異議ノ主張ニ付テハ第五百四十五条第二項ニ規定シタル制限ニ従ハス 4 執行文付与ニ付テノ訴又ハ請求ニ関シ異議ヲ主張スル訴又ハ執行文付与ノ際証明シタリト認メタル事実ノ到来ニ係リ此ニ因リテ証書ノ執行ヲ為シ得 ヘキモノヲ争フ訴ハ債務者カ本邦ニ於テ普通裁判籍ヲ有スル地ノ裁判所又ハ此裁判所ナキトキハ第八条ノ規定ニ従ヒテ債務者ニ対シ訴ヲ起シ得ヘキ 裁判所之ヲ管轄ス 第五百六十三条 本編ニ定メタル裁判籍ハ専属ナリトス

第二章 金銭ノ債権ニ付テノ強制執行

第一節 動産ニ対スル強制執行

第一款 通則

第五百六十四条 動産ニ対スル強制執行ハ差押ヲ以テ之ヲ為ス 2 差押ハ執行力アル正本ニ掲ケタル請求ヲ債権者ニ弁済スル為メ及ヒ強制執行ノ費用ヲ償フ為ニ必要ナルモノノ外ニ及ホスコトヲ得ス 3 差押フ可キ物ヲ換価スルモ強制執行ノ費用ヲ償フテ剰余ヲ得ル見込ナキトキハ強制執行ヲ為スコトヲ得ス 第五百六十五条 第三者カ差押ヲ受ク可キ物ニ付キ物上ノ担保権ヲ有スルモ差押ヲ妨クルコトヲ得ス然レトモ第五百四十九条ノ規定ニ従ヒ訴ヲ以テ売 得金ニ付キ優先ノ弁済ヲ請求スル権利ハ此カ為ニ妨ケラルルコト無シ 2 此場合ニ於テ請求ノ為メ主張シタル事情カ法律上理由アリト見エ且事実上ノ点ニ付キ疏明アリタルトキハ裁判所ハ売得金ノ供託ヲ命ス可シ但此事項 ニ付テハ第五百四十七条及ヒ第五百四十八条ノ規定ヲ準用ス

第二款 有体動産ニ対スル強制執行

第五百六十六条 債務者ノ占有中ニ在ル有体動産ノ差押ハ執行官其物ヲ占有シテ之ヲ為ス 2 其物ハ債権者ノ承諾アルトキ又ハ其運搬ヲ為スニ付キ重大ナル困難アルトキハ之ヲ債務者ノ保管ニ任ス可シ此場合ニ於テハ封印其他ノ方法ヲ以テ差 押ヲ明白ニスルトキニ限リ其効力ヲ生ス 3 執行官ハ債務者ニ其差押ヲ為シタルコトヲ通知ス可シ 第五百六十七条 前条ノ規定ハ債権者又ハ物ノ提出ヲ拒マサル第三者ノ占有中ニ在ル物ノ差押ニ付テモ亦之ヲ準用ス 第五百六十八条 果実ハ未タ土地ヨリ離レサル前ト雖モ之ヲ差押フルコトヲ得然レトモ其差押ハ通常ノ成熟時期ノ前一个月内ニ非サレハ之ヲ為スコト ヲ得ス 2 蚕ハ其多分カ繭ヲ成造スル為メ揚リ蚕ト為リタル後ニ非サレハ之ヲ差押フルコトヲ得ス 第五百六十九条 差押ノ効力ハ差押物ヨリ生スル天然ノ産出物ニモ当然及フモノトス 第五百七十条 左ニ掲クル物ハ之ヲ差押フルコトヲ得ス 第一 衣服、寝具、家具及ヒ厨具但此物カ債務者及ヒ其同居ノ親族ノ為メ欠ク可カラサルトキニ限ル 第二 債務者及ヒ其同居ノ親族ニ必要ナル三个月間ノ食料及ヒ薪炭 第三 技術者、職工、労役者及ヒ穏婆ニ在テハ其営業上欠ク可カラサル物 第四 農業者ニ在テハ其農業上欠ク可カラサル農具、家畜、肥料及ヒ次ノ収穫マテ農業ヲ続行スル為メ欠ク可カラサル農産物 第五 官吏、神職、僧侶、公立私立ノ教育場教師、弁護士、公証人及ヒ医師ニ在テハ其職業ヲ執行スル為メ欠ク可カラサル物並ニ身分相当ノ衣服 第六 第六百十八条第一項第五号及ヒ第六号ニ掲クル収入ニシテ差押ヲ受ケサル金額但シ差押ヨリ次期ノ収入ノ支払マテノ日数ニ応シテ之ヲ計算ス 第七 薬舗ニ在テハ調薬ヲ為ス為メ欠ク可カラサル器具及ヒ薬品 第八 勲章及ヒ名誉ノ証標 第九 実印其他職業ニ必要ナル印 第十 神体、仏像其他礼拝ノ用ニ供スル物 第十一 系譜 第十二 債務者又ハ其同居ノ親族ノ未タ公ニセサル発明ニ関スル物及ヒ債務者又ハ其同居ノ親族ノ未タ公ニセサル著述ノ稿本 第十三 債務者及ヒ其同居ノ親族カ学校ニ於テ使用ニ供スル書籍 2 前項第二号ノ場合ニ於テ食料又ハ薪炭ニ各数種ノモノアルトキハ執行官ハ債務者ノ利益ヲ考慮シテ差押ヲ為ササル範囲ヲ定ムルコトヲ要ス 3 前項ノ場合ニ於テ執行官ハ一応差押ヲ為シタル上執行裁判所ニ差押フ可キ物ノ指定ヲ求ムルコトヲ得此指定ニ対シテハ当事者ハ異議ヲ述フルコトヲ 得ス 4 債務者ノ承諾アルトキハ第一項第三号乃至第八号ニ掲ケタル物ヲ除ク外之ヲ差押フルコトヲ得 第五百七十条ノ二 差押ニ因リ債務者カ其生活上回復スルコト能ハサル窮迫ノ状態ニ陥ルノ恐アル場合ニ於テ債務者カ誠実ニシテ債務履行ノ意思アリ 且債権者ノ経済ニ甚シキ影響ヲ及ホササルモノト認ム可キ顕著ナル事由アルトキハ裁判所ハ債務者ノ申立ニ因リ前条ノ規定ニ依ルノ外必要ナル限度 ニ於テ差押フルコトヲ得サル財産ヲ定ムルコトヲ得 2 前項ノ裁判ヲ為シタル後ニ於テ理由消滅シ又ハ事情変更シタルトキハ裁判所ハ当事者ノ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ前項ノ裁判ヲ取消シ又ハ之ヲ変更 スルコトヲ得 3 第五百二十二条第二項ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス 第五百七十一条 差押物保存ノ為メ特別ノ処分ヲ必要トスルトキハ執行官ハ適当ノ方法ヲ以テ之ヲ為ス可シ若シ此カ為ニ費用ヲ要スルトキハ債権者ヲ シテ之ヲ予納セシメ又債権者数名関係スルトキハ其要求額ノ割合ニ従ヒテ其各債権者ヨリ之ヲ予納セシム可シ 第五百七十二条 執行官ハ差押ヲ実施シタル後以下数条ノ規定ニ従ヒテ公ノ競売方法ヲ以テ其差押物ヲ売却ス可シ 第五百七十三条 競売ス可キ物ノ中ニ高価ノモノ有ルトキハ執行官ハ適当ナル鑑定人ヲシテ其評価ヲ為サシム可シ 第五百七十四条 差押金銭ハ之ヲ債権者ニ引渡ス可シ 2 執行官カ金銭ヲ取立テタルトキハ債務者ヨリ支払ヲ為シタルモノト看做ス但保証ヲ立テ又ハ供託ヲ為シテ執行ヲ免カルルコトヲ債務者ニ許シタルト キハ此限ニ在ラス 第五百七十五条 差押ノ日ト競売ノ日トノ間ニハ少ナクトモ七日ノ時間ヲ存スルコトヲ要ス但差押債権者、執行力アル正本ニ因リ配当ヲ要求スル債権 者及ヒ債務者カ競売ヲ更ニ早ク為サンコトヲ合意シタルトキ又ハ差押物ヲ永ク貯蔵スルニ付キ不相応ノ費用若クハ其物ノ価格ノ著シク減少スル危害 ヲ避ケン為メ競売ヲ早ク為スコトノ必要ナルトキハ此限ニ在ラス 第五百七十六条 競売ハ差押ヲ為シタル市町村ニ於テ之ヲ為ス但差押債権者及ヒ債務者カ他ノ地ニ於テ之ヲ為スコトヲ合意シタルトキハ此限ニ在ラス 2 競売ノ日時及ヒ場所ハ之ヲ公告ス但其公告ニハ競売ス可キ物ヲ表示ス可シ 第五百七十七条 最高価競買ノ為メノ競落ハ其価額ヲ三回呼上ケタル後之ヲ為ス 2 競落物ノ引渡ハ代金ト引換ヘ之ヲ為ス 3 最高価競買人競売条件ニ定メタル支払期日又ハ其定ナキトキハ競売期日ノ終ル前ニ代金ノ支払ヲ為シテ物ノ引渡ヲ求メサルトキハ更ニ其物ヲ競売ス 可シ此場合ニ於テハ前ノ最高価競買人ハ競買ニ加ハルコトヲ得ス且再度ノ競落代価カ最初ノ競落代価ヨリ低キトキハ不足ヲ担任ス可シ其高キトキハ 剰余ヲ請求スルコトヲ得ス 第五百七十八条 競売ハ売得金ヲ以テ債権者ニ弁済ヲ為シ及ヒ強制執行ノ費用ヲ償フニ足ルニ至ルトキハ直チニ之ヲ止ム可シ 第五百七十九条 執行官売得金ヲ領収シタルトキハ債務者ヨリ支払ヲ為シタルモノト看做ス但保証ヲ立テ又ハ供託ヲ為シテ執行ヲ免カルルコトヲ債務 者ニ許シタルトキハ此限ニ在ラス 第五百八十条 金銀物ハ其金銀ノ実価ヨリ以下ニ競落スルコトヲ許サス其実価マテニ競買ヲ為ス者ナキトキハ執行官ハ金銀ノ実価ニ達スル価額ヲ以テ 適宜ニ之ヲ売却スルコトヲ得 第五百八十一条 執行官有価証券ヲ差押ヘタルトキハ相場アルモノハ売却日ノ相場ヲ以テ適宜ニ之ヲ売却シ其相場ナキモノハ一般ノ規定ニ従ヒテ之ヲ 競売ス可シ 第五百八十二条 有価証券ノ記名ナルトキハ執行裁判所ハ買主ノ氏名ニ書換ヲ為サシメ及ヒ此カ為メ必要ナル陳述ヲ債務者ニ代リ為ス権ヲ執行官ニ与 フルコトヲ得 第五百八十三条 無記名ノ証券ニシテ記名ニ換ヘ又ハ他ノ方法ニ依リ流通ヲ止メタルモノナルトキハ執行裁判所ハ其流通回復ヲ為サシメ及ヒ此カ為メ 必要ナル陳述ヲ債務者ニ代リテ為ス権ヲ執行官ニ与フルコトヲ得 第五百八十四条 土地ヨリ離レサル前ニ差押ヘタル果実ノ競売ハ其成熟ノ後始メテ之ヲ為スコトヲ許ス執行官ハ競売ノ為メ其収穫ヲ為サシムル権利ア リ 2 差押ヘタル蚕ノ競売ハ全ク繭ト為リタル後始メテ之ヲ為スコトヲ許ス 第五百八十五条 差押債権者、執行力アル正本ニ因リ配当ヲ要求スル債権者又ハ債務者ノ申立ニ因リ執行裁判所ハ前数条ノ規定ニ依ラス他ノ方法又ハ 他ノ場所ニ於テ差押物ノ売却ヲ為ス可キ旨又ハ執行官ニ依ラス他ノ者ヲシテ競売ヲ為サシム可キ旨ヲ命スルコトヲ得 第五百八十五条ノ二 執行裁判所必要アリト認ムルトキハ職権ヲ以テ前条ノ裁判ヲ為スコトヲ得 2 右裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス 第五百八十六条 執行官ハ既ニ差押ヘタル物ニ付キ他ノ債権者ノ為メ更ニ差押ノ手続ヲ為スコトヲ得ス 2 既ニ差押ヲ為シタル後更ニ強制執行ノ申立アリタル場合ニ於テハ執行官ハ差押調書ニ基キ物ノ照査ヲ為シ未ダ差押ニ係ラザル物アルトキハ之ヲ差押 ヘ差押調書ヲ作リ前ノ差押調書ニ之ヲ添附ス可シ若シ差押フベキ物アラザルトキハ照査調書ヲ作リ前ノ差押調書ニ之ヲ添附ス可シ 3 仮差押ニ係ル物ニ付テハ本条ノ規定ヲ適用セス 第五百八十七条 前条ニ掲ケタル物ノ照査手続ハ配当要求ノ効力ヲ生シ又既ニ為シタル差押カ取消ト為リタルトキハ差押ノ効力ヲ生ス 第五百八十八条 適当ナル期間経過スルモ執行官競売ヲ為ササルトキハ差押債権者及ヒ執行力アル正本ニ因リ配当ヲ要求スル債権者ハ一定ノ期間内ニ 競売ヲ為ス可キコトヲ催告シ其催告ノ効アラサルトキハ相当ノ命令アランコトヲ執行裁判所ニ申請スルコトヲ得 第五百八十九条 民法ニ従ヒ配当ヲ要求シ得ヘキ債権者ハ執行力アル正本ニ因ラスシテ売得金ノ配当ヲ要求スルコトヲ得 第五百九十条 前条ノ配当要求ハ其原因ヲ開示シ且裁判所ノ所在地ニ住居ヲモ事務所ヲモ有セサル者ハ仮住所ヲ選定シ執行官ニ之ヲ為ス可シ 第五百九十一条 第五百八十六条第二項及ヒ第五百九十条ノ場合ニ於テ執行官ハ配当要求ノ有リタルコトヲ配当ニ与カル各債権者及ヒ債務者ニ通知ス 可シ 2 執行力アル正本ニ因ラスシテ配当ヲ要求スル債権者アルトキハ債務者ハ執行官ノ通知アリタルヨリ三日ノ期間内ニ其債権ヲ認諾スルヤ否ヤヲ執行官 ニ申立ツ可シ 3 債務者カ認諾セサルコトヲ執行官ヨリ通知アリタルトキハ債権者ハ其通知アリタルヨリ三日ノ期間内ニ債務者ニ対シ訴ヲ起シ其債権ヲ確定ス可シ 第五百九十二条 配当ノ要求ハ競売期日ノ終ニ至ルマテ之ヲ為スコトヲ得 第五百九十三条 売得金ヲ以テ配当ニ与カル各債権者ヲ満足セシムルニ足ラサル場合ニ於テ債権者間ニ配当ノ協議調ハサルトキハ執行官ハ其事情ヲ執 行裁判所ニ届出ヅ可ク其届書ニハ執行手続ニ関スル書類ヲ添附ス可シ 2 数多ノ債権者ノ為メ同時ニ金銭ヲ差押ヘタルトキ之ヲ以テ各債権者ヲ満足セシムルニ足ラサル場合ニ於テモ亦同シ

第三款 債権及ヒ他ノ財産権ニ対スル強制執行

第五百九十四条 第三者(第三債務者)ニ対スル債務者ノ債権ニシテ金銭ノ支払又ハ他ノ有体物若クハ有価証券ノ引渡若クハ給付ヲ目的トスルモノノ 強制執行ハ執行裁判所ノ差押命令ヲ以テ之ヲ為ス 第五百九十五条 執行裁判所トシテハ債務者ノ普通裁判籍ヲ有スル地ノ地方裁判所、此地方裁判所ナキトキハ差押フヘキ債権ノ所在地ヲ管轄スル地方 裁判所管轄権ヲ有ス 2 差押フヘキ債権ハ第三債務者ノ普通裁判籍ノ所在地ニ在ルモノトス但物ノ引渡ヲ目的トスル債権及ヒ物上ノ担保権ヲ有スル債権ハ其物ノ所在地ニ在 ルモノトス 第五百九十六条 債権者ハ差押命令ノ申請ニ差押フ可キ債権ノ種類及ヒ数額ヲ開示ス可シ 2 右申請ハ書面又ハ口頭ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得 第五百九十七条 差押命令ハ予メ第三債務者及ヒ債務者ノ審訊ヲ経スシテ之ヲ発ス 第五百九十八条 金銭ノ債権ヲ差押フ可キトキハ裁判所ハ第三債務者ニ対シ債務者ニ支払ヲ為スコトヲ禁シ又債務者ニ対シ債権ノ処分殊ニ其取立ヲ為 ス可カラサルコトヲ命ス可シ 2 差押命令ハ職権ヲ以テ第三債務者及ヒ債務者ニ之ヲ送達シ又債権者ニハ其送達シタル旨ヲ通知ス可シ 3 差押ハ第三債務者ニ対スル送達ヲ以テ之ヲ為シタルモノト看做ス 第五百九十九条 抵当アル債権ノ差押ノ場合ニ於テハ債権者ハ債務者ノ承諾ヲ要セスシテ其債権ノ差押ヲ登記簿ニ記入スル権利アリ 2 此記入ノ申請ハ裁判所ニ之ヲ為ス可シ其申請ハ差押命令ノ申請ト之ヲ併合スルコトヲ得 3 裁判所ハ義務ヲ負フタル不動産ノ所有者(第三債務者)ニ差押命令ヲ送達シタル後記入ノ手続ヲ為ス可シ 第六百条 差押ヘタル金銭ノ債権ニ付テハ差押債権者ノ選択ニ従ヒ代位ノ手続ヲ要セスシテ之ヲ取立ツル為メ又ハ支払ニ換ヘ券面額ニテ差押債権者ニ 之ヲ転付スル為メ命令アランコトヲ申請スルコトヲ得 2 右命令ノ送達ニ付テハ第五百九十八条第二項ノ規定ヲ準用ス 第六百一条 支払ニ換ヘ券面額ニテ債権ヲ転付スル命令アル場合ニ於テハ其債権ノ存スル限リハ第五百九十八条第二項ノ手続ヲ為スニ因リ債務者ハ債 権ノ弁済ヲ為シタルモノト看做ス 第六百二条 取立ノ為メノ命令ハ其債権ノ全額ニ及フモノトス但執行裁判所ハ債務者ノ申立ニ因リ差押債権者ヲ審訊シテ差押額ヲ其債権者ノ要求額マ テニ制限シ其超過スル額ノ処分殊ニ取立ヲ為スヲ許スコトヲ得其制限シタル部分ニ限リ他ノ債権者ハ配当要求ヲ為スコトヲ得ス 2 右許可ハ第三債務者及ヒ債権者ニ通知ス可シ 第六百三条 手形其他裏書ヲ以テ移転スルコトヲ得ル証券ニ因レル債権ノ差押ハ執行官其証券ヲ占有シテ之ヲ為ス 第六百四条 俸給又ハ此ニ類スル継続収入ノ債権ノ差押ハ債権額ヲ限トシ差押後ニ収入ス可キ金額ニ及フモノトス 第六百五条 職務上収入ノ差押ハ債務者ノ転官兼任又ハ増俸ニ因ル収入ニモ亦及フモノトス 第六百六条 債務者ハ債権ニ関スル所持ノ証書ヲ差押債権者ニ引渡ス義務アリ債権者ハ差押命令ニ基キ強制執行ノ方法ヲ以テ其証書ヲ債務者ヨリ取上 ケシムルコトヲ得 第六百七条 第百九十六条第三項ニ従ヒテ債務者ニ担保ヲ供セシメテ執行ヲ免カルルコトヲ許ス可キトキハ差押ヘタル金銭債権ニ付テハ取立ノ命令ノ ミヲ為ス可シ但此命令ハ第三債務者ヲシテ債務額ヲ供託セシムル効力ノミヲ有ス 第六百八条 債権者取立ヲ為シタルトキハ其旨ヲ執行裁判所ニ届出ツ可シ 第六百九条 差押債権者ハ第三債務者ヲシテ差押命令ノ送達ヨリ七日ノ期間内ニ書面ヲ以テ左ノ陳述ヲ為サシメンコトヲ裁判所ニ申立ツルコトヲ得 第一 債権ノ認諾ノ有無及ヒ其限度並ニ支払ヲ為ス意思ノ有無及ヒ其限度 第二 債権ニ付キ他ノ者ヨリノ請求ノ有無及其種類 第三 債権カ既ニ他ノ債権者ヨリ差押ヘラレタルコトノ有無及ヒ其請求ノ種類 2 右ノ陳述ヲ求ムル催告ハ之ヲ送達証書ニ記載ス可シ第三債務者陳述ヲ怠リタルトキハ此ニ因リテ生スル損害ニ付キ其責ニ任ス 第六百十条 債権者カ命令ノ旨趣ニ基キ第三債務者ニ対シ訴ヲ起スニ至リタルトキハ一般ノ規定ニ従ヒテ管轄ヲ有スル裁判所ニ其訴ヲ起シ且債務者内 国ニ在リテ住所ノ知レタルトキハ其訴訟ヲ之ニ告知ス可シ 第六百十一条 債権者カ取立ヲ為ス可キ債権ノ行用ヲ怠リタルトキハ此カ為メ債務者ニ生シタル損害ノ責ニ任ス 第六百十二条 債権者ハ命令ニ因リ取立ノ為メ取得シタル権利ヲ抛棄スルコトヲ得但此カ為メ其請求ヲ害セラルルコト無シ 2 此抛棄ハ裁判所ニ届書ヲ差出シテ之ヲ為ス但其謄本ハ第三債務者及ヒ債務者ニ之ヲ送達ス可シ 第六百十三条 差押ヘタル債権カ条件附若クハ有期ナルトキ又ハ反対給付ニ繋リ若クハ他ノ理由アリテ其取立ノ困難ナルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ取 立ニ換ヘ他ノ換価方法ヲ命スルコトヲ得 2 債務者内国ニ在リテ住所ノ知レタルトキハ其申立ヲ許ス決定前ニ之ヲ審訊ス可シ 第六百十四条 有体物ノ引渡又ハ給付ノ請求ニ対スル強制執行ハ以下数条ノ規定ヲ斟酌シテ第五百九十八条乃至第六百十二条ノ規定ニ従ヒテ之ヲ為ス 第六百十五条 有体動産ノ請求ノ差押ニ付テハ其動産ヲ執行官ニ引渡ス可キコトヲ命ス可シ 2 右動産ノ換価ニ付テハ差押物ノ換価ニ関スル規定ヲ適用ス 第六百十六条 不動産ノ請求ノ差押ニ付テハ債権者ノ申立ニ因リ其不動産ヲ不動産所在地ノ地方裁判所ヨリ命シタル保管人ニ引渡ス可キコトヲ命ス可 シ 2 引渡シタル不動産ニ付テノ強制執行ハ不動産ニ対スル強制執行ニ付テノ規定ニ従ヒテ之ヲ為ス 第六百十七条 有体物ノ引渡又ハ給付ノ請求ニ付テハ支払ニ換ヘ転付スル命令ヲ為スコトヲ得ス 第六百十八条 左ニ掲クル債権ハ之ヲ差押フルコトヲ得ス 第一 法律上ノ養料 第二 債務者カ義捐建設所ヨリ又ハ第三者ノ慈恵ニ因リ受クル継続ノ収入但債務者及ヒ其同居ノ親族ノ生活ノ為メ必要ナルモノニ限ル 第三及ヒ第四 削除 第五 官吏、神職、僧侶及ヒ公立私立ノ教育場教師ノ職務上ノ収入、恩給及ヒ其遺族ノ扶助料 第六 職工、労役者又ハ雇人カ其労力又ハ役務ノ為ニ受クル報酬 2 第一号、第五号及第六号ニ掲ケル収入ニ付テハ其支払期ニ受クヘキ金額ノ四分ノ一ニ限リ之ヲ差押フルコトヲ得但シ差押ニ因リ債務者カ其生活上窮 迫ノ状態ニ陥ルノ恐ナキトキハ裁判所ノ許可ヲ得テ其二分ノ一ニ達スルマテ之ヲ差押フルコトヲ得 第六百十八条ノ二 第五百七十条ノ二ノ規定ハ前条第二項本文ノ規定ニ依リ差押ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス 第六百十九条 数名ノ差押債権者ノ為メ同時ニ為ス可キ債権ノ差押ニ付テハ前数条ノ規定ヲ準用ス 第六百二十条 執行力アル正本ヲ有スル債権者及ヒ民法ニ従ヒ配当ノ要求ヲ為シ得ヘキ債権者ハ差押債権者カ取立ヲ為シ其旨ヲ執行裁判所ニ届出ツル マテ又ハ執行官カ売得金ヲ領収スルマテ配当ヲ要求スルコトヲ得但執行力アル正本ニ因ラスシテ配当ヲ要求スル債権者ニ付テハ第五百九十条及ヒ第 五百九十一条第二項第三項ノ規定ヲ適用ス 2 支払ニ換ヘテノ転付ノ命令アリタル後ハ配当ノ要求ヲ為スコトヲ得ス 3 右配当要求ハ職権ヲ以テ之ヲ第三債務者、債務者及ヒ差押債権者ニ送達シ又既ニ為シタル差押カ取消ト為リタルトキハ執行力アル正本ニ因リ要求シ タル債権者ノ為メ要求ノ順序ニ因リ差押ノ効力ヲ生ス 第六百二十一条 金銭ノ債権ニ付キ配当要求ノ送達ヲ受ケタル第三債務者ハ債務額ヲ供託スル権利アリ 2 第三債務者ハ配当ニ与カル或ル債権者ノ求ニ因リ債務額ヲ供託スル義務アリ 3 第三債務者債務額ヲ供託シタルトキハ其事情ヲ裁判所ニ届出ツ可シ 第六百二十二条 請求カ不動産ニ関スルトキハ第三債務者ハ其不動産所在地ノ地方裁判所カ差押債権者又ハ第三債務者ノ申立ニ因リ命シタル保管人ニ 事情ヲ開示シ且送達セラレタル命令ヲ添ヘ其不動産ヲ引渡ス権利ヲ有シ又ハ差押債権者ノ求ニ因リ之ヲ引渡ス義務アリ 第六百二十三条 第三債務者カ取立手続ニ対シテ義務ヲ履行セサルトキハ差押債権者ハ訴ヲ以テ之ヲ履行セシムルコトヲ得 2 執行力アル正本ヲ有スル各債権者ハ共同訴訟人トシテ原告ニ加ハル権利アリ 3 訴ヲ受ケタル第三債務者ハ原告ニ加ハラサル債権者ヲ共同訴訟人トシテ呼出アランコトヲ口頭弁論ノ第一期日マテニ申立ツルコトヲ得 4 右ノ場合ニ於ケル裁判ハ呼出ヲ受ケタル債権者ニ利害ヲ及ホス効力アリ 第六百二十四条 差押債権者取立手続ヲ怠リタルトキハ執行力アル正本ニ因リ要求シタル各債権者ハ一定ノ期間内ニ取立ヲ為ス可キコトヲ催告シ其催 告ノ効アラサルトキハ執行裁判所ノ許可ヲ得テ自ラ取立ヲ為スコトヲ得 第六百二十五条 不動産ヲ目的トセス又前数条ニ掲ケタル以外ノ財産権ニ対スル強制執行ニ付テハ本款ノ規定ヲ準用ス 2 若シ第三債務者ナキトキハ差押ハ債務者ニ権利ノ処分ヲ禁スル命令ヲ送達シタル日時ヲ以テ之ヲ為シタルモノト看做ス 3 右ノ場合ニ於テハ裁判所ハ特別ノ処分殊ニ其権利ノ管理若クハ譲渡ヲ命スルコトヲ得

第四款 配当手続

第六百二十六条 配当手続ハ動産ニ対スル強制執行ニ際シ競売期日又ハ金銭差押ノ日ヨリ十四日ノ期間内ニ債権者間ノ協議調ハサル為メ事情ヲ届出デ タルトキ之ヲ為ス 第六百二十七条 裁判所ハ事情届書ニ基キ七日ノ期間内ニ元金、利息、費用其他附帯ノ債権ノ計算書ヲ差出ス可キ旨ヲ各債権者ニ催告ス可シ 第六百二十八条 前条ノ期間満了後裁判所ハ配当表ヲ作ル可シ 2 右期間ヲ遵守セサル債権者ノ債権ハ配当表ヲ作ルニ際シ配当要求並ニ届書ノ旨趣及ヒ其憑拠書類ニ依リ之ヲ計算ス但後ニ債権額ヲ補充スルコトヲ許 サス 第六百二十九条 裁判所ハ配当表ニ関スル陳述及ヒ配当実施ノ為メ期日ヲ指定シ其期日ニハ各債権者及ヒ債務者ヲ呼出ス可シ但債務者ノ所在明カナラ サルトキ又ハ外国ニ在ルトキハ呼出ヲ為スコトヲ要セス 2 配当表ハ各債権者及ヒ債務者ニ閲覧セシムル為メ遅クトモ期日ノ三日前ニ裁判所ニ之ヲ備置ク可シ 第六百三十条 期日ニ於テ異議ノ申立ナキトキハ配当表ニ従ヒテ其配当ヲ実施ス可シ 2 停止条件附ノ債権ノ配当額ハ之ヲ供託シ民法ニ従ヒテ条件ノ成否ニ依リ後ニ之ヲ支払ヒ又ハ更ニ配当ス可シ 3 第五百九十一条第三項ノ場合又ハ仮差押ノ場合ニ於テ未タ確定セサル債権其他異議アル債権ノ配当額ハ之ヲ供託ス可シ 4 配当実施ニ付テハ調書ヲ作ル可シ 第六百三十一条 異議ノ申立アルトキハ他ノ債権者ハ直チニ陳述ヲ為ス可シ若シ関係人異議ヲ正当ナリト認ムルトキ又ハ他ノ方法ニ於テ合意スルトキ ハ之ニ従ヒ配当表ヲ更正シテ配当ヲ実施ス可シ 2 異議ノ完結セサルトキハ異議ナキ部分ニ限リ配当ヲ実施ス可シ 第六百三十二条 期日ニ出頭セサル債権者ハ配当表ノ実施ニ同意シタルモノト看做ス 2 若シ期日ニ出頭セサル債権者カ他ノ債権者ヨリ申立テタル異議ニ関係ヲ有スルトキハ其債権者ハ異議ヲ正当ナリト認メサルモノト看做ス 第六百三十三条 期日ニ於テ異議ノ完結セサルトキハ異議ヲ申立テタル債権者ハ他ノ債権者ニ対シ訴ヲ起シタルコトヲ期日ヨリ七日ノ期間内ニ裁判所 ニ証明ス可シ若シ其期間ヲ徒過シタル後ハ裁判所ハ異議ニ拘ハラス配当ノ実施ヲ命ス可シ 第六百三十四条 異議ヲ申立テタル債権者前条ノ期間ヲ怠リタルトキト雖モ配当表ニ従ヒテ配当ヲ受ケタル債権者ニ対シ訴ヲ以テ優先権ヲ主張スル権 利ハ配当実施ノ為メ妨ケラルルコト無シ 第六百三十五条 異議ヲ申立テタル債権者ノ訴ニ付テハ配当裁判所之ヲ管轄ス 第六百三十六条 異議ニ付キ裁判ヲ為ス判決ニハ配当額ノ係争部分ヲ如何ナル債権者ニ如何ナル数額ヲ以テ支払フ可キヤヲ定ム可シ若シ之ヲ定ムルコ トヲ適当トセサルトキハ判決ニ於テ新ナル配当表ノ調製及ヒ他ノ配当手続ヲ命ス可シ 第六百三十七条 異議ヲ申立テタル債権者カ口頭弁論ノ期日ニ出頭セサルトキハ異議ヲ取下ケタルモノト看做ス 第六百三十八条 第六百三十六条ノ判決ノ確定シタルコト又ハ前条ノ規定ニ従ヒ異議ヲ取下ケタルモノト看做サレタルコトノ証明アルトキハ配当裁判 所ハ之ニ基キ支払又ハ他ノ配当手続ヲ命ス 第六百三十九条 裁判所ハ配当表ニ依リテ左ノ手続ヲ為シ配当ヲ実施ス可シ 2 債権全部ノ配当ヲ受ク可キ債権者ニハ配当額支払証ヲ交付スルト同時ニ其所持スル執行力アル正本又ハ債権ノ証書ヲ差出サシメ之ヲ債務者ニ交付ス 可シ 3 債権一分ノミノ配当ヲ受ク可キ債権者ニハ執行力アル正本又ハ債権ノ証書ヲ差出サシメ之ニ配当額ヲ記入シテ返還シ且配当額支払証ヲ交付スルト同 時ニ右債権者ヨリ金額ヲ証記シタル受取書ヲ差出サシメ之ヲ債務者ニ交付ス可シ 4 期日ニ出頭セサル債権者ノ配当額ハ之ヲ供託ス可シ 5 右ノ手続ヲ為シタルトキハ調書ニ記載シテ之ヲ明確ニス可シ

第二節 不動産ニ対スル強制執行

第一款 通則

第六百四十条 不動産ニ対スル強制執行ハ左ノ方法ヲ以テ之ヲ為ス 第一 強制競売 第二 強制管理 2 債権者ハ自己ノ選択ニ依リ一箇ノ方法ヲ以テ又ハ二箇ノ方法ヲ併セテ執行セシムルコトヲ得 3 強制管理ハ仮差押ノ執行ノ為ニモ亦之ヲ為ス 第六百四十一条 不動産ニ対スル強制執行ニ付テハ其不動産所在地ノ地方裁判所執行裁判所トシテ之ヲ管轄ス若シ其不動産数箇ノ地方裁判所ノ管轄区 内ニ散在スルトキハ各地方裁判所管轄権ヲ有ス此場合ニ於テ裁判所必要アリト認ムルトキハ事件ヲ他ノ管轄地方裁判所ニ移送スルコトヲ得 2 強制執行ハ申立ニ因リテ裁判所之ヲ為ス

第二款 強制競売

第六百四十二条 強制競売ノ申立ニハ左ノ諸件ヲ具備スルコトヲ要ス 第一 債権者、債務者及ヒ裁判所ノ表示 第二 不動産ノ表示 第三 競売ノ原因タル一定ノ債権及ヒ其執行シ得ヘキ一定ノ債務名義 第六百四十三条 申立ニハ執行力アル正本ノ外左ノ証書ヲ添附ス可シ 第六百四十三条 申立ニハ執行力アル正本ノ外左ノ証書ヲ添附ス可シ 第一 登記簿ニ債務者ノ所有トシテ登記シタル不動産ニ付テハ登記官ノ認証書 第二 登記簿ニ登記アラサル不動産ニ付テハ債務者ノ所有タルコトヲ証ス可キ証書 第三 地所ニ付テハ国郡市町村、字、番地、地目、地積及ヒ其地所ニ付キ納ム可キ一个年ノ租税其他ノ公課ヲ証ス可キ証書 第四 建物ニ付テハ国郡市町村、字、番地、構造ノ種類、床面積及ヒ其建物ニ付キ納ム可キ一个年ノ公課ヲ証ス可キ証書 第五 地所、建物ニ付キ賃貸借アル場合ニ於テハ其期限並ニ借賃及ヒ借賃ノ前払又ハ敷金ノ差入アルトキハ其額ヲ証ス可キ証書 2 第二号、第三号及ヒ第四号ノ要件ニ付テハ債権者公簿ヲ主管スル官庁ニ其証明書ヲ求ムルコトヲ得 3 第四号及ヒ第五号ノ要件ヲ証明スル能ハサルトキハ債権者ハ競売申立ノ際其取調ヲ執行裁判所ニ申請スルコトヲ得但此場合ニ於テハ裁判所ハ執行官 ヲシテ其取調ヲ為サシム可シ 4 強制管理ノ為メ既ニ不動産ヲ差押ヘタル場合ニ於テ其執行記録ニ第一号乃至第五号ノ要件ヲ記載シタルモノ有ルトキハ其証書ヲ添附スルコトヲ要セ ス 第六百四十四条 競売手続ノ開始決定ニハ同時ニ債権者ノ為メ不動産ヲ差押フルコトヲ宣言ス可シ 2 差押ハ債務者カ不動産ノ利用及ヒ管理ヲ為スコトヲ妨ケス 3 差押ハ其決定ヲ債務者ニ送達スルニ因リ其効力ヲ生ス此送達ハ職権ヲ以テ之ヲ為ス 第六百四十五条 裁判所ハ競売手続開始ノ決定ヲ為シタル不動産ニ付キ強制競売ノ申立アルモ更ニ開始決定ヲ為スコトヲ得ス 2 右申立ハ執行記録ニ添附スルニ因リ配当要求ノ効力ヲ生シ又既ニ開始シタル競売手続取消ト為リタルトキハ第六百四十九条第一項ノ規定ヲ害セサル 限リハ開始決定ヲ受ケタル効力ヲ生ス 3 仮差押ノ命令アリタル不動産ニ付テハ本条ノ規定ヲ適用セス 第六百四十六条 配当要求ハ其原因ヲ開示シ且裁判所ノ所在地ニ住居ヲモ事務所ヲモ有セサル者ハ仮住所ヲ選定シテ執行裁判所ニ之ヲ為ス可シ 2 右要求ハ競落期日ノ終ニ至ルマテ之ヲ為スコトヲ得 第六百四十七条 執行裁判所ハ前二条ノ申立及ヒ要求アリタルコトヲ利害関係人ニ通知ス可シ 2 執行力アル正本ニ因ラスシテ配当ヲ要求スル債権者アルトキハ債務者ハ右通知アリタルヨリ三日ノ期間内ニ其債権ヲ認諾スルヤ否ヤヲ裁判所ニ申出 ツ可シ 3 債務者カ認諾セサルコトヲ裁判所ヨリ通知アリタルトキハ債権者ハ其通知アリタルヨリ三日ノ期間内ニ債務者ニ対シ訴ヲ起シ其債権ヲ確定ス可シ 第六百四十八条 左ニ掲クル者ヲ競売手続ニ於テノ利害関係人ト為ス 第一 差押債権者及ヒ執行力アル正本ニ因リ配当ヲ要求スル債権者 第二 債務者 第三 登記簿ニ記入アル不動産上権利者 第四 不動産上権利者トシテ其債権ヲ証明シ執行記録ニ備フ可キ届出ヲ為シタル者 第五 知レタル抵当証券ノ所持人及ヒ裏書人 第六百四十九条 差押債権者ノ債権ニ先タツ債権ニ関スル不動産ノ負担ヲ競落人ニ引受ケシムルカ又ハ売却代金ヲ以テ其負担ヲ弁済スルニ足ル見込ア ルトキニ非サレハ売却ヲ為スコトヲ得ス 2 不動産ノ上ニ存スル一切ノ先取特権及ヒ抵当権ハ売却ニ因リテ消滅ス 3 留置権カ不動産ノ上ニ存スル場合ニ於テハ競落人ハ其留置権ヲ以テ担保スル債権ヲ弁済スル責ニ任ス 4 質権カ不動産ノ上ニ存スル場合ニ於テハ競落人ハ其質権ヲ以テ担保スル債権及ヒ質権者ニ対シテ優先権ヲ有スル者ノ債権ヲ弁済スル責ニ任ス 第六百五十条 権利ヲ取得スル第三者其取得ノ際差押又ハ競売ノ申立アリタルコトヲ知リタルトキハ差押ノ効力ニ対シ其善意ナリシコトヲ主張スルコ トヲ得ス 2 若シ不動産カ差押ノ原因タル債権ノ為メ義務ヲ負担スルトキハ差押後所有ノ移転シタル場合ニ限リ新所有者其取得ノ際差押又ハ競売ノ申立アリタル コトヲ知ラサルトキト雖モ競売手続ヲ続行ス可シ 3 競売申立ノ取下ニ因リテ差押ハ消滅ス 第六百五十一条 裁判所ハ競売手続開始ノ決定ヲ為ス際職権ヲ以テ競売ノ申立アリタルコトヲ登記簿ニ記入ス可キ旨ヲ登記官ニ嘱託ス可シ 2 登記官ハ前項ノ嘱託ニ従ヒテ記入ヲ為ス可シ 第六百五十二条 登記官ハ前条ニ掲ケタル記入ヲ為シタル後登記簿ノ謄本ヲ裁判所ニ送付シ不動産上権利者ヨリ差出シタル証書アルトキハ其抄本ヲモ 送付ス可シ 第六百五十三条 予メ知ルニ於テハ手続ノ開始ヲ妨ク可キ事実カ登記官ノ通知ニ依リ顕ハルルトキハ裁判所ハ其事情ニ因リ直チニ手続ヲ取消シ又ハ裁 判所ノ意見ヲ以テ定ムル期間内ニ其障碍ノ消滅シタルコトヲ証明ス可キコトヲ債権者ニ命ス可シ其期間内ニ此証明ヲ為ササルトキハ期間ノ満了後職 権ヲ以テ手続ヲ取消ス可シ 第六百五十三条ノ二 裁判所ハ競売開始ノ決定ヲ為シタルトキハ第六百四十八条第三号及ビ第五号ニ掲ゲタル者ニ其旨ヲ通知ス可シ但通知ヲ受クベキ 者ノ所在明カナラザルトキ又ハ外国ニ在ルトキハ此限ニ在ラズ 第六百五十四条 裁判所ハ競売開始ノ決定ヲ為シタルトキハ租税其他ノ公課ヲ主管スル官庁ニ通知シ其不動産ニ対スル債権ノ有無及ヒ限度ヲ申出ツ可 キコトヲ期間ヲ定メテ催告ス可シ 第六百五十五条 裁判所ハ登記官及ヒ租税其他ノ公課ヲ主管スル官庁ヨリ通知ヲ受ケタル後適当ト認ムル者ヲシテ不動産ノ評価ヲ為サシメ之ヲ斟酌シ テ最低競売価額ヲ定ム可シ 第六百五十六条 裁判所ハ最低競売価額ヲ以テ差押債権者ノ債権ニ先タツ不動産上ノ総テノ負担及ヒ手続ノ費用ヲ弁済シテ剰余アル見込ナシトスルト キハ差押債権者ニ其旨ヲ通知ス可シ 2 右通知ヨリ七日ノ期間内ニ差押債権者カ前項ノ負担及ヒ費用ヲ弁済シテ剰余アル可キ価額ヲ定メ且其価額ニ応スル競買人ナキ場合ニ於テハ自ラ其価 額ヲ以テ買受ク可キ旨ヲ申立テ十分ナル保証ヲ立テサルトキハ競売手続ヲ取消ス可シ 第六百五十七条 裁判所ハ前条第一項ノ債権及ヒ費用ヲ弁済シ剰余ヲ得ル見込アルトキ又ハ差押債権者前条第二項ノ申立ヲ為シ十分ナル保証ヲ立テタ ルトキハ職権ヲ以テ競売期日及ヒ競落期日ヲ定メテ之ヲ公告ス 第六百五十八条 競売期日ノ公告ニハ左ノ諸件ヲ具備スルコトヲ要ス 第一 不動産ノ表示 第二 租税其他ノ公課 第三 賃貸借アル場合ニ於テハ其期限並ニ借賃及ヒ借賃ノ前払又ハ敷金ノ差入アルトキハ其額 第四 強制執行ニ因リ競売ヲ為ス旨 第五 競売期日ノ場所及ビ日時 第六 最低競売価額 第七 競落期日ノ場所及ヒ日時 第八 執行記録ヲ閲覧シ得ヘキ場所 第九 登記簿ニ記入ヲ要セサル不動産上権利ヲ有スル者其債権ヲ申出ツ可キ旨 第十 利害関係人競売期日ニ出頭ス可キ旨 第六百五十九条 競売期日ハ公告ノ日ヨリ少ナクトモ十四日ノ後タル可シ 2 此期日ハ裁判所ノ意見ヲ以テ裁判所内又ハ其他ノ場所ニ於テ執行官ヲシテ之ヲ開カシム 第六百六十条 競落期日ハ競売期日ヨリ七日ヲ過クルコトヲ得ス 2 此期日ハ裁判所ニ於テ之ヲ開ク 第六百六十一条 競売期日ノ公告ハ左ノ箇所ニ掲示シテ之ヲ為ス 第一 裁判所ノ掲示板 第二 不動産所在地ノ市町村ノ掲示板 2 此他公告ハ裁判所ノ意見ニ従ヒ一箇又ハ数箇ノ新聞紙ニ掲載スルコトヲ得 第六百六十二条 最低競売価額ヲ除ク外本款ニ掲ケタル売却条件ノ変更ハ利害関係人ノ合意アルトキニ限リ之ヲ許ス但此合意ハ競売期日ニ至ルマテ之 ヲ為スコトヲ得 第六百六十二条ノ二 裁判所必要アリト認ムルトキハ職権ヲ以テ本款ニ掲ケタル売却条件ヲ変更スルコトヲ得 2 右裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス 3 第一項ノ場合ニ於テハ裁判所ハ執行官ヲシテ不動産ニ付キ必要ナル取調ヲ為サシムルコトヲ得 第六百六十三条 競売期日ヲ開キタル後執行官ハ執行記録ヲ各人ノ閲覧ニ供シ又特別ノ売却条件アルトキハ之ヲ告知シ且競買価額申出ヲ催告ス可シ 第六百六十四条 競買人カ保証トシテ競買価額十分ノ一ニ当ル金額ヲ現金又ハ有価証券ヲ以テ直チニ執行官ニ預クルトキニ非サレハ其競買ヲ許サス 第六百六十五条 競買ヲ許サレタル各競買人ハ更ニ高価ノ競買ノ許アルマテ其申出テタル価額ニ付キ拘束ヲ受クルモノトス 2 競買ハ競買価額ヲ申出ツ可キ催告後満一時間ヲ過クルニ非サレハ之ヲ終局スルコトヲ得ス 第六百六十六条 執行官ハ最高価競買人ノ氏名及ヒ其価額ヲ呼上ケタル後競買ノ終局ヲ告知ス可シ 2 他ノ各競買人ハ右ノ告知ニ因リ其競買ノ責務ヲ免カレ且即時ニ保証ノ返還ヲ求ムル権利アリ 第六百六十七条 競売ニ付キ作ル可キ調書ニハ左ノ諸件ヲ具備スルコトヲ要ス 第一 不動産ノ表示 第二 差押債権者ノ表示 第三 執行記録ヲ各人ノ閲覧ニ供シタルコト又特別売却条件アルトキハ之ヲ告知シタルコト 第四 競買価額ノ申出ヲ催告シタル日時 第五 総テノ競買価額並ニ其申出人ノ氏名、住所又ハ許ス可キ競買ノ申出ナキコト 第六 競売ノ終局ヲ告知シタル日時 第七 競買ノ為メ保証ヲ立テタルコト又ハ保証ヲ立テサル為メ其競買ヲ許ササルコト 第八 最高価競買人ノ氏名及ヒ其価額ヲ呼上ケタルコト 2 最高価競買人及ヒ出頭シタル利害関係人ハ調書ニ署名捺印ス可シ若シ此等ノ者調書ノ作成前ニ退席シタルトキハ其旨ヲ附記ス可シ 3 競買ノ保証ノ為メ預リタル金銭又ハ有価証券ヲ返還シタルトキハ執行官ハ受取証ヲ取リ之ヲ調書ニ添附ス可シ 第六百六十八条 執行官ハ調書及ヒ総テ競買ノ保証ノ為メ預リタル金銭又ハ有価証券ニシテ返還セサルモノハ三日内ニ裁判所書記官ニ之ヲ渡ス可シ 第六百六十九条 最高価競買人執行裁判所ノ所在地ニ住居ヲモ事務所ヲモ有セサルトキハ其所在地ニ仮住所ヲ選定シ其旨ヲ裁判所ニ届出ツ可シ若シ之 ヲ怠リタルトキハ第百七十条第二項及ヒ第百七十三条ノ規定ヲ準用ス 2 住所ノ選定ハ執行官ニ口述シ其調書ヲ作ラシメテ之ヲ為スコトヲ得 第六百七十条 競売期日ニ於テ許ス可キ競買価額ノ申出ナキトキハ第六百四十九条第一項ノ規定ヲ害セサル限リハ裁判所ハ其意見ヲ以テ最低競売価額 ヲ相当ニ低減シ新競売期日ヲ定ム可シ若シ其期日ニ於テ仍ホ許ス可キ競買価額ノ申出ナキトキモ亦同シ 2 新競売期日ハ少ナクトモ十四日ノ後タル可シ 第六百七十一条 裁判所ハ競落期日ニ出頭シタル利害関係人ニ競落ノ許可ニ付キ陳述ヲ為サシム可シ 2 競落ノ許可ニ付テノ異議ハ期日ノ終ニ至ルマテニ之ヲ申立ツ可シ既ニ申立テタル異議ニ対スル陳述ニ付テモ亦同シ 第六百七十二条 競落ノ許可ニ付テノ異議ハ左ノ理由ニ基クコトヲ要ス 第一 強制執行ヲ許ス可カラサルコト又ハ執行ヲ続行ス可カラサルコト 第二 最高価競買人売買契約ヲ取結ヒ若クハ其不動産ヲ取得スル能力ナキコト 第三 法律上ノ売却条件ニ牴触シテ競買ヲ為シタルコト又ハ総テノ利害関係人ノ合意ヲ得スシテ法律上ノ売却条件ヲ変更シタルコト 第四 競売期日ノ公告ニ第六百五十八条ニ掲ケタル要件ノ記載ナキコト 第五 競売期日ノ公告ハ法律上規定シタル方法ニ依リテ之ヲ為ササルコト 第六 第六百五十九条ニ規定シタル期間ヲ存セサリシコト 第七 第六百六十五条第二項及ヒ第六百六十六条第一項ノ規定ニ違背シタルコト 第八 第六百六十四条ノ規定ニ違背シ最高価競買人ナリト呼上ケタルコト 第六百七十三条 異議ハ他ノ利害関係人ノ権利ニ関スル理由ニ基テハ之ヲ許サス 第六百七十四条 裁判所ハ異議ノ申立ヲ正当トスルトキハ競落ヲ許サス 2 第六百七十二条第一号乃至第八号ニ掲ケタル事項ノ一アルトキハ職権ヲ以テモ競落ヲ許サス但第一号ノ場合ニ於テハ競売シタル不動産カ譲渡スコト ヲ得サルモノナルトキ又ハ競売手続ノ停止ヲ為シタルトキニ限リ第二号ノ場合ニ於テハ能力若クハ資格ノ欠缺カ除去セラレサルトキニ限リ第三号ノ 場合ニ於テハ利害関係人手続ノ続行ニ付キ承認セサルトキニ限ル 第六百七十五条 数箇ノ不動産ヲ競売ニ付シタル場合ニ於テ或ル不動産ノ売得金ヲ以テ各債権者ニ弁済ヲ為シ及ヒ強制執行ノ費用ヲ償フニ足ル可キト キハ他ノ不動産ニ付テハ競落ヲ許サス 2 此場合ニ於テ債務者ハ其不動産中売却ス可キモノヲ指定スルコトヲ得 第六百七十六条 第六百七十二条及ヒ第六百七十四条ノ規定ニ従ヒ全ク競落ヲ許ササル場合ニ於テ更ニ競売ヲ許ス可キトキハ職権ヲ以テ新競売期日ヲ 定ム可シ 2 新競売期日ハ少ナクトモ十四日ノ後タル可シ 第六百七十七条 前条ノ規定ニ従ヒテ新競売期日ヲ定ムル場合ノ外競落ヲ許シ又ハ許ササル決定ノ言渡ヲ為ス可シ 2 競落期日ノ調書ニ付テハ第百四十二条乃至第百四十七条ノ規定ヲ準用ス 第六百七十八条 競売期日ト競落期日トノ間ニ天災其他ノ事変ニ因リ不動産カ著シク毀損シタルトキハ最高価競買人タル呼上ヲ受ケタル者ハ其競買ヲ 取消ス権利アリ其毀損ノ著シキヤ否ヤハ裁判所事情ヲ斟酌シテ之ヲ定ム 第六百七十九条 競落ヲ許ス決定ニハ競売ヲ為シタル不動産、競落人及ヒ競落ヲ許シタル競買価額ヲ掲ケ又特別ノ売却条件ヲ以テ競落ヲ為シタルトキ ハ其条件ヲモ掲ク可シ 2 右決定ハ之ヲ言渡ス外尚ホ裁判所ノ掲示板ニ掲示シテ公告ス可シ 第六百八十条 利害関係人ハ競落ノ許否ニ付テノ決定ニ因リ損失ヲ被ムル可キ場合ニ於テハ其決定ニ対シ即時抗告ヲ為スコトヲ得 2 競落ヲ許ス可キ理由ナキコト又ハ決定ニ掲ケタル以外ノ条件ヲ以テ許ス可キコトヲ主張スル競落人又ハ競落ヲ求メ之ヲ許ス可キコトヲ主張スル競買 人モ亦即時抗告ヲ為スコトヲ得 3 右抗告ハ執行停止ノ効力ヲ有ス 4 第二項ノ場合ニ於テ競落ヲ求メタル競買人ハ其申出テタル価額ニ付キ拘束ヲ受クルモノトス 第六百八十一条 競落ヲ許ササル決定ニ対スル抗告ハ此法律ニ掲クル総テノ不許ノ原因ナキコトヲ理由トスルトキニ限リ之ヲ為スコトヲ得 2 競落ヲ許シタル決定ニ対スル抗告ハ此法律ニ掲クル競落ノ許可ニ対スル異議ノ原因ノ一ヲ理由トスルトキ又ハ競落決定カ競落期日ノ調書ノ旨趣ニ牴 触シタルコトヲ理由トスルトキニ限リ之ヲ為スコトヲ得 3 再審ノ訴ノ要件ヲ理由トスル抗告ハ前二項ノ規定ニ依リ妨ケラルルコト無シ 第六百八十二条 抗告裁判所ハ必要ナル場合ニ於テハ反対陳述ヲ為サシムル為メ抗告人ノ相手方ヲ定ム可シ 2 一ノ決定ニ関スル数箇ノ抗告ハ互ニ之ヲ併合ス可シ 3 第六百七十三条及ヒ第六百七十四条ノ規定ハ抗告審ニモ亦之ヲ準用ス 第六百八十三条 執行裁判所ノ決定ヲ変更シ又ハ廃棄シタル抗告裁判所ノ裁判ハ執行裁判所之ヲ裁判所ノ掲示板ニ掲示シテ公告ス可シ 第六百八十四条 競落ヲ許ササル決定確定シタルトキハ競落人及ヒ競落ヲ求メタル競買人ハ其競買ノ責務ヲ免カル 第六百八十五条 第六百七十八条ノ場合ニ於テ競買取消ノ為メ競落ヲ許ササルトキハ第六百五十五条乃至第六百五十七条ノ規定ヲ準用ス 第六百八十六条 競落人ハ競落ヲ許ス決定ニ因リテ不動産ノ所有権ヲ取得スルモノトス 第六百八十七条 競落人ハ代金ノ全額ヲ支払ヒタル後ニ非サレハ不動産ノ引渡ヲ求ムルコトヲ得ス 2 競落人若クハ債権者競落ヲ許ス決定アリタル後引渡アルマテ管理人ヲシテ不動産ヲ管理セシメンコトヲ申立テタルトキハ裁判所ハ之ヲ命ス可シ 3 債務者カ引渡ヲ拒ミタルトキハ競落人若クハ債権者ノ申立ニ因リ裁判所ハ執行官ヲシテ債務者ノ占有ヲ解キ其不動産ヲ管理人ニ引渡サシム可シ 第六百八十八条 競落人カ代金支払期日ニ其義務ヲ完全ニ履行セサルトキハ裁判所ハ職権ヲ以テ不動産ノ再競売ヲ命ス可シ 2 最初ノ競売ノ為ニ定メタル最低競売価額其他売却条件ハ再競売ノ手続ニモ亦之ヲ適用ス 3 再競売期日ハ少ナクトモ十四日ノ後タル可シ 4 競落人カ再競売期日ノ三日前マテニ買入代金、代金支払期日ヨリ代金支払マテノ利息及ヒ手続ノ費用ヲ支払ヒタルトキハ再競売手続ヲ取消ス可シ 5 再競売ヲ為ストキハ前ノ競落人ハ競買ニ加ハルコトヲ許サス且競買ノ保証ノ為メ預ケタル金銭又ハ有価証券ノ返還ヲ求ムルコトヲ得ス 6 前ノ競落人ハ再度ノ競落代価カ最初ノ競落代価ヨリ低キトキハ不足ノ額及ヒ手続ノ費用ヲ負担ス 第六百八十九条 共有物持分ノ強制競売ニ付テハ債権者ノ債権ノ為メ債務者ノ持分ニ付キ強制競売ノ申立アリタルコトヲ登記簿ニ記入ス但他ノ共有者 ニハ其強制競売ノ申立ヲ通知ス可シ 2 最低競売価額ハ共有物全部ノ評価額ニ基キ債務者ノ持分ニ付キ之ヲ定ム可シ 第六百九十条 競売申立カ競落ヲ許スコト無クシテ完結シタルトキハ裁判所ハ第六百五十一条ノ規定ニ従ヒテ為シタル記入ノ抹消ヲ登記官ニ嘱託ス可 シ 第六百九十一条 競落ヲ許ス決定確定スルトキハ売却代金カ配当ニ与カル各債権者ヲ満足セシムルニ足ラサル場合ニ於テハ民法、商法及ヒ特別法ニ従 ヒテ之ヲ配当ス可シ 第六百九十二条 各債権者ハ競落期日マテニ其債権ノ元金、利息、費用其他附帯ノ債権ノ計算書ヲ差出ス可シ 2 前項ノ規定ニ従ハサル債権者ニ付テハ第六百二十八条第二項ノ規定ヲ準用ス 第六百九十三条 代金ノ支払及ヒ配当ハ競落ヲ許ス決定ノ確定後ニ裁判所カ職権ヲ以テ定ムル期日ニ於テ之ヲ為ス 2 此期日ニハ利害関係人、執行力アル正本ニ因ラスシテ配当ヲ要求スル債権者及ヒ競落人ヲ呼出ス可シ 第六百九十四条 期日ニ於テハ先ツ配当ス可キ不動産ノ売却代金ノ幾許ナルヤヲ定ム可シ 2 左ノモノヲ売却代金トス 第一 代金 第二 不動産カ果実其他金銭ニ見積ルコトヲ得ヘキ利益ヲ生スル場合ニ於テハ競落決定言渡ヨリ代金支払マテノ利息 第三 第六百八十八条第四項ノ場合ニ於テハ代金支払期日ヨリ代金支払マテノ利息 第四 第六百八十八条第五項ノ場合ニ於テハ前ノ競落人ヨリ競買ノ保証ノ為メ預リタル金額 3 代金支払ハ裁判所ニ之ヲ為ス可シ 4 競買ノ保証ノ為メ預リタル金額ハ代金ニ之ヲ算入ス 第六百九十五条 裁判所ハ出頭シタル利害関係人及ヒ執行力アル正本ニ因ラスシテ配当ヲ要求スル債権者ヲ訊問シテ配当表ヲ確定ス可シ 第六百九十六条 配当表ニハ売却代金、各債権者ノ債権ノ元金、利息、費用及ヒ配当ノ順位並ニ配当ノ割合ヲ記載ス可シ 2 若シ出頭シタル総テノ利害関係人及ヒ執行力アル正本ニ因ラスシテ配当ヲ要求スル債権者一致シタルトキハ其一致ニ基キ配当表ヲ作ル可シ 第六百九十七条 配当表ニ対スル異議ノ完結及ヒ配当表ノ実施ニ付テハ第六百三十条以下ノ規定ヲ準用ス但以下数条ニ於テ別段ノ規定ヲ設ケタルモノ ハ此限ニ在ラス 第六百九十八条 期日ニ出頭シタル債務者ハ各債権者ノ債権ニ対シ又ハ其債権ノ為メ主張スル順位ニ対シ異議ヲ申立ツル権利アリ 2 出頭シタル各債権者ハ自己ノ利害ニ関シテハ他ノ債権者ニ対シ前項ト同一ノ権利アリ 3 債権ノ届出ヲ為ササル抵当証券ノ所持人ノ債権又ハ其順位ニ対シ異議ノ申立ヲ為シタル債務者又ハ他ノ債権者ノ提起スヘキ訴ニ付テハ第六百九十七 条ノ規定ニ依リ準用セラルル第六百三十三条ノ期間ハ其所持人ノ知レタル日ヨリ之ヲ起算ス 4 執行スルヲ得ヘキ債権ニ対スル債務者ノ異議ハ第五百四十五条、第五百四十七条及ヒ第五百四十八条ノ規定ニ従ヒテ之ヲ完結ス 第六百九十九条 競落人ハ売却条件ニ因リ不動産ノ負担ヲ引受クル外配当表ノ実施ニ際シ買入代金ノ額ニ満ツルヲ限トシ関係債権者ノ承諾ヲ得テ買入 代金ノ支払ニ換ヘ債務ヲ引受クルコトヲ得若シ債権者競落人ナルトキハ其債権ノ配当額カ買入代金ノ額ニ満ツル限リハ買入代金トシテ之ヲ計算スル ニ因リテ消滅ス然レトモ引受ク可キ債務又ハ計算ス可キ競落人ノ債権ニ対シ適当ナル異議アルトキハ之ニ相当スル代金ヲ支払ヒ又ハ保証ヲ立ツ可シ 第七百条 配当表ヲ実施シタル後裁判所ハ配当調書及ヒ競落決定ノ正本ヲ登記官ニ送付シテ左ノ諸件ヲ嘱託ス可シ 第一 競落人ノ所有権ノ登記 第二 競落人ノ引受ケサル不動産上負担記入ノ抹消 第三 第六百五十一条ノ規定ニ従ヒ為シタル記入ノ抹消 2 右登記及ヒ抹消ニ関スル総テノ費用ハ競落人之ヲ負担ス可シ 第七百一条 数多ノ差押債権者ノ為メ同時ニ為ス可キ不動産ノ競売手続ニ付テハ前数条ノ規定ヲ準用ス 第七百二条 裁判所ハ競売期日ノ公告前利害関係人ノ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ競売ニ換ヘテ入札払ヲ命スルコトヲ得但入札払ニ付テハ以下数条ニ於 テ別段ノ規定ナキモノハ前数条ノ規定ヲ準用ス 第七百三条 入札ハ入札期日ニ於テ執行官ニ之ヲ差出ス可シ 2 入札ニハ左ノ諸件ヲ具備スルコトヲ要ス 第一 入札人ノ氏名及ヒ住所 第二 不動産ノ表示 第三 入札価額 第七百四条 執行官ハ入札人ノ面前ニ於テ入札ヲ開封シ之ヲ朗読ス可シ 2 二人以上同価額ノ入札アルトキハ執行官ハ其者ヲシテ追加ノ入札ヲ為サシメ最高価入札人ヲ定ム 3 一定ノ金額ヲ以テ入札価額ヲ表セスシテ他ノ入札価額ニ対スル比例ヲ以テ価額ヲ表シタル入札ハ之ヲ許サス 第七百五条 最高価入札人タル呼上ヲ受ケタル者第六百六十四条ノ規定ニ依ル保証ヲ立テサルトキハ其次位ノ入札人ヲ以テ最高価入札人ト定ム但此場 合ニ於テハ最初呼上ヲ受ケタル者ハ其入札価額ト次位ノ入札価額トノ差金ヲ負担スル義務アリ

第三款 強制管理

第七百六条 強制管理ニ付テハ第六百四十二条、第六百四十三条、第六百四十四条第一項第三項及ヒ第六百五十一条乃至第六百五十四条ノ規定ヲ準用 ス 2 不動産カ債権者ノ債権ニ付キ不動産上ノ義務ヲ負フタル場合ニ於テハ第六百四十三条第一号第二号ニ依リ提出ス可キ証書ハ不動産ヲ債務者カ占有ス ルコトヲ疏明スル証書ヲ以テ足ル 第七百七条 裁判所ハ強制管理開始ノ決定ニ於テ債務者カ管理人ノ事務ニ干渉スルコト及ヒ不動産ノ収益ニ付キ処分スルコトヲ禁シ又不動産ノ収益ノ 給付ヲ為ス可キ第三者アルトキハ其第三者ニ其後ノ給付ヲ管理人ニ為ス可キコトヲ命ス可シ 2 既ニ収穫シ若クハ収穫ス可ク又ハ期限ノ到来シ若クハ到来ス可キ果実ハ収益ニ属ス 3 開始決定ハ第三者ニ対シテハ之ヲ送達スルニ因リ其効力ヲ生ス此送達ハ職権ヲ以テ之ヲ為ス 第七百八条 裁判所ハ強制管理開始ノ決定ヲ為シタル不動産ニ付キ強制管理ノ申立アルモ更ニ開始決定ヲ為スコトヲ得ス 2 右申立ハ執行記録ニ添附スルニ依リ配当要求ノ効力ヲ生シ又既ニ開始シタル強制管理ノ取消ト為リタルトキハ開始決定ヲ受ケタル効力ヲ生ス 3 仮差押ノ命令アリタル不動産ニ付テハ本条ノ規定ヲ適用セス 第七百九条 配当要求ハ執行力アル正本ニ因リ且裁判所ノ所在地ニ住居ヲモ事務所ヲモ有セサル者ハ仮住所ヲ選定シテ執行裁判所ニ之ヲ為ス可シ 第七百十条 執行裁判所ハ前二条ノ申立及ヒ要求アリタルコトヲ債権者、債務者及ヒ管理人ニ通知ス可シ 第七百十一条 管理人ハ裁判所之ヲ任命ス但債権者ハ適当ノ人ヲ推薦スルコトヲ得 2 管理人ハ管理及ヒ収益ノ為メ自ラ不動産ヲ占有スル権ヲ有ス此場合ニ於テ抵抗ヲ受クルトキハ執行官ヲ立会ハシムルコトヲ得 3 管理人ノ任命ハ債務者ニ代リ第三者ノ給付ス可キ収益ヲ取立ツル権ヲ授与スルモノトス 第七百十二条 裁判所ハ債権者及ヒ債務者ヲ審訊シタル後又適当トスル場合ニ於テハ鑑定人ヲ立会ハシメタル上管理人ニ管理ニ関シ必要ナル指揮ヲ為 シ又管理人ニ与フ可キ報酬ヲ定メ且管理人ノ業務施行ヲ監督ス可シ 2 裁判所ハ管理人ニ保証ヲ立テシメ又ハ弐拾円以下ノ過料ヲ言渡シ又ハ其職ヲ免スルコトヲ得 第七百十三条 第三者不動産ニ付キ強制管理ヲ許スコトヲ妨クル権利ヲ主張スルトキハ第五百四十九条ノ規定ヲ準用ス 第七百十四条 管理人ハ直チニ不動産ニ付キ得タル収益ヨリ其不動産ノ負担ニ係ル租税其他ノ公課ヲ控除シタル後別段ノ手続ヲ要セスシテ管理ノ費用 ヲ弁済シ其残額ノ配当ニ付キ債権者間ニ協議調ハサルトキハ其旨ヲ裁判所ニ届出ツ可シ 2 前項ノ届出アリタルトキハ裁判所ハ第六百九十一条、第六百九十六条乃至第六百九十八条ノ規定ヲ準用シテ配当表ヲ作リ其配当表ニ基キ管理人ヲシ テ債権者ニ支払ヲ為サシム可シ 第七百十五条 管理人ハ毎年及ヒ其業務施行ノ終了後各債権者、債務者及ヒ裁判所ニ計算書ヲ差出ス可シ 2 各債権者及ヒ債務者ハ計算書ノ送達アリタルヨリ七日ノ期間内ニ執行裁判所ニ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得 3 右期間内ニ異議ノ申立ナキトキハ計算ニ付キ全ク異議ナク且管理人ノ卸任ヲ承諾シタルモノト看做ス 4 異議ノ申立アルトキハ裁判所ハ管理人ヲ審訊シタル後之ヲ裁判ス可シ若シ異議ノ申立ナク又ハ申立テタル異議ヲ完結シタルトキハ裁判所ハ管理人ヲ シテ卸任セシム可シ 第七百十六条 強制管理ノ取消ハ裁判所ノ決定ヲ以テ之ヲ為ス 2 此取消ハ各債権者不動産ノ収益ヲ以テ弁済ヲ受ケタルトキハ職権ヲ以テ之ヲ為ス 3 若シ管理続行ノ為メ特別ノ費用ヲ要スルトキ債権者カ必要ナル金額ヲ予納セサルニ於テハ裁判所ハ強制管理ノ取消ヲ命スルコトヲ得 4 裁判所ハ右ノ取消ヲ決定スル際登記官ニ強制管理ニ関スル記入ノ抹消ヲ嘱託ス可シ

第三節 船舶ニ対スル強制執行

第七百十七条 商船其他ノ海船ニ対スル強制執行ハ不動産ノ強制競売ニ関スル規定ニ従ヒテ之ヲ為ス但事物ノ性質ニ因リテ差異ノ顕ハルルトキ又ハ以 下数条ニ於テ別段ノ規定ヲ設ケタルトキハ此限ニ在ラス 2 端舟其他㯭櫂ノミヲ以テ運転シ又ハ主トシテ㯭櫂ヲ以テ運転スル舟ニハ本節ノ規定ヲ適用セス 第七百十八条 船舶ノ強制競売ニ付テハ船舶カ差押ノ当時碇泊スル港ノ地方裁判所ヲ以テ管轄執行裁判所トス 第七百十九条 船舶ハ執行手続中差押ノ港ニ之ヲ碇泊セシム可シ然レトモ商業上利益ノ為メ適当トスル場合ニ於テハ裁判所ハ総テノ利害関係人ノ申立 ニ因リ航行ヲ許スコトヲ得 第七百二十条 強制競売ニ付テノ申立ニハ左ノ証書ヲ添附ス可シ 第一 債務者カ所有者ナル場合ニ於テハ其所有者トシテ船舶ヲ占有スルコト又船長ナル場合ニ於テハ船長トシテ船舶ヲ指揮スルコトヲ疏明スルニ足 ル可キ証書 第二 船舶カ船舶登記簿ニ登記アル場合ニ於テハ其船舶ニ関スル有効ナル各登記事項ヲ包含シタル登記簿ノ抄本 2 債権者ハ公簿ヲ主管スル官庁カ遠隔ノ地ニ在ルトキハ第二号ノ抄本ノ求アランコトヲ執行裁判所ニ申立ツルコトヲ得 第七百二十一条 裁判所ハ債権者ノ申立ニ因リ船舶ノ監守及ヒ保存ノ為メ必要ナル処分ヲ為サシム可シ 2 此処分ヲ為シタルトキハ開始決定ノ送達前ト雖モ差押ノ効力ヲ生ス 3 若シ此処分ヲ続行スル為メ債権者カ必要ナル金額ヲ予納セサルトキハ裁判所ハ之ヲ取消スコトヲ得 第七百二十二条 船長ニ対シ為シタル判決ニ基キ船舶債権者ノ為メ船舶ノ差押ヲ為ストキハ其差押ハ所有者ニ対シテモ効力アリ此場合ニ於テハ所有者 モ亦利害関係人トス 2 差押後所有者若クハ船長ノ変更アルモ手続ノ続行ヲ妨ケス 3 差押後新ニ船長ト為リタル者ハ之ヲ利害関係人トス此場合ニ於テハ前船長ハ其関係人タル責務ヲ免カル 第七百二十三条 船舶カ差押ノ当時其裁判所管轄内ニ存セサルコトノ顕ハルルトキハ其手続ヲ取消ス可シ 第七百二十四条 競売期日ノ公告ニハ第六百五十八条第一号ニ掲ケタル旨趣ニ換ヘテ船舶ノ表示及ヒ其碇泊ノ場所ヲ掲ク可シ 第七百二十五条 定繋港ノ地方裁判所管轄外ニ於テ差押ヲ為シタルトキハ執行裁判所ハ競売期日ノ公告ヲ定繋港ノ地方裁判所ニ送付シ其裁判所ノ掲示 板ニ掲示ス可キコトヲ嘱託ス可シ 第七百二十六条 船舶ノ股分ニ対スル強制執行ハ第六百二十五条ノ規定ニ従ヒテ之ヲ為ス其執行ニ付テハ定繋港ノ地方裁判所之ヲ管轄ス 第七百二十七条 債権者ハ差押命令ノ申請ニ債務者カ船舶ノ股分ニ付キ所有権ヲ有スルコトヲ証ス可キ船舶登記簿ノ抄本又ハ信用ス可キ証明書ヲ添附 ス可シ 2 差押命令ハ債務者ノ外船舶管理人ニモ之ヲ送達ス可シ 3 差押ハ此命令ヲ船舶管理人ニ送達スルニ因リ債務者ニ送達スルト同一ノ効力ヲ生ス 第七百二十八条 船舶股分ノ競売代金ノ配当ニ付テハ第六百二十六条以下ノ規定ヲ準用ス 第七百二十九条 外国ノ船舶ヲ差押ヘタルトキ又ハ登記簿ニ登記セサル船舶ヲ差押ヘタルトキハ登記簿ニ記入ス可キ手続ニ関スル規定ヲ適用セス 第三章 金銭ノ支払ヲ目的トセサル債権ニ付テノ強制執行 第七百三十条 債務者カ特定ノ動産又ハ代替物ノ一定ノ数量ヲ引渡ス可キトキハ執行官ハ之ヲ債務者ヨリ取上ケテ債権者ニ引渡ス可シ 第七百三十一条 債務者カ不動産又ハ人ノ住居スル船舶ヲ引渡シ又ハ明渡ス可キトキハ執行官ハ債務者ノ占有ヲ解キ債権者ニ其占有ヲ得セシム可シ 2 此強制執行ハ債権者又ハ其代理人カ受取ノ為メ出頭シタルトキニ限リ之ヲ為スコトヲ得 3 強制執行ノ目的物ニ非サル動産ハ執行官之ヲ取除キテ債務者ニ引渡ス可シ若シ債務者不在ナルトキハ其代理人又ハ債務者ノ成長シタル同居ノ親族若 クハ雇人ニ之ヲ引渡ス可シ 4 債務者及ヒ前項ニ掲ケタル者不在ナルトキハ執行官ハ右ノ動産ヲ債務者ノ費用ニテ保管ニ付ス可シ 5 債務者カ其動産ノ受取ヲ怠ルトキハ執行官ハ執行裁判所ノ許可ヲ得テ差押物ノ競売ニ関スル規定ニ従ヒテ之ヲ売却シ其費用ヲ控除シタル後其代金ヲ 供託ス可シ 第七百三十二条 引渡ス可キ物カ第三者ノ手中ニ存スルトキハ債務者ノ引渡ノ請求ハ申立ニ因リ金銭債権ノ差押ニ関スル規定ニ従ヒテ之ヲ債権者ニ転 付ス可シ 第七百三十三条 民法第四百十四条第二項及ヒ第三項ノ場合ニ於テハ第一審ノ受訴裁判所ハ申立ニ因リ民法ノ規定ニ従ヒテ決定ヲ為ス 2 債権者ハ同時ニ其行為ヲ為スニ因リ生ス可キ費用ヲ予メ債務者ニ支払ヲ為サシムル決定ノ宣言アランコトヲ申立ツルコトヲ得但其行為ヲ為スニ因リ 此ヨリ多額ノ費用ヲ生スルトキ後日其請求ヲ為ス権利ヲ妨ケス 第七百三十四条 債務ノ性質カ強制履行ヲ許ス場合ニ於テ第一審ノ受訴裁判所ハ申立ニ因リ決定ヲ以テ相当ノ期間ヲ定メ債務者カ其期間内ニ履行ヲ為 ササルトキハ其遅延ノ期間ニ応シ一定ノ賠償ヲ為スヘキコト又ハ直チニ損害ノ賠償ヲ為スヘキコトヲ命スルコトヲ要ス 第七百三十五条 前二条ノ決定ハ口頭弁論ヲ経スシテ之ヲ為スコトヲ得但決定前債務者ヲ審訊ス可シ 第七百三十六条 債務者カ権利関係ノ成立ヲ認諾ス可キコト又ハ其他ノ意思ノ陳述ヲ為ス可キコトノ判決ヲ受ケタルトキハ其判決ノ確定ヲ以テ認諾又 ハ意思ノ陳述ヲ為シタルモノト看做ス反対給付ノ有リタル後認諾又ハ意思ノ陳述ヲ為ス可キ場合ニ於テハ第五百十八条及ヒ第五百二十条ノ規定ニ従 ヒ執行力アル正本ヲ付与シタルトキ其効力ヲ生ス

第四章 仮差押及ヒ仮処分

第737条

第七百三十七条 仮差押ハ金銭ノ債権又ハ金銭ノ債権ニ換フルコトヲ得ヘキ請求ニ付キ動産又ハ不動産ニ対スル強制執行ヲ保全スル為メ之ヲ為スコト ヲ得

2 仮差押ハ未タ期限ニ至ラサル請求ニ付テモ亦之ヲ為スコトヲ得

第738条

第七百三十八条 仮差押ハ之ヲ為ササレハ判決ノ執行ヲ為スコト能ハス又ハ判決ノ執行ヲ為スニ著シキ困難ヲ生スル恐アルトキ殊ニ外国ニ於テ判決ノ 執行ヲ為スニ至ル可キトキハ之ヲ為スコトヲ得

第739条

第七百三十九条 仮差押ノ命令ハ仮ニ差押フ可キ物ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所又ハ本案ノ管轄裁判所之ヲ管轄ス

第740条

第七百四十条 仮差押ノ申請ニハ左ノ諸件ヲ掲ク可シ 第一 請求ノ表示若シ其請求カ一定ノ金額ニ係ラサルトキハ其価額 第二 仮差押ノ理由タル事実ノ表示

2 請求及ヒ仮差押ノ理由ハ之ヲ疏明ス可シ 3 申請ハ口頭ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得

第741条

第七百四十一条 仮差押ノ申請ニ付テノ裁判ハ口頭弁論ヲ経スシテ之ヲ為スコトヲ得

2 請求又ハ仮差押ノ理由ヲ疏明セサルトキト雖モ仮差押ニ因リ債務者ニ生ス可キ損害ノ為メ債権者カ裁判所ノ自由ナル意見ヲ以テ定ムル保証ヲ立テタルトキハ裁判所ハ仮差押ヲ命スルコトヲ得

3 又請求及ヒ仮差押ノ理由ヲ疏明シタルトキト雖モ裁判所ハ保証ヲ立テシメ仮差押ヲ命スルコトヲ得

4 保証ヲ立テタルトキハ其保証ヲ立テタルコト及ヒ如何ナル方法ヲ以テ之ヲ立テタルコトヲ仮差押ノ命令ニ記載ス可シ

第742条

第七百四十二条 仮差押ノ申請ニ付テノ裁判ハ口頭弁論ヲ為ス場合ニ於テハ終局判決ヲ以テ之ヲ為シ其他ノ場合ニ於テハ決定ヲ以テ之ヲ為ス

2 仮差押ノ申請ヲ却下シ又ハ保証ヲ立テシムル裁判ハ債務者ニ之ヲ通知スルコトヲ要セス

第743条

第七百四十三条 仮差押ノ命令ニハ仮差押ノ執行ヲ停止スルコトヲ得ル為メ又ハ執行シタル仮差押ヲ取消スコトヲ得ル為ニ債務者ヨリ供託ス可キ金額 ヲ記載ス可シ

第744条

第七百四十四条 債務者ハ仮差押決定ニ対シ異議ヲ申立ツルコトヲ得

2 此異議ニ付テハ仮差押ノ取消又ハ変更ヲ申立ツル理由ヲ開示ス可シ

3 異議ノ申立ハ仮差押ノ執行ヲ停止セス

第7458条

第七百四十五条 異議ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ口頭弁論ノ為メ当事者ヲ呼出ス可シ

2 裁判所ハ終局判決ヲ以テ仮差押ノ全部若クハ一分ノ認可、変更又ハ取消ヲ言渡シ又自由ナル意見ヲ以テ定ムル保証ヲ立ツ可キコトノ条件ヲ附シテ之ヲ言渡スコトヲ得

第746条

第七百四十六条 本案ノ未タ繋属セサルトキハ仮差押裁判所ハ債務者ノ申立ニ因リ口頭弁論ヲ経スシテ相当ニ定ムル期間内ニ訴ヲ起ス可キコトヲ債権 者ニ命ス可シ

2 此期間ヲ徒過シタル後ハ債務者ノ申立ニ因リ終局判決ヲ以テ仮差押ヲ取消ス可シ

第747条

第七百四十七条 債務者ハ仮差押ノ理由消滅シ其他事情ノ変更シタルトキ又ハ裁判所ノ自由ナル意見ヲ以テ定ム可キ保証ヲ立テントノ提供ヲ為シタル トキハ仮差押ノ認可後ト雖モ仮差押ノ取消ヲ申立ツルコトヲ得

2 此申立ニ付テハ終局判決ヲ以テ之ヲ裁判ス其裁判ハ仮差押ヲ命シタル裁判所又本案カ既ニ繋属シタルトキハ本案ノ裁判所之ヲ為ス

第748条

第七百四十八条 仮差押ノ執行ニ付テハ強制執行ニ関スル規定ヲ準用ス但以下数条ニ於テ差異ノ生スルトキハ此限ニ在ラス

第749条

第七百四十九条 仮差押ノ命令ニハ其命令ヲ発シタル後債権者又ハ債務者ニ於テ承継アル場合ニ限リ執行文ヲ附記スルコトヲ要ス

2 仮差押命令ノ執行ハ命令ヲ言渡シ又ハ申立人ニ命令ヲ送達シタルヨリ十四日ノ期間ヲ徒過スルトキハ之ヲ為スコトヲ許サス

3 右執行ハ債務者ニ差押命令ヲ送達スル前ト雖モ之ヲ為スコトヲ得

第750条

第七百五十条 動産ニ対スル仮差押ノ執行ハ各差押ト同一ノ原則ニ従ヒテ之ヲ為ス

2 債権ノ仮差押ニ付テハ其命令ヲ発シタル裁判所ヲ以テ管轄執行裁判所トス

3 債権ノ仮差押ニ付テハ第三債務者ニ対シ債務者ニ支払ヲ為スコトヲ禁スル命令ノミヲ為ス可シ

4 仮差押ノ金銭ハ之ヲ供託ス可シ其他仮差押物ノ競売及ヒ仮差押有価証券ノ換価ハ一時之ヲ為サス然レトモ仮差押物ニ著シキ価額ノ減少ヲ生スル恐ア ルトキ又ハ其貯蔵ニ付キ不相応ナル費用ヲ生ス可キトキハ執行裁判所ハ申立ニ因リ其物ヲ競売シ売得金ヲ供託ス可キ旨ヲ執行官ニ命スルコトヲ得

第751条

第七百五十一条 不動産ニ対スル仮差押ノ執行ハ仮差押ノ命令ヲ登記簿ニ記入スルニ因リテ之ヲ為ス 2 前項ノ執行ニ付テハ仮差押ノ命令ヲ発シタル裁判所ヲ以テ管轄執行裁判所トス

第752条

第七百五十二条 仮差押執行ノ為メ強制管理ヲ為ス場合ニ於テハ保全ス可キ債権ニ相当スル金額ヲ取立テ之ヲ供託ス可シ

第753条

第七百五十三条 船舶ニ対スル仮差押ノ執行ハ仮差押ノ当時碇泊スル港ニ碇泊セシムルコトニ因リテ之ヲ為ス裁判所ハ債権者ノ申立ニ因リ船舶ノ監守 及ヒ保存ノ為メ必要ナル処分ヲ為ス

第754条

第七百五十四条 仮差押命令ニ於テ定メタル金額ヲ供託シタルトキハ執行裁判所ハ執行シタル仮差押ヲ取消ス可シ

2 仮差押ノ続行ニ付キ特別ノ費用ヲ要シ且之カ為メ必要ナル金額ヲ債権者カ予納セサルトキモ亦執行裁判所ハ仮差押ノ取消ヲ命スルコトヲ得 3 右裁判ハ口頭弁論ヲ経スシテ之ヲ為スコトヲ得

4 仮差押ヲ取消ス決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得

第755条

第七百五十五条 係争物ニ関スル仮処分ハ現状ノ変更ニ因リ当事者一方ノ権利ノ実行ヲ為スコト能ハス又ハ之ヲ為スニ著シキ困難ヲ生スル恐アルトキ 之ヲ許ス

第756条

第七百五十六条 仮処分ノ命令其他ノ手続ニ付テハ仮差押ノ命令及ヒ手続ニ関スル規定ヲ準用ス但以下数条ニ於テ差異ノ生スルトキハ此限ニ在ラス 第七百五十六条ノ二 仮処分ヲ取消ス判決ハ財産権上ノ請求ニ関セサルモノニ付テモ仮執行ノ宣言ヲ為スコトヲ得

第757条

第七百五十七条 仮処分ノ命令ハ本案ノ管轄裁判所之ヲ管轄ス

2 右裁判ハ急迫ナル場合ニ於テハ口頭弁論ヲ経スシテ之ヲ為スコトヲ得

第758条

第七百五十八条 裁判所ハ其意見ヲ以テ申立ノ目的ヲ達スルニ必要ナル処分ヲ定ム

2 仮処分ハ保管人ヲ置キ又ハ相手方ニ行為ヲ命シ若クハ之ヲ禁シ又ハ給付ヲ命スルコトヲ以テ之ヲ為スコトヲ得

3 仮処分ヲ以テ不動産ヲ譲渡シ又ハ抵当ト為スコトヲ禁シタルトキハ裁判所ハ第七百五十一条ノ規定ヲ準用シテ登記簿ニ其禁止ヲ記入セシム可シ

第七百五十九条 特別ノ事情アルトキニ限リ保証ヲ立テシメテ仮処分ノ取消ヲ許スコトヲ得 第七百六十条 仮処分ハ争アル権利関係ニ付キ仮ノ地位ヲ定ムル為ニモ亦之ヲ為スコトヲ得但其処分ハ殊ニ継続スル権利関係ニ付キ著シキ損害ヲ避ケ 若クハ急迫ナル強暴ヲ防ク為メ又ハ其他ノ理由ニ因リ之ヲ必要トスルトキニ限ル 第七百六十一条 急迫ナル場合ニ於テハ係争物ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所ハ仮処分ノ当否ニ付テノ口頭弁論ノ為メ本案ノ管轄裁判所ニ相手方ヲ呼 出ス可キ申立ノ期間ヲ定メ仮処分ヲ命スルコトヲ得 2 此期間ヲ徒過シタル後地方裁判所ハ申立ニ因リ其命シタル仮処分ヲ取消ス可シ 3 右裁判ハ口頭弁論ヲ経スシテ之ヲ為スコトヲ得 第七百六十二条 本章ノ規定ニ於ケル本案ノ管轄裁判所ハ第一審裁判所トス但本案カ控訴審ニ繋属スルトキニ限リ控訴裁判所トス 第七百六十三条 急迫ナル場合ニ於テ口頭弁論ヲ要セサルモノニ限リ裁判長ハ本章ノ申立ニ付キ裁判ヲ為スコトヲ得 第七編 公示催告手続 第七百六十四条 請求又ハ権利ノ届出ヲ為サシムル為メノ裁判上ノ公示催告ハ其届出ヲ為ササルトキハ失権ヲ生スル効力ヲ以テ法律ニ定メタル場合ニ 限リ之ヲ為スコトヲ得 2 公示催告手続ハ簡易裁判所之ヲ管轄ス 第七百六十五条 公示催告ノ申立ハ書面又ハ口頭ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得 2 此申立ニ付テノ裁判ハ口頭弁論ヲ経スシテ之ヲ為スコトヲ得 3 申立ヲ許ス可キトキハ裁判所ハ公示催告ヲ為ス可ク其公示催告ニハ殊ニ左ノ諸件ヲ掲ク可シ 第一 申立人ノ表示 第二 請求又ハ権利ヲ公示催告期日マテニ届出ツ可キコトノ催告 第三 届出ヲ為ササルニ因リ生ス可キ失権ノ表示 第四 公示催告期日ノ指定 第七百六十六条 公示催告ニ付テノ公告ハ裁判所ノ掲示板ニ掲示シ及ヒ官報又ハ公報ニ掲載シテ之ヲ為ス 2 裁判所相当ト認ムルトキハ新聞紙ニ公告ス可キコトヲ命スルコトヲ得 第七百六十七条 公示催告ヲ官報又ハ公報ニ掲載シタル日ト公示催告期日トノ間ニハ法律ニ別段ノ規定ヲ設ケサルトキハ少ナクトモ二个月ノ時間ヲ存 スルコトヲ要ス 第七百六十八条 公示催告期日ノ終リタル後ト雖モ除権判決前ニ届出ヲ為ストキハ適当ナル時間ニ之ヲ為シタルモノト看做ス 第七百六十九条 除権判決ハ申立ニ因リテ之ヲ為ス 2 右判決前ニ詳細ナル探知ヲ為ス可キ旨ヲ命スルコトヲ得 3 除権判決ノ申立ヲ却下スル決定及ヒ除権判決ニ付シタル制限又ハ留保ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 第七百七十条 申立人ノ申立ノ理由トシテ主張シタル権利ヲ争フコトノ届出アリタルトキハ其事情ニ従ヒ届出テタル権利ニ付テノ裁判確定スルマテ公 示催告手続ヲ中止シ又ハ除権判決ニ於テ届出テタル権利ヲ留保ス可シ 第七百七十一条 申立人カ公示催告期日ニ出頭セサルトキハ其申立ニ因リ新期日ヲ定ム可シ此申立ハ公示催告期日ヨリ六个月ノ期間内ニ限リ之ヲ為ス コトヲ許ス 第七百七十二条 公示催告手続ヲ完結スル為メ新期日ヲ定メタルトキハ其期日ノ公告ヲ為スコトヲ要セス 第七百七十三条 裁判所ハ除権判決ノ重要ナル旨趣ヲ官報又ハ公報ニ掲載シテ公告ヲ為スコトヲ得 第七百七十四条 除権判決ニ対シテハ上訴ヲ為スコトヲ得ス 2 除権判決ニ対シテハ左ノ場合ニ於テ申立人ニ対スル訴ヲ以テ催告裁判所ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所ニ不服ヲ申立ツルコトヲ得 第一 法律ニ於テ公示催告手続ヲ許ス場合ニ非サルトキ 第二 公示催告ニ付テノ公告ヲ為サス又ハ法律ニ定メタル方法ヲ以テ公告ヲ為ササルトキ 第三 公示催告ノ期間ヲ遵守セサルトキ 第四 判決ヲ為ス裁判官カ法律ニ依リ職務ノ執行ヨリ除斥セラレタルトキ 第五 請求又ハ権利ノ届出アリタルニ拘ハラス判決ニ於テ其届出ヲ法律ニ従ヒ顧ミサルトキ 第六 第四百二十条第四号乃至第八号ノ場合ニ於テ再審ノ訴ヲ許ス条件ノ存スルトキ 第七百七十五条 不服申立ノ訴ハ一个月ノ不変期間内ニ之ヲ起ス可シ此期間ハ原告カ除権判決ヲ知リタル日ヲ以テ始マル然レトモ前条第四号及ヒ第六 号ニ掲ケタル不服申立ノ理由ノ一ニ基キ訴ヲ起シ且原告カ右ノ日ニ其理由ヲ知ラサリシ場合ニ於テハ其期間ハ不服ノ理由ノ原告ニ知レタル日ヲ以テ 始マル 2 除権判決ノ言渡ノ日ヨリ起算シテ五个年ノ満了後ハ此訴ヲ起スコトヲ得ス 第七百七十六条 裁判所ハ数箇ノ公示催告ノ併合ヲ命スルコトヲ得 第七百七十七条 盗取セラレ又ハ紛失若クハ滅失シタル手形其他商法ニ無効ト為シ得ヘキコトヲ定メタル証書ノ無効宣言ノ為ニ為ス公示催告手続ニ付 テハ以下数条ノ特別規定ヲ適用ス 2 此規定ハ法律上公示催告手続ヲ許ス他ノ証書ニ付キ其法律中ニ特別規定ヲ設ケサル限リハ之ヲ適用ス 第七百七十八条 無記名証券又ハ裏書ヲ以テ移転シ得ヘク且略式裏書ヲ付シタル証書ニ付テハ最終ノ所持人公示催告手続ヲ申立ツル権アリ 2 此他ノ証書ニ付テハ証書ニ因リ権利ヲ主張シ得ヘキ者此申立ヲ為ス権アリ 第七百七十九条 公示催告手続ハ証書ニ表示シタル履行地ノ裁判所之ヲ管轄ス若シ証書ニ其履行地ヲ表示セサルトキハ発行人カ普通裁判籍ヲ有スル地 ノ裁判所之ヲ管轄シ其裁判所ナキトキハ発行人カ発行ノ当時普通裁判籍ヲ有セシ地ノ裁判所之ヲ管轄ス 2 証書ヲ発行スル原因タル請求ヲ登記簿ニ記入シタルトキハ其物ノ所在地ノ裁判所ノ管轄ニ専属ス 第七百八十条 申立人ハ申立ノ憑拠トシテ左ノ手続ヲ為ス可シ 第一 証書ノ謄本ヲ差出シ又ハ証書ノ重要ナル旨趣及ヒ証書ヲ十分ニ認知スルニ必要ナル諸件ヲ開示スルコト 第二 証書ノ盗難、紛失、滅失及ヒ公示催告手続ヲ申立ツルコトヲ得ルノ理由タル事実ヲ疏明スルコト 第七百八十一条 公示催告中ニ公示催告期日マテニ権利ヲ裁判所ニ届出テ且其証書ヲ提出ス可キ旨ヲ証書ノ所持人ニ催告ス可ク又失権トシテ証書ノ無 効宣言ヲ為ス可キ旨ヲ戒示ス可シ 第七百八十二条 公示催告ノ公告ハ裁判所ノ掲示板ニ掲示シ且官報又ハ公報ニ掲載シ及ヒ新聞紙ニ三回掲載シテ之ヲ為ス 2 公示催告裁判所ノ所在地ニ取引所アルトキハ取引所ニモ亦此公告ヲ掲示ス可シ 第七百八十三条 公示催告ヲ官報又ハ公報ニ掲載シタル日ト公示催告期日トノ間ニハ少ナクトモ六个月ノ時間ヲ存スルコトヲ要ス 第七百八十四条 除権判決ニ於テハ証書ヲ無効ナリト宣言ス可シ 2 除権判決ノ重要ナル旨趣ハ官報又ハ公報ヲ以テ之ヲ公告ス可シ 3 不服申立ノ訴ニ因リ判決ヲ以テ無効宣言ヲ取消シタルトキハ其判決ノ確定後官報又ハ公報ヲ以テ之ヲ公告ス可シ 第七百八十五条 除権判決アリタルトキハ其申立人ハ証書ニ因リ義務ヲ負担スル者ニ対シテ証書ニ因レル権利ヲ主張スルコトヲ得 第八編 仲裁手続 第七百八十六条 一名又ハ数名ノ仲裁人ヲシテ争ノ判断ヲ為サシムル合意ハ当事者カ係争物ニ付キ和解ヲ為ス権利アル場合ニ限リ其効力ヲ有ス 第七百八十七条 将来ノ争ニ関スル仲裁契約ハ一定ノ権利関係及ヒ其関係ヨリ生スル争ニ関セサルトキハ其効力ヲ有セス 第七百八十八条 仲裁契約ニ仲裁人ノ選定ニ関スル定ナキトキハ当事者ハ各一名ノ仲裁人ヲ選定ス 第七百八十九条 当事者ノ双方カ仲裁人ヲ選定スル権利ヲ有スルトキハ先ニ手続ヲ為ス一方ハ書面ヲ以テ相手方ニ其選定シタル仲裁人ヲ指示シ且七日 ノ期間内ニ同一ノ手続ヲ為ス可キ旨ヲ催告ス可シ 2 右期間ヲ徒過シタルトキハ管轄裁判所ハ先ニ手続ヲ為ス一方ノ申立ニ因リ仲裁人ヲ選定ス 第七百九十条 当事者ノ一方ハ相手方ニ仲裁人選定ノ通知ヲ為シタル後ハ相手方ニ対シテ其選定ニ羈束セラル 第七百九十一条 仲裁契約ヲ以テ選定シタルニ非サル仲裁人カ死亡シ又ハ其他ノ理由ニ因リ欠缺シ又ハ其職務ノ引受若クハ施行ヲ拒ミタルトキハ其仲 裁人ヲ選定シタル当事者ハ相手方ノ催告ニ因リ七日ノ期間内ニ他ノ仲裁人ヲ選定ス可シ此期間ヲ徒過シタルトキハ管轄裁判所ハ其催告ヲ為シタル者 ノ申立ニ因リ仲裁人ヲ選定ス可シ 第七百九十二条 当事者ハ裁判官ヲ忌避スル権利アルト同一ノ理由及ヒ条件ヲ以テ仲裁人ヲ忌避スルコトヲ得 2 此他仲裁契約ヲ以テ選定シタルニ非サル仲裁人カ其責務ノ履行ヲ不当ニ遅延スルトキハ亦之ヲ忌避スルコトヲ得 3 無能力者、聾者、唖者及ヒ公権ノ剥奪又ハ停止中ノ者ハ之ヲ忌避スルコトヲ得 第七百九十三条 仲裁契約ハ当事者ノ合意ヲ以テ左ノ場合ノ為メ予定ヲ為ササリシトキハ其効力ヲ失フ 第一 契約ニ於テ一定ノ人ヲ仲裁人ニ選定シ其仲裁人中ノ或ル人カ死亡シ又ハ其他ノ理由ニ因リ欠缺シ又ハ其職務ノ引受ヲ拒ミ又ハ仲裁人ノ取結ヒ タル契約ヲ解キ又ハ其責務ノ履行ヲ不当ニ遅延シタルトキ 第二 仲裁人カ其意見ノ可否同数ナル旨ヲ当事者ニ通知シタルトキ 第七百九十四条 仲裁人ハ仲裁判断前ニ当事者ヲ審訊シ且必要トスル限リハ争ノ原因タル事件関係ヲ探知ス可シ 2 仲裁手続ニ付キ当事者ノ合意アラサル場合ニ於テハ其手続ハ仲裁人ノ意見ヲ以テ之ヲ定ム 第七百九十五条 仲裁人ハ其面前ニ任意ニ出頭スル証人及ヒ鑑定人ヲ訊問スルコトヲ得 2 仲裁人ハ証人又ハ鑑定人ヲシテ宣誓ヲ為サシムル権ナシ 第七百九十六条 仲裁人ノ必要ト認ムル判断上ノ行為ニシテ仲裁人ノ為スコトヲ得サルモノハ当事者ノ申立ニ因リ管轄裁判所之ヲ為ス可シ但其申立ヲ 相当ト認メタルトキニ限ル 2 証人又ハ鑑定人ニ供述ヲ命シタル裁判所ハ証拠ヲ述フルコト又ハ鑑定ヲ為スコトヲ拒ミタル場合ニ於テ必要ナル裁判ヲモ亦為ス権アリ 第七百九十七条 仲裁人ハ当事者カ仲裁手続ヲ許ス可カラサルコトヲ主張スルトキ殊ニ法律上有効ナル仲裁契約ノ成立セサルコト、仲裁契約カ判断ス 可キ争ニ関係セサルコト又ハ仲裁人カ其職務ヲ施行スル権ナキコトヲ主張スルトキト雖モ仲裁手続ヲ続行シ且仲裁判断ヲ為スコトヲ得 第七百九十八条 数名ノ仲裁人カ仲裁判断ヲ為ス可キトキハ過半数ヲ以テ其判断ヲ為ス可シ但仲裁契約ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス 第七百九十九条 仲裁判断ニハ其作リタル年月日ヲ記載シテ仲裁人之ニ署名捺印ス可シ 2 仲裁人ノ署名捺印シタル判断ノ正本ハ之ヲ当事者ニ送達シ其原本ハ送達ノ証書ヲ添ヘテ管轄裁判所ニ之ヲ預ケ置ク可シ 第八百条 仲裁判断ハ当事者間ニ於テ確定シタル裁判所ノ判決ト同一ノ効力ヲ有ス 第八百一条 仲裁判断ノ取消ハ左ノ場合ニ於テ之ヲ申立ツルコトヲ得 第一 仲裁手続ヲ許ス可カラサリシトキ 第二 仲裁判断カ法律上禁止ノ行為ヲ為ス可キ旨ヲ当事者ニ言渡シタルトキ 第三 当事者カ仲裁手続ニ於テ法律ノ規定ニ従ヒ代理セラレサリシトキ 第四 仲裁手続ニ於テ当事者ヲ審訊セサリシトキ 第五 仲裁判断ニ理由ヲ付セサリシトキ 第六 第四百二十条第四号乃至第八号ノ場合ニ於テ再審ノ訴ヲ許ス条件ノ存スルトキ 2 仲裁判断ノ取消ハ当事者カ別段ノ合意ヲ為シタルトキハ本条第四号及ヒ第五号ニ掲ケタル理由ニ因リ之ヲ為スコトヲ得ス 第八百二条 仲裁判断ニ因リ為ス強制執行ハ執行判決ヲ以テ其許ス可キコトヲ言渡シタルトキニ限リ之ヲ為スコトヲ得 2 右執行判決ハ仲裁判断ノ取消ヲ申立ツルコトヲ得ヘキ理由ノ存スルトキハ之ヲ為スコトヲ得ス 第八百三条 執行判決ヲ為シタル後ハ仲裁判断ノ取消ハ第八百一条第六号ニ掲ケタル理由ニ因リテノミ之ヲ申立ツルコトヲ得但当事者カ自己ノ過失ニ 非スシテ前手続ニ於テ取消ノ理由ヲ主張スル能ハサリシコトヲ疏明シタルトキニ限ル 第八百四条 仲裁判断取消ノ訴ハ前条ノ場合ニ於テハ一个月ノ不変期間内ニ之ヲ起ス可シ 2 右期間ハ当事者カ取消ノ理由ヲ知リタル日ヲ以テ始マル然レトモ執行判決ノ確定前ニハ始マラサルモノトス但執行判決ノ確定ト為リタル日ヨリ起算 シテ五个年ノ満了後ハ此訴ヲ起スコトヲ許サス 3 仲裁判断ヲ取消ストキハ執行判決ノ取消ヲモ亦言渡ス可シ 第八百五条 仲裁人ヲ選定シ若クハ忌避スルコト、仲裁契約ノ消滅スルコト、仲裁手続ヲ許ス可カラサルコト、仲裁判断ヲ取消スコト又ハ執行判決ヲ 為スコトヲ目的トスル訴ニ付テハ仲裁契約ニ指定シタル簡易裁判所又ハ地方裁判所之ヲ管轄シ其指定ナキトキハ請求ヲ裁判上主張スル場合ニ於テ管 轄ヲ有ス可キ簡易裁判所又ハ地方裁判所之ヲ管轄ス 2 前項ニ依リ管轄ヲ有スル裁判所数箇アルトキハ当事者又ハ仲裁人カ最初ニ関係セシメタル裁判所之ヲ管轄ス
第1条〔普通裁判籍〕

1. 訴ハ被告ノ普通裁判籍所在地ノ裁判所ノ管轄ニ属ス【新4条 1項】

第2条〔人の普通裁判籍〕

1. 人ノ普通裁判籍ハ住所ニ依リテ定ル

2. 日本ニ住所ナキトキ又ハ住所ノ知レサルトキハ普通裁判籍ハ居所ニ依リ、居所ナキトキ又ハ居所ノ知レサルトキハ最後ノ住所ニ依リテ定ル 【新4条 2項】

第3条〔大公使等の普通裁判籍〕 1. 大使、公使其ノ他外国ニ在リテ治外法権ヲ享クル日本人カ前条ノ規定ニ依リ普通裁判籍ヲ 有セサルトキハ其ノ者ノ普通裁判籍ハ最高裁判所ノ定ムル地ニ在ルモノトス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新4条 】 第4条〔法人・団体・国の普通裁判籍〕 1. 法人其ノ他ノ社団又ハ財団ノ普通裁判籍ハ其ノ主タル事務所又ハ営業所ニ依リ、事務所又 ハ営業所ナキトキハ主タル業務担当者ノ住所ニ依リテ定ル 2. 国ノ普通裁判籍ハ訴訟ニ付国ヲ代表スル官庁ノ所在地ニ依リテ定ル 3. 第一項ノ規定ハ外国ノ社団又ハ財団ノ普通裁判籍ニ付テハ日本ニ於ケル事務所、営業所又 ハ業務担当者ニ之ヲ適用ス 【新4条 4項~6項】 第5条〔義務履行地の裁判籍〕 1. 財産権上ノ訴ハ義務履行地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 【新5条 1号】 第6条〔手形・小切手支払地の裁判籍〕 1. 手形又ハ小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求ヲ目的トスル訴ハ手形又ハ小切手ノ支払地ノ裁判 所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新5条 2号】 第7条〔船籍所在地の裁判籍-船員〕 1. 船員ニ対スル財産権上ノ訴ハ船舶ノ船籍ノ所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新5条 3号】 第8条〔財産所在地の裁判籍〕 1. 日本ニ住所ナキ者又ハ住所ノ知レサル者ニ対スル財産権上ノ訴ハ請求若ハ其ノ担保ノ目的 又ハ差押フルコトヲ得ヘキ被告ノ財産ノ所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 【新5条 4号】 第9条〔事務所・営業所所在地の裁判籍〕 1. 事務所又ハ営業所ヲ有スル者ニ対スル訴ハ其ノ事務所又ハ営業所ニ於ケル業務ニ関スルモ ノニ限リ其ノ所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 【新5条 5号】 第10条〔船籍所在地の裁判籍-船舶利用者〕 1. 船舶又ハ航海ニ関シ船舶所有者其ノ他船舶ノ利用ヲ為ス者ニ対スル訴ハ船籍ノ所在地ノ裁 判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 【新5条 6号】 第11条〔船舶所在地の裁判籍〕 1. 船舶債権其ノ他船舶ヲ以テ担保スル債権ニ基ク訴ハ船舶ノ所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スル コトヲ得 【新5条 7号】 第12条〔社員・役員の特別裁判籍〕 1. 会社其ノ他ノ社団ヨリ社員ニ対スル訴又ハ社員ヨリ社員ニ対スル訴ハ社員タル資格ニ基ク モノニ限リ会社其ノ他ノ社団ノ普通裁判籍所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 2. 前項ノ規定ハ社団又ハ財団ヨリ役員ニ対スル訴及会社ヨリ発起人又ハ検査役ニ対スル訴ニ 之ヲ準用ス 【新5条 8号イ、ロ、ハ】 第13条〔社員の特別裁判籍〕 1. 会社其ノ他ノ社団ノ債権者ヨリ社員ニ対スル訴ハ社員タル資格ニ基クモノニ限リ前条ノ裁 判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 【新5条 8号ニ】 第14条〔前二条の拡張〕 1. 第十二条〔社員・役員の特別裁判籍〕及前条〔社員の特別裁判籍〕ノ規定ハ社団、財 団、社員又ハ社団ノ債権者ヨリ社員、役員、発起人又ハ検査役タリシ者ニ対スル訴及社員 タリシ者ヨリ社員ニ対スル訴ニ之ヲ準用ス 【新5条8号イ~ニ】 第15条〔不法行為地の裁判籍〕 1. 不法行為ニ関スル訴ハ其ノ行為アリタル地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 2. 船舶ノ衝突其ノ他海上ノ事故ニ基ク損害賠償ノ訴ハ損害ヲ受ケタル船舶カ最初ニ到達シタ ル地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 【新5条9号、10号】 第16条〔海難救助の裁判籍〕 1. 海難救助ニ関スル訴ハ救助アリタル地又ハ救助セラレタル船舶カ最初ニ到達シタル地ノ裁 判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 【新5条11号】 第17条〔不動産所在地の裁判籍〕 1. 不動産ニ関スル訴ハ不動産所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 【新5条12号】 第18条〔登記・登録地の裁判籍〕 1. 登記又ハ登録ニ関スル訴ハ登記又ハ登録ヲ為スヘキ地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 【新5条13号】 第19条〔相続の裁判籍〕 1. 相続権ニ関スル訴又ハ遺留分若ハ遺贈其ノ他死亡ニ因リテ効力ヲ生スヘキ行為ニ関スル訴 ハ相続開始ノ時ニ於ケル被相続人ノ普通裁判籍所在地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得 【新5条14号】 第20条〔前条の拡張〕 1. 相続債権其ノ他相続財産ノ負担ニ関スル訴ニシテ前条ノ規定ニ該当セサルモノハ相続財産 ノ全部又ハ一部カ前条ノ裁判所ノ管轄区域内ニ在ルトキニ限リ其ノ裁判所ニ之ヲ提起スル コトヲ得 【新5条15号】 第21条〔併合請求の裁判籍〕 1. 一ノ訴ヲ以テ数個ノ請求ヲ為ス場合ニ於テハ第一条乃至前条ノ規定ニ依リ一ノ請求ニ付管 轄権ヲ有スル裁判所ニ其ノ訴ヲ提起スルコトヲ得 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新7条 変更】 第22条〔訴訟物の価額の算定〕 1. 裁判所法ニ依リ管轄カ訴訟ノ目的ノ価額ニ依リテ定ルトキハ其ノ価額ハ訴ヲ以テ主張スル 利益ニ依リテ之ヲ算定ス 2. 前項ノ価額ヲ算定スルコト能ハサルトキハ其ノ価額ハ九十万円ヲ超過スルモノト看做ス 〔昭五七法八二第二項改正〕 【新8条】 第23条〔請求併合の場合の訴額〕 1. 一ノ訴ヲ以テ数個ノ請求ヲ為ストキハ其ノ価額ヲ合算ス 果実、損害賠償、違約金又ハ 費用ノ請求カ訴訟ノ附帯ノ目的ナルトキハ其ノ価額ハ之ヲ訴訟ノ目的ノ価額ニ算入セス 【新9条】 第24条〔管轄の指定〕 1. 左ノ場合ニ於テハ関係アル裁判所ニ共通スル直近上級裁判所ハ申立ニ因リ決定ヲ以テ管轄 裁判所ヲ定ム 一 管轄裁判所カ法律上又ハ事実上裁判権ヲ行フコト能ハサルトキ 二 裁判所ノ管轄区域明確ナラサル為管轄裁判所カ定ラサルトキ 2. 前項ノ決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス 〔昭二三法一四九第一項改正〕 【新10条】 第25条〔合意管轄〕 1. 当事者ハ第一審ニ限リ合意ニ依リ管轄裁判所ヲ定ムルコトヲ得 2. 前項ノ合意ハ一定ノ法律関係ニ基ク訴ニ関シ且書面ヲ以テ之ヲ為スニ非サレハ其ノ効ナシ 【新11条】 第26条〔応訴管轄〕 1. 被告カ第一審裁判所ニ於テ管轄違ノ抗弁ヲ提出セスシテ本案ニ付弁論ヲ為シ又ハ準備手続 ニ於テ申述ヲ為シタルトキハ其ノ裁判所ハ管轄権ヲ有ス 【新12条】 第27条〔専属管轄による除外〕 1. 第一条〔普通裁判籍〕、第五条乃至第二十一条〔特別裁判籍〕、第二十五条〔合意管 轄〕及前条 〔応訴管轄〕ノ規定ハ訴ニ付専属管轄ノ定アル場合ニハ之ヲ適用セス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新13条】 第28条〔職権証拠調〕 1. 裁判所ハ管轄ニ関スル事項ニ付職権ヲ以テ証拠調ヲ為スコトヲ得 【新14条】 第29条〔管轄決定の標準時〕 1. 裁判所ノ管轄ハ起訴ノ時ヲ標準トシテ之ヲ定ム 【新15条】 第30条〔管轄違に基づく移送〕 1. 裁判所ハ訴訟ノ全部又ハ一部カ其ノ管轄ニ属セスト認ムルトキハ決定ヲ以テ之ヲ管轄裁判 所ニ移送ス 2. 地方裁判所ハ訴訟カ其ノ管轄区域内ノ簡易裁判所ノ管轄ニ属スル場合ニ於テモ相当ト認ム ルトキハ前項ノ規定ニ拘ラス申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ訴訟ノ全部又ハ一部ニ付自ラ審理 及裁判ヲ為スコトヲ得但シ訴ニ付専属管轄ノ定ノアル場合ハ此ノ限ニ在ラス 〔昭二三法一四九第二項改正〕 【新16条 変更】 第31条〔損害・遅滞を避けるための移送〕 1. 裁判所ハ其ノ管轄ニ属スル訴訟ニ付著キ損害又ハ遅滞ヲ避クル為必要アリト認ムルトキハ 其ノ専属管轄ニ属スルモノヲ除クノ外申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ訴訟ノ全部又ハ一部ヲ他 ノ管轄裁判所ニ移送スルコトヲ得 【新17条 変更、新20条】 第31条ノ2〔簡裁の裁量移送〕 1. 簡易裁判所ハ訴訟カ其ノ管轄ニ属スル場合ニ於テモ相当ト認ムルトキハ其ノ専属管轄ニ属 スルモノヲ除クノ外申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ訴訟ノ全部又ハ一部ヲ其ノ所在地ヲ管轄ス ル地方裁判所ニ移送スルコトヲ得 〔昭二三法一四九本条追加〕 【新18条、新20条】 第31条ノ3〔簡裁の必要的移送〕 1. 簡易裁判所ハ訴訟ガ其ノ管轄ニ属スル場合ニ於テモ当事者ノ申立及相手方ノ同意アルトキ ハ其ノ専属管轄ニ属スルモノヲ除クノ外訴訟ノ全部又ハ一部ヲ其ノ所在地ヲ管轄スル地方 裁判所ニ移送スルコトヲ要ス但シ之ニ因リ著ク訴訟手続ヲ遅滞セシムベキ場合ハ此ノ限ニ 在ラズ 2. 前項本文ノ規定ハ不動産ニ関スル訴訟ニ付被告ノ申立アル場合ニ之ヲ準用ス但シ其ノ申立 前被告ガ本案ニ付弁論ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ 〔昭五七法八二本条追加〕 【新19条 変更、新20条】 第32条〔移送の裁判の効力〕 1. 移送ノ裁判ハ移送ヲ受ケタル裁判所ヲ覊束ス 2. 移送ヲ受ケタル裁判所ハ更ニ事件ヲ他ノ裁判所ニ移送スルコトヲ得ス 【新22条1項、2項】 第33条〔不服申立〕 1. 移送ノ裁判及移送ノ申立ヲ却下シタル裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新21条】 第34条〔移送の効果〕 1. 移送ノ裁判確定シタルトキハ訴訟ハ初ヨリ移送ヲ受ケタル裁判所ニ繋属シタルモノト看做 ス 2. 前項ノ場合ニ於テハ移送ノ裁判ヲ為シタル裁判所ノ裁判所書記官ハ其ノ裁判ノ正本ヲ訴訟 記録ニ添附シ移送ヲ受ケタル裁判所ノ裁判所書記官ニ之ヲ送付スルコトヲ要ス 【新22条3項、規則】

第2節 裁判所職員ノ除斥、忌避及回避

第35条〔除斥原因〕 1. 裁判官ハ左ノ場合ニ於テハ法律上其ノ職務ノ執行ヨリ除斥セラル 一 裁判官又ハ其ノ配偶者若ハ配偶者タリシ者カ事件ノ当事者ナルトキ又ハ事件ニ付当事 者ト共同権利者、共同義務者若ハ償還義務者タル関係ヲ有スルトキ 二 裁判官カ当事者ノ四親等内ノ血族、三親等内ノ姻族若ハ同居ノ親族ナルトキ又ハナリ シトキ 三 裁判官カ当事者ノ後見人、後見監督人又ハ保佐人ナルトキ 四 裁判官カ事件ニ付証人又ハ鑑定人ト為リタルトキ 五 裁判官カ事件ニ付当事者ノ代理人又ハ輔佐人ナルトキ又ハナリシトキ 六 裁判官カ事件ニ付仲裁判断ニ関与シ又ハ不服ヲ申立テラレタル前審ノ裁判ニ関与シタ ルトキ但シ他ノ裁判所ノ嘱託ニ因リ受託裁判官トシテ其ノ職務ヲ行フコトヲ妨ケス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新23条1項】 第36条〔除斥の裁判〕 1. 除斥ノ原因アルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ除斥ノ裁判ヲ為ス 【新23条2項】 第37条〔忌避〕 1. 裁判官ニ付裁判ノ公正ヲ妨クヘキ事情アルトキハ当事者ハ之ヲ忌避スルコトヲ得 2. 当事者カ裁判官ノ面前ニ於テ弁論ヲ為シ又ハ準備手続ニ於テ申述ヲ為シタルトキハ其ノ裁 判官ヲ忌避スルコトヲ得ス但シ忌避ノ原因カ其ノ後ニ生シ又ハ当事者カ其ノ原因アルコト ヲ知ラサリシトキハ此ノ限ニ在ラス 【新24条】 第38条〔除斥・忌避の申立方式〕 1. 第三十六条又ハ前条ニ規定スル申立ハ其ノ原因ヲ開示シテ裁判官所属ノ裁判所ニ之ヲ為ス コトヲ要ス 2. 除斥又ハ忌避ノ原因ハ申立ヲ為シタル日ヨリ三日内ニ之ヲ疏明スルコトヲ要ス前条第二項 但書ノ事実亦同シ 【規則】 第39条〔除斥・忌避の裁判機関〕 1. 合議体ノ構成員タル裁判官及地方裁判所ノ一人ノ裁判官ノ除斥又ハ忌避ニ付テハ其ノ裁判 官所属ノ裁判所カ、簡易裁判所ノ裁判官ノ除斥又ハ忌避ニ付テハ其ノ裁判所ノ所在地ヲ管 轄スル地方裁判所カ決定ヲ以テ裁判ヲ為ス 2. 前項ノ裁判ハ地方裁判所ニ於テハ合議体ニ於テ之ヲ為ス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新25条1項、2項】 第40条〔当該裁判官の関与の禁止〕 1. 裁判官ハ其ノ除斥又ハ忌避ニ付裁判ニ関与スルコトヲ得ス但シ意見ヲ述フルコトヲ得 【新25条3項、規則】 第41条〔不服申立〕 1. 除斥又ハ忌避ヲ理由アリトスル決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス之ヲ理由ナシト スル決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 【新25条4項、5項】 第42条〔本案訴訟の停止〕 1. 除斥又ハ忌避ノ申立アリタルトキハ其ノ申立ニ付テノ裁判ノ確定ニ至ル迄訴訟手続ヲ停止 スルコトヲ要ス但シ急速ヲ要スル行為ニ付テハ此ノ限ニ在ラス 【新26条】 第43条〔裁判官の回避〕 1. 第三十五条〔除斥原因〕及第三十七条第一項〔忌避事由〕ノ場合ニ於テハ裁判官ハ監督 権アル裁判所ノ許可ヲ得テ回避スルコトヲ得 〔昭二三法一四九本条改正〕 【規則】 第44条〔裁判所書記官に準用〕 1. 本節ノ規定ハ裁判所書記官ニ之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ裁判ハ裁判所書記官所属ノ裁判 所之ヲ為シ簡易裁判所ノ裁判所書記官ノ回避ノ許可ハ其ノ裁判所ノ裁判所法第三十七条ニ 規定スル裁判官之ヲ為ス 〔昭二三法一四九・昭三九法一三五本条改正〕 【新27条、規則】

第2章 当事者

第1節 当事者能力及訴訟能力

第45条〔原則〕 1. 当事者能力、訴訟能力及訴訟無能力者ノ法定代理ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外民 法其ノ他ノ法令ニ従フ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権亦同シ 【新28条】 第46条〔法人でない社団・財団の当事者能力〕 1. 法人ニ非サル社団又ハ財団ニシテ代表者又ハ管理人ノ定アルモノハ其ノ名ニ於テ訴ヘ又ハ 訴ヘラルルコトヲ得 【新46条】 第47条〔選定当事者〕 1. 共同ノ利益ヲ有スル多数者ニシテ前条ノ規定ニ該当セサルモノハ其ノ中ヨリ総員ノ為ニ原 告若ハ被告ト為ルヘキ一人若ハ数人ヲ選定シ又ハ之ヲ変更スルコトヲ得 2. 訴訟ノ繋属ノ後前項ノ規定ニ依リテ原告又ハ被告ト為ルヘキ者ヲ定メタルトキハ他ノ当事 者ハ当然訴訟ヨリ脱退ス 【新30条1項~4項 変更】 第48条〔選定当事者の一部の資格喪失〕 1. 前条ノ規定ニ依リテ選定セラレタル当事者中死亡其ノ他ノ事由ニ因リ其ノ資格ヲ喪失シタ ル者アルトキハ他ノ当事者ニ於テ総員ノ為ニ訴訟行為ヲ為スコトヲ得 【新30条5項】 第49条〔未成年者・禁治産者の訴訟能力〕 1. 未成年者及禁治産者ハ法定代理人ニ依リテノミ訴訟行為ヲ為スコトヲ得但シ未成年者カ独 立シテ法律行為ヲ為スコトヲ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラス 【新31条】 第50条〔準禁治産者・法定代理人の訴訟行為の特則〕 1. 準禁治産者又ハ法定代理人カ相手方ノ提起シタル訴又ハ上訴ニ付訴訟行為ヲ為スニハ保佐 人又ハ後見監督人ノ同意其ノ他ノ授権ヲ要セス 2. 準禁治産者又ハ法定代理人カ訴、控訴若ハ上告ノ取下、和解、請求ノ棄若ハ認諾又ハ第七 十二条 〔訴訟脱退〕ノ規定ニ依ル脱退ヲ為スニハ常ニ特別ノ授権アルコトヲ要ス第四百 五十二条 〔異議の取下〕( 第四百六十三条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ 依ル異議ノ取下又ハ取下ノ同意亦同ジ 〔昭二三法一四九本条改正、昭三九法一三五第二項改正〕 【新32条】 第51条〔外国人の訴訟能力の特則〕 1. 外国人ハ其ノ本国法ニ依レハ訴訟能力ヲ有セサルトキト雖日本ノ法律ニ依レハ訴訟能力ヲ 有スヘキトキハ之ヲ訴訟能力者ト看做ス 【新33条】 第52条〔代理権の証明〕 1. 法定代理権又ハ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権ハ書面ヲ以テ之ヲ証スルコトヲ要ス第四十 七条ノ規定ニ依ル当事者ノ選定及変更亦同シ 2. 前項ノ書面ハ訴訟記録ニ之ヲ添附スルコトヲ要ス 【規則】 第53条〔訴訟能力・法定代理権の欠缺ある場合の処置〕 1. 訴訟能力、法定代理権又ハ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権ノ欠缺アルトキハ裁判所ハ期間 ヲ定メテ其ノ補正ヲ命シ若遅滞ノ為損害ヲ生スル虞アルトキハ一時訴訟行為ヲ為サシムル コトヲ得 【新34条1項】 第54条〔訴訟能力・法定代理権の欠缺と追認〕 1. 訴訟能力、法定代理権又ハ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権ノ欠缺アル者カ為シタル訴訟行 為ハ其ノ欠缺ナキニ至リタル当事者又ハ法定代理人ノ追認ニ因リ行為ノ時ニ遡リテ其ノ効 力ヲ生ス 【新34条2項】 第55条〔選定当事者に準用〕 1. 第五十三条〔訴訟能力・法定代理権の欠缺ある場合の処置〕及前条〔訴訟能力・法定代理 権の欠缺と追認〕ノ規定ハ第四十七条 〔選定当事者〕ノ規定ニ依ル当事者カ訴訟行為ヲ 為ス場合ニ之ヲ準用ス 【新34条3項3項】 第56条〔特別代理人〕 1. 法定代理人ナキ場合又ハ法定代理人カ代理権ヲ行フコト能ハサル場合ニ於テ未成年者又ハ 禁治産者ニ対シ訴訟行為ヲ為サムトスル者ハ遅滞ノ為損害ヲ受クル虞アルコトヲ疏明シテ 受訴裁判所ノ裁判長ニ特別代理人ノ選任ヲ申請スルコトヲ得 2. 裁判所ハ何時ニテモ特別代理人ヲ改任スルコトヲ得 3. 特別代理人カ訴訟行為ヲ為スニハ後見人ト同一ノ授権アルコトヲ要ス 4. 特別代理人ノ選任及改任ノ命令ハ特別代理人ニモ之ヲ送達スルコトヲ要ス 【新35条、規則】 第57条〔法定代理権消滅の通知〕 1. 法定代理権ノ消滅ハ本人又ハ代理人ヨリ之ヲ相手方ニ通知スルニ非サレハ其ノ効ナシ 2. 前項ノ規定ハ第四十七条〔選定当事者〕ノ規定ニ依ル当事者ノ変更ニ之ヲ準用ス 【新36条】 第58条〔法人等の団体の代表者の地位〕 1. 本法中法定代理及法定代理人ニ関スル規定ハ法人ノ代表者及法人ニ非スシテ其ノ名ニ於テ 訴ヘ又ハ訴ヘラルルコトヲ得ル社団又ハ財団ノ代表者又ハ管理人ニ之ヲ準用ス 【新37条、規則も参照】

第2節 共同訴訟

第59条〔共同訴訟の要件〕 1. 訴訟ノ目的タル権利又ハ義務カ数人ニ付共通ナルトキ又ハ同一ノ事実上及法律上ノ原因ニ 基クトキハ其ノ数人ハ共同訴訟人トシテ訴ヘ又ハ訴ヘラルルコトヲ得訴訟ノ目的タル権利 又ハ義務カ同種ニシテ事実上及法律上同種ノ原因ニ基クトキ亦同シ 【新38条】 第60条〔主参加訴訟〕 1. 他人間ノ訴訟ノ目的ノ全部又ハ一部ヲ自己ノ為ニ請求スル者ハ其ノ訴訟ノ繋属中当事者双 方ヲ共同被告トシ第一審ノ受訴裁判所ニ訴ヲ提起スルコトヲ得 【削除】 第61条〔通常の共同訴訟人の地位〕 1. 共同訴訟人ノ一人ノ訴訟行為又ハ之ニ対スル相手方ノ訴訟行為及其ノ一人ニ付生シタル事 項ハ他ノ共同訴訟人ニ影響ヲ及ホサス 【新39条】 第62条〔必要的共同訴訟の特則〕 1. 訴訟ノ目的カ共同訴訟人ノ全員ニ付合一ニノミ確定スヘキ場合ニ於テハ其ノ一人ノ訴訟行 為ハ全員ノ利益ニ於テノミ其ノ効力ヲ生ス 2. 共同訴訟人ノ一人ニ対スル相手方ノ訴訟行為ハ全員ニ対シテ其ノ効力ヲ生ス 3. 共同訴訟人ノ一人ニ付訴訟手続ノ中断又ハ中止ノ原因アルトキハ其ノ中断又ハ中止ハ全員 ニ付其ノ効力ヲ生ス 【新40条 1項~3項】 第63条〔同前〕 1. 第五十条第一項〔準禁治産者・法定代理人の応訴についての授権不要〕ノ規定ハ前条第一 項ノ場合ニ於テ共同訴訟人ノ一人カ提起シタル上訴ニ付他ノ共同訴訟人ノ為スヘキ訴訟行 為ニ之ヲ準用ス 【新40条4項】

第3節 訴訟参加

第64条〔補助参加〕 1. 訴訟ノ結果ニ付利害関係ヲ有スル第三者ハ其ノ訴訟ノ繋属中当事者ノ一方ヲ補助スル為訴 訟ニ参加スルコトヲ得 【新42条】 第65条〔参加申出の方式〕 1. 参加ノ申出ハ参加ノ趣旨及理由ヲ具シ参加ニ依リテ訴訟行為ヲ為スヘキ裁判所ニ之ヲ為ス コトヲ要ス 2. 書面ニ依リテ参加ノ申出ヲ為シタル場合ニ於テハ其ノ書面ハ之ヲ当事者双方ニ送達スルコ トヲ要ス 3. 参加ノ申出ハ参加人トシテ為シ得ル訴訟行為ト共ニ之ヲ為スコトヲ得 【新43条、規則】 第66条〔参加許否の裁判〕 1. 当事者カ参加ニ付異議ヲ述ヘタルトキハ参加ノ理由ハ之ヲ疏明スルコトヲ要ス此ノ場合ニ 於テハ裁判所ハ参加ノ許否ニ付決定ヲ以テ裁判ヲ為ス 2. 前項ノ裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 【新44条1項、3項】 第67条〔異議権の喪失〕 1. 当事者カ参加ニ付異議ヲ述ヘスシテ弁論ヲ為シ又ハ準備手続ニ於テ申述ヲ為シタルトキハ 異議ヲ述フル権利ヲ失フ 【新44条2項】 第68条〔参加人の訴訟関与〕 1. 参加人ハ参加ニ付異議アル場合ニ於テモ参加ヲ許ササル裁判確定セサル間ハ訴訟行為ヲ為 スコトヲ得 2. 参加人ノ訴訟行為ハ当事者カ之ヲ援用シタルトキハ参加ヲ許ササル裁判確定シタル場合ニ 於テモ其ノ効力ヲ有ス 【新45条3項、4項】 第69条〔参加人の訴訟行為〕 1. 参加人ハ訴訟ニ付攻撃又ハ防禦ノ方法ノ提出、異議ノ申立、上訴ノ提起其ノ他一切ノ訴訟 行為ヲ為スコトヲ得但シ参加ノ時ニ於ケル訴訟ノ程度ニ従ヒ為スコトヲ得サルモノハ此ノ 限ニ在ラス 2. 参加人ノ訴訟行為カ被参加人ノ訴訟行為ト牴触スルトキハ其ノ効力ヲ有セス 【新45条1項、2項 変更】 第70条〔参加人に対する裁判の効力〕 1. 前条ノ規定ニ依リテ参加人カ訴訟行為ヲ為スコトヲ得ス又ハ其ノ訴訟行為カ効力ヲ有セサ リシ場合、被参加人カ参加人ノ訴訟行為ヲ妨ケタル場合及被参加人カ参加人ノ為スコト能 ハサル訴訟行為ヲ故意又ハ過失ニ因リテ為ササリシ場合ヲ除クノ外裁判ハ参加人ニ対シテ モ其ノ効力ヲ有ス 【新46条】 第71条〔独立当事者参加〕 1. 訴訟ノ結果ニ因リテ権利ヲ害セラルヘキコトヲ主張スル第三者又ハ訴訟ノ目的ノ全部若ハ 一部カ自己ノ権利ナルコトヲ主張スル第三者ハ当事者トシテ訴訟ニ参加スルコトヲ得此ノ 場合ニ於テハ第六十二条 〔必要的共同訴訟の特則〕及第六十五条 〔参加申出の方式〕ノ 規定ヲ準用ス 【新47条 変更】 第72条〔訴訟脱退〕 1. 前条ノ規定ニ依リ自己ノ権利ヲ主張スル為訴訟ニ参加シタル者アル場合ニ於テハ参加前ノ 原告又ハ被告ハ相手方ノ承諾ヲ得テ訴訟ヨリ脱退スルコトヲ得但シ判決ハ脱退シタル当事 者ニ対シテモ其ノ効力ヲ有ス 【新48条】 第73条〔権利承継人の訴訟参加〕 1. 訴訟ノ繋属中其ノ訴訟ノ目的タル権利ノ全部又ハ一部ヲ譲受ケタルコトヲ主張シ第七十一 条 〔独立当事者参加〕ノ規定ニ依リテ訴訟参加ヲ為シタルトキハ其ノ参加ハ訴訟ノ繋属 ノ初ニ遡リテ時効ノ中断又ハ法律上ノ期間遵守ノ効力ヲ生ス 【新49条】 第74条〔債務承継人の訴訟引受〕 1. 訴訟ノ繋属中第三者カ其ノ訴訟ノ目的タル債務ヲ承継シタルトキハ裁判所ハ当事者ノ申立 ニ因リ其ノ第三者ヲシテ訴訟ヲ引受ケシムルコトヲ得 2. 裁判所ハ前項ノ規定ニ依リテ決定ヲ為ス前当事者及第三者ヲ審訊スルコトヲ要ス 3. 第七十二条〔訴訟脱退〕ノ規定中脱退及判決ノ効力ニ関スルモノハ第一項ノ規定ニ依リ テ訴訟ノ引受アリタル場合ニ之ヲ準用ス 【新50条】 第75条〔共同訴訟参加〕 1. 訴訟ノ目的カ当事者ノ一方及第三者ニ付合一ニノミ確定スヘキ場合ニ於テハ其ノ第三者ハ 共同訴訟人トシテ訴訟ニ参加スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第六十五条 〔参加申出の方 式〕ノ規定ヲ準用ス 【新52条】 第76条〔訴訟告知の要件〕 1. 当事者ハ訴訟ノ繋属中参加ヲ為スコトヲ得ル第三者ニ其ノ訴訟ノ告知ヲ為スコトヲ得 2. 訴訟告知ヲ受ケタル者ハ更ニ訴訟告知ヲ為スコトヲ得 【新53条1項、2項】 第77条〔訴訟告知の方式〕 1. 訴訟告知ハ理由及訴訟ノ程度ヲ記載シタル書面ヲ裁判所ニ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス 2. 前項ノ書面ハ相手方ニモ之ヲ送達スルコトヲ要ス 【新53条3項、規則】 第78条〔訴訟告知の効果〕 1. 訴訟告知ヲ受ケタル者カ参加セサリシ場合ニ於テモ第七十条 〔参加人に対する裁判の効 力〕ノ規定ノ適用ニ付テハ参加スルコトヲ得ヘカリシ時ニ参加シタルモノト看做ス 【新53条4項】

第4節 訴訟代理人及輔佐人

第79条〔訴訟代理人の資格〕 1. 法令ニ依リテ裁判上ノ行為ヲ為スコトヲ得ル代理人ノ外弁護士ニ非サレハ訴訟代理人タル コトヲ得ス但シ簡易裁判所ニ於テハ許可ヲ得テ弁護士ニ非サル者ヲ訴訟代理人ト為スコト ヲ得 2. 前項ノ許可ハ何時ニテモ之ヲ取消スコトヲ得 【新54条】 第80条〔訴訟代理権の証明〕 1. 訴訟代理人ノ権限ハ書面ヲ以テ之ヲ証スルコトヲ要ス 2. 前項ノ書面カ私文書ナルトキハ裁判所ハ当該吏員ノ認証ヲ受クヘキ旨ヲ訴訟代理人ニ命ス ルコトヲ得 3. 前二項ノ規定ハ当事者カ口頭ヲ以テ訴訟代理人ヲ選任シ裁判所書記官カ調書ニ其ノ陳述ヲ 記載シタル場合ニハ之ヲ適用セス 〔昭三九法一三五第三項改正〕 【規則】 第81条〔訴訟代理権の範囲〕 1. 訴訟代理人ハ委任ヲ受ケタル事件ニ付反訴、参加、強制執行、仮差押及仮処分ニ関スル訴 訟行為ヲ為シ且弁済ヲ受領スルコトヲ得 2. 左ニ掲クル事項ニ付テハ特別ノ委任ヲ受クルコトヲ要ス 一 反訴ノ提起 二 訴ノ取下、和解、請求ノ棄若ハ認諾又ハ第七十二条ノ規定ニ依ル脱退 三 控訴、上告又ハ其ノ取下 四 第四百五十二条 ( 第四百六十三条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル 異議ノ取下又ハ取下ノ同意 五 代理人ノ選任 3. 訴訟代理権ハ之ヲ制限スルコトヲ得ス但シ弁護士ニ非サル訴訟代理人ニ付テハ此ノ限ニ在 ラス 〔昭三九法一三五第二項改正〕 【新55条1項~3項】 第82条〔法令による訴訟代理人の権限〕 1. 前条ノ規定ハ法令ニ依リテ裁判上ノ行為ヲ為スコトヲ得ル代理人ノ権限ヲ妨ケス 【新55条4項】 第83条〔個別代理の原則〕 1. 数人ノ訴訟代理人アルトキハ各自当事者ヲ代理ス 2. 当事者カ前項ノ規定ニ異ル定ヲ為スモ其ノ効力ヲ生セス 【新56条】 第84条〔当事者の更正権〕 1. 訴訟代理人ノ事実上ノ陳述ハ当事者カ直ニ之ヲ取消シ又ハ更正シタルトキハ其ノ効力ヲ生 セス 【新57条】 第85条〔訴訟代理権の不消滅〕 1. 訴訟代理権ハ当事者ノ死亡若ハ訴訟能力ノ喪失、当事者タル法人ノ合併ニ因ル消滅、当事 者タル受託者ノ信託ノ任務終了又ハ法定代理人ノ死亡、訴訟能力ノ喪失若ハ代理権ノ消 滅、変更ニ因リテ消滅セス 【新58条1項】 第86条〔同前〕 1. 一定ノ資格ヲ有スル者ニシテ自己ノ名ヲ以テ他人ノ為訴訟ノ当事者タルモノノ訴訟代理人 ノ代理権ハ当事者ノ資格ノ喪失ニ因リテ消滅セス 2. 前項ノ規定ハ第四十七条〔選定当事者〕ノ規定ニ依リテ選定セラレタル当事者カ其ノ資 格ヲ喪失シタル場合ニ之ヲ準用ス 【新58条2項、3項】 第87条〔法定代理人の規定の準用〕 1. 第五十二条第二項〔授権証明書の訴訟記録への添付〕、第五十三条〔授権欠缺あるとき の補正命令〕、 第五十四条 〔訴訟能力等の欠缺と追認〕及第五十七条 〔法定代理権消滅 の通知〕ノ規定ハ訴訟代理ニ之ヲ準用ス 【新59条】 第88条〔輔佐人〕 1. 当事者又ハ訴訟代理人ハ裁判所ノ許可ヲ得テ輔佐人ト共ニ出頭スルコトヲ得此ノ許可ハ何 時ニテモ之ヲ取消スコトヲ得 2. 輔佐人ノ陳述ハ当事者又ハ訴訟代理人カ直ニ之ヲ取消シ又ハ更正セサルトキハ自ラ之ヲ為 シタルモノト看做ス 【新60条】

第3章 訴訟費用

第1節 訴訟費用ノ負担

第89条〔原則〕 1. 訴訟費用ハ敗訴ノ当事者ノ負担トス 【新61条】 第90条〔例外(一)〕 1. 裁判所ハ事情ニ従ヒ勝訴ノ当事者ヲシテ其ノ権利ノ伸張若ハ防禦ニ必要ナラサル行為ニ因 リテ生シタル訴訟費用又ハ訴訟ノ程度ニ於テ相手方ノ権利ノ伸張若ハ防禦ニ必要ナリシ行 為ニ因リテ生シタル訴訟費用ノ全部又ハ一部ヲ負担セシムルコトヲ得 【新62条】 第91条〔例外(二)〕 1. 当事者カ適当ノ時期ニ攻撃若ハ防禦ノ方法ヲ提出セサル為又ハ期日若ハ期間ノ懈怠其ノ他 当事者ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リ訴訟ヲ遅滞セシメタルトキハ裁判所ハ之ヲシテ其ノ勝訴 ノ場合ニ於テモ遅滞ニ因リテ生シタル訴訟費用ノ全部又ハ一部ヲ負担セシムルコトヲ得 【新63条】 第92条〔一部敗訴の場合〕 1. 一部敗訴ノ場合ニ於テ各当事者ノ負担スヘキ訴訟費用ハ裁判所ノ意見ヲ以テ之ヲ定ム但シ 事情ニ従ヒ当事者ノ一方ヲシテ訴訟費用ノ全部ヲ負担セシムルコトヲ得 【新64条】 第93条〔共同訴訟の場合〕 1. 共同訴訟人ハ平等ノ割合ヲ以テ訴訟費用ヲ負担ス但シ裁判所ハ事情ニ従ヒ共同訴訟人ヲシ テ連帯シテ訴訟費用ヲ負担セシメ又ハ他ノ方法ニ依リ之ヲ負担セシムルコトヲ得 2. 裁判所ハ前項ノ規定ニ拘ラス権利ノ伸張又ハ防禦ニ必要ナラサル行為ヲ為シタル当事者ヲ シテ其ノ行為ニ因リテ生シタル費用ヲ負担セシムルコトヲ得 【新65条】 第94条〔参加の場合〕 1. 第八十九条乃至前条〔訴訟費用負担の原則の例外・一部敗訴の場合・共同訴訟の場合〕 ノ規定ハ当事者カ参加ニ付異議ヲ述ヘタル場合ニ於テハ其ノ異議ニ因リテ生シタル訴訟費 用ノ参加人ト異議ヲ述ヘタル当事者トノ間ニ於ケル負担ニ関シ之ヲ準用ス参加ニ因リテ生 シタル訴訟費用ノ参加人ト相手方トノ間ニ於ケル負担ニ付亦同シ 【新66条】 第95条〔各審級の費用の裁判〕 1. 裁判所ハ事件ヲ完結スル裁判ニ於テ職権ヲ以テ其ノ審級ニ於ケル訴訟費用ノ全部ニ付裁判 ヲ為スコトヲ要ス但シ事情ニ従ヒ事件ノ一部又ハ中間ノ争ニ関スル裁判ニ於テ其ノ費用ノ 裁判ヲ為スコトヲ得 【新67条1項】 第96条〔総費用の裁判〕 1. 上級裁判所カ本案ノ裁判ヲ変更スル場合ニ於テハ訴訟ノ総費用ニ付裁判ヲ為スコトヲ要ス 事件ノ差戻又ハ移送ヲ受ケタル裁判所カ其ノ事件ヲ完結スル裁判ヲ為ス場合亦同シ 【新67条2項】 第97条〔和解の場合〕 1. 当事者カ裁判所ニ於テ和解ヲ為シタル場合ニ於テ和解ノ費用及訴訟費用ノ負担ニ付別段ノ 定ヲ為ササルトキハ其ノ費用ハ各自之ヲ負担ス 【新68条】 第98条〔第三者の費用償還〕 1. 法定代理人、訴訟代理人、裁判所書記官又ハ執行官カ故意又ハ重大ナル過失ニ因リテ無益 ナル費用ヲ生セシメタルトキハ受訴裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ此等ノ者ニ対シ其 ノ費用額ノ償還ヲ命スルコトヲ得 2. 前項ノ規定ハ法定代理人又ハ訴訟代理人トシテ訴訟行為ヲ為シタル者カ其ノ代理権又ハ訴 訟行為ヲ為スニ必要ナル授権アルコトヲ証明スルコト能ハス又ハ追認ヲ得サリシ場合ニ於 テ其ノ訴訟行為ニ因リテ生シタル訴訟費用ニ之ヲ準用ス 3. 前二項ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 〔昭四一法一一一第一項改正〕 【新69条】 第99条〔無権代理人の費用負担〕 1. 裁判所カ前条第二項ノ場合ニ於テ訴ヲ却下シタルトキハ訴訟費用ハ代理人トシテ訴訟行為 ヲ為シタル者ノ負担トス 【新70条】 第100条〔訴訟費用額確定決定〕 1. 裁判所カ訴訟費用ノ負担ヲ定ムル裁判ニ於テ其ノ額ヲ定メサルトキハ第一審ノ受訴裁判所 ハ其ノ裁判カ執行力ヲ生シタル後申立ニ因リ決定ヲ以テ之ヲ定ム 2. 訴訟費用額ノ確定ヲ求ムル申立ヲ為スニハ費用計算書及其ノ謄本並費用額ノ疏明ニ必要ナ ル書面ヲ提出スルコトヲ要ス 3. 第一項ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 【新71条1項、4項~7項、規則 変更】 第101条〔相手方への催告〕 1. 裁判所ハ訴訟費用額ヲ定ムル決定ヲ為ス前相手方ニ費用計算書ノ謄本ヲ交付シ陳述ヲ為ス ヘキ旨並一定ノ期間内ニ費用計算書及費用額ノ疏明ニ必要ナル書面ヲ提出スヘキ旨ヲ催告 スルコトヲ要ス 2. 相手方カ期間内ニ前項ノ書面ヲ提出セサルトキハ裁判所ハ申立人ノ費用ノミニ付裁判ヲ為 スコトヲ得但シ相手方ノ費用額ノ確定ヲ求ムル申立ヲ妨ケス 【規則】 第102条〔負担費用の相殺〕 1. 裁判所カ訴訟費用額ヲ定ムル裁判ヲ為ス場合ニ於テハ前条第二項ノ場合ヲ除クノ外各当事 者ノ負担スヘキ費用ハ其ノ対当額ニ付相殺アリタルモノト看做ス 【新71条2項】 第103条〔和解の場合の費用額の確定〕 1. 第九十七条〔裁判上の和解〕ノ場合ニ於テ当事者カ訴訟費用ノ負担ヲ定メ其ノ額ヲ定メ サルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ決定ヲ以テ其ノ額ヲ定ムルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ 第 百条第二項第三項〔費用額確定決定の申立の方式、即時抗告〕、 第百一条 〔相手方への 催告〕及前条 〔負担費用の相殺〕ノ規定ヲ準用ス 【新72条 変更】 第104条〔訴訟が裁判によらずに完結した場合〕 1. 前条ノ場合ヲ除クノ外訴訟カ裁判ニ因ラスシテ完結シタルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ決定 ヲ以テ訴訟費用ノ額ヲ定メ且其ノ負担ヲ命スルコトヲ要ス参加又ハ之ニ付テノ異議ノ取下 アリタルトキ亦同シ 2. 第八十九条乃至第九十四条〔費用負担の法則〕、第百条第二項第三項〔費用額確定決定 の申立の方式、即時抗告〕、 第百一条 〔相手方への催告〕及第百二条 〔負担費用の相 殺〕ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス 【新73条 変更】 第105条〔裁判所書記官の計算〕 1. 裁判所ハ裁判所書記官ヲシテ訴訟費用額ノ計算ヲ為サシムルコトヲ得 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新71条1項参照】 第106条〔費用の予納〕 削除〔昭四六法四二〕

第2節 訴訟費用ノ担保

第107条〔担保提供義務〕 1. 原告カ日本ニ住所、事務所及営業所ヲ有セサルトキハ裁判所ハ被告ノ申立ニ因リ訴訟費用 ノ担保ヲ供スヘキコトヲ原告ニ命スルコトヲ要ス担保ニ不足ヲ生シタルトキ亦同シ 2. 前項ノ規定ハ請求ノ一部ニ付争ナキ場合ニ於テ其ノ額カ担保ニ十分ナルトキハ之ヲ適用セ ス 【新75条1項、2項】 第108条〔応訴による申立権の喪失〕 1. 担保ヲ供スヘキ事由アルコトヲ知リタル後被告カ本案ニ付弁論ヲ為シ又ハ準備手続ニ於テ 申述ヲ為シタルトキハ担保ノ申立ヲ為スコトヲ得ス 【新75条3項】 第109条〔応訴拒絶権〕 1. 担保ノ申立ヲ為シタル被告ハ原告カ担保ヲ供スル迄応訴ヲ拒ムコトヲ得 【新75条4項】 第110条〔担保供与決定〕 1. 裁判所ハ担保ヲ供スヘキコトヲ命スル決定ニ於テ担保額及担保ヲ供スヘキ期間ヲ定ムルコ トヲ要ス 2. 担保額ハ被告カ各審ニ於テ支出スヘキ費用ノ総額ヲ標準トシテ之ヲ定ム 【新75条5項、6項】 第111条〔不服申立〕 1. 担保ノ申立ニ関スル裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 【新75条7項】 第112条〔担保提供の方法〕 1. 担保ヲ供スルニハ担保ヲ供スベキコトヲ命ジタル裁判所ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所ノ 管轄区域内ノ供託所ニ金銭又ハ裁判所ガ相当ト認ムル有価証券ヲ供託スル方法其ノ他最高 裁判所規則ヲ以テ定ムル方法ニ依ルコトヲ要ス但シ当事者カ別段ノ契約ヲ為シタルトキハ 其ノ契約ニ依ル 〔昭五四法五本条改正〕 【新76条】 第113条〔担保物に対する被告の権利〕 1. 被告ハ訴訟費用ニ付前条ノ規定ニ依リテ供託シタル金銭又ハ有価証券ノ上ニ質権者ト同一 ノ権利ヲ有ス 【新77条】 第114条〔担保不提供の効果〕 1. 原告カ担保ヲ供スヘキ期間内ニ之ヲ供セサルトキハ裁判所ハ口頭弁論ヲ経スシテ判決ヲ以 テ訴ヲ却下スルコトヲ得但シ判決前担保ヲ供シタルトキハ此ノ限ニ在ラス 〔昭二九法一二七第二項削除〕 【新78条】 第115条〔担保取消決定〕 1. 担保ヲ供シタル者カ担保ノ事由止ミタルコトヲ証明シタルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ担保 取消ノ決定ヲ為スコトヲ要ス 2. 担保ヲ供シタル者カ担保取消ニ付担保権利者ノ同意ヲ得タルコトヲ証明シタルトキ亦前項 ニ同シ 3. 訴訟ノ完結後裁判所カ担保ヲ供シタル者ノ申立ニ因リ担保権利者ニ対シ一定ノ期間内ニ其 ノ権利ヲ行使スヘキ旨ヲ催告シ担保権利者カ其ノ行使ヲ為ササルトキハ担保取消ニ付担保 権利者ノ同意アリタルモノト看做ス 4. 第一項及第二項ノ規定ニ依ル決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 【新79条】 第116条〔担保物の変換〕 1. 裁判所ハ担保ヲ供シタル者ノ申立ニ因リ決定ヲ以テ供託シタル担保物ノ変換ヲ命スルコト ヲ得 2. 前項ノ規定ハ供託シタル担保ヲ契約ニ因リテ他ノ担保ニ変換スルコトヲ妨ケス 【新80条】 第117条〔他の法令による担保に準用〕 1. 第百九条〔応訴拒絶権〕、第百十条第一項〔担保供与決定〕及第百十一条乃至前条〔不 服申立、提供の方法、担保物に対する被告の権利、不提供の効果、担保取消決定、担保物 の変換〕ノ規定ハ他ノ法令ニ依リテ訴ノ提起ニ付供スヘキ担保ニ之ヲ準用ス 【新81条】

第3節 訴訟上ノ救助

第118条〔救助の要件〕 1. 訴訟費用ヲ支払フ資力ナキ者ニ対シテハ裁判所ハ申立ニ因リ訴訟上ノ救助ヲ与フルコトヲ 得但シ勝訴ノ見込ナキニ非サルトキニ限ル 【新82条1項 変更】 第119条〔救助の裁判〕 1. 訴訟上ノ救助ハ各審ニ於テ之ヲ与フ 2. 救助ノ事由ハ之ヲ疏明スルコトヲ要ス 【新82条2項、規則】 第120条〔救助の効力の物的範囲〕 1. 訴訟上ノ救助ハ訴訟及強制執行ニ付左ノ効力ヲ生ス 一 裁判費用並執行官ノ手数料及其ノ職務ノ執行ニ要スル費用ノ支払ノ猶予 二 裁判所ニ於テ附添ヲ命シタル弁護士ノ報酬及立替金ノ支払ノ猶予 三 訴訟費用ノ担保ノ免除 〔昭四一法一一一本条改正〕 【新83条1項】 第121条〔救助の効力の人的範囲〕 1. 訴訟上ノ救助ハ之ヲ受ケタル者ノ為ニノミ其ノ効力ヲ有ス 2. 裁判所ハ訴訟ノ承継人ニ対シ猶予シタル費用ノ支払ヲ命ス 【新83条2項、3項】 第122条〔救助の取消〕 1. 訴訟上ノ救助ヲ受ケタル者カ訴訟費用ノ支払ヲ為ス資力ヲ有スルコト判明シ又ハ之ヲ有ス ルニ至リタルトキハ訴訟記録ノ存スル裁判所ハ利害関係人ノ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ何 時ニテモ救助ヲ取消シ猶予シタル訴訟費用ノ支払ヲ命スルコトヲ得 【新84条】 第123条〔猶予した費用の取立方法〕 1. 訴訟上ノ救助ヲ受ケタル者ニ支払ヲ猶予シタル費用ハ其ノ負担ヲ命セラレタル相手方ヨリ 直接ニ之ヲ取立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テ弁護士又ハ執行官ハ訴訟上ノ救助ヲ受ケタル 者ノ有スル債務名義ニ依リ報酬又ハ手数料及立替金ニ付費用額ヲ定ムル申立及強制執行ヲ 為スコトヲ得 2. 弁護士又ハ執行官ハ報酬又ハ手数料及立替金ニ付当事者ニ代リ第百三条〔和解の場合の 費用額の確定〕又ハ第百四条 〔訴訟が裁判によらずに完結した場合の費用額の確定〕ノ 裁判ヲ求ムル申立ヲ為スコトヲ得 〔昭四一法一一一本条改正〕 【新85条】 第124条〔不服申立〕 1. 本節ニ規定スル裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 【新86条】

第4章 訴訟手続

第1節 口頭弁論

第125条〔口頭弁論の要否〕 1. 当事者ハ訴訟ニ付裁判所ニ於テ口頭弁論ヲ為スコトヲ要ス但シ決定ヲ以テ完結スヘキ事件 ニ付テハ裁判所口頭弁論ヲ為スヘキカ否ヲ定ム 2. 前項但書ノ規定ニ依リテ口頭弁論ヲ為ササル場合ニ於テハ裁判所ハ当事者ヲ審訊スルコト ヲ得 3. 前二項ノ規定ハ別段ノ規定アル場合ニハ之ヲ適用セス 【新87条】 第126条〔裁判長の訴訟指揮〕 1. 口頭弁論ハ裁判長之ヲ指揮ス 2. 裁判長ハ発言ヲ許シ又ハ其ノ命ニ従ハサル者ニ発言ヲ禁スルコトヲ得 【新148条】 第127条〔釈明権・求問権〕 1. 裁判長ハ訴訟関係ヲ明瞭ナラシムル為事実上及法律上ノ事項ニ関シ当事者ニ対シテ問ヲ発 シ又ハ立証ヲ促スコトヲ得 2. 陪席裁判官ハ裁判長ニ告ケテ前項ニ規定スル処置ヲ為スコトヲ得 3. 当事者ハ裁判長ニ対シ必要ナル発問ヲ求ムルコトヲ得 【新149条1項~3項 変更】 第128条〔釈明の準備命令〕 1. 裁判長ハ前条ノ規定ニ依リテ当事者ヲシテ釈明セシムヘキ事項ヲ指示シ口頭弁論期日前準 備ヲ為スヘキコトヲ命スルコトヲ得 【削除】 第129条〔当事者の異議〕 1. 当事者カ弁論ノ指揮ニ関スル裁判長ノ命又ハ第百二十七条〔釈明権・求問権〕若ハ前条 〔釈明の準備命令〕ノ規定ニ依ル裁判長若ハ陪席裁判官ノ処置ニ対シ異議ヲ述ヘタルトキ ハ裁判所決定ヲ以テ其ノ異議ニ付裁判ヲ為ス 【新150条】 第130条〔受命裁判官の指定、嘱託〕 1. 受命裁判官ヲシテ其ノ職務ヲ行ハシムヘキ場合ニ於テハ裁判長其ノ裁判官ヲ指定ス 2. 裁判所ノ為ス嘱託ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外裁判長之ヲ為ス 【規則】 第131条〔裁判所の釈明処分〕 1. 裁判所ハ訴訟関係ヲ明瞭ナラシムル為左ノ処分ヲ為スコトヲ得 一 当事者本人又ハ其ノ法定代理人ノ出頭ヲ命スルコト 二 訴訟書類又ハ訴訟ニ於テ引用シタル文書其ノ他ノ物件ニシテ当事者ノ所持スルモノヲ 提出セシムルコト 三 当事者又ハ第三者ノ提出シタル文書其ノ他ノ物件ヲ裁判所ニ留置クコト 四 検証ヲ為シ又ハ鑑定ヲ命スルコト 五 必要ナル調査ヲ嘱託スルコト 2. 前項ニ規定スル検証、鑑定及調査ノ嘱託ニ付テハ証拠調ニ関スル規定ヲ準用ス 【新151条 変更】 第132条〔弁論の制限・分離・併合〕 1. 裁判所ハ口頭弁論ノ制限、分離若ハ併合ヲ命シ又ハ其ノ命ヲ取消スコトヲ得 【新152条1項】 第133条〔弁論の再開〕 1. 裁判所ハ終結シタル口頭弁論ノ再開ヲ命スルコトヲ得 【新153条】 第134条〔通事の立会〕 1. 弁論ニ与ル者カ日本語ニ通セサルトキ又ハ聾若ハナルトキハ通事ヲ立会ハシム但シ聾者又 ハ者ニハ文字ヲ以テ問ヒ又ハ陳述ヲ為サシムルコトヲ得 2. 鑑定人ニ関スル規定ハ通事ニ之ヲ準用ス 【新154条】 第135条〔弁論能力を欠く者に対する処置〕 1. 裁判所ハ訴訟関係ヲ明瞭ナラシムル為必要ナル陳述ヲ為スコト能ハサル当事者、代理人又 ハ輔佐人ノ陳述ヲ禁シ弁論続行ノ為新期日ヲ定ムルコトヲ得 2. 前項ノ規定ニ依リテ陳述ヲ禁シタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ裁判所ハ弁護士ノ 附添ヲ命スルコトヲ得 3. 訴訟代理人ノ陳述ヲ禁シ又ハ弁護士ノ附添ヲ命シタルトキハ本人ニ其ノ旨ヲ通知スルコト ヲ要ス 【新155条1項、2項、規則】 第136条〔和解の試み〕 1. 裁判所ハ訴訟ノ如何ナル程度ニ在ルヲ問ハス和解ヲ試ミ又ハ受命裁判官若ハ受託裁判官ヲ シテ之ヲ試ミシムルコトヲ得 2. 裁判所又ハ受命裁判官若ハ受託裁判官ハ和解ノ為当事者本人又ハ其ノ法定代理人ノ出頭ヲ 命スルコトヲ得 【新89条、規則】 第137条〔攻撃防禦方法の提出時期〕 1. 攻撃又ハ防禦ノ方法ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外口頭弁論ノ終結ニ至ル迄之ヲ提出ス ルコトヲ得 【新156条 変更】 第138条〔当事者一方の不出頭〕 1. 原告又ハ被告カ最初ニ為スヘキ口頭弁論ノ期日ニ出頭セス又ハ出頭スルモ本案ノ弁論ヲ為 ササルトキハ其ノ者ノ提出シタル訴状、答弁書其ノ他ノ準備書面ニ記載シタル事項ハ之ヲ 陳述シタルモノト看做シ出頭シタル相手方ニ弁論ヲ命スルコトヲ得 【新158条】 第139条〔時機に遅れた攻撃防禦方法の却下〕 1. 当事者カ故意又ハ重大ナル過失ニ因リ時機ニ後レテ提出シタル攻撃又ハ防禦ノ方法ハ之カ 為訴訟ノ完結ヲ遅延セシムヘキモノト認メタルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ 却下ノ決定ヲ為スコトヲ得 2. 攻撃又ハ防禦ノ方法ニシテ其ノ趣旨明瞭ナラサルモノニ付当事者カ必要ナル釈明ヲ為サス 又ハ釈明ヲ為スヘキ期日ニ出頭セサルトキ亦前項ニ同シ 【新157条】 第140条〔擬制自白〕 1. 当事者カ口頭弁論ニ於テ相手方ノ主張シタル事実ヲ明ニ争ハサルトキハ其ノ事実ヲ自白シ タルモノト看做ス但シ弁論ノ全趣旨ニ依リ其ノ事実ヲ争ヒタルモノト認ムヘキ場合ハ此ノ 限ニ在ラス 2. 相手方ノ主張シタル事実ヲ知ラサル旨ノ陳述ヲ為シタル者ハ其ノ事実ヲ争ヒタルモノト推 定ス 3. 第一項ノ規定ハ当事者カ口頭弁論ノ期日ニ出頭セサル場合ニ之ヲ準用ス但シ口頭弁論期日 ニ出頭セサル当事者カ公示送達ニ依ル呼出ヲ受ケタルモノナルトキハ此ノ限ニ在ラス 〔昭二三法一四九第三項追加〕 【新159条】 第141条〔責問権の喪失〕 1. 当事者カ訴訟手続ニ関スル規定ノ違背ヲ知リ又ハ之ヲ知ルコトヲ得ヘカリシ場合ニ於テ遅 滞ナク異議ヲ述ヘサルトキハ之ヲ述フル権利ヲ失フ但シ棄スルコトヲ得サルモノハ此ノ限 ニ在ラス 【新90条】 第142条〔口頭弁論調書の作成〕 1. 口頭弁論ニ付テハ裁判所書記官期日毎ニ調書ヲ作ルコトヲ要ス 【新160条1項】 第143条〔形式的記載事項〕 1. 調書ニハ左ノ事項ヲ記載シ裁判所書記官之ニ署名捺印シ尚裁判長之ニ捺印スルコトヲ要ス 但シ裁判所書記官ハ署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得 一 事件ノ表示 二 裁判官及裁判所書記官ノ氏名 三 立会ヒタル検察官ノ氏名 四 出頭シタル当事者、代理人、輔佐人及通事並闕席シタル当事者ノ氏名 五 弁論ノ場所及年月日 六 弁論ヲ公開シタルコト又ハ公開セサル場合ニ於テハ其ノ理由 2. 裁判長支障アルトキハ陪席裁判官之ニ代リテ捺印シ且其ノ事由ヲ記載スルコトヲ要ス但シ 裁判官皆支障アルトキハ裁判所書記官其ノ旨ヲ記載スルヲ以テ足ル 〔昭四六法一〇〇第一項改正・二項追加〕 【規則】 第144条〔実質的記載事項〕 1. 調書ニハ弁論ノ要領ヲ記載シ殊ニ左ノ事項ヲ明確ニスルコトヲ要ス但シ訴訟ガ裁判ニ因ラ ズシテ完結シタル場合ニ於テハ当事者ガ訴訟ノ完結シタルコトヲ知リタル日ヨリ一週間ヲ 経過スル迄ニ其ノ記載ヲ為スベキ旨ノ申出ヲ為シタル場合ヲ除クノ外裁判長ノ許可ヲ得テ 証人及鑑定人ノ陳述並検証ノ結果ノ記載ヲ省略スルコトヲ得 一 和解、認諾、抛棄、取下及自白 二 証人、鑑定人ノ宣誓及陳述 三 検証ノ結果 四 裁判長ノ記載ヲ命シタル事項及当事者ノ請求ニ因リ記載ヲ許シタル事項 五 書面ニ作ラサル裁判 六 裁判ノ言渡 〔昭五七法八三本条改正〕 【規則】 第145条〔書面等の引用添附〕 1. 調書ニハ書面、写真其ノ他裁判所ニ於テ適当ト認ムルモノヲ引用シ訴訟記録ニ添附シテ之 ヲ調書ノ一部ト為スコトヲ得 【規則】 第146条〔読聞かせ・閲覧〕 1. 調書ノ記載ハ申立ニ因リ法廷ニ於テ関係人ニ之ヲ読聞カセ又ハ閲覧セシメ且調書ニ其ノ旨 ヲ記載スルコトヲ要ス 2. 調書ノ記載ニ付関係人カ異議ヲ述ヘタルトキハ調書ニ其ノ趣旨ヲ記載スルコトヲ要ス 【2項のみ新160条2項】 第147条〔調書の証明力〕 1. 口頭弁論ノ方式ニ関スル規定ノ遵守ハ調書ニ依リテノミ之ヲ証スルコトヲ得但シ調書カ滅 失シタルトキハ此ノ限ニ在ラス 【新160条3項】 第148条〔弁論の速記〕 1. 裁判所必要アリト認ムルトキハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ速記者ヲシテ口頭弁論ニ於ケル 陳述ノ全部又ハ一部ヲ筆記セシムルコトヲ得 【規則】 第149条〔他の調書への準用〕 1. 第百四十二条乃至前条〔口頭弁論調書の作成、記載事項、書面等の引用添附、読聞か せ・閲覧、証明力、速記〕ノ規定ハ裁判所ノ審訊、受命裁判官又ハ受託裁判官ノ審問及証 拠調ニ之ヲ準用ス 【規則】 第150条〔申述の方式〕 1. 申立其ノ他ノ申述ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外書面又ハ口頭ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得 2. 口頭ヲ以テ申述ヲ為スニハ裁判所書記官ノ面前ニ於テ陳述ヲ為スコトヲ要ス 3. 前項ノ場合ニ於テハ裁判所書記官調書ヲ作リ之ニ署名捺印スルコトヲ要ス但シ署名捺印ニ 代ヘテ記名捺印スルコトヲ得 〔昭四六法一〇〇第三項改正〕 【規則】 第151条〔訴訟記録の閲覧・証明書の交付請求〕 1. 何人モ訴訟記録ノ閲覧ヲ裁判所書記官ニ請求スルコトヲ得但シ訴訟記録ノ保存又ハ裁判所 ノ執務ニ支障アルトキハ此ノ限ニ在ラス 2. 公開ヲ禁止シタル口頭弁論ニ係ル訴訟記録ニ付テハ当事者及利害関係ヲ疏明シタル第三者 ニ限リ前項ノ規定ニ依ル請求ヲ為スコトヲ得 3. 当事者ハ訴訟記録ノ謄写又ハ其ノ正本、謄本、抄本若ハ訴訟ニ関スル事項ノ証明書ノ交付 ヲ裁判所書記官ニ請求スルコトヲ得利害関係ヲ疏明シタル第三者亦同シ 4. 訴訟記録ノ正本、謄本又ハ抄本ニハ其ノ正本、謄本又ハ抄本ナルコトヲ記載シ裁判所書記 官之ニ署名捺印シ且裁判所ノ印ヲ押捺スルコトヲ要ス但シ署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スル コトヲ得 〔昭四六法一〇〇第四項改正〕 【新91条 変更、規則】

第2節 期日及期間

第152条〔期日の指定・変更〕 1. 期日ハ裁判長之ヲ定ム 2. 受命裁判官又ハ受託裁判官ノ審問ノ期日ハ其ノ裁判官之ヲ定ム 3. 期日ノ指定ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ之ヲ為ス 4. 準備手続ヲ経タル口頭弁論ノ期日ノ変更ハ已ムコトヲ得サル事由ノ存スル場合ニ非サレハ 之ヲ許スコトヲ得ス 5. 準備手続ヲ経サル口頭弁論ニ於ケル最初ノ期日ノ変更ハ顕著ナル事由ノ存セサルトキト雖 当事者ノ合意アル場合ニ於テハ之ヲ許ス準備手続ニ於ケル最初ノ期日ノ変更亦同シ 〔昭二五法二八八第四項追加・五項改正〕 【新93条1項、3項、4項、規則】 第153条〔一般の休日〕 1. 期日ハ已ムコトヲ得サル場合ニ限リ日曜日其ノ他ノ一般ノ休日ニ之ヲ定ムルコトヲ得 【新93条2項】 第154条〔呼出の方式〕 1. 期日ニ於ケル呼出ハ呼出状ヲ送達シテ之ヲ為ス但シ当該事件ニ付出頭シタル者ニ対シテハ 期日ヲ告知スルヲ以テ足ル 2. 前項ノ呼出ハ最初ノ期日ノ呼出ヲ除クノ外同項ニ定ムル方法以外ノ相当ト認ムル方法ニ依 リテ之ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ期日ニ出頭セザル当事者、証人又ハ鑑定人ニ対シ 法律上ノ制裁其ノ他期日ノ懈怠ニ因ル不利益ヲ帰スルコトヲ得ズ 〔昭五七法八三第二項追加〕 【新94条 変更】 第155条〔期日の開始〕 1. 期日ハ事件ノ呼上ヲ以テ之ヲ開始ス 【規則】 第156条〔期間の計算〕 1. 期間ノ計算ハ民法ニ従フ 2. 期間ノ末日カ日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八 号)ニ規定スル休日、一月二日、一月三日又ハ十二月二十九日乃至十二月三十一日ニ当ル トキハ期間ハ其ノ翌日ヲ以テ満了ス 〔昭六三法九三・平四法三〇第二項改正〕 【新95条1項、3項】 第157条〔期間の始期〕 1. 期間ヲ定ムル裁判ニ於テ始期ヲ定メサルトキハ其ノ期間ハ裁判カ効力ヲ生シタル時ヨリ進 行ヲ始ム 【新95条2項】 第158条〔期間の伸縮、附加期間〕 1. 裁判所ハ法定期間又ハ其ノ定メタル期間ヲ伸長シ又ハ之ヲ短縮スルコトヲ得但シ不変期間 ハ此ノ限ニ在ラス 2. 不変期間ニ付テハ裁判所ハ遠隔ノ地ニ住所又ハ居所ヲ有スル者ノ為附加期間ヲ定ムルコト ヲ得 3. 裁判長、受命裁判官又ハ受託裁判官ハ其ノ定メタル期間ヲ伸長シ又ハ之ヲ短縮スルコトヲ 得 【新96条、規則】 第159条〔不変期間と追完〕 1. 当事者カ其ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因リ不変期間ヲ遵守スルコト能ハサリシ場合ニ於 テハ其ノ事由ノ止ミタル後一週間内ニ限リ懈怠シタル訴訟行為ノ追完ヲ為スコトヲ得外国 ニ在ル当事者ニ付テハ此ノ期間ハ之ヲ二月トス 2. 前項ノ期間ニ付テハ前条ノ規定ヲ適用セズ 〔昭四五法一一五第一項改正・二項追加〕 【新97条】

第3節 送達

第160条〔職権送達の原則〕 1. 送達ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外職権ヲ以テ之ヲ為ス 【新98条1項】 第161条〔送達事務取扱者〕 1. 送達ニ関スル事務ハ裁判所書記官之ヲ取扱フ 2. 前項ノ事務ノ取扱ハ送達地ノ地方裁判所ノ裁判所書記官ニ之ヲ嘱託スルコトヲ得 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新98条2項、規則】 第162条〔送達実施機関〕 1. 送達ハ執行官又ハ郵便ニ依リ之ヲ為ス 2. 郵便ニ依ル送達ニ在リテハ郵便ノ業務ニ従事スル者ヲ以テ送達ヲ為ス吏員トス 〔昭五七法八三第二項改正〕 【新99条】 第163条〔裁判所書記官による送達〕 1. 当該事件ニ付出頭シタル者ニ対シテハ裁判所書記官自ラ送達ヲ為スコトヲ得 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新100条 変更】 第164条〔交付送達の原則〕 1. 送達ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外送達ヲ受クヘキ者ニ送達スヘキ書類ノ謄本ヲ交付シ テ之ヲ為ス 2. 送達スヘキ書類ノ提出ニ代ヘ調書ヲ作リタルトキハ其ノ調書ノ謄本又ハ抄本ヲ交付シテ送 達ヲ為ス 【新101条、規則】 第165条〔無能力者への送達〕 1. 訴訟無能力者ニ対スル送達ハ其ノ法定代理人ニ之ヲ為ス 【新102条1項】 第166条〔共同代理人への送達〕 1. 数人カ共同シテ代理権ヲ行フヘキ場合ニ於テハ送達ハ其ノ一人ニ之ヲ為スヲ以テ足ル 【新102条2項】 第167条〔軍事用庁舎・艦船に属する者に対する送達〕 削除〔昭二三法一四九〕 第168条〔在監者への送達〕 1. 在監者ニ対スル送達ハ監獄ノ長ニ之ヲ為ス 【新102条3項】 第169条〔送達場所、出会送達〕 1. 送達ハ之ヲ受クヘキ者ノ住所、居所、営業所又ハ事務所ニ於テ之ヲ為ス但シ法定代理人ニ 対スル送達ハ本人ノ営業所又ハ事務所ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得 2. 前項ニ定ムル場所ガ知レザルトキ又ハ其ノ場所ニ於テ送達ヲ為スニ付支障アルトキハ送達 ハ送達ヲ受クベキ者ガ雇用、委任其ノ他ノ法律上ノ行為ニ基キ就業スル他人ノ住所、居 所、営業所又ハ事務所ニ於テ之ヲ為スコトヲ得送達ヲ受クベキ者ガ其ノ就業スル場所ニ於 テ送達ヲ受クベキ旨ノ申述ヲ為シタルトキ亦同ジ 3. 送達ヲ受クヘキ者カ日本ニ住所、居所、営業所又ハ事務所ヲ有スルコト明ナラサルトキハ 送達ハ其ノ者ニ出会ヒタル場所ニ於テ之ヲ為スコトヲ得住所、居所、営業所又ハ事務所ヲ 有スル者カ送達ヲ受クルコトヲ拒マサルトキ亦同シ 〔昭五七法八三第二項追加〕 【新103条、新105条】 第170条〔送達受取人の届出〕 1. 当事者、法定代理人又ハ訴訟代理人ハ受訴裁判所ノ所在地ニ住所、居所、営業所又ハ事務 所ヲ有セサルトキハ其ノ裁判所ノ所在地ニ於テ送達ヲ受クヘキ場所及送達受取人ヲ定メ之 ヲ届出ツルコトヲ要ス 2. 送達ヲ受クヘキ者カ前項ノ届出ヲ為ササルトキハ其ノ者ニ対シテ送達スヘキ書類ハ前条第 一項ノ規定ニ依リ送達スヘキ場所ニ宛テ書留郵便ニ付シテ之ヲ発送スルコトヲ得 3. 第一項ノ届出ハ送達ヲ受クヘキ者カ受訴裁判所ノ所在地ニ住所、居所、営業所又ハ事務所 ヲ有スル場合ニ於テモ亦之ヲ為スコトヲ得 【新104条 変更】 第171条〔補充送達・差置送達〕 1. 第百六十九条第二項ニ定ムル場所以外ノ送達ヲ為スヘキ場所ニ於テ送達ヲ受クヘキ者ニ出 会ハサルトキハ事務員、雇人又ハ同居者ニシテ事理ヲ弁識スルニ足ルヘキ知能ヲ具フル者 ニ書類ヲ交付スルコトヲ得郵便ノ業務ニ従事スル者郵便局ニ於テ書類ヲ交付スベキトキ亦 同ジ 2. 第百六十九条第二項ニ定ムル場所ニ於テ送達ヲ受クベキ者ニ出会ハザル場合ニ於テ同項ノ 他人又ハ其ノ法定代理人、事務員若ハ雇人ニシテ事理ヲ弁識スルニ足ルベキ知能ヲ具フル 者ガ書類ノ交付ヲ受クルコトヲ拒マザルトキハ此等ノ者ニ書類ヲ交付スルコトヲ得 3. 送達ヲ受クベキ者又ハ第一項前段ノ規定ニ依リ書類ノ交付ヲ受クヘキ者カ正当ノ事由ナク シテ之ヲ受クルコトヲ拒ミタルトキハ送達ヲ為スヘキ場所ニ書類ヲ差置クコトヲ得 4. 第二項ノ規定ニ依ル送達アリタルトキハ裁判所書記官其ノ旨ヲ送達ヲ受ケタル者ニ通知ス ルコトヲ要ス 〔昭五七法八三第一項改正・二項追加・三項(旧二項)改正・四項追加〕 【新106条 変更、規則】 第172条〔郵便に付する送達〕 1. 前条ノ規定ニ依リテ送達ヲ為スコト能ハサル場合ニ於テハ裁判所書記官第百六十九条第一 項ニ定ムル場所ニ宛テ書類ヲ書留郵便ニ付シテ之ヲ発送スルコトヲ得 〔昭五七法八三本条改正〕 【新107条1項 変更】 第173条〔郵便に付する送達の完了時〕 1. 第百七十条第二項又ハ前条ノ規定ニ依リテ書類ヲ郵便ニ付シテ発送シタル場合ニ於テハ其 ノ発送ノ時ニ於テ送達アリタルモノト看做ス 【新107条3項】 第174条〔休日・夜間にする送達〕 削除〔昭四一法一一一〕 第175条〔外国における送達〕 1. 外国ニ於テ為スヘキ送達ハ裁判長其ノ国ノ管轄官庁又ハ其ノ国ニ駐在スル日本ノ大使、公 使若ハ領事ニ嘱託シテ之ヲ為ス 【新108条】 第176条〔在外軍隊所属者に対する送達〕 削除〔昭二三法一四九〕 第177条〔送達証書〕 1. 送達ヲ為シタル吏員ハ書面ヲ作リ送達ニ関スル事項ヲ記載シ之ヲ裁判所ニ提出スルコトヲ 要ス 【新109条】 第178条〔公示送達の要件〕 1. 当事者ノ住所、居所其ノ他送達ヲ為スヘキ場所カ知レサル場合若ハ第百七十二条ノ規定ニ 依リテ送達ヲ為スコト能ハザル場合又ハ外国ニ於テ為スヘキ送達ニ付第百七十五条 〔外 国における送達〕ノ規定ニ依ルコト能ハス若ハ之ニ依ルモ其ノ効ナシト認ムヘキ場合ニ於 テハ申立ニ因リ裁判長ノ許可ヲ得テ公示送達ヲ為スコトヲ得同条ノ規定ニ依リ外国ノ管轄 官庁ニ嘱託ヲ発シタル後六月ヲ経過スルモ其ノ送達ヲ証スル書面ノ送付ナキ場合亦同ジ 2. 前項ノ場合ニ於テ裁判所ハ訴訟ノ遅滞ヲ避クル為必要アリト認ムルトキハ申立ナキトキト 雖公示送達ヲ為スヘキコトヲ命スルコトヲ得 3. 同一ノ当事者ニ対スル爾後ノ公示送達ハ職権ヲ以テ之ヲ為ス但シ第一項後段ノ場合ニ於テ ハ此ノ限ニ在ラズ 〔昭五七法八三第一項改正〕 【新110条 変更】 第179条〔公示送達の方法〕 1. 公示送達ハ裁判所書記官送達スヘキ書類ヲ保管シ何時ニテモ送達ヲ受クヘキ者ニ交付スヘ キ旨ヲ裁判所ノ掲示場ニ掲示シテ之ヲ為ス但シ呼出状ノ送達ハ呼出状ヲ掲示場ニ貼附シテ 之ヲ為ス 2. 裁判所ハ公示送達アリタルコトヲ官報又ハ新聞紙ニ掲載スヘキコトヲ命スルコトヲ得但シ 外国ニ於テ為スヘキ送達ニ付テハ公示送達アリタルコトヲ郵便ニ付シテ通知スルコトヲ得 〔昭三九法一三五第一項改正〕 【新111条、規則】 第180条〔公示送達の効力発生の時期〕 1. 公示送達ハ前条第一項ノ規定ニ依ル掲示ヲ始メ又ハ貼附ヲ為シタル日ヨリ二週間ヲ経過ス ルニ因リテ其ノ効力ヲ生ス但シ第百七十八条第三項〔同一当事者に対する爾後の公示送 達〕ノ公示送達ハ掲示ヲ始メ又ハ貼附ヲ為シタル日ノ翌日ニ於テ其ノ効力ヲ生ス 2. 外国ニ於テ為スヘキ送達ニ付為シタル公示送達ニ在リテハ前項ノ期間ハ之ヲ六週間トス 3. 前二項ノ期間ハ之ヲ短縮スルコトヲ得ス 〔昭二三法一四九第二項追加・三項改正〕 【新112条】 第181条〔受命裁判官等の送達権限〕 1. 送達ニ関スル裁判長ノ権限ハ受命裁判官、受託裁判官及送達地ノ地方裁判所ノ裁判官亦之 ヲ有ス 【規則参照】

第4節 裁判

第182条〔終局判決〕 1. 訴訟カ裁判ヲ為スニ熟スルトキハ裁判所ハ終局判決ヲ為ス 【新243条1項】 第183条〔一部判決〕 1. 訴訟ノ一部カ裁判ヲ為スニ熟スルトキハ裁判所ハ其ノ一部ニ付終局判決ヲ為スコトヲ得 2. 前項ノ規定ハ口頭弁論ノ併合ヲ命シタル数個ノ訴訟中其ノ一カ裁判ヲ為スニ熟スル場合及 本訴又ハ反訴カ裁判ヲ為スニ熟スル場合ニ之ヲ準用ス 【新243条2項、3項】 第184条〔中間判決〕 1. 独立シタル攻撃又ハ防禦ノ方法其ノ他中間ノ争ニ付裁判ヲ為スニ熟スルトキハ裁判所ハ中 間判決ヲ為スコトヲ得請求ノ原因及数額ニ付争アル場合ニ於テ其ノ原因ニ付亦同シ 【新245条】 第185条〔自由心証主義〕 1. 裁判所ハ判決ヲ為スニ当リ其ノ為シタル口頭弁論ノ全趣旨及証拠調ノ結果ヲ斟酌シ自由ナ ル心証ニ依リ事実上ノ主張ヲ真実ト認ムヘキカ否ヲ判断ス 【新247条】 第186条〔判決事項〕 1. 裁判所ハ当事者ノ申立テサル事項ニ付判決ヲ為スコトヲ得ス 【新246条】 第187条〔直接主義〕 1. 判決ハ其ノ基本タル口頭弁論ニ関与シタル裁判官之ヲ為ス 2. 裁判官ノ更迭アル場合ニ於テハ当事者ハ従前ノ口頭弁論ノ結果ヲ陳述スルコトヲ要ス 3. 単独ノ裁判官ノ更迭アリタル場合ニ於テ従前訊問ヲ為シタル証人ニ付当事者カ更ニ訊問ノ 申出ヲ為シタルトキハ裁判所ハ其ノ訊問ヲ為スコトヲ要ス合議体ノ裁判官ノ過半数カ更迭 シタル場合ニ於テ従前訊問ヲ為シタル証人ニ付当事者カ更ニ訊問ノ申出ヲ為シタルトキ亦 同シ 〔昭二三法一四九第三項追加〕 【新249条】 第188条〔判決の発効〕 1. 判決ハ言渡ニ因リテ其ノ効力ヲ生ス 【新250条】 第189条〔言渡の方式〕 1. 判決ノ言渡ハ判決原本ニ基キ裁判長主文ヲ朗読シテ之ヲ為ス 2. 裁判長ハ相当ト認ムルトキハ判決ノ理由ヲ朗読シ又ハ口頭ヲ以テ其ノ要領ヲ告クルコトヲ 得 【新252条、規則】 第190条〔言渡期日〕 1. 判決ノ言渡ハ口頭弁論終結ノ日ヨリ二週間内ニ之ヲ為ス但シ事件繁雑ナルトキ其ノ他特別 ノ事情アルトキハ此ノ限ニ在ラス 2. 判決ノ言渡ハ当事者カ在廷セサル場合ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得 【新251条 変更】 第191条〔判決書〕 1. 判決ニハ左ノ事項ヲ記載シ判決ヲ為シタル裁判官之ニ署名捺印スルコトヲ要ス 一 主文 二 事実及争点 三 理由 四 当事者及法定代理人 五 裁判所 2. 事実及争点ノ記載ハ口頭弁論ニ於ケル当事者ノ陳述ニ基キ要領ヲ摘示シテ之ヲ為スコトヲ 要ス但シ証拠ニ関スル事項ニ付テハ訴訟記録中ノ調書ノ記載ヲ引用スルコトヲ得 3. 裁判官判決ニ署名捺印スルニ支障アルトキハ他ノ裁判官判決ニ其ノ事由ヲ記載シテ署名捺 印スルコトヲ要ス 〔昭五七法八三第二項改正〕 【新253条 変更、規則】 第192条〔裁判所書記官への交付〕 1. 判決ハ言渡後遅滞ナク之ヲ裁判所書記官ニ交付シ裁判所書記官ハ言渡及交付ノ日ヲ附記シ 之ニ捺印スルコトヲ要ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【規則】 第193条〔判決の送達〕 1. 判決ハ交付ヲ受ケタル日ヨリ二週間内ニ之ヲ当事者ニ送達スルコトヲ要ス 2. 判決ノ送達ハ正本ヲ以テ之ヲ為ス 【新255条、規則】 第193条ノ2〔判決の変更〕 1. 判決カ法令ニ違背シタルコトヲ発見シタルトキハ裁判所ハ其ノ言渡後一週間内ニ限リ変更 ノ判決ヲ為スコトヲ得但シ判決確定シタルトキ又ハ判決ヲ変更スル為事件ニ付尚弁論ヲ為 ス必要アルトキハ此ノ限ニ在ラス 2. 変更ノ判決ハ口頭弁論ヲ経スシテ之ヲ為ス 3. 前項ノ判決ノ言渡期日ノ呼出ニ於テハ公示送達ニ依ル場合ヲ除クノ外呼出状ヲ送達ヲ受ク ヘキ者ノ住所、居所其ノ他送達ヲ為スヘキ場所ニ宛テ発シタル時ニ於テ其ノ送達アリタル モノト看做ス 〔昭二三法一四九本条追加〕 【新256条】 第194条〔判決の更正〕 1. 判決ニ違算、書損其ノ他之ニ類スル明白ナル誤謬アルトキハ裁判所ハ何時ニテモ申立ニ因 リ又ハ職権ヲ以テ更正決定ヲ為スコトヲ得 2. 更正決定ハ判決ノ原本及正本ニ之ヲ附記スルコトヲ要ス但シ正本ニ附記スルコト能ハサル トキハ決定ノ正本ヲ作リ之ヲ当事者ニ送達スルコトヲ要ス 3. 更正決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得但シ判決ニ対シ適法ノ控訴アリタルトキハ此 ノ限ニ在ラス 【新257条、規則】 第195条〔裁判の脱漏〕 1. 裁判所カ請求ノ一部ニ付裁判ヲ脱漏シタルトキハ訴訟ハ其ノ請求ノ部分ニ付仍裁判所ニ繋 属ス 2. 訴訟費用ノ裁判ヲ脱漏シタル場合ニ於テハ裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ其ノ訴訟費 用ニ付裁判ヲ為ス此ノ場合ニ於テハ第百四条 〔訴訟が裁判によらずに完結した場合の費 用額の確定〕ノ規定ヲ準用ス 3. 前項ノ規定ニ依ル訴訟費用ノ裁判ハ本案判決ニ対シ適法ノ控訴アリタルトキハ其ノ効力ヲ 失フ此ノ場合ニ於テハ控訴裁判所ハ訴訟ノ総費用ニ付裁判ヲ為ス 【新258条 変更、規則も参照】 第196条〔仮執行の宣言〕 1. 財産権上ノ請求ニ関スル判決ニ付テハ裁判所ハ必要アリト認ムルトキハ申立ニ因リ又ハ職 権ヲ以テ担保ヲ供シ又ハ供セスシテ仮執行ヲ為スコトヲ得ヘキコトヲ宣言スルコトヲ得 2. 手形又ハ小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及之ニ附帯スル法定利率ニ依ル損害賠償ノ請求ニ 関スル判決ニ付テハ裁判所ハ職権ヲ以テ担保ヲ供セズシテ仮執行ヲ為スコトヲ得ベキコト ヲ宣言スルコトヲ要ス但シ裁判所相当ト認ムルトキハ仮執行ヲ担保ノ提供ニ繋ラシムルコ トヲ得 3. 裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ担保ヲ供シテ仮執行ヲ免ルルコトヲ得ヘキコトヲ宣言 スルコトヲ得 4. 前三項ノ宣言ハ判決主文ニ之ヲ掲クルコトヲ要ス 〔昭三九法一三五第二項追加・四項改正〕 【新259条1項~4項】 第196条ノ2〔仮執行宣言の補充〕 1. 仮執行ノ宣言ノ申立ニ付裁判ヲ為サザリシトキ又ハ職権ヲ以テ仮執行ノ宣言ヲ為スベキ場 合ニ於テ之ヲ為サザリシトキハ裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ補充ノ決定ヲ為ス前条 第三項ノ申立ニ付裁判ヲ為サザリシトキ亦同ジ 2. 第百九十四条第二項〔更正決定の方式〕ノ規定ハ前項ノ決定ニ之ヲ準用ス 〔昭三九法一三五本条追加〕 【新259条5項】 第197条〔訴訟費用の担保の規定の準用〕 1. 第百十二条〔担保提供の方法〕、第百十三条〔担保物に対する被告の権利〕、第百十五 条 〔担保取消決定〕及第百十六条 〔担保物の変換〕ノ規定ハ第百九十六条ノ担保ニ之ヲ 準用ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新259条6項】 第198条〔仮執行宣言の失効・仮執行の原状回復・賠償等〕 1. 仮執行ノ宣言ハ其ノ宣言又ハ本案判決ヲ変更スル判決ノ言渡ニ因リ変更ノ限度ニ於テ其ノ 効力ヲ失フ 2. 本案判決ヲ変更スル場合ニ於テハ裁判所ハ被告ノ申立ニ因リ其ノ判決ニ於テ仮執行ノ宣言 ニ基キ被告カ給付シタルモノノ返還及仮執行ニ因リ又ハ之ヲ免ルル為被告ノ受ケタル損害 ノ賠償ヲ原告ニ命スルコトヲ要ス 3. 仮執行ノ宣言ノミヲ変更シタルトキハ後ニ本案判決ヲ変更スル判決ニ付前項ノ規定ヲ適用 ス 【新260条】 第199条〔既判力の客観的範囲〕 1. 確定判決ハ主文ニ包含スルモノニ限リ既判力ヲ有ス 2. 相殺ノ為主張シタル請求ノ成立又ハ不成立ノ判断ハ相殺ヲ以テ対抗シタル額ニ付既判力ヲ 有ス 【新114条】 第200条〔外国判決の効力〕 1. 外国裁判所ノ確定判決ハ左ノ条件ヲ具備スル場合ニ限リ其ノ効力ヲ有ス 一 法令又ハ条約ニ於テ外国裁判所ノ裁判権ヲ否認セサルコト 二 敗訴ノ被告カ日本人ナル場合ニ於テ公示送達ニ依ラスシテ訴訟ノ開始ニ必要ナル呼出 若ハ命令ノ送達ヲ受ケタルコト又ハ之ヲ受ケサルモ応訴シタルコト 三 外国裁判所ノ判決カ日本ニ於ケル公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反セサルコト 四 相互ノ保証アルコト 【新118条】 第201条〔既判力の主観的範囲〕 1. 確定判決ハ当事者、口頭弁論終結後ノ承継人又ハ其ノ者ノ為請求ノ目的物ヲ所持スル者ニ 対シテ其ノ効力ヲ有ス 2. 他人ノ為原告又ハ被告ト為リタル者ニ対スル確定判決ハ其ノ他人ニ対シテモ効力ヲ有ス 3. 前二項ノ規定ハ仮執行ノ宣言ニ之ヲ準用ス 【新115条 変更】 第202条〔口頭弁論を経ない訴え却下〕 1. 不適法ナル訴ニシテ其ノ欠缺カ補正スルコト能ハサルモノナル場合ニ於テハ口頭弁論ヲ経 スシテ判決ヲ以テ之ヲ却下スルコトヲ得 〔昭二九法一二七第二項削除〕 【新140条】 第203条〔和解・放棄・認諾調書の効力〕 1. 和解又ハ請求ノ棄若ハ認諾ヲ調書ニ記載シタルトキハ其ノ記載ハ確定判決ト同一ノ効力ヲ 有ス 【新267条】 第204条〔決定・命令の告知〕 1. 決定及命令ハ相当ト認ムル方法ヲ以テ之ヲ告知スルニ因リテ其ノ効力ヲ生ス 2. 裁判所書記官ハ告知ノ方法、場所及年月日ヲ裁判ノ原本ニ附記シ之ニ捺印スルコトヲ要ス 〔昭三九法一三五第二項改正〕 【新119条、規則】 第205条〔訴訟指揮の裁判の取消〕 1. 訴訟ノ指揮ニ関スル決定及命令ハ何時ニテモ之ヲ取消スコトヲ得 【新120条】 第206条〔裁判所書記官の処分に対する異議〕 1. 裁判所書記官ノ処分ニ対スル異議ニ付テハ其ノ裁判所書記官所属ノ裁判所決定ヲ以テ裁判 ヲ為ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新121条】 第207条〔判決の規定の準用〕 1. 決定及命令ニハ其ノ性質ニ反セサル限リ判決ニ関スル規定ヲ準用ス但シ署名捺印ニ代ヘテ 記名捺印スルコトヲ得 〔昭四六法一〇〇本条改正〕 【新122条】 第207条ノ2〔判事補の権限〕 1. 判決以外ノ裁判ハ判事補単独ニテ之ヲ為スコトヲ得 〔昭二三法一四九本条追加〕 【新123条】

第5節 訴訟手続ノ中断及中止

第208条〔当事者死亡による中断〕 1. 当事者カ死亡シタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ相続人、相続財産管理人其 ノ他法令ニ依リ訴訟ヲ続行スヘキ者ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス 2. 相続人ハ相続ノ棄ヲ為スコトヲ得ル間ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ得ス 【新124条1項1号、3項】 第209条〔法人合併による中断〕 1. 当事者タル法人カ合併ニ因リテ消滅シタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ合併 ニ因リテ設立シタル法人又ハ合併後存続スル法人ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス 2. 前項ノ規定ハ合併ヲ以テ相手方ニ対抗スルコトヲ得サル場合ニハ之ヲ適用セス 【新124条1項2号、4項】 第210条〔訴訟能力の喪失又は法定代理権の消滅による中断〕 1. 当事者カ訴訟能力ヲ失ヒタルトキ又ハ其ノ法定代理人カ死亡シ若ハ代理権ヲ失ヒタルトキ ハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ法定代理人又ハ訴訟能力ヲ有スルニ至リタル当事者 ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス 【新124条1項3号】 第211条〔受託者の任務終了による中断〕 1. 受託者ノ信託ノ任務終了シタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ新受託者訴訟手 続ヲ受継クコトヲ要ス 【新124条1項4号】 第212条〔資格喪失による中断〕 1. 一定ノ資格ヲ有スル者カ自己ノ名ヲ以テ他人ノ為訴訟ノ当事者タル場合ニ於テ其ノ資格ヲ 喪失シタルトキハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ同一ノ資格ヲ有スル者訴訟手続ヲ受 継クコトヲ要ス当事者ノ死亡ニ因リ訴訟手続カ中断シタル場合亦同シ 2. 第四十七条〔選定当事者〕ノ規定ニ依リテ原告又ハ被告ト為ルヘキ者ヲ選定シタル訴訟 ニ於テ其ノ選定セラレタル当事者ノ全員カ其ノ資格ヲ喪失シタルトキハ訴訟手続ハ中断ス 此ノ場合ニ於テハ選定ヲ為シタル者ノ総員又ハ新ニ原告若ハ被告トシテ選定セラレタル者 ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス 【新124条1項5号、6号】 第213条〔訴訟代理人ある場合の除外〕 1. 第二百八条第一項〔当事者死亡による中断〕、第二百九条第一項〔法人合併による中 断〕及第二百十条乃至前条 〔訴訟能力・法定代理権の消滅による中断、受託者の任務終 了による中断、資格喪失による中断〕ノ規定ハ訴訟代理人アル間ハ之ヲ適用セス 【新124条2項】 第214条〔当事者の破産による中断〕 1. 当事者カ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキハ破産財団ニ関スル訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テ 破産法ニ依ル受継アル迄ニ破産手続ノ解止アリタルトキハ破産者ハ当然訴訟手続ヲ受継ス 【新125条1項】 第215条〔破産手続の解止による中断〕 1. 破産法ニ依リテ破産財団ニ関スル訴訟手続ノ受継アリタル後破産手続ノ解止アリタルトキ ハ訴訟手続ハ中断ス此ノ場合ニ於テハ破産者ハ訴訟手続ヲ受継クコトヲ要ス 【新125条2項】 第216条〔相手方の受継申立権〕 1. 訴訟手続ノ受継ハ相手方ニ於テモ亦之ヲ為スコトヲ得 【新126条】 第217条〔受継申立の通知〕 1. 訴訟手続受継ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ之ヲ相手方ニ通知スルコトヲ要ス 【新127条】 第218条〔受継許否の裁判〕 1. 訴訟手続受継ノ申立ハ裁判所職権ヲ以テ之ヲ調査シ理由ナシト認メタルトキハ決定ヲ以テ 之ヲ却下スルコトヲ要ス 2. 裁判ノ送達後中断シタル訴訟手続ノ受継ニ付テハ其ノ裁判ヲ為シタル裁判所裁判ヲ為スコ トヲ要ス 【新128条】 第219条〔続行命令〕 1. 裁判所ハ当事者カ訴訟手続ノ受継ヲ為ササル場合ニ於テモ職権ヲ以テ其ノ続行ヲ命スルコ トヲ得 【新129条】 第220条〔裁判所の職務執行不能による中止〕 1. 天災其ノ他ノ事故ニ因リテ裁判所カ職務ヲ行フコト能ハサルトキハ訴訟手続ハ其ノ事故ノ 止ム迄中止ス 【新130条】 第221条〔当事者の故障による中止〕 1. 当事者カ不定期間ノ故障ニ因リ訴訟手続ヲ続行スルコト能ハサルトキハ裁判所ハ決定ヲ以 テ其ノ中止ヲ命スルコトヲ得 2. 裁判所ハ前項ノ決定ヲ取消スコトヲ得 【新131条】 第222条〔中断・中止の効果〕 1. 判決ノ言渡ハ訴訟手続ノ中断中ト雖之ヲ為スコトヲ得 2. 訴訟手続ノ中断又ハ中止ハ期間ノ進行ヲ止メ訴訟手続ノ受継ノ通知又ハ続行ノ時ヨリ更ニ 全期間ノ進行ヲ始ム 【新132条】

第2編 第一審ノ訴訟手続

〔大一五法六一本編改正〕

第1章 訴

〔昭二三法一四九章名改正・章節区分改正〕 第223条〔訴え提起の方式〕 1. 訴ノ提起ハ訴状ヲ裁判所ニ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス 【新133条1項】 第224条〔訴状の記載事項〕 1. 訴状ニハ当事者、法定代理人並請求ノ趣旨及原因ヲ記載スルコトヲ要ス 2. 準備書面ニ関スル規定ハ訴状ニ之ヲ準用ス 【新133条2項、規則】 第225条〔証書真否確認の訴え〕 1. 確認ノ訴ハ法律関係ヲ証スル書面ノ真否ヲ確定スル為ニモ之ヲ提起スルコトヲ得 【新134条】 第226条〔将来の給付の訴え〕 1. 将来ノ給付ヲ求ムル訴ハ予メ其ノ請求ヲ為ス必要アル場合ニ限リ之ヲ提起スルコトヲ得 【新135条】 第227条〔訴えの客観的併合〕 1. 数個ノ請求ハ同種ノ訴訟手続ニ依ル場合ニ限リ一ノ訴ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得 【新136条】 第228条〔訴状の審査及補正命令〕 1. 訴状カ第二百二十四条第一項ノ規定ニ違背スル場合ニ於テハ裁判長ハ相当ノ期間ヲ定メ其 ノ期間内ニ欠缺ヲ補正スヘキコトヲ命スルコトヲ要ス法律ノ規定ニ従ヒ訴ノ提起ノ手数料 ヲ納付セザル場合亦同シ 2. 原告カ欠缺ノ補正ヲ為ササルトキハ裁判長ハ命令ヲ以テ訴状ヲ却下スルコトヲ要ス 3. 前項ノ命令ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 4. 抗告状ニハ却下セラレタル訴状ヲ添附スルコトヲ要ス 〔昭四六法四二第一項改正〕 【新137条、規則】 第229条〔訴状の送達〕 1. 訴状ハ之ヲ被告ニ送達スルコトヲ要ス 2. 前条ノ規定ハ訴状ノ送達ヲ為スコト能ハサル場合ニ之ヲ準用ス 【新138条】 第230条〔口頭弁論期日の指定〕 1. 訴ノ提起アリタルトキハ裁判長ハ口頭弁論ノ期日ヲ定メ当事者ヲ呼出スコトヲ要ス 【新139条】 第231条〔二重起訴の禁止〕 1. 裁判所ニ繋属スル事件ニ付テハ当事者ハ更ニ訴ヲ提起スルコトヲ得ス 【新142条】 第232条〔訴えの変更〕 1. 原告ハ請求ノ基礎ニ変更ナキ限リ口頭弁論ノ終結ニ至ル迄請求又ハ請求ノ原因ヲ変更スル コトヲ得但シ之ニ因リ著ク訴訟手続ヲ遅滞セシムヘキ場合ハ此ノ限ニ在ラス 2. 請求ノ変更ハ書面ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 3. 前項ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 【新143条1~3項】 第233条〔訴えの変更の不許〕 1. 裁判所カ請求又ハ請求ノ原因ノ変更ヲ不当ナリト認ムルトキハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ 其ノ変更ヲ許ササル旨ノ決定ヲ為スコトヲ要ス 【新143条4項】 第234条〔中間確認の訴え〕 1. 裁判カ訴訟ノ進行中ニ争ト為リタル法律関係ノ成立又ハ不成立ニ繋ルトキハ当事者ハ請求 ヲ拡張シテ其ノ法律関係ノ確認ノ判決ヲ求ムルコトヲ得但シ其ノ確認ノ請求カ他ノ裁判所 ノ管轄ニ専属セサルトキニ限ル 2. 前項ノ規定ニ依ル請求ノ拡張ハ書面ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 3. 前項ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 【新145条】 第235条〔起訴による時効中断の時期〕 1. 時効ノ中断又ハ法律上ノ期間遵守ノ為必要ナル裁判上ノ請求ハ訴ヲ提起シタル時又ハ第二 百三十二条第二項〔訴の変更の書面〕若ハ前条第二項〔中間確認の訴の書面〕ノ規定ニ依 リ書面ヲ裁判所ニ提出シタル時ニ於テ其ノ効力ヲ生ス 【新147条】 第236条〔訴えの取下〕 1. 訴ハ判決ノ確定ニ至ル迄其ノ全部又ハ一部ヲ取下クルコトヲ得 2. 訴ノ取下ハ相手方カ本案ニ付準備書面ヲ提出シ、準備手続ニ於テ申述ヲ為シ又ハ口頭弁論 ヲ為シタル後ニ在リテハ相手方ノ同意ヲ得ルニ非サレハ其ノ効力ヲ生セス 3. 訴ノ取下ハ書面ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス但シ口頭弁論ニ於テ又ハ準備手続中準備手続 ヲ為ス裁判官ノ面前ニ於テ口頭ヲ以テ之ヲ為スコトヲ妨ケス 4. 訴状送達ノ後ニ在リテハ取下ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 5. 第三項但書ノ場合ニ於テ相手方カ期日ニ出頭セサルトキハ口頭弁論又ハ準備手続ノ調書ノ 謄本ヲ之ニ送達スルコトヲ要ス 6. 訴ノ取下ノ書面ノ送達アリタル日ヨリ三月内ニ相手方カ異議ヲ述ヘサルトキハ訴ノ取下ニ 同意シタルモノト看做ス第三項但書ノ場合ニ於テ相手方カ期日ニ出頭シタル場合ニ於テハ 訴ノ取下アリタル日ヨリ、相手方カ期日ニ出頭セサル場合ニ於テハ前項ノ謄本ノ送達アリ タル日ヨリ三月内ニ相手方カ異議ヲ述ヘサルトキ亦同シ 〔昭一三法一九第一項改正・二項・五項・六項追加、昭二五法二八八第三項改正〕 【新261条 変更】 第237条〔訴え取下の効果〕 1. 訴訟ハ訴ノ取下アリタル部分ニ付テハ初ヨリ繋属ナカリシモノト看做ス 2. 本案ニ付終局判決アリタル後訴ヲ取下ケタル者ハ同一ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ス 【新262条】 第238条〔訴え取下の擬制〕 1. 当事者双方カ口頭弁論ノ期日ニ出頭セス又ハ弁論ヲ為サスシテ退廷シタル場合ニ於テ三月 内ニ期日指定ノ申立ヲ為ササルトキハ訴ノ取下アリタルモノト看做ス 【新263条 変更】 第239条〔反訴〕 1. 被告ハ口頭弁論ノ終結ニ至ル迄本訴ノ繋属スル裁判所ニ反訴ヲ提起スルコトヲ得但シ其ノ 目的タル請求カ他ノ裁判所ノ管轄ニ専属セサルトキ及本訴ノ目的タル請求又ハ防禦ノ方法 ト牽連スルトキニ限ル 【新146条1項変更】 第240条〔反訴の手続〕 1. 反訴ニ付テハ本訴ニ関スル規定ニ依ル 【新146条2項】 第241条〔反訴の取下〕 1. 本訴ノ取下アリタルトキハ被告ハ原告ノ同意ヲ得スシテ反訴ヲ取下クルコトヲ得 【新261条2項但書】

第2章 弁論及其ノ準備

〔昭二三法一四九章名改正・章節区分改正〕 第242条〔弁論の準備〕 1. 口頭弁論ハ書面ヲ以テ之ヲ準備スルコトヲ要ス 【新161条1項】 第243条〔準備書面〕 1. 準備書面ハ之ニ記載シタル事項ニ付相手方カ準備ヲ為スニ必要ナル期間ヲ存シ之ヲ裁判所 ニ提出シ裁判所ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 2. 裁判長ハ準備書面ヲ提出スヘキ期間ヲ定ムルコトヲ得 【新162条 変更】 第244条〔準備書面の記載事項〕 1. 準備書面ニハ左ノ事項ヲ記載シ当事者又ハ代理人之ニ署名捺印スルコトヲ要ス但シ署名捺 印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得 一 当事者ノ氏名、名称又ハ商号、職業及住所 二 代理人ノ氏名、職業及住所 三 事件ノ表示 四 攻撃又ハ防禦ノ方法 五 相手方ノ請求及攻撃又ハ防禦ノ方法ニ対スル陳述 六 附属書類ノ表示 七 年月日 八 裁判所ノ表示 〔昭四六法一〇〇本条改正〕 【新161条2項、変更】 第245条〔準備書面に引用の文書〕 1. 当事者ノ所持スル文書ニシテ準備書面ニ引用シタルモノハ準備書面ノ各通ニ其ノ謄本ヲ添 附スルコトヲ要ス 2. 文書ノ一部ノミヲ必要トスルトキハ其ノ抄本ヲ添附シ文書カ大部ナルトキハ其ノ文書ヲ表 示スルヲ以テ足ル 【規則】 第246条〔原本の閲覧〕 1. 前条ノ文書ハ相手方ノ求ニ因リ其ノ原本ヲ閲覧セシムルコトヲ要ス 【規則】 第247条〔不記載による不利益〕 1. 準備書面ニ記載セサル事実ハ相手方カ在廷セサルトキハ口頭弁論ニ於テ之ヲ主張スルコト ヲ得ス 【新161条3項】 第248条〔訳文の添附〕 1. 外国語ヲ以テ作リタル文書ニハ其ノ訳文ヲ添附スルコトヲ要ス 【規則】 第249条〔準備手続〕 1. 裁判所ハ口頭弁論ノ準備手続ヲ為スコトヲ得 〔昭二五法二八八本条改正〕 【新164条、新168条、新175条参照】 第250条〔準備手続調書〕 1. 準備手続ノ調書ニハ当事者ノ陳述ニ基キ第二百四十四条第四号〔攻撃防禦方法〕及第五号 〔相手方の攻撃防禦方法等に対する陳述〕ニ掲クル事項ヲ記載シ殊ニ証拠ニ付テハ其ノ申 出ヲ明確ニスルコトヲ要ス 2. 準備手続ヲ為ス裁判官相当ト認ムルトキハ準備書面ヲ以テ前項ノ陳述及調書ニ代フルコト ヲ得 〔昭四六法一〇〇第一項改正〕 【規則、および新165条、新170条6項、新176条4項など参照】 第251条〔当事者一方の不出頭〕 1. 当事者ノ一方カ期日ニ出頭セサルトキハ前条ノ調書ノ謄本ヲ之ニ送達シ新期日ヲ定メ当事 者双方ヲ呼出スコトヲ得 【削除、ただし 新166条、新170条6項など参照】 第252条〔準備手続における準備書面〕 1. 準備手続ヲ為ス裁判官ハ当事者ヲシテ準備書面ヲ提出セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ 第二百四十三条 〔準備書面の提出〕ノ規定ヲ準用ス 〔昭二五法二八八本条改正〕 【新170条1項参照】 第253条〔当事者の懈怠による終結〕 1. 当事者カ期日ニ出頭セス又ハ前条ノ規定ニ依リ準備手続ヲ為ス裁判官ノ定メタル期間内ニ 準備書面ヲ提出セサルトキハ準備手続ヲ為ス裁判官ハ準備手続ヲ終結スルコトヲ得 〔昭二五法二八八本条改正〕 【新166条、新170条6項参照】 第254条〔準備手続の結果の陳述〕 1. 当事者ハ口頭弁論ニ於テ準備手続ノ結果ヲ陳述スルコトヲ要ス 【新173条参照】 第255条〔準備手続の効果〕 1. 調書又ハ之ニ代ルヘキ準備書面ニ記載セサル事項ハ口頭弁論ニ於テ之ヲ主張スルコトヲ得 ス但シ其ノ事項カ裁判所職権ヲ以テ調査スヘキモノナルトキ、著ク訴訟ヲ遅滞セシメサル トキ又ハ重大ナル過失ナクシテ準備手続ニ於テ之ヲ提出スルコト能ハサリシコトヲ疏明シ タルトキハ此ノ限ニ在ラス 2. 前項但書ノ規定ハ第二百四十七条〔準備書面不記載の効果〕ノ規定ノ適用ヲ妨ケス 3. 訴状又ハ準備手続前ニ提出シタル準備書面ニ記載シタル事項ハ調書又ハ之ニ代ルヘキ準備 書面ニ記載セサルモノト雖口頭弁論ニ於テ之ヲ主張スルコトヲ妨ケス 【新167条、新174条参照】 第256条〔準用規定〕 1. 第百二十六条乃至第百二十九条〔裁判長の訴訟指揮・釈明・求問・釈明準備命令、当事 者の異議〕、 第百三十一条 〔裁判所の釈明処分〕、 第百三十三条乃至第百四十八条 〔弁 論の再開・通事・能力を欠く者に対する処置、和解の試み、攻撃防禦方法の提出時期、当 事者一方の不出頭、時機に遅れた攻撃防禦方法の却下、擬制自白、責問権の喪失、口頭弁 論調書の作成・記載事項、書面等の引用添附、読聞かせ・閲覧、調書の証明力、弁論の速 記〕及第二百三十八条 〔訴取下の擬制〕ノ規定ハ準備手続ニ之ヲ準用ス 〔昭四六法一〇〇本条改正〕 【新170条6項参照】

第3章 証拠

〔昭二三法一四九章節区分改正〕

第1節 総則

第257条〔自白・顕著な事実〕 1. 裁判所ニ於テ当事者カ自白シタル事実及顕著ナル事実ハ之ヲ証スルコトヲ要セス 【新179条 】 第258条〔証拠申出の方式〕 1. 証拠ノ申出ハ証スヘキ事実ヲ表示シテ之ヲ為スコトヲ要ス 2. 証拠ノ申出ハ期日前ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得 【新180条 】 第259条〔証拠の採否〕 1. 当事者ノ申出テタル証拠ニシテ裁判所ニ於テ不必要ト認ムルモノハ之ヲ取調フルコトヲ要 セス 【新181条1項 】 第260条〔証拠調の障害〕 1. 証拠調ニ付不定期間ノ障碍アルトキハ裁判所ハ証拠調ヲ為ササルコトヲ得 【新181条2項 】 第261条〔職権証拠調〕 削除〔昭二三法一四九〕 第262条〔調査の嘱託〕 1. 裁判所ハ必要ナル調査ヲ官庁若ハ公署、外国ノ官庁若ハ公署又ハ学校、商業会議所、取引 所其ノ他ノ団体ニ嘱託スルコトヲ得 【新186条 】 第263条〔当事者の不出頭〕 1. 証拠調ハ当事者カ期日ニ出頭セサル場合ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得 【新183条 】 第264条〔外国での証拠調〕 1. 外国ニ於テ為スヘキ証拠調ハ其ノ国ノ管轄官庁又ハ其ノ国ニ駐在スル日本ノ大使、公使若 ハ領事ニ之ヲ嘱託シテ為スコトヲ要ス 2. 外国ニ於テ為シタル証拠調ハ其ノ国ノ法律ニ違背スルモ本法ニ違背セサルトキハ其ノ効力 ヲ有ス 【新184条 】 第265条〔裁判所外での証拠調〕 1. 裁判所ハ相当ト認ムルトキハ裁判所外ニ於テ証拠調ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ合議 体ノ構成員ニ命シ又ハ地方裁判所若ハ簡易裁判所ニ嘱託シテ証拠調ヲ為サシムルコトヲ得 2. 受託裁判官カ他ノ地方裁判所又ハ簡易裁判所ニ於テ証拠調ヲ為スコトヲ相当ト認ムルトキ ハ更ニ証拠調ノ嘱託ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ旨ヲ受訴裁判所及当事者ニ通知 スルコトヲ要ス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新185条、規則 】 第266条〔記録の送付〕 1. 受託裁判官ハ証拠調ニ関スル記録ヲ受訴裁判所ニ送付スルコトヲ要ス 【規則】 第267条〔疎明〕 1. 疏明ハ即時ニ取調フルコトヲ得ヘキ証拠ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 2. 裁判所ハ当事者若ハ法定代理人ヲシテ保証金ヲ供託セシメ又ハ其ノ主張ノ真実ナルコトヲ 宣誓セシメ之ヲ以テ疏明ニ代フルコトヲ得 3. 第二百八十六条乃至第二百八十九条〔証人尋問の場合の宣誓の態度、裁判長の諭示・警 告、宣誓の方式、宣誓義務のない場合〕ノ規定ハ前項ノ宣誓ニ之ヲ準用ス 【1項のみ新188条 】 第268条〔保証金の没取〕 1. 前条第二項ノ規定ニ依リテ保証金ノ供託ヲ為シタル当事者又ハ法定代理人カ虚偽ノ申述ヲ 為シタルトキハ裁判所決定ヲ以テ保証金ヲ没取ス 【削除 】 第269条〔過料の制裁〕 1. 第二百六十七条第二項ノ規定ニ依リテ宣誓ヲ為シタル当事者又ハ法定代理人カ虚偽ノ申述 ヲ為シタルトキハ宣誓ヲ為サシメタル裁判所決定ヲ以テ十万円以下ノ過料ニ処ス 〔昭五七法八三本条改正〕 【削除 】 第270条〔不服申立〕 1. 第二百六十八条及前条ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 【削除】 第270条ノ2〔過料の裁判の執行〕 1. 本章ノ規定ニ依ル過料ノ裁判ハ検察官ノ命令ヲ以テ之ヲ執行ス此ノ命令ハ執行力アル債務 名義ト同一ノ効力ヲ有ス 2. 過料ノ裁判ノ執行ハ民事執行法(昭和五十四年法律第四号)其ノ他強制執行ノ手続ニ関ス ル法令ノ規定ニ従ヒテ之ヲ為ス但シ執行ヲ為ス前裁判ノ送達ヲ為スコトヲ要セズ 〔昭五四法五本条追加〕 【新189条 】 第2節 証人訊問 第271条〔証人義務〕 1. 裁判所ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外何人ト雖証人トシテ之ヲ訊問スルコトヲ得 【新190条 】 第272条〔公務員の尋問〕 1. 官吏又ハ官吏タリシ者ヲ証人トシテ職務上ノ秘密ニ付訊問スル場合ニ於テハ裁判所ハ当該 監督官庁ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス 2. 前項ノ規定ハ他ノ公務員ニ付之ヲ準用ス 【新191条 変更】 第273条〔国務大臣の尋問〕 1. 内閣総理大臣其ノ他ノ国務大臣又ハ其ノ職ニ在リタル者ヲ証人トシテ職務上ノ秘密ニ付訊 問スル場合ニ於テハ裁判所ハ内閣ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新191条 変更】 第274条〔国会議員の尋問〕 1. 衆議院若ハ参議院ノ議員又ハ議員タリシ者ヲ証人トシテ職務上ノ秘密ニ付訊問スル場合ニ 於テハ裁判所ハ其ノ院ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新191条 変更】 第275条〔証人尋問の申出〕 1. 証人訊問ノ申出ハ証人ヲ指定シテ之ヲ為スコトヲ要ス 【規則】 第276条〔呼出状の記載事項〕 1. 証人ノ呼出状ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス 一 当事者ノ表示 二 訊問事項ノ要領 三 出頭セサル場合ニ於ケル法律上ノ制裁 【規則】 第277条〔不出頭に対する過料〕 1. 証人カ正当ノ事由ナクシテ出頭セサルトキハ裁判所ハ決定ヲ以テ之ニ因リテ生シタル訴訟 費用ノ負担ヲ命シ且十万円以下ノ過料ニ処ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 〔昭五七法八三本条改正〕 【新192条 】 第277条ノ2〔不出頭に対する刑罰〕 1. 証人カ正当ノ事由ナクシテ出頭セサルトキハ十万円以下ノ罰金又ハ拘留ニ処ス 2. 前項ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情状ニ因リ罰金及拘留ヲ併科スルコトヲ得 〔昭二三法一四九本条追加、昭五七法八三第一項改正〕 【新193条 】 第278条〔証人の勾引〕 1. 裁判所ハ正当ノ事由ナクシテ出頭セサル証人ノ勾引ヲ命スルコトヲ得 2. 前項ノ勾引ニハ刑事訴訟法中勾引ニ関スル規定ヲ準用ス 【新194条 】 第279条〔受命裁判官・受託裁判官の証人尋問〕 1. 左ノ場合ニ於テハ受命裁判官又ハ受託裁判官ヲシテ証人ノ訊問ヲ為サシムルコトヲ得 一 証人カ受訴裁判所ニ出頭スル義務ナキトキ又ハ正当ノ事由ニ因リ出頭スルコト能ハサ ルトキ 二 証人カ受訴裁判所ニ出頭スルニ付不相当ノ費用又ハ時間ヲ要スルトキ 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新195条 変更 】 第280条〔証言拒絶権〕 1. 証言カ証人又ハ左ニ掲クル者ノ刑事上ノ訴追又ハ処罰ヲ招ク虞アル事項ニ関スルトキハ証 人ハ証言ヲ拒ムコトヲ得証言カ此等ノ者ノ恥辱ニ帰スヘキ事項ニ関スルトキ亦同シ 一 証人ノ配偶者、四親等内ノ血族若ハ三親等内ノ姻族又ハ証人ト此等ノ親族関係アリタ ル者 二 証人ノ後見人又ハ証人ノ後見ヲ受クル者 三 証人カ主人トシテ仕フル者 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新196条 変更 】 第281条〔同前〕 1. 左ノ場合ニ於テハ証人ハ証言ヲ拒ムコトヲ得 一 第二百七十二条乃至第二百七十四条 〔公務員・国務大臣・国会議員の尋問〕ノ場合 二 医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士(外国法事務弁護士ヲ含ム)、弁理 士、弁護人、公証人、宗教又ハ祀ノ職ニ在ル者又ハ此等ノ職ニ在リタル者カ職務上知リタ ル事実ニシテ黙秘スヘキモノニ付訊問ヲ受クルトキ 三 技術又ハ職業ノ秘密ニ関スル事項ニ付訊問ヲ受クルトキ 2. 前項ノ規定ハ証人カ黙秘ノ義務ヲ免セラレタル場合ニハ之ヲ適用セス 〔昭六一法六六第一項改正〕 【新197条 変更 】 第282条〔証言拒絶理由の疎明〕 1. 証言拒絶ノ理由ハ之ヲ疏明スルコトヲ要ス 【新198条 】 第283条〔証言拒絶の当否の裁判〕 1. 第二百八十一条第一項第一号〔公務員・国務大臣・国会議員の証言拒絶権〕ノ場合ヲ除ク ノ外証言拒絶ノ当否ニ付テハ受訴裁判所当事者ヲ審訊シテ裁判ヲ為ス 2. 証言拒絶ニ関スル裁判ニ対シテハ当事者及証人ハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 【新199条 】 第284条〔証言拒絶に対する制裁〕 1. 証言拒絶ヲ理由ナシトスル裁判確定シタル後証人カ故ナク証言ヲ拒ムトキハ第二百七十七 条 〔不出頭に対する過料〕及第二百七十七条ノ二 〔不出頭に対する刑罰〕ノ規定ヲ準用 ス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新200条 】 第285条〔宣誓義務〕 1. 裁判長ハ証人ヲシテ訊問前宣誓ヲ為サシムルコトヲ要ス但シ特別ノ事由アルトキハ訊問後 之ヲ為サシムルコトヲ得 【新201条1項、規則 】 第286条〔宣誓の態度〕 1. 宣誓ハ起立シテ厳粛ニ之ヲ行フコトヲ要ス 【規則】 第287条〔裁判長の諭示・警告〕 1. 裁判長ハ宣誓前宣誓ノ趣旨ヲ諭示シ且偽証ノ罰ヲ警告スルコトヲ要ス 【規則】 第288条〔宣誓の方式〕 1. 宣誓ハ証人ヲシテ宣誓書ヲ朗読セシメ且之ニ署名捺印セシメテ之ヲ為ス証人宣誓書ヲ朗読 スルコト能ハサルトキハ裁判長代リテ之ヲ朗読ス 2. 宣誓書ニハ良心ニ従ヒ真実ヲ述ヘ何事ヲモ黙秘セス又何事ヲモ附加セサルコトヲ誓フ旨ヲ 記載スルコトヲ要ス 【規則】 第289条〔宣誓義務のない者〕 1. 左ニ掲クル者ヲ証人トシテ訊問スルニハ宣誓ヲ為サシムルコトヲ得ス 一 十六年未満ノ者 二 宣誓ノ趣旨ヲ理解スルコト能ハサル者 【新201条2項 】 第290条〔宣誓を免除できる場合〕 1. 第二百八十条ノ規定ニ該当スル証人ニシテ証言拒絶ノ権利ヲ行ハサル者ヲ訊問スルニハ宣 誓ヲ為サシメサルコトヲ得 【新201条3項 】 第291条〔宣誓拒絶権〕 1. 証人カ自己又ハ第二百八十条ニ掲クル者ニ著キ利害関係アル事項ニ付訊問ヲ受クルトキハ 宣誓ヲ拒ムコトヲ得 【新201条4項】 第292条〔調書の記載〕 1. 宣誓ヲ為サシメスシテ証人ヲ訊問シタルトキハ其ノ旨及事由ヲ調書ニ記載スルコトヲ要ス 【規則】 第293条〔宣誓拒絶についての制裁〕 1. 第二百七十七条〔不出頭に対する過料〕、第二百七十七条ノ二〔不出頭に対する刑 罰〕、 第二百八十二条 〔証言拒絶理由の疎明〕及第二百八十三条 〔証言拒絶の当否の裁 判〕ノ規定ハ証人カ宣誓ヲ拒ム場合ニ之ヲ準用ス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新201条5項】 第294条〔尋問する者の順序〕 1. 証人ハ其ノ訊問ノ申出ヲ為シタル当事者先ツ之ヲ訊問シ其ノ訊問ノ終リタル後他ノ当事者 之ヲ訊問スルコトヲ得 2. 裁判長ハ当事者ノ訊問ノ終リタル後証人ヲ訊問スルコトヲ得 3. 裁判長ハ必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ自ラ訊問シ又ハ当事者ノ訊問ヲ許スコトヲ得 4. 当事者ノ訊問カ既ニ為シタル訊問ト重複スルトキ、争点ニ関係ナキ事項ニ亘ルトキ其ノ他 特ニ必要アリト認ムルトキハ裁判長ハ之ヲ制限スルコトヲ得 5. 陪席裁判官ハ裁判長ニ告ケ証人ヲ訊問スルコトヲ得 〔昭二三法一四九本条追加〕 【新202条 変更 、規則】 第295条〔当事者の異議〕 1. 当事者ハ前条ノ規定ニ依ル訊問ノ許否又ハ制限ニ付異議ヲ述フルコトヲ得此ノ場合ニ於テ ハ裁判所異議ニ付裁判ヲ為ス 〔昭二三法一四九本条追加〕 【規則】 第296条〔対質〕 1. 裁判長ハ必要アリト認ムルトキハ証人相互ノ対質ヲ命スルコトヲ得 【規則】 第297条〔証人の行為義務〕 1. 裁判長ハ必要アリト認ムルトキハ証人ヲシテ文字ノ手記其ノ他必要ナル行為ヲ為サシムル コトヲ得 【規則】 第298条〔他の証人の在廷許可〕 1. 裁判長ハ必要アリト認ムルトキハ後ニ訊問スヘキ証人ニ在廷ヲ許スコトヲ得 【規則】 第299条〔口頭陳述の原則〕 1. 証人ハ書類ニ依リテ陳述ヲ為スコトヲ得ス但シ裁判長ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在 ラス 【新203条 】 第300条〔受命裁判官・受託裁判官の権限〕 1. 受命裁判官又ハ受託裁判官カ証人訊問ヲ為ス場合ニ於テハ裁判所及裁判長ノ職務ハ其ノ裁 判官之ヲ行フ但シ第二百九十五条ノ規定ニ依ル異議ノ裁判ハ受訴裁判所之ヲ為ス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新206条 】

第3節 鑑定

第301条〔証人尋問の規定の準用〕 1. 鑑定ニハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外前節ノ規定ヲ準用ス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新216条本文 】 第302条〔鑑定義務〕 1. 鑑定ニ必要ナル学識経験アル者ハ鑑定ヲ為ス義務ヲ負フ 2. 第二百八十条〔証言拒絶権〕又ハ第二百九十一条〔宣誓拒絶権〕ノ規定ニ依リテ証言又 ハ宣誓ヲ拒ミ得ル者ト同一ノ地位ニ在ル者及第二百八十九条 〔宣誓義務のない者〕ニ掲 クル者ハ鑑定人タルコトヲ得ス 【新212条 】 第303条〔勾引の不許〕 1. 鑑定人ハ之ヲ勾引スルコトヲ得ス 【新216条但書 】 第304条〔鑑定人の指定〕 1. 鑑定人ハ受訴裁判所、受命裁判官又ハ受託裁判官之ヲ指定ス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新213条 】 第305条〔忌避〕 1. 鑑定人ニ付誠実ニ鑑定ヲ為スコトヲ妨クヘキ事情アルトキハ当事者ハ其ノ鑑定人カ鑑定事 項ニ付陳述ヲ為ス前之ヲ忌避スルコトヲ得陳述ヲ為シタルトキト雖其ノ後ニ忌避ノ原因ヲ 生シ又ハ当事者カ其ノ原因アルコトヲ知リタルトキ亦同シ 【新214条1項 】 第306条〔忌避の手続、裁判〕 1. 忌避ノ申立ハ受訴裁判所、受命裁判官又ハ受託裁判官ニ之ヲ為スコトヲ要ス 2. 忌避ノ事由ハ之ヲ疏明スルコトヲ要ス 3. 忌避ヲ理由アリトスル決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス之ヲ理由ナシトスル決定 ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 〔昭二三法一四九第一項改正〕 【新214条2項~4項、規則 】 第307条〔宣誓の方式〕 1. 宣誓書ニハ良心ニ従ヒ誠実ニ鑑定ヲ為スコトヲ誓フ旨ヲ記載スルコトヲ要ス 【規則 】 第308条〔鑑定陳述の方式〕 1. 裁判長ハ鑑定人ヲシテ書面又ハ口頭ヲ以テ共同ニテ又ハ各別ニ意見ヲ述ヘシムルコトヲ得 【新215条、規則 】 第309条〔鑑定証人〕 1. 特別ノ学識経験ニ依リテ知リ得タル事実ニ関スル訊問ニ付テハ証人訊問ニ関スル規定ニ依 ル 【新217条 】 第310条〔鑑定の嘱託〕 1. 裁判所必要アリト認ムルトキハ官庁若ハ公署、外国ノ官庁若ハ公署又ハ相当ノ設備アル法 人ニ鑑定ヲ嘱託スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ宣誓ニ関スル規定ヲ除クノ外本節ノ規定ヲ 準用ス 2. 前項ノ場合ニ於テ裁判所必要アリト認ムルトキハ官庁、公署又ハ法人ノ指定シタル者ヲシ テ鑑定書ノ説明ヲ為サシムルコトヲ得 〔昭二三法一四九第一項改正〕 【新218条 】

第4節 書証

第311条〔書証の申出〕 1. 書証ノ申出ハ文書ヲ提出シ又ハ之ヲ所持スル者ニ其ノ提出ヲ命セムコトヲ申立テ之ヲ為ス コトヲ要ス 【新219条 】 第312条〔文書提出義務〕 1. 左ノ場合ニ於テハ文書ノ所持者ハ其ノ提出ヲ拒ムコトヲ得ス 一 当事者カ訴訟ニ於テ引用シタル文書ヲ自ラ所持スルトキ 二 挙証者カ文書ノ所持者ニ対シ其ノ引渡又ハ閲覧ヲ求ムルコトヲ得ルトキ 三 文書カ挙証者ノ利益ノ為ニ作成セラレ又ハ挙証者ト文書ノ所持者トノ間ノ法律関係ニ 付作成セラレタルトキ 【新220条 変更】 第313条〔文書提出申立の方式〕 1. 文書提出ノ申立ニハ左ノ事項ヲ明ニスルコトヲ要ス 一 文書ノ表示 二 文書ノ趣旨 三 文書ノ所持者 四 証スヘキ事実 五 文書提出ノ義務ノ原因 【新221条1項 】 第314条〔文書提出命令〕 1. 裁判所カ文書提出ノ申立ヲ理由アリト認メタルトキハ決定ヲ以テ文書ノ所持者ニ対シ其ノ 提出ヲ命ス 2. 第三者ニ対シ文書ノ提出ヲ命スル場合ニ於テハ其ノ第三者ヲ審訊スルコトヲ要ス 【新223条1項、2項 変更 】 第315条〔不服申立〕 1. 文書提出ノ申立ニ関スル決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 【新223条4項 】 第316条〔当事者の不提出の効果〕 1. 当事者カ文書提出ノ命ニ従ハサルトキハ裁判所ハ文書ニ関スル相手方ノ主張ヲ真実ト認ム ルコトヲ得 【新224条1項 】 第317条〔当事者の使用妨害の効果〕 1. 当事者カ相手方ノ使用ヲ妨クル目的ヲ以テ提出ノ義務アル文書ヲ毀滅シ其ノ他之ヲ使用ス ルコト能ハサルニ至ラシメタルトキハ裁判所ハ其ノ文書ニ関スル相手方ノ主張ヲ真実ト認 ムルコトヲ得 【新224条2項 】 第318条〔第三者の不提出の制裁〕 1. 第三者カ文書提出ノ命ニ従ハサルトキハ裁判所ハ決定ヲ以テ十万円以下ノ過料ニ処ス此ノ 決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 〔昭五七法八三本条改正〕 【新225条 】 第319条〔文書送付の嘱託〕 1. 書証ノ申出ハ第三百十一条ノ規定ニ拘ラス文書ノ所持者ニ其ノ文書ノ送付ヲ嘱託セムコト ヲ申立テ之ヲ為スコトヲ得但シ当事者カ法令ニ依リテ文書ノ正本又ハ謄本ノ交付ヲ求ムル コトヲ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラス 【新226条 】 第320条〔文書の留置〕 1. 裁判所ハ必要アリト認ムルトキハ提出又ハ送付ニ係ル文書ヲ留置クコトヲ得 【新227条 】 第321条〔受命裁判官・受託裁判官による取調〕 1. 第二百六十五条〔裁判所外での証拠調〕ノ規定ニ依リテ受命裁判官又ハ受託裁判官ヲシ テ文書ニ付証拠調ヲ為サシムル場合ニ於テハ裁判所ハ受命裁判官又ハ受託裁判官ノ調書ニ 記載スヘキ事項ヲ定ムルコトヲ得 2. 前項ノ調書ニハ文書ノ謄本又ハ抄本ヲ添附スルコトヲ要ス 〔昭二三法一四九第一項改正〕 【規則 】 第322条〔文書提出の方法〕 1. 文書ノ提出又ハ送付ハ原本、正本又ハ認証アル謄本ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス 2. 裁判所ハ前項ノ規定ニ拘ラス原本ノ提出ヲ命シ又ハ送付ヲ為サシムルコトヲ得 3. 裁判所ハ当事者ヲシテ其ノ引用シタル文書ノ謄本又ハ抄本ヲ提出セシムルコトヲ得 【規則】 第323条〔公文書の真正の推定〕 1. 文書ハ其ノ方式及趣旨ニ依リ官吏其ノ他ノ公務員カ職務上作成シタルモノト認ムヘキトキ ハ之ヲ真正ナル公文書ト推定ス 2. 公文書ノ真否ニ付疑アルトキハ裁判所ハ職権ヲ以テ当該官庁又ハ公署ニ問合ヲ為スコトヲ 得 【新228条2項、3項 】 第324条〔外国の公文書〕 1. 前条ノ規定ハ外国ノ官庁又ハ公署ノ作成ニ係ルモノト認ムヘキ文書ニ之ヲ準用ス 【新228条5項 】 第325条〔私文書の真正の立証〕 1. 私文書ハ其ノ真正ナルコトヲ証スルコトヲ要ス 【新228条1項 】 第326条〔私文書の真正の推定〕 1. 私文書ハ本人又ハ其ノ代理人ノ署名又ハ捺印アルトキハ之ヲ真正ナルモノト推定ス 【新228条4項 】 第327条〔筆跡印影の対照〕 1. 文書ノ真否ハ筆跡又ハ印影ノ対照ニ依リテモ之ヲ証スルコトヲ得 【新229条 】 第328条〔対照用文書の提出手続〕 1. 第三百十一条〔書証の申出〕、第三百十四条乃至第三百十七条〔文書提出命令・不服申 立・不提出及び使用妨害の効果〕及第三百十九条乃至第三百二十一条 〔文書送付の嘱 託、文書の留置、受命・受託裁判官の取調〕ノ規定ハ対照ノ用ニ供スヘキ筆跡又ハ印影ヲ 具フル文書其ノ他ノ物件ノ提出又ハ送付ニ之ヲ準用ス 2. 第三者カ正当ノ事由ナクシテ前項ノ規定ニ依ル提出ノ命ニ従ハサルトキハ裁判所ハ決定ヲ 以テ十万円以下ノ過料ニ処ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 〔昭五七法八三第二項改正〕 【新229条2項、5項、6項 】 第329条〔相手方の手記義務〕 1. 対照ニ適当ナル筆跡ナキトキハ裁判所ハ対照ノ用ニ供スヘキ文字ノ手記ヲ相手方ニ命スル コトヲ得 2. 相手方カ正当ノ事由ナクシテ前項ノ規定ニ依ル裁判所ノ命ニ従ハサルトキハ裁判所ハ文書 ノ真否ニ関スル挙証者ノ主張ヲ真実ト認ムルコトヲ得書様ヲ変シテ手記シタルトキ亦同シ 【新229条3項、4項 】 第330条〔対照用文書の添附〕 1. 対照ノ用ニ供シタル書類ノ原本、謄本又ハ抄本ハ之ヲ調書ニ添附スルコトヲ要ス 【規則 】 第331条〔文書否認の制裁〕 1. 当事者又ハ其ノ代理人カ故意又ハ重大ナル過失ニ因リ真実ニ反シテ文書ノ真正ヲ争ヒタル トキハ裁判所決定ヲ以テ十万円以下ノ過料ニ処ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコト ヲ得 2. 前項ノ場合ニ於テ文書ノ真正ヲ争ヒタル当事者又ハ代理人カ訴訟ノ繋属中其ノ真正ナルコ トヲ認メタルトキハ裁判所ハ事情ニ依リ前項ノ決定ヲ取消スコトヲ得 〔昭五七法八三第一項改正〕 【新230条 】 第332条〔準文書〕 1. 本節ノ規定ハ証徴ノ為作リタル物件ニシテ文書ニ非サルモノニ之ヲ準用ス 【新231条 変更 】

第5節 検証

第333条〔検証の申出〕 1. 検証ノ申出ハ検証ノ目的ヲ表示シテ之ヲ為スコトヲ要ス 【規則】 第334条〔検証の際の鑑定〕 1. 受命裁判官又ハ受託裁判官ハ検証ヲ為スニ当リ必要アリト認ムルトキハ鑑定ヲ命スルコト ヲ得 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新233条 】 第335条〔検証物の提示手続〕 1. 第三百十一条〔書証の申出〕、第三百十四条乃至第三百十七条〔文書提出命令・不服申 立・不提出及び使用妨害の効果〕及第三百十九条乃至第三百二十一条 〔文書送付の嘱 託、文書の留置、受命・受託裁判官の取調〕ノ規定ハ検証ノ目的ノ提示又ハ送付ニ之ヲ準 用ス 2. 第三者カ正当ノ事由ナクシテ前項ノ規定ニ依ル提示ノ命ニ従ハサルトキハ裁判所ハ決定ヲ 以テ十万円以下ノ過料ニ処ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 〔昭五七法八三第二項改正〕 【新232条 変更 】

第6節 当事者訊問

第336条〔当事者尋問をする場合〕 1. 裁判所カ証拠調ニ依リテ心証ヲ得ルコト能ハサルトキハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ当事者 本人ヲ訊問スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ当事者ヲシテ宣誓ヲ為サシムルコトヲ得 【新207条 変更】 第337条〔対質〕 1. 裁判長必要アリト認ムルトキハ当事者相互又ハ当事者ト証人トノ対質ヲ命スルコトヲ得 【規則】 第338条〔出頭・宣誓・陳述義務〕 1. 当事者カ正当ノ事由ナクシテ呼出ニ応セス又ハ宣誓若ハ陳述ヲ拒ミタルトキハ裁判所ハ訊 問事項ニ関スル相手方ノ主張ヲ真実ト認ムルコトヲ得 【新208条 】 第339条〔虚偽の陳述に対する過料〕 1. 宣誓シタル当事者カ虚偽ノ陳述ヲ為シタルトキハ裁判所決定ヲ以テ十万円以下ノ過料ニ処 ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 2. 第三百三十一条第二項〔過料決定の取消〕ノ規定ハ前項ノ決定ニ之ヲ準用ス 〔昭五七法八三第一項改正〕 【新209条 】 第340条〔尋問調書〕 1. 当事者ヲ訊問シタルトキハ其ノ陳述及宣誓ヲ為サシメ又ハ為サシメサルコトヲ調書ニ記載 スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ第百四十四条但書ノ規定ヲ準用ス 〔昭五七法八三本条改正〕 【規則 】 第341条〔法定代理人の尋問〕 1. 第三百三十六条乃至前条ノ規定ハ訴訟ニ於テ当事者ヲ代表スル法定代理人ニ之ヲ準用ス但 シ当事者本人ヲ訊問スルコトヲ妨ケス 【新211条 】 第342条〔証人尋問の規定の準用〕 1. 第二百七十六条〔呼出状の記載事項〕、第二百七十九条〔受命・受託裁判官の証人尋 問〕、 第二百八十五条乃至第二百八十九条 〔宣誓に関する規定〕、 第二百九十四条 〔尋 問の順序〕、 第二百九十五条 〔当事者の異議〕、 第二百九十七条 〔証人の行為義務〕、 第二百九十九条 〔口頭陳述の原則〕及第三百条 〔受命・受託裁判官の権限〕ノ規定ハ本 節ノ訊問ニ之ヲ準用ス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新210条 】

第7節 証拠保全

第343条〔証拠保全の要件〕 1. 裁判所ハ予メ証拠調ヲ為スニ非サレハ其ノ証拠ヲ使用スルニ困難ナル事情アリト認ムルト キハ申立ニ因リ本章ノ規定ニ従ヒ証拠調ヲ為スコトヲ得 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新234条 】 第344条〔管轄〕 1. 証拠保全ノ申立ハ訴訟ノ繋属中ニ在リテハ其ノ証拠ヲ使用スヘキ審級ノ裁判所ニ、其ノ提 起前ニ在リテハ訊問ヲ受クヘキ者若ハ文書ヲ所持スル者ノ居所又ハ検証物ノ所在地ヲ管轄 スル地方裁判所又ハ簡易裁判所ニ之ヲ為スコトヲ要ス 2. 急迫ナル場合ニ於テハ訴ノ提起後ト雖前項ノ地方裁判所又ハ簡易裁判所ニ証拠保全ノ申立 ヲ為スコトヲ得 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新235条 変更 】 第345条〔申立の方式〕 1. 証拠保全ノ申立ニハ左ノ事項ヲ明ニスルコトヲ要ス 一 相手方ノ表示 二 証スヘキ事実 三 証拠 四 証拠保全ノ事由 2. 証拠保全ノ事由ハ之ヲ疏明スルコトヲ要ス 【規則】 第346条〔相手方不明の場合〕 1. 証拠保全ノ申立ハ相手方ヲ指定スルコト能ハサル場合ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得此ノ場合 ニ於テハ裁判所ハ相手方ト為ルヘキ者ノ為ニ特別代理人ヲ選任スルコトヲ得 【新236条 】 第347条〔職権証拠保全〕 1. 裁判所ハ必要アリト認ムルトキハ訴訟ノ繋属中職権ヲ以テ証拠保全ノ決定ヲ為スコトヲ得 【新237条 】 第348条〔不服申立不許〕 1. 証拠保全ノ決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス 【新238条 】 第349条〔証拠調期日の立会〕 1. 証拠調ノ期日ニハ申立人及相手方ヲ呼出スコトヲ要ス但シ急速ヲ要スル場合ハ此ノ限ニ在 ラス 【新240条 】 第350条〔証拠保全記録の送付〕 1. 証拠保全ニ関スル記録ハ本訴訟ノ記録ノ存スル裁判所ニ之ヲ送付スルコトヲ要ス 【規則】 第351条〔証拠保全費用〕 1. 証拠保全ニ関スル費用ハ訴訟費用ノ一部トス 【新241条 】 第351条ノ2〔口頭弁論での再尋問〕 1. 証拠保全ノ手続ニ於テ訊問シタル証人ニ付当事者カ口頭弁論ニ於ケル訊問ノ申出ヲ為シタ ルトキハ裁判所ハ其ノ訊問ヲ為スコトヲ要ス 【新242条 】

第4章 簡易裁判所ノ訴訟手続ニ関スル特則

〔昭二三法一四九章名改正・繰下〕 第352条〔手続の特色〕 1. 簡易裁判所ニ於テハ簡易ナル手続ニ依リ迅速ニ紛議ヲ解決スルモノトス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新270条】 第353条〔口頭による訴え提起〕 1. 訴ハ口頭ヲ以テ之ヲ提起スルコトヲ得 【新271条 なお、新272条も参照】 第354条〔任意出頭による訴え提起〕 1. 当事者双方ハ任意ニ裁判所ニ出頭シ訴訟ニ付口頭弁論ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ訴 ノ提起ハ口頭ノ陳述ニ依リテ之ヲ為ス 【新273条】 第355条〔反訴提起による移送〕 1. 被告カ反訴ヲ以テ地方裁判所ノ管轄ニ属スル請求ヲ為シタル場合ニ於テ相手方ノ申立アル トキハ簡易裁判所ハ決定ヲ以テ本訴及反訴ヲ地方裁判所ニ移送スルコトヲ要ス此ノ場合ニ 於テハ第三十二条 〔移送の裁判の拘束力〕及第三十四条 〔移送の効果〕ノ規定ヲ準用ス 2. 移送ノ決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス 〔昭二三法一四九第一項改正〕 【新273条、規則】 第356条〔起訴前の和解〕 1. 民事上ノ争ニ付テハ当事者ハ請求ノ趣旨及原因並争ノ実情ヲ表示シテ相手方ノ普通裁判籍 所在地ノ簡易裁判所ニ和解ノ申立ヲ為スコトヲ得 2. 和解調ヒタルトキハ之ヲ調書ニ記載スルコトヲ要ス 3. 和解調ハサル場合ニ於テ裁判所ハ和解ノ期日ニ出頭シタル当事者双方ノ申立アルトキハ直 ニ訴訟ノ弁論ヲ命ス此ノ場合ニ於テハ和解ノ申立ヲ為シタル者ハ其ノ申立ヲ為シタル時ニ 於テ訴ヲ提起シタルモノト看做シ和解ノ費用ハ之ヲ訴訟費用ノ一部トス 4. 申立人又ハ相手方カ和解ノ期日ニ出頭セサルトキハ裁判所ハ和解調ハサルモノト看做スコ トヲ得 〔昭二三法一四九第一項改正〕 【新275条 変更、規則】 第356条ノ2〔簡易呼出の拡張〕 1. 第百五十四条第二項〔呼出の方式〕ノ規定ハ最初ノ期日ノ呼出ニ之ヲ準用ス 〔昭二三法一四九本条追加、昭五七法八三本条改正〕 【削除】 第357条〔準備書面の不要〕 1. 口頭弁論ハ書面ヲ以テ之ヲ準備スルコトヲ要セス 2. 相手方カ準備ヲ為スニ非サレハ陳述ヲ為スコト能ハスト認ムヘキ事項ハ前項ノ規定ニ拘ラ ス書面ヲ以テ之ヲ準備スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ準備書面ノ提出ニ代ヘ口頭弁論前 直接ニ相手方ニ其ノ事項ヲ通知スルコトヲ得 3. 第二百四十七条〔不記載による不利益〕ノ規定ハ前項ノ通知ヲ為ササル場合ニ之ヲ準用 ス 【新276条】 第358条〔擬制陳述の拡張〕 1. 第百三十八条〔不出頭当事者の提出した訴状等の陳述擬制〕ノ規定ハ原告又ハ被告カ口 頭弁論続行ノ期日ニ出頭セス又ハ出頭スルモ本案ノ弁論ヲ為ササル場合ニ之ヲ準用ス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新277条】 第358条ノ2〔調書の簡易化〕 1. 調書ハ当事者ニ異議アル場合ヲ除クノ外裁判官ノ許可アルトキハ之ニ記載スヘキ事項ヲ省 略スルコトヲ得 2. 前項ノ規定ハ口頭弁論ノ方式ニ関スル規定ノ遵守並和解、認諾、棄、取下及自白ニ付テハ 之ヲ適用セス 〔昭二三法一四九本条追加〕 【規則】 第358条ノ3〔書面尋問〕 1. 裁判所ハ相当ト認ムルトキハ証人又ハ鑑定人ノ訊問ニ代ヘ書面ノ提出ヲ為サシムルコトヲ 得 〔昭二三法一四九本条追加〕 【新278条】 第358条ノ4〔司法委員の参与〕 1. 裁判所ハ必要アリト認ムルトキハ和解ヲ試ミルニ付司法委員ヲシテ補助ヲ為サシメ又ハ司 法委員ヲシテ審理ニ立会ハシメ事件ニ付其ノ意見ヲ徴スルコトヲ得 〔昭二三法一四九本条追加〕 【新279条1項】 第358条ノ5〔司法委員の員数・指定〕 1. 司法委員ノ員数ハ各事件ニ付一人以上トス 2. 司法委員ハ毎年予メ地方裁判所ノ選任シタル者ノ中ヨリ各事件ニ付裁判所之ヲ指定ス 3. 前項ノ規定ニ依リ選任セラルル者ノ資格、員数其ノ他同項ノ選任ニ関シ必要ナル事項ハ最 高裁判所之ヲ定ム 〔昭二三法一四九本条追加〕 【新279条2項~4項】 第358条ノ6〔司法委員の旅費・日当・止宿料〕 1. 司法委員ニ対シテハ最高裁判所ノ定ムル額ノ旅費、日当及止宿料ヲ給ス 〔昭二三法一四九本条追加〕 【新279条5項】 第359条〔判決書の簡略化〕 1. 判決ニ事実及理由ヲ記載スルニハ請求ノ趣旨及原因ノ要旨、其ノ原因ノ有無並請求ヲ排斥 スル理由タル抗弁ノ要旨ヲ表示スルヲ以テ足ル 【新280条】

第3編 上訴

〔大一五法六一本編改正〕

第1章 控訴

第360条〔控訴のできる判決、飛躍上告〕 1. 控訴ハ地方裁判所カ第一審トシテ為シタル終局判決又ハ簡易裁判所ノ終局判決ニ対シテ之 ヲ為スコトヲ得但シ終局判決後当事者双方共ニ上告ヲ為ス権利ヲ留保シテ控訴ヲ為ササル 旨ノ合意ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラス 2. 第二十五条第二項〔合意管轄の要件〕ノ規定ハ前項ノ合意ニ之ヲ準用ス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新281条】 第361条〔費用の裁判の独立控訴不許〕 1. 訴訟費用ノ裁判ニ対シテハ独立シテ控訴ヲ為スコトヲ得ス 【新282条】 第362条〔控訴審の判断を受ける裁判〕 1. 終局判決前ノ裁判ハ控訴裁判所ノ判断ヲ受ク但シ不服ヲ申立ツルコトヲ得サル裁判及抗告 ヲ以テ不服ヲ申立ツルコトヲ得ル裁判ハ此ノ限ニ在ラス 【新283条】 第363条〔控訴の取下〕 1. 控訴ハ控訴審ノ終局判決アル迄之ヲ取下クルコトヲ得 2. 第二百三十六条第三項乃至第五項〔訴取下の方式〕、第二百三十七条第一項〔訴取下の 効果〕及第二百三十八条 〔訴取下の擬制〕ノ規定ハ控訴ノ取下ニ之ヲ準用ス 〔昭一三法一九第二項改正〕 【新292条】 第364条〔控訴権の放棄〕 1. 控訴ヲ為ス権利ハ之ヲ抛棄スルコトヲ得 【新284条】 第365条〔控訴権放棄の方式〕 1. 控訴権ノ抛棄ハ控訴提起前ニ在リテハ第一審裁判所、控訴提起後ニ在リテハ控訴裁判所ニ 対スル申述ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 2. 控訴提起後ノ控訴権ノ抛棄ハ控訴ノ取下ト共ニ之ヲ為スコトヲ要ス 3. 控訴権抛棄ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 【規則】 第366条〔控訴期間〕 1. 控訴ハ判決ノ送達アリタル日ヨリ二週間内ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス但シ其ノ期間前提起 シタル控訴ノ効力ヲ妨ケス 2. 前項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス 【新285条】 第367条〔控訴提起の方式・控訴状の記載事項〕 1. 控訴ノ提起ハ控訴状ヲ第一審裁判所又ハ控訴裁判所ニ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス 2. 控訴状ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス 一 当事者及法定代理人 二 第一審判決ノ表示及其ノ判決ニ対シ控訴ヲ為ス旨 【新286条 変更】 第368条〔控訴状の準備書面兼用〕 1. 準備書面ニ関スル規定ハ控訴状ニ之ヲ準用ス 【規則】 第369条〔記録の送付〕 1. 第一審裁判所ニ控訴状ノ提出アリタルトキハ裁判所書記官ハ訴訟記録ニ控訴状ヲ添附シテ 遅滞ナク之ヲ控訴裁判所ノ裁判所書記官ニ送付スルコトヲ要ス 2. 控訴裁判所ニ控訴状ノ提出アリタルトキハ裁判所書記官ハ遅滞ナク第一審裁判所ノ裁判所 書記官ニ訴訟記録ノ送付ヲ求ムルコトヲ要ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【規則】 第370条〔控訴状却下命令〕 1. 第二百二十八条〔訴状の補正命令と却下〕ノ規定ハ控訴状カ第三百六十七条第二項〔控 訴状の記載事項〕ノ規定ニ違背スル場合、法律ノ規定ニ従ヒ控訴ノ提起ノ手数料ヲ納付セ ザル場合及控訴状ノ送達ヲ為スコト能ハサル場合ニ之ヲ準用ス 〔昭四六法四二本条改正〕 【新288条】 第371条〔控訴状の送達〕 1. 控訴状ハ之ヲ被控訴人ニ送達スルコトヲ要ス 【新289条1項】 第372条〔附帯控訴〕 1. 被控訴人ハ控訴権消滅ノ後ト雖口頭弁論ノ終結ニ至ル迄附帯控訴ヲ為スコトヲ得 【新293条1項】 第373条〔附帯控訴の従属性〕 1. 附帯控訴ハ控訴ノ取下アリタルトキ又ハ不適法トシテ控訴ノ棄却アリタルトキハ其ノ効力 ヲ失フ但シ控訴ノ要件ヲ具備スルモノハ之ヲ独立ノ控訴ト看做ス 【新293条2項】 第374条〔附帯控訴の方式〕 1. 附帯控訴ニ付テハ控訴ニ関スル規定ニ依ル 【新293条3項 変更】 第375条〔仮執行宣言〕 1. 控訴裁判所ハ第一審ノ判決ニ付不服ノ申立ナキ部分ニ限リ申立ニ因リ決定ヲ以テ仮執行ノ 宣言ヲ為スコトヲ得 【新294条】 第376条〔仮執行に関する不服申立〕 1. 仮執行ニ関スル控訴審ノ裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス 2. 前条ノ申立ヲ却下スル決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 【新295条】 第377条〔口頭弁論の範囲〕 1. 口頭弁論ハ当事者カ第一審ノ判決ノ変更ヲ求ムル限度ニ於テノミ之ヲ為ス 2. 当事者ハ第一審ニ於ケル口頭弁論ノ結果ヲ陳述スルコトヲ要ス 【新296条】 第378条〔第一審手続の規定の準用〕 1. 前編第一章乃至第三章〔訴、弁論及びその準備、証拠〕ノ規定ハ別段ノ規定アル場合ヲ除 クノ外控訴審ノ訴訟手続ニ之ヲ準用ス 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新297条 変更】 第379条〔第一審の訴訟行為の効力〕 1. 第一審ニ於テ為シタル訴訟行為ハ控訴審ニ於テモ其ノ効力ヲ有ス 【新298条1項】 第380条〔第一審の準備手続の効力〕 1. 第一審ニ於テ為シタル準備手続ハ控訴審ニ於テモ其ノ効力ヲ有ス 【新298条2項 変更】 第381条〔第一審の管轄違〕 1. 控訴審ニ於テハ当事者ハ第一審裁判所カ管轄権ヲ有セサルコトヲ主張スルコトヲ得ス但シ 専属管轄ニ付テハ此ノ限ニ在ラス 【新299条 変更】 第382条〔反訴の提起〕 1. 反訴ハ相手方ノ同意アル場合ニ限リ之ヲ提起スルコトヲ得 2. 相手方カ異議ヲ述ヘスシテ反訴ノ本案ニ付弁論ヲ為シタルトキハ反訴ノ提起ニ同意シタル モノト看做ス 【新300条1項、2項】 第383条〔口頭弁論を経ない控訴却下〕 1. 不適法ナル控訴ニシテ其ノ欠缺カ補正スルコト能ハサルモノナル場合ニ於テハ口頭弁論ヲ 経スシテ判決ヲ以テ之ヲ却下スルコトヲ得 〔昭二九法一二七第二項削除〕 【新290条】 第384条〔控訴棄却〕 1. 控訴裁判所ハ第一審判決ヲ相当トスルトキハ控訴ヲ棄却スルコトヲ要ス 2. 判決カ其ノ理由ニ依レハ不当ナル場合ニ於テモ他ノ理由ニ依リテ正当ナルトキハ控訴ヲ棄 却スルコトヲ要ス 【新302条】 第384条ノ2〔控訴濫用に対する制裁〕 1. 前条第一項ノ規定ニ依リ控訴ヲ棄却スル場合ニ於テ控訴人カ訴訟ノ完結ヲ遅延セシムル目 的ノミヲ以テ控訴ヲ提起シタルモノト認ムルトキハ控訴裁判所ハ之ニ対シ控訴ノ提起ノ手 数料トシテ納付スベキ金額ノ十倍以下ノ金銭ノ納付ヲ命スルコトヲ得 2. 前項ノ裁判ハ判決主文ニ之ヲ掲クルコトヲ要ス 3. 第一項ノ裁判ハ本案判決ヲ変更スル判決ノ言渡ニ因リ其ノ効力ヲ失フ 4. 上告裁判所ハ上告ヲ棄却スル場合ニ於テモ第一項ノ裁判ヲ変更スルコトヲ得 5. 第二百七十条ノ二〔過料の裁判の執行〕ノ規定ハ第一項ノ裁判ニ之ヲ準用ス 〔昭二三法一四九本条追加、昭五四法五第五項追加〕 【新303条】 第385条〔原判決変更の限度〕 1. 第一審判決ノ変更ハ不服申立ノ限度ニ於テノミ之ヲ為スコトヲ得 【新304条】 第386条〔原判決の取消〕 1. 控訴裁判所ハ第一審判決ヲ不当トスルトキハ之ヲ取消スコトヲ要ス 【新305条】 第387条〔手続の違法による原判決の取消〕 1. 第一審ノ判決ノ手続カ法律ニ違背シタルトキハ控訴裁判所ハ判決ヲ取消スコトヲ要ス 【新306条】 第388条〔必要的差戻〕 1. 訴ヲ不適法トシテ却下シタル第一審判決ヲ取消ス場合ニ於テハ控訴裁判所ハ事件ヲ第一審 裁判所ニ差戻スコトヲ要ス 【新307条】 第389条〔任意的差戻〕 1. 前条ノ場合ノ外控訴裁判所カ第一審判決ヲ取消ス場合ニ於テ事件ニ付尚弁論ヲ為ス必要ア ルトキハ之ヲ第一審裁判所ニ差戻スコトヲ得 2. 第一審裁判所ニ於ケル訴訟手続カ法律ニ違背シタルコトヲ理由トシテ事件ヲ差戻ストキハ 其ノ訴訟手続ハ之ニ因リテ取消サレタルモノト看做ス 【新308条】 第390条〔管轄違による移送〕 1. 事件カ管轄違ナルコトヲ理由トシテ第一審判決ヲ取消ストキハ控訴裁判所ハ判決ヲ以テ事 件ヲ管轄裁判所ニ移送スルコトヲ要ス 【新309条】 第391条〔判決の記載方式〕 1. 判決ニ事実及理由ヲ記載スルニハ第一審判決ヲ引用スルコトヲ得 【規則】 第392条〔訴訟記録の返送〕 1. 訴訟完結シタル後上訴ノ提起ナクシテ上訴期間満了シタルトキハ裁判所書記官ハ判決又ハ 第三百七十条 〔控訴状却下命令〕ノ規定ニ依ル命令ノ正本ヲ訴訟記録ニ添附シ之ヲ第一 審裁判所ノ裁判所書記官ニ送付スルコトヲ要ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【規則】

第2章 上告

第393条 1. 上告ハ高等裁判所カ第二審又ハ第一審トシテ為シタル終局判決ニ対シテハ最高裁判所ニ、 地方裁判所カ第二審トシテ為シタル終局判決ニ対シテハ高等裁判所ニ之ヲ為スコトヲ得 2. 第三百六十条第一項但書〔飛躍上告の合意〕ノ場合ニ於テハ地方裁判所ノ判決ニ対シテハ 最高裁判所ニ、簡易裁判所ノ判決ニ対シテハ高等裁判所ニ直ニ上告ヲ為スコトヲ得 〔昭二三法一四九本条改正、昭二九法一二七第三項追加、平一法九一第三項削除〕 【新311条】 第394条〔上告理由〕 1. 上告ハ判決ニ憲法ノ解釈ノ誤アルコト其ノ他憲法ノ違背アルコト又ハ判決ニ影響ヲ及ボス コト明ナル法令ノ違背アルコトヲ理由トスルトキニ限リ之ヲ為スコトヲ得 〔昭二九法一二七本条改正〕 【新312条1項 変更】 第395条〔絶対的上告理由〕 1. 左ノ場合ニ於テハ常ニ上告ノ理由アルモノトス 一 法律ニ従ヒテ判決裁判所ヲ構成セサリシトキ 二 法律ニ依リ判決ニ関与スルコトヲ得サル裁判官カ判決ニ関与シタルトキ 三 専属管轄ニ関スル規定ニ違背シタルトキ 四 法定代理権、訴訟代理権又ハ代理人カ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権ノ欠缺アリタル トキ 五 口頭弁論公開ノ規定ニ違背シタルトキ 六 判決ニ理由ヲ附セス又ハ理由ニ齟齬アルトキ 2. 前項第四号ノ規定ハ第五十四条〔訴訟能力・法定代理権の欠缺と追認〕又ハ第八十七条 〔訴訟代理権の欠缺と追認〕ノ規定ニ依ル追認アリタル場合ニハ之ヲ適用セス 〔昭二九法一二七第一項改正〕 【新312条 2項】 第396条〔控訴の規定の準用〕 1. 前章ノ規定ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外上告及上告審ノ訴訟手続ニ之ヲ準用ス 【新313条】 第397条〔上告提起の方式と裁判長の上告状却下〕 1. 上告ノ提起ハ上告状ヲ原裁判所ニ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス 2. 前条ニ於テ準用スル第三百七十条〔控訴状の審査権〕ノ規定ニ依ル裁判長ノ職権ハ原裁 判所ノ裁判長之ヲ行フ 〔昭二九法一二七本条改正〕 【新314条】 第398条〔上告理由書〕 1. 上告状ニ上告ノ理由ヲ記載セザルトキハ最高裁判所規則ノ定ムル期間内ニ上告理由書ヲ原 裁判所ニ提出スルコトヲ要ス 2. 上告ノ理由ハ最高裁判所規則ノ定ムル方式ニ依リ之ヲ記載スルコトヲ要ス 〔昭二九法一二七本条改正〕 【新315条】 第399条〔原裁判所の決定による上告却下〕 1. 左ノ各号ニ該当スルコト明ナル場合ニ於テハ原裁判所ハ決定ヲ以テ上告ヲ却下スルコトヲ 要ス 一 上告ガ不適法ニシテ其ノ欠缺ガ補正スルコト能ハザルモノナルトキ 二 前条第一項ノ規定ニ違背シ上告理由書ヲ提出セズ又ハ上告ノ理由ノ記載ガ同条第二 項ノ規定ニ違背スルトキ 2. 前項ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 〔昭二九法一二七本条改正〕 【新316条】 第399条ノ2〔事件の送付〕 1. 原裁判所ハ上告状却下ノ命令又ハ上告却下ノ決定アリタル場合ヲ除クノ外事件ヲ上告裁判 所ニ送付スルコトヲ要ス 〔昭二九法一二七本条追加〕 【規則】 第399条ノ3〔上告裁判所の判決による上告却下〕 1. 第三百九十九条第一項各号〔原裁判所の決定による上告却下事由〕ノ場合ニ於テハ上告裁 判所ハ口頭弁論ヲ経ズシテ判決ヲ以テ上告ヲ却下スルコトヲ得 〔昭二九法一二七本条追加〕 【新317条1項】 第400条〔答弁書提出命令〕 1. 裁判長ハ相当ノ期間ヲ定メ答弁書ヲ提出スヘキコトヲ被上告人ニ命スルコトヲ得 【規則】 第401条〔口頭弁論を経ず上告棄却〕 1. 上告裁判所カ上告状、上告理由書、答弁書其ノ他ノ書類ニ依リ上告ヲ理由ナシト認ムルト キハ口頭弁論ヲ経スシテ判決ヲ以テ上告ヲ棄却スルコトヲ得 【新319条】 第402条〔調査の範囲〕 1. 上告裁判所ハ上告理由ニ基キ不服ノ申立アリタル限度ニ於テノミ調査ヲ為ス 【新320条 2項】 第403条〔原判決確定の事実と上告審〕 1. 原判決ニ於テ適法ニ確定シタル事実ハ上告裁判所ヲ覊束ス 【新321条1項】 第404条〔飛躍上告の場合の特則〕 1. 第三百九十三条第二項〔飛躍上告〕ノ規定ニ依ル上告アリタル場合ニ於テハ上告裁判所ハ 原判決ニ於ケル事実ノ確定カ法律ニ違背シタルコトヲ理由トシテ其ノ判決ヲ破毀スルコト ヲ得ス 【新321条 2項】 第405条〔職権調査事項に関する例外〕 1. 第四百二条乃至前条ノ規定ハ裁判所カ職権ヲ以テ調査スヘキ事項ニ之ヲ適用セス 【新322条】 第406条〔原判決の仮執行の宣言〕 1. 上告裁判所ハ原判決ニ付不服ノ申立ナキ部分ニ限リ申立ニ因リ決定ヲ以テ仮執行ノ宣言ヲ 為スコトヲ得 【新323条】 第406条ノ2〔高裁から最高裁への移送〕 1. 高等裁判所カ上告裁判所タル場合ニ於テ最高裁判所ノ定ムル事由アルトキハ決定ヲ以テ事 件ヲ最高裁判所ニ移送スルコトヲ要ス 〔昭二三法一四九本条追加〕 【新324条】 第407条〔破棄差戻・移送〕 1. 上告ヲ理由アリトスルトキハ上告裁判所ハ原判決ヲ破毀シ事件ヲ原裁判所ニ差戻シ又ハ同 等ナル他ノ裁判所ニ移送スルコトヲ要ス 2. 差戻又ハ移送ヲ受ケタル裁判所ハ新口頭弁論ニ基キ裁判ヲ為スコトヲ要ス但シ上告裁判所 カ破毀ノ理由ト為シタル事実上及法律上ノ判断ニ覊束セラル 3. 原判決ニ関与シタル裁判官ハ前項ノ裁判ニ関与スルコトヲ得ス 〔昭二三法一四九第三項改正〕 【新325条1項 変更、3項、4項】 第408条〔破棄自判〕 1. 左ノ場合ニ於テハ上告裁判所ハ事件ニ付裁判ヲ為スコトヲ要ス 一 確定シタル事実ニ付法令ノ適用ヲ誤リタルコトヲ理由トシテ判決ヲ破毀スル場合ニ於 テ事件カ其ノ事実ニ基キ裁判ヲ為スニ熟スルトキ 二 事件カ裁判所ノ権限ニ属セサルコトヲ理由トシテ判決ヲ破毀スルトキ 【新326条】 第409条〔記録の送付〕 1. 差戻又ハ移送ノ判決アリタルトキハ裁判所書記官ハ其ノ判決ノ正本ヲ訴訟記録ニ添附シ差 戻又ハ移送ヲ受ケタル裁判所ノ裁判所書記官ニ之ヲ送付スルコトヲ要ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【規則】 第409条ノ2〔特別上告〕 1. 高等裁判所カ上告審トシテ為シタル終局判決ニ対シテハ其ノ判決ニ憲法ノ解釈ノ誤アルコ ト其ノ他憲法ノ違背アルコトヲ理由トスルトキニ限リ最高裁判所ニ更ニ上告ヲ為スコトヲ 得 〔昭二三法一四九本条追加、昭二九法一二七第一項改正・二項追加、平一法九一第二項 削除〕 【新327条1項】 第409条ノ3〔普通上告の規定準用〕 1. 前条ノ上告及其ノ上告審ノ訴訟手続ニハ其ノ性質ニ反セサル限リ第二審又ハ第一審ノ終局 判決ニ対スル上告ニ関スル規定ヲ準用ス但シ同条ノ上告ニ付テハ第四百三条中原判決トア ルハ之ヲ地方裁判所カ第二審トシテ為シタル終局判決又ハ簡易裁判所ノ終局判決トス 〔昭二三法一四九本条追加、昭二九法一二七本条改正、平一法九一本条改正〕 【新327条2項】

第3章 抗告

第410条〔抗告のできる裁判〕 1. 口頭弁論ヲ経スシテ訴訟手続ニ関スル申立ヲ却下シタル決定又ハ命令ニ対シテハ抗告ヲ為 スコトヲ得 【新328条1項 】 第411条〔違式の裁判に対する抗告〕 1. 決定又ハ命令ヲ以テ裁判ヲ為スコトヲ得サル事項ニ付決定又ハ命令ヲ為シタルトキハ当事 者ハ之ニ対シテ抗告ヲ為スコトヲ得 【新328条2項】 第412条〔準抗告〕 1. 受命裁判官又ハ受託裁判官ノ裁判ニ対シ不服アル当事者ハ受訴裁判所ニ異議ノ申立ヲ為ス コトヲ得但シ其ノ裁判カ受訴裁判所ノ裁判ナル場合ニ於テ之ニ対シ抗告ヲ為シ得ルモノナ ルトキニ限ル 2. 抗告ハ異議ニ付テノ裁判ニ対シテ之ヲ為スコトヲ得 3. 第一項ノ規定ハ最高裁判所又ハ高等裁判所ニ繋属スル事件ニ付受命裁判官又ハ受託裁判官 ノ為シタル裁判ニ之ヲ準用ス 〔昭二三法一四九第一項・三項改正〕 【新329条 変更】 第413条〔再抗告〕 1. 抗告裁判所ノ決定ニ対シテハ其ノ決定ニ憲法ノ解釈ノ誤アルコト其ノ他憲法ノ違背アルコ ト又ハ決定ニ影響ヲ及ボスコト明ナル法令ノ違背アルコトヲ理由トスルトキニ限リ更ニ抗 告ヲ為スコトヲ得 〔昭二九法一二七本条改正〕 【新330条 】 第414条〔上訴手続の規定の準用〕 1. 抗告及抗告裁判所ノ訴訟手続ニハ其ノ性質ニ反セサル限リ第一章〔控訴〕ノ規定ヲ準用ス 但シ前条ノ抗告及之ニ関スル訴訟手続ニハ前章〔上告〕ノ規定ヲ準用ス 【新331条 変更 】 第415条〔即時抗告期間〕 1. 即時抗告ハ裁判ノ告知アリタル日ヨリ一週間内ニ之ヲ為スコトヲ要ス 2. 前項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス 【新332条 】 第416条〔抗告提起の方式、事件の送付〕 1. 抗告(第四百十三条ノ抗告ヲ除ク)ハ原裁判所又ハ抗告裁判所ニ書面又ハ口頭ヲ以テ之 ヲ為スコトヲ要ス 2. 抗告裁判所カ抗告ヲ受ケタル場合ニ於テ適当ト認ムルトキハ事件ヲ原裁判所ニ送付スルコ トヲ得 〔昭二九法一二七第一項改正〕 【なし 】 第417条〔再度の考案による更正〕 1. 原裁判所カ抗告ヲ受ケ又ハ前条第二項ノ規定ニ依リ事件ノ送付ヲ受ケタル場合ニ於テ抗告 ヲ理由アリト認ムルトキハ其ノ裁判ヲ更正スルコトヲ要ス 2. 抗告ヲ理由ナシト認ムルトキハ意見ヲ附シ事件ヲ抗告裁判所ニ送付スルコトヲ要ス 【新333条、規則 】 第418条〔原裁判の執行停止等〕 1. 抗告ハ即時抗告ニ限リ執行停止ノ効力ヲ有ス 2. 抗告裁判所又ハ原裁判ヲ為シタル裁判所若ハ裁判官ハ抗告ニ付決定アル迄原裁判ノ執行ヲ 停止シ其ノ他必要ナル処分ヲ命スルコトヲ得 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新334条 】 第419条〔審尋〕 1. 抗告裁判所ハ抗告ニ付口頭弁論ヲ命セサル場合ニ於テハ抗告人其ノ他ノ利害関係人ヲ審訊 スルコトヲ得 【新335条 】 第419条ノ2〔特別抗告〕 1. 不服ヲ申立ツルコトヲ得サル決定及命令ニ対シテハ其ノ裁判ニ憲法ノ解釈ノ誤アルコト其 ノ他憲法ノ違背アルコトヲ理由トスルトキニ限リ最高裁判所ニ特ニ抗告ヲ為スコトヲ得 2. 前項ノ抗告ノ提起期間ハ五日トス 3. 前項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス 〔昭二三法一四九本条追加、昭二九法一二七第一項改正〕 【新336条1項、2項 】 第419条ノ3〔準用規定〕 1. 前条ノ抗告及之ニ関スル訴訟手続ニハ第四百十八条第二項〔原裁判の執行停止等〕ノ規定 ヲ準用スルノ外其ノ性質ニ反セサル限リ 第四百九条ノ二 〔特別上告〕ノ上告及其ノ上告 審ノ訴訟手続ニ関スル規定ヲ準用ス 〔昭二三法一四九本条追加、昭二九法一二七本条改正、平一法九一本条改正〕 【新336条3項 】

第4編 再審

〔大一五法六一本編改正〕 第420条〔再審事由〕 1. 左ノ場合ニ於テハ確定ノ終局判決ニ対シ再審ノ訴ヲ以テ不服ヲ申立ツルコトヲ得但シ当事 者カ上訴ニ依リ其ノ事由ヲ主張シタルトキ又ハ之ヲ知リテ主張セサリシトキハ此ノ限ニ在 ラス 一 法律ニ従ヒテ判決裁判所ヲ構成セサリシトキ 二 法律ニ依リ裁判ニ関与スルコトヲ得サル裁判官カ裁判ニ関与シタルトキ 三 法定代理権、訴訟代理権又ハ代理人カ訴訟行為ヲ為スニ必要ナル授権ノ欠缺アリタル トキ 四 裁判ニ関与シタル裁判官カ事件ニ付職務ニ関スル罪ヲ犯シタルトキ 五 刑事上罰スヘキ他人ノ行為ニ因リ自白ヲ為スニ至リタルトキ又ハ判決ニ影響ヲ及ホス ヘキ攻撃若ハ防禦ノ方法ヲ提出スルコトヲ妨ケラレタルトキ 六 判決ノ証拠ト為リタル文書其ノ他ノ物件カ偽造又ハ変造セラレタルモノナリシトキ 七 証人、鑑定人、通事又ハ宣誓シタル当事者若ハ法定代理人ノ虚偽ノ陳述カ判決ノ証拠 ト為リタルトキ 八 判決ノ基礎ト為リタル民事若ハ刑事ノ判決其ノ他ノ裁判又ハ行政処分カ後ノ裁判又ハ 行政処分ニ依リテ変更セラレタルトキ 九 判決ニ影響ヲ及ホスヘキ重要ナル事項ニ付判断ヲ遺脱シタルトキ 十 不服ノ申立アル判決カ前ニ言渡サレタル確定判決ト牴触スルトキ 2. 前項第四号乃至第七号ノ場合ニ於テハ罰スヘキ行為ニ付有罪ノ判決若ハ過料ノ裁判確定シ タルトキ又ハ証拠欠缺外ノ理由ニ因リ有罪ノ確定判決若ハ過料ノ確定裁判ヲ得ルコト能ハ サルトキニ限リ再審ノ訴ヲ提起スルコトヲ得 3. 控訴審ニ於テ事件ニ付本案判決ヲ為シタルトキハ第一審ノ判決ニ対シ再審ノ訴ヲ提起スル コトヲ得ス 〔昭二三法一四九第一項改正〕 【新338条 】 第421条〔基本たる裁判の再審事由〕 1. 判決ノ基本タル裁判ニ付前条ニ定メタル事由アルトキハ其ノ裁判ニ対シ独立ノ不服ノ方法 ヲ定メタル場合ニ於テモ其ノ事由ヲ以テ判決ニ対スル再審ノ理由ト為スコトヲ得 【新339条 】 第422条〔再審裁判所〕 1. 再審ハ不服ノ申立アル判決ヲ為シタル裁判所ノ専属管轄トス 2. 審級ヲ異ニスル裁判所カ同一事件ニ付為シタル判決ニ対スル再審ノ訴ハ上級裁判所併セテ 之ヲ管轄ス 【新340条 】 第423条〔再審手続〕 1. 再審ノ訴訟手続ニハ其ノ性質ニ反セサル限リ各審級ニ於ケル訴訟手続ニ関スル規定ヲ準用 ス 【新341条 】 第424条〔再審期間〕 1. 再審ノ訴ハ当事者カ判決確定後再審ノ事由ヲ知リタル日ヨリ三十日内ニ之ヲ提起スルコト ヲ要ス 2. 前項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス 3. 判決確定後五年ヲ経過シタルトキハ再審ノ訴ハ之ヲ提起スルコトヲ得ス 4. 再審ノ事由カ判決確定後ニ生シタルトキハ前項ノ期間ハ其ノ事由発生ノ日ヨリ之ヲ起算ス 【新342条1項2項 】 第425条〔再審期間の例外〕 1. 前条ノ規定ハ代理権ノ欠缺及第四百二十条第一項第十号〔判決の抵触〕ニ掲クル事項ヲ理 由トスル再審ノ訴ニハ之ヲ適用セス 【新342条3項 】 第426条〔訴状の記載事項〕 1. 訴状ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス 一 当事者及法定代理人 二 不服ノ申立アル判決ノ表示及其ノ判決ニ対シ再審ヲ求ムル旨 三 不服ノ理由 【新343条 】 第427条〔審判の範囲〕 1. 本案ノ弁論及裁判ハ不服ノ範囲内ニ於テノミ之ヲ為スコトヲ得 2. 不服ノ理由ハ之ヲ変更スルコトヲ得 【新348条1項参照、2項は 新344条 】 第428条〔原判決の結果を正当とする訴却下〕 1. 再審ノ事由アル場合ニ於テモ判決ヲ正当トスルトキハ裁判所ハ再審ノ訴ヲ却下スルコトヲ 要ス 【新348条2項 変更 】 第429条〔再審抗告〕 1. 即時抗告ヲ以テ不服ヲ申立ツルコトヲ得ル決定又ハ命令カ確定シタル場合ニ於テ第四百二 十条第一項〔再審事由〕ニ掲クル事由アルトキハ確定判決ニ対スル第四百二十条乃至前条 ノ規定ニ準シ再審ノ申立ヲ為スコトヲ得 【新349条 】

第5編 督促手続

〔大一五法六一本編改正〕 第430条〔支払命令の要件〕 1. 金銭其ノ他ノ代替物又ハ有価証券ノ一定ノ数量ノ給付ヲ目的トスル請求ニ付テハ裁判所ハ 債権者ノ申立ニ因リ支払命令ヲ発スルコトヲ得但シ日本ニ於テ公示送達ニ依ラスシテ其ノ 命令ノ送達ヲ為スコトヲ得ヘキ場合ニ限ル 【新382条 変更 】 第431条〔管轄〕 1. 督促手続ハ債務者ノ普通裁判籍所在地ノ簡易裁判所又ハ第九条〔事務所・営業所の裁判 籍〕ノ規定ニ依ル管轄簡易裁判所ノ専属管轄トス 2. 手形又ハ小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及之ニ附帯スル請求ニ関スル督促手続ハ前項ノ簡 易裁判所又ハ手形若ハ小切手ノ支払地ノ簡易裁判所ノ専属管轄トス 〔昭三九法一三五第二項追加〕 【新383条 変更 】 第432条〔支払命令の申立〕 1. 支払命令ノ申立ニハ其ノ性質ニ反セサル限リ訴ニ関スル規定ヲ準用ス 【新384条 】 第433条〔申立却下、不服申立不許〕 1. 支払命令ノ申立カ第四百三十条〔支払命令の要件〕若ハ管轄ニ関スル規定ニ違背スルト キ又ハ申立ノ趣旨ニ依リ請求ノ理由ナキコト明ナルトキハ其ノ申立ハ之ヲ却下スルコトヲ 要ス請求ノ一部ニ付支払命令ヲ発スルコトヲ得サルトキ其ノ一部ニ付亦同シ 2. 申立却下ノ決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス 【新385条 変更 】 第434条〔債務者不審尋と異議申立〕 1. 支払命令ハ債務者ヲ審訊セスシテ之ヲ発ス 2. 債務者ハ支払命令ニ対シ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得 【新386条 変更 】 第435条〔支払命令の記載事項〕 1. 支払命令ニハ当事者、法定代理人並請求ノ趣旨及原因ヲ記載シ且債務者カ支払命令送達ノ 日ヨリ二週間内ニ異議ヲ申立テサルトキハ債権者ノ申立ニ因リ仮執行ノ宣言ヲ為スヘキ旨 ヲ附記スルコトヲ要ス 【新387条 変更 】 第436条〔支払命令の送達〕 1. 支払命令ハ之ヲ当事者ニ送達スルコトヲ要ス 【新388条1項 】 第437条〔仮執行宣言前の異議〕 1. 債務者カ仮執行ノ宣言前異議ヲ申立テタルトキハ支払命令ハ其ノ異議ノ範囲内ニ於テ効力 ヲ失フ 【新390条 】 第438条〔仮執行の宣言〕 1. 債務者カ支払命令送達ノ日ヨリ二週間内ニ異議ヲ申立テサルトキハ裁判所ハ債権者ノ申立 ニ因リ支払命令ニ手続ノ費用額ヲ附記シ仮執行ノ宣言ヲ為スコトヲ要ス但シ其ノ宣言前異 議ノ申立アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス 2. 仮執行ノ宣言ハ支払命令ノ原本及正本ニ之ヲ記載シ其ノ正本ヲ当事者ニ送達スルコトヲ要 ス 3. 仮執行ノ申立却下ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 【新391条 変更 】 第439条〔支払命令の失効〕 1. 債権者カ仮執行ノ申立ヲ為スコトヲ得ル時ヨリ三十日内ニ其ノ申立ヲ為ササルトキハ支払 命令ハ其ノ効力ヲ失フ 【新392条 】 第440条〔仮執行宣言後の異議〕 1. 仮執行ノ宣言ヲ附シタル支払命令送達ノ日ヨリ二週間ヲ経過シタルトキハ債務者ハ其ノ支 払命令ニ対シ異議ヲ申立ツルコトヲ得ス 2. 前項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス 【新393条 】 第441条〔異議の却下〕 1. 簡易裁判所カ異議ヲ不適法ト認ムルトキハ請求カ地方裁判所ノ管轄ニ属スル場合ニ於テモ 決定ヲ以テ其ノ異議ヲ却下スルコトヲ要ス此ノ決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得 〔昭二三法一四九本条改正〕 【新394条 】 第442条〔訴訟への移行〕 1. 支払命令ニ対シ適法ナル異議ノ申立アリタルトキハ異議アル請求ニ付テハ其ノ目的ノ価額 ニ従ヒ支払命令ノ申立ノ時ニ於テ其ノ命令ヲ発シタル簡易裁判所又ハ其ノ簡易裁判所ノ所 在地ヲ管轄スル地方裁判所ニ訴ノ提起アリタルモノト看做ス此ノ場合ニ於テハ督促手続ノ 費用ハ之ヲ訴訟費用ノ一部トス 2. 前項ノ規定ニ依リテ地方裁判所ニ訴ノ提起アリタルモノト看做サレタル場合ニ於テハ裁判 所書記官ハ遅滞ナク訴訟記録ヲ地方裁判所ノ裁判所書記官ニ送付スルコトヲ要ス 〔昭三九法一三五第二項改正〕 【新395条、規則 】 第443条〔支払命令の確定の効力〕 1. 仮執行ノ宣言ヲ附シタル支払命令ニ対シ異議ノ申立ナキトキ又ハ異議却下ノ決定確定シタ ルトキハ支払命令ハ確定判決ト同一ノ効力ヲ有ス 【新396条 】

第5編ノ2 手形訴訟及小切手訴訟ニ関スル特則

〔昭三九法一三五編名追加〕 第444条〔手形訴訟の要件・方式〕 1. 手形ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及之ニ附帯スル法定利率ニ依ル損害賠償ノ請求ヲ目的トスル 訴ニ付テハ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムルコトヲ得 2. 手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムル旨ノ申述ハ訴状ニ記載シテ之ヲ為スコトヲ要ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新350条 】 第445条〔反訴の不許〕 1. 手形訴訟ニ於テハ反訴ハ之ヲ提起スルコトヲ得ズ 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新351条 】 第446条〔証拠調〕 1. 手形訴訟ニ於テハ証拠調ハ書証ニ限リ之ヲ為スコトヲ得 2. 文書ノ提出ノ命令又ハ送付ノ嘱託ハ之ヲ為スコトヲ得ズ対照ノ用ニ供スベキ筆跡又ハ印影 ヲ具フル物件ニ付亦同ジ 3. 文書ノ真否又ハ手形ノ呈示ニ関スル事実ニ付テハ申立ニ因リ当事者本人又ハ訴訟ニ於テ当 事者ヲ代表スル法定代理人ヲ訊問スルコトヲ得 4. 証拠調ノ嘱託ハ之ヲ為スコトヲ得ズ第二百六十二条ノ規定ニ依ル調査ノ嘱託亦同ジ 5. 前各項ノ規定ハ裁判所ガ職権ヲ以テ調査スベキ事項ニハ之ヲ適用セズ 【新352条 】 第447条〔通常手続への移行〕 1. 原告ハ口頭弁論ノ終結ニ至ル迄被告ノ承諾ヲ要セズシテ訴訟ヲ通常ノ手続ニ移行セシムル 旨ノ申述ヲ為スコトヲ得 2. 訴訟ハ前項ノ申述アリタル時ニ於テ通常ノ手続ニ移行スルモノトシ裁判所ハ直ニ其ノ旨ヲ 記載シタル書面ヲ被告ニ送達スルコトヲ要ス但シ其ノ申述ガ被告ノ出頭シタル期日ニ於テ 口頭ヲ以テ為サレタルモノナルトキハ其ノ送達ハ之ヲ為スコトヲ要セズ 3. 訴訟ガ通常ノ手続ニ移行シタルトキハ手形訴訟ノ為既ニ指定シタル期日ハ通常ノ手続ノ為 ニ之ヲ指定シタルモノト看做ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新353条 】 第448条〔弁論の終結〕 1. 裁判所ハ被告ガ口頭弁論ニ於テ原告ノ主張シタル事実ヲ争ハズ其ノ他何ラノ防禦ノ方法ヲ モ提出セザル場合ニ於テハ 前条第二項ノ書面ノ送達前ト雖口頭弁論ヲ終結スルコトヲ得 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新354条 】 第449条〔訴えの却下〕 1. 請求ノ全部又ハ一部ガ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ為スコトヲ得ザルモノナルトキハ裁判 所ハ口頭弁論ヲ経ズシテ判決ヲ以テ訴ノ全部又ハ一部ヲ却下スルコトヲ得 2. 原告ガ前項ノ判決ノ送達アリタル日ヨリ二週間内ニ同項ノ請求ニ付通常ノ手続ニ依リ訴ヲ 提起シタルトキハ第二百三十五条 〔起訴による時効中断等の時期〕ノ規定ノ適用ニ付テ ハ其ノ訴ノ提起ハ前ノ訴ノ提起ノ時ニ於テ之ヲ為シタルモノト看做ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新355条 】 第450条〔控訴の制限〕 1. 手形訴訟ノ終局判決ニ対シテハ控訴ヲ為スコトヲ得ズ但シ前条第一項ノ判決ヲ除クノ外訴 ヲ却下シタル判決ニ対シテハ此ノ限ニ在ラズ 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新356条 】 第451条〔異議の申立〕 1. 手形訴訟ノ終局判決ニ対シテハ訴ヲ却下シタル判決ヲ除クノ外判決ノ送達アリタル日ヨリ 二週間内ニ其ノ判決ヲ為シタル裁判所ニ異議ヲ申立ツルコトヲ得但シ其ノ期間前申立テタ ル異議ノ効力ヲ妨ゲズ 2. 前項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新357条 】 第452条〔異議の取下〕 1. 異議ハ通常ノ手続ニ依ル第一審ノ終局判決アル迄之ヲ取下グルコトヲ得 2. 異議ノ取下ハ相手方ノ同意ヲ得ルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ 3. 第二百三十六条第三項乃至第六項〔訴取下の方式等〕、第二百三十七条第一項〔訴取下 の効果〕及第二百三十八条 〔訴取下の擬制〕ノ規定ハ異議ノ取下ニ之ヲ準用ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新360条 】 第453条〔異議申立権の放棄〕 1. 異議ヲ申立ツル権利ハ其ノ申立前ニ限リ之ヲ抛棄スルコトヲ得 2. 異議申立権ノ抛棄ハ裁判所ニ対スル申述ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 3. 異議申立権抛棄ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新358条、規則 】 第454条〔異議申立の方式〕 1. 異議ノ申立ハ書面ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 2. 準備書面ニ関スル規定ハ前項ノ書面ニ之ヲ準用ス 3. 第一項ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【規則】 第455条〔不適法な異議の却下〕 1. 不適法ナル異議ニシテ其ノ欠缺ガ補正スルコト能ハザルモノナル場合ニ於テハ口頭弁論ヲ 経ズシテ判決ヲ以テ之ヲ却下スルコトヲ得 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新359条 】 第456条〔適法な異議の効果〕 1. 適法ナル異議アリタルトキハ訴訟ハ口頭弁論終結前ノ程度ニ復スルモノトシ其ノ審理及裁 判ハ通常ノ手続ニ依リテ之ヲ為ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新361条 】 第457条〔手形判決の認可・取消〕 1. 前条ノ規定ニ依リテ為スベキ判決ガ手形訴訟ノ判決ト符合スルトキハ裁判所ハ手形訴訟ノ 判決ヲ認可スルコトヲ要ス但シ手形訴訟ノ判決ノ手続ガ法律ニ違背シタルモノナルトキハ 此ノ限ニ在ラズ 2. 前項ノ規定ニ依リ手形訴訟ノ判決ヲ認可スル場合ヲ除クノ外新判決ニ於テハ手形訴訟ノ判 決ヲ取消スコトヲ要ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新362条 】 第458条〔訴訟費用の裁判〕 1. 異議ヲ却下シ又ハ手形訴訟ニ於テ為シタル訴訟費用ノ裁判ヲ認可スル場合ニ於テハ裁判所 ハ異議ノ申立アリタル後ノ訴訟費用ニ付裁判ヲ為スコトヲ要ス 2. 第百九十五条第三項〔訴訟の総費用の裁判〕ノ規定ハ手形訴訟ノ判決ニ対シ適法ナル異議 アリタル場合ニ之ヲ準用ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新3条 】 第459条〔手形判決の引用〕 1. 判決ニ事実及理由ヲ記載スルニハ手形訴訟ノ判決ヲ引用スルコトヲ得 〔昭三九法一三五本条改正〕 【規則】 第460条〔差戻〕 1. 異議ヲ却下シタル第一審判決ヲ取消ス場合ニ於テハ控訴裁判所ハ事件ヲ第一審裁判所ニ差 戻スコトヲ要ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新364条 】 第461条〔和解不調の場合〕 1. 第三百五十六条第三項後段〔起訴前の和解不調の場合の訴提起の擬制〕ノ規定ニ依リテ提 起アリタルモノト看做サルル訴ニ付テハ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムル旨ノ申述ハ同 項前段ノ申立ノ際之ヲ為スコトヲ要ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新365条 】 第462条〔支払命令に対する異議申立の場合〕 1. 第四百四十二条第一項〔異議申立による訴訟への移行〕ノ規定ニ依リテ提起アリタルモノ ト看做サルル訴ニ付テハ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムル旨ノ申述ハ支払命令ノ申立ノ 際之ヲ為スコトヲ要ス 2. 前項ノ申述アリタルトキハ支払命令ニ其ノ旨ヲ附記スベシ 3. 第四百三十八条第一項〔異議申立期間の徒過〕ノ規定ニ依ル仮執行ノ宣言アリタルトキハ 第一項ノ申述ハナカリシモノト看做ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新366条、2項は規則 】 第463条〔小切手訴訟〕 1. 小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及之ニ附帯スル法定利率ニ依ル損害賠償ノ請求ヲ目的トス ル訴ニ付テハ小切手訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムルコトヲ得 2. 第四百四十四条第二項及第四百四十五条乃至前条ノ規定ハ小切手訴訟ニ関シテ之ヲ準用ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新367条 】 第464条乃至第497条 削除〔昭五四法四〕

第6編 判決ノ確定及ビ執行停止

〔昭五四法四編名追加、平一法九一本編繰下〕 第498条〔判決の確定時期〕 1. 判決ハ適法ナル上訴( 第四百九条ノ二 〔特別上告〕ノ上告ヲ除ク)ノ提起又ハ第四百五 十一条 〔手形判決に対する異議の申立〕( 第四百六十三条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ 含ム)ノ異議ノ申立ニ付キ定メタル期間ノ満了前ニハ確定セサルモノトス 2. 判決ノ確定ハ前項ノ期間内ニ上訴(第四百九条ノ二ノ上告ヲ除ク)ヲ提起シ又ハ同項ノ 異議ヲ申立ツルニ因リ之ヲ遮断ス 〔昭三九法一三五本条改正〕 【新116条 】 第499条〔判決確定証明書〕 1. 原告若クハ被告カ判決ノ確定ニ付キ証明書ヲ求ムルトキハ第一審裁判所ノ裁判所書記官ハ 記録ニ基キ之ヲ付与ス 2. 訴訟カ猶ホ上級審ニ於テ繋属中ナルトキハ上級裁判所ノ裁判所書記官ハ判決ノ確定ト為リ タル部分ノミニ付キ証明書ヲ付与ス 3. 判決ニ対シ上訴ノ提起ナキ場合ニ非サレハ証明書ヲ付与スルコトヲ得サルトキニ限リ上訴 ヲ管轄スル裁判所ノ裁判所書記官カ不変期間内ニ上訴ノ提起ナキコトヲ認メタル証明書ヲ 以テ足ル 〔昭三九法一三五本条改正〕 【1項、2項は規則】
第500条〔特別上告・再審申立と執行停止等〕

1. 第四百九条ノ二〔特別上告〕ノ上告ノ提起アリタル場合又ハ再審ヲ求ムル申立アリタル場合ニ於テ不服ノ理由トシテ主張シタル事情ガ法律上理由アリト見エ且事実上ノ点ニ付疎明アリタルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ保証ヲ立テシメ又ハ保証ヲ立テシメスシテ強制執行ヲ一時停止ス可キコトヲ命シ又ハ保証ヲ立テシメテ強制執行ヲ為ス可キコトヲ命シ及ヒ保証ヲ立テシメテ其為シタル強制処分ヲ取消ス可キヲ命スルコトヲ得

2. 保証ヲ立テシメスシテ為ス強制執行ノ停止ハ其執行ニ因リ償フコト能ハサル損害ヲ生ス可 キコトヲ疏明スルトキニ限リ之ヲ許ス

3. 右裁判ハ口頭弁論ヲ経スシテ之ヲ為スコトヲ得其裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス

4. 第一項ノ裁判ハ第四百九条ノ二ノ上告ノ提起アリタル場合ニ於テ訴訟記録ガ原裁判所ニ存 スルトキハ原裁判所之ヲ為ス

〔昭二九法一二七第一項改正・四項追加〕 【新398条1項1号、2項、 新399条 変更】 第501条乃至第510条 削除〔大一五法六一・昭二九法一二七〕
第511条〔上告と執行停止等〕

1. 仮執行ノ宣言ヲ付シタル判決ニ対シ上告ヲ提起シタル場合ニ於テ其執行ニ因リ償フコト能 ハザル損害ヲ生ズ可キコトヲ疎明シタルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ保証ヲ立テシメ又ハ保証ヲ立テシメズシテ強制執行ヲ一時停止ス可キコトヲ命ジ又ハ保証ヲ立テシメテ其為シタ ル強制処分ヲ取消ス可キヲ命ズルコトヲ得

2. 右裁判ニ付テハ第五百条第三項〔不服申立禁止〕及ビ第四項〔原裁判所の権限〕ノ規定ヲ準用ス

〔昭二九法一二七本条追加〕 【新398条1項2号 】
第512条〔控訴・異議申立と執行停止等〕

1. 仮執行ノ宣言ヲ付シタル判決ニ対シ控訴ヲ提起シタルトキ又ハ仮執行ノ宣言ヲ付シタル支払命令ニ対シ異議ヲ申立テタルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ保証ヲ立テシメ又ハ保証ヲ立テシメズシテ強制執行ヲ一時停止ス可キコトヲ命ジ又ハ保証ヲ立テシメテ強制執行ヲ為ス可 コトヲ命ジ及ビ保証ヲ立テシメテ其為シタル強制処分ヲ取消ス可キヲ命ズルコトヲ得

2. 右裁判ニ付テハ第五百条第二項〔損害の疎明〕及ビ第三項〔不服申立禁止〕ノ規定ヲ準用ス

〔昭二九法一二七本条改正〕 【新398条1項3号】
第512条ノ2〔手形訴訟の場合〕
1. 手形又ハ小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及ビ之ニ附帯スル法定利率ニ依ル損害賠償ノ請求 ニ付キ仮執行ノ宣言ヲ付シタル判決ニ対シ控訴ヲ提起シタル場合ニ於テハ原判決ノ取消又 ハ変更ノ原因トナルベキ事情ニ付キ疎明アリタルトキニ限リ裁判所ハ申立ニ因リ保証ヲ立 テシメ若クハ保証ヲ立テシメズシテ強制執行ヲ一時停止ス可キコトヲ命ジ又ハ保証ヲ立テ シメテ強制執行ヲ為ス可キコトヲ命ジ及ビ保証ヲ立テシメテ其為シタル強制処分ヲ取消ス 可キヲ命ズルコトヲ得第五百条第三項〔不服申立禁止〕ノ規定ハ此場合ニ之ヲ準用ス 2. 前項ノ規定ハ仮執行ノ宣言ヲ付シタル手形訴訟若クハ小切手訴訟ノ判決ニ対シ異議ノ申立 アリタル場合又ハ同項ニ掲グル請求ニ付キ仮執行ノ宣言ヲ付シタル支払命令ニ対シ異議ヲ 申立テタル場合ニ之ヲ準用ス 3. 前二項ノ裁判ハ訴訟記録ガ原裁判所ニ存スル間ハ原裁判所モ亦之ヲ為スコトヲ得 〔昭三九法一三五本条追加〕 【新398条1項4号、5号 変更 】
第513条〔保証を立てるべき供託所〕 1. 本編ノ規定ニ従ヒ保証ヲ立ツル義務ヲ負ハシメタル場合ニ於テ供託ヲ為スニハ其裁判ヲ為 シタル裁判所又ハ執行裁判所ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所ノ管轄区域内ノ供託所ニ之ヲ 為スコトヲ要ス 2. 第百十二条〔担保提供の方法〕、第百十三条〔担保物に対する被告の権利〕、第百十五 条 〔担保取消決定〕及ヒ第百十六条 〔担保物の変換〕ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル保証ニ 付キ之ヲ準用ス 〔昭五七法八三第一項改正・旧二項削除、平一法九一第一項改正〕 【新400条 】 第514条乃至第763条 削除〔平一法九一〕

第7編 公示催告手続

第764条〔公示催告の適用範囲・管轄〕

1. 請求又ハ権利ノ届出ヲ為サシムル為メノ裁判上ノ公示催告ハ其届出ヲ為ササルトキハ失権 ヲ生スル効力ヲ以テ法律ニ定メタル場合ニ限リ之ヲ為スコトヲ得

2. 公示催告手続ハ簡易裁判所之ヲ管轄ス

第765条〔公示催告の申立〕 1. 公示催告ノ申立ハ書面又ハ口頭ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得 2. 此申立ニ付テノ裁判ハ口頭弁論ヲ経スシテ之ヲ為スコトヲ得 3. 申立ヲ許ス可キトキハ裁判所ハ公示催告ヲ為ス可ク其公示催告ニハ殊ニ左ノ諸件ヲ掲ク可 シ 第一 申立人ノ表示 第二 請求又ハ権利ヲ公示催告期日マテニ届出ツ可キコトノ催告 第三 届出ヲ為ササルニ因リ生ス可キ失権ノ表示 第四 公示催告期日ノ指定 第766条〔公告の方法〕 1. 公示催告ニ付テノ公告ハ裁判所ノ掲示板ニ掲示シ及ヒ官報又ハ公報ニ掲載シテ之ヲ為ス 2. 裁判所相当ト認ムルトキハ新聞紙ニ公告ス可キコトヲ命スルコトヲ得 〔大一五法六一第一項改正・二項追加〕 第767条〔公示催告期間〕 1. 公示催告ヲ官報又ハ公報ニ掲載シタル日ト公示催告期日トノ間ニハ法律ニ別段ノ規定ヲ設 ケサルトキハ少ナクトモ二个月ノ時間ヲ存スルコトヲ要ス 第768条〔除権判決前の届出〕 1. 公示催告期日ノ終リタル後ト雖モ除権判決前ニ届出ヲ為ストキハ適当ナル時間ニ之ヲ為シ タルモノト看做ス 第769条〔除権判決〕 1. 除権判決ハ申立ニ因リテ之ヲ為ス 2. 右判決前ニ詳細ナル探知ヲ為ス可キ旨ヲ命スルコトヲ得 3. 除権判決ノ申立ヲ却下スル決定及ヒ除権判決ニ付シタル制限又ハ留保ニ対シテハ即時抗告 ヲ為スコトヲ得 第770条〔権利を争う届出による手続の中止等〕 1. 申立人ノ申立ノ理由トシテ主張シタル権利ヲ争フコトノ届出アリタルトキハ其事情ニ従ヒ 届出テタル権利ニ付テノ裁判確定スルマテ公示催告手続ヲ中止シ又ハ除権判決ニ於テ届出 テタル権利ヲ留保ス可シ 第771条〔申立人の不出頭と新期日の指定〕 1. 申立人カ公示催告期日ニ出頭セサルトキハ其申立ニ因リ新期日ヲ定ム可シ此申立ハ公示催 告期日ヨリ六个月ノ期間内ニ限リ之ヲ為スコトヲ許ス 第772条〔新期日の公告〕 1. 公示催告手続ヲ完結スル為メ新期日ヲ定メタルトキハ其期日ノ公告ヲ為スコトヲ要セス 第773条〔除権判決の公告〕 1. 裁判所ハ除権判決ノ重要ナル旨趣ヲ官報又ハ公報ニ掲載シテ公告ヲ為スコトヲ得 第774条〔除権判決に対する不服の訴え〕 1. 除権判決ニ対シテハ上訴ヲ為スコトヲ得ス 2. 除権判決ニ対シテハ左ノ場合ニ於テ申立人ニ対スル訴ヲ以テ催告裁判所ノ所在地ヲ管轄ス ル地方裁判所ニ不服ヲ申立ツルコトヲ得 第一 法律ニ於テ公示催告手続ヲ許ス場合ニ非サルトキ 第二 公示催告ニ付テノ公告ヲ為サス又ハ法律ニ定メタル方法ヲ以テ公告ヲ為ササルトキ 第三 公示催告ノ期間ヲ遵守セサルトキ 第四 判決ヲ為ス裁判官カ法律ニ依リ職務ノ執行ヨリ除斥セラレタルトキ 第五 請求又ハ権利ノ届出アリタルニ拘ハラス判決ニ於テ其届出ヲ法律ニ従ヒ顧ミサルト キ 第六 第四百二十条第四号乃至第八号〔再審事由〕ノ場合ニ於テ再審ノ訴ヲ許ス条件ノ存 スルトキ 〔大一五法六一第二項改正〕 第775条〔不服申立期間〕 1. 不服申立ノ訴ハ一个月ノ不変期間内ニ之ヲ起ス可シ此期間ハ原告カ除権判決ヲ知リタル日 ヲ以テ始マル然レトモ前条第四号及ヒ第六号ニ掲ケタル不服申立ノ理由ノ一ニ基キ訴ヲ起 シ且原告カ右ノ日ニ其理由ヲ知ラサリシ場合ニ於テハ其期間ハ不服ノ理由ノ原告ニ知レタ ル日ヲ以テ始マル 2. 除権判決ノ言渡ノ日ヨリ起算シテ五个年ノ満了後ハ此訴ヲ起スコトヲ得ス 第776条〔公示催告の併合〕 1. 裁判所ハ数箇ノ公示催告ノ併合ヲ命スルコトヲ得 〔大一五法六一本条改正〕 第777条〔証書の無効宣言の公示催告〕 1. 盗取セラレ又ハ紛失若クハ滅失シタル手形其他商法ニ無効ト為シ得ヘキコトヲ定メタル証 書ノ無効宣言ノ為ニ為ス公示催告手続ニ付テハ以下数条ノ特別規定ヲ適用ス 2. 此規定ハ法律上公示催告手続ヲ許ス他ノ証書ニ付キ其法律中ニ特別規定ヲ設ケサル限リハ 之ヲ適用ス 第778条〔証書についての申立権者〕 1. 無記名証券又ハ裏書ヲ以テ移転シ得ヘク且略式裏書ヲ付シタル証書ニ付テハ最終ノ所持人 公示催告手続ヲ申立ツル権アリ 2. 此他ノ証書ニ付テハ証書ニ因リ権利ヲ主張シ得ヘキ者此申立ヲ為ス権アリ 第779条〔管轄裁判所〕 1. 公示催告手続ハ証書ニ表示シタル履行地ノ裁判所之ヲ管轄ス若シ証書ニ其履行地ヲ表示セ サルトキハ発行人カ普通裁判籍ヲ有スル地ノ裁判所之ヲ管轄シ其裁判所ナキトキハ発行人 カ発行ノ当時普通裁判籍ヲ有セシ地ノ裁判所之ヲ管轄ス 2. 証書ヲ発行スル原因タル請求ヲ登記簿ニ記入シタルトキハ其物ノ所在地ノ裁判所ノ管轄ニ 専属ス 第780条〔申立の憑拠〕 1. 申立人ハ申立ノ憑拠トシテ左ノ手続ヲ為ス可シ 第一 証書ノ謄本ヲ差出シ又ハ証書ノ重要ナル旨趣及ヒ証書ヲ十分ニ認知スルニ必要ナル 諸件ヲ開示スルコト 第二 証書ノ盗難、紛失、滅失及ヒ公示催告手続ヲ申立ツルコトヲ得ルノ理由タル事実ヲ 疏明スルコト 第781条〔届出催告・失権戒示〕 1. 公示催告中ニ公示催告期日マテニ権利ヲ裁判所ニ届出テ且其証書ヲ提出ス可キ旨ヲ証書ノ 所持人ニ催告ス可ク又失権トシテ証書ノ無効宣言ヲ為ス可キ旨ヲ戒示ス可シ 第782条〔公告の方法〕 1. 公示催告ノ公告ハ裁判所ノ掲示板ニ掲示シ且官報又ハ公報ニ掲載シ及ヒ新聞紙ニ三回掲載 シテ之ヲ為ス 2. 公示催告裁判所ノ所在地ニ取引所アルトキハ取引所ニモ亦此公告ヲ掲示ス可シ 第783条〔公示催告期間〕 1. 公示催告ヲ官報又ハ公報ニ掲載シタル日ト公示催告期日トノ間ニハ少ナクトモ六个月ノ時 間ヲ存スルコトヲ要ス 第784条〔除権判決、無効宣言取消判決〕 1. 除権判決ニ於テハ証書ヲ無効ナリト宣言ス可シ 2. 除権判決ノ重要ナル旨趣ハ官報又ハ公報ヲ以テ之ヲ公告ス可シ 3. 不服申立ノ訴ニ因リ判決ヲ以テ無効宣言ヲ取消シタルトキハ其判決ノ確定後官報又ハ公報 ヲ以テ之ヲ公告ス可シ 第785条〔除権判決の効果〕 1. 除権判決アリタルトキハ其申立人ハ証書ニ因リ義務ヲ負担スル者ニ対シテ証書ニ因レル権 利ヲ主張スルコトヲ得 第8編 仲裁手続に進む 民事訴訟法 第8編 仲裁手続 目次に戻る 第786条〔仲裁契約の要件〕 1. 一名又ハ数名ノ仲裁人ヲシテ争ノ判断ヲ為サシムル合意ハ当事者カ係争物ニ付キ和解ヲ為 ス権利アル場合ニ限リ其効力ヲ有ス 第787条〔将来の争いに関する仲裁契約〕 1. 将来ノ争ニ関スル仲裁契約ハ一定ノ権利関係及ヒ其関係ヨリ生スル争ニ関セサルトキハ其 効力ヲ有セス 第788条〔仲裁人の選定〕 1. 仲裁契約ニ仲裁人ノ選定ニ関スル定ナキトキハ当事者ハ各一名ノ仲裁人ヲ選定ス 第789条〔仲裁人選定の方法〕 1. 当事者ノ双方カ仲裁人ヲ選定スル権利ヲ有スルトキハ先ニ手続ヲ為ス一方ハ書面ヲ以テ相 手方ニ其選定シタル仲裁人ヲ指示シ且七日ノ期間内ニ同一ノ手続ヲ為ス可キ旨ヲ催告ス可 シ 2. 右期間ヲ徒過シタルトキハ管轄裁判所ハ先ニ手続ヲ為ス一方ノ申立ニ因リ仲裁人ヲ選定ス 第790条〔仲裁人選定通知の効果〕 1. 当事者ノ一方ハ相手方ニ仲裁人選定ノ通知ヲ為シタル後ハ相手方ニ対シテ其選定ニ覊束セ ラル 第791条〔補欠選定〕 1. 仲裁契約ヲ以テ選定シタルニ非サル仲裁人カ死亡シ又ハ其他ノ理由ニ因リ欠缺シ又ハ其職 務ノ引受若クハ施行ヲ拒ミタルトキハ其仲裁人ヲ選定シタル当事者ハ相手方ノ催告ニ因リ 七日ノ期間内ニ他ノ仲裁人ヲ選定ス可シ此期間ヲ徒過シタルトキハ管轄裁判所ハ其催告ヲ 為シタル者ノ申立ニ因リ仲裁人ヲ選定ス可シ 第792条〔仲裁人の忌避〕 1. 当事者ハ裁判官ヲ忌避スル権利アルト同一ノ理由及ヒ条件ヲ以テ仲裁人ヲ忌避スルコトヲ 得 2. 此他仲裁契約ヲ以テ選定シタルニ非サル仲裁人カ其責務ノ履行ヲ不当ニ遅延スルトキハ亦 之ヲ忌避スルコトヲ得 3. 無能力者、聾者、者及ヒ公権ノ剥奪又ハ停止中ノ者ハ之ヲ忌避スルコトヲ得 第793条〔仲裁契約の失効〕 1. 仲裁契約ハ当事者ノ合意ヲ以テ左ノ場合ノ為メ予定ヲ為ササリシトキハ其効力ヲ失フ 第一 契約ニ於テ一定ノ人ヲ仲裁人ニ選定シ其仲裁人中ノ或ル人カ死亡シ又ハ其他ノ理由 ニ因リ欠缺シ又ハ其職務ノ引受ヲ拒ミ又ハ仲裁人ノ取結ヒタル契約ヲ解キ又ハ其責務ノ履 行ヲ不当ニ遅延シタルトキ 第二 仲裁人カ其意見ノ可否同数ナル旨ヲ当事者ニ通知シタルトキ 第794条〔仲裁判断手続〕 1. 仲裁人ハ仲裁判断前ニ当事者ヲ審訊シ且必要トスル限リハ争ノ原因タル事件関係ヲ探知ス 可シ 2. 仲裁手続ニ付キ当事者ノ合意アラサル場合ニ於テハ其手続ハ仲裁人ノ意見ヲ以テ之ヲ定ム 第795条〔証人・鑑定人の尋問〕 1. 仲裁人ハ其面前ニ任意ニ出頭スル証人及ヒ鑑定人ヲ訊問スルコトヲ得 2. 仲裁人ハ証人又ハ鑑定人ヲシテ宣誓ヲ為サシムル権ナシ 第796条〔管轄裁判所の協力〕 1. 仲裁人ノ必要ト認ムル判断上ノ行為ニシテ仲裁人ノ為スコトヲ得サルモノハ当事者ノ申立 ニ因リ管轄裁判所之ヲ為ス可シ但其申立ヲ相当ト認メタルトキニ限ル 2. 証人又ハ鑑定人ニ供述ヲ命シタル裁判所ハ証拠ヲ述フルコト又ハ鑑定ヲ為スコトヲ拒ミタ ル場合ニ於テ必要ナル裁判ヲモ亦為ス権アリ 第797条〔抗弁と仲裁人の手続続行権〕 1. 仲裁人ハ当事者カ仲裁手続ヲ許ス可カラサルコトヲ主張スルトキ殊ニ法律上有効ナル仲裁 契約ノ成立セサルコト、仲裁契約カ判断ス可キ争ニ関係セサルコト又ハ仲裁人カ其職務ヲ 施行スル権ナキコトヲ主張スルトキト雖モ仲裁手続ヲ続行シ且仲裁判断ヲ為スコトヲ得 第798条〔数名の仲裁人の合議〕 1. 数名ノ仲裁人カ仲裁判断ヲ為ス可キトキハ過半数ヲ以テ其判断ヲ為ス可シ但仲裁契約ニ別 段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス 第799条〔仲裁判断〕 1. 仲裁判断ニハ其作リタル年月日ヲ記載シテ仲裁人之ニ署名捺印ス可シ 2. 仲裁人ノ署名捺印シタル判断ノ正本ハ之ヲ当事者ニ送達シ其原本ハ送達ノ証書ヲ添ヘテ管 轄裁判所ニ之ヲ預ケ置ク可シ 〔昭二三法一四九第二項改正〕 第800条〔仲裁判断の効力〕 1. 仲裁判断ハ当事者間ニ於テ確定シタル裁判所ノ判決ト同一ノ効力ヲ有ス 第801条〔仲裁判断取消の訴え〕 1. 仲裁判断ノ取消ハ左ノ場合ニ於テ之ヲ申立ツルコトヲ得 第一 仲裁手続ヲ許ス可カラサリシトキ 第二 仲裁判断カ法律上禁止ノ行為ヲ為ス可キ旨ヲ当事者ニ言渡シタルトキ 第三 当事者カ仲裁手続ニ於テ法律ノ規定ニ従ヒ代理セラレサリシトキ 第四 仲裁手続ニ於テ当事者ヲ審訊セサリシトキ 第五 仲裁判断ニ理由ヲ付セサリシトキ 第六 第四百二十条第四号乃至第八号〔再審事由〕ノ場合ニ於テ再審ノ訴ヲ許ス条件ノ存 スルトキ 2. 仲裁判断ノ取消ハ当事者カ別段ノ合意ヲ為シタルトキハ本条第四号及ヒ第五号ニ掲ケタル 理由ニ因リ之ヲ為スコトヲ得ス 〔大一五法六一第一項改正〕 第802条〔仲裁判断による強制執行〕 1. 仲裁判断ニ因リ為ス強制執行ハ執行判決ヲ以テ其許ス可キコトヲ言渡シタルトキニ限リ之 ヲ為スコトヲ得 2. 右執行判決ハ仲裁判断ノ取消ヲ申立ツルコトヲ得ヘキ理由ノ存スルトキハ之ヲ為スコトヲ 得ス 第803条〔執行判決後の仲裁判断取消の訴え〕 1. 執行判決ヲ為シタル後ハ仲裁判断ノ取消ハ第八百一条第六号ニ掲ケタル理由ニ因リテノミ 之ヲ申立ツルコトヲ得但当事者カ自己ノ過失ニ非スシテ前手続ニ於テ取消ノ理由ヲ主張ス ル能ハサリシコトヲ疏明シタルトキニ限ル 第804条〔出訴期間〕 1. 仲裁判断取消ノ訴ハ前条ノ場合ニ於テハ一个月ノ不変期間内ニ之ヲ起ス可シ 2. 右期間ハ当事者カ取消ノ理由ヲ知リタル日ヲ以テ始マル然レトモ執行判決ノ確定前ニハ始 マラサルモノトス但執行判決ノ確定ト為リタル日ヨリ起算シテ五个年ノ満了後ハ此訴ヲ起 スコトヲ許サス 3. 仲裁判断ヲ取消ストキハ執行判決ノ取消ヲモ亦言渡ス可シ 第805条〔仲裁手続に関する訴えの管轄裁判所〕 1. 仲裁人ヲ選定シ若クハ忌避スルコト、仲裁契約ノ消滅スルコト、仲裁手続ヲ許ス可カラサ ルコト、仲裁判断ヲ取消スコト又ハ執行判決ヲ為スコトヲ目的トスル訴ニ付テハ仲裁契約 ニ指定シタル簡易裁判所又ハ地方裁判所之ヲ管轄シ其指定ナキトキハ請求ヲ裁判上主張ス ル場合ニ於テ管轄ヲ有ス可キ簡易裁判所又ハ地方裁判所之ヲ管轄ス 2. 前項ニ依リ管轄ヲ有スル裁判所数箇アルトキハ当事者又ハ仲裁人カ最初ニ関係セシメタル 裁判所之ヲ管轄ス 〔昭二三法一四九第一項改正〕