キュプリア

キュプリア

キュプリア」(Cypria)は、古代ギリシャの叙事詩で、トロイア戦争に関する物語を扱っています。この詩は「トロイアサイクル」(Epic Cycle)の一部であり、ホメロスの『イリアス』に先行する出来事を描いています。作者は不明ですが、紀元前7世紀頃に成立したと考えられています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/キュプリア

「キュプリア」の内容は以下のようなエピソードを含みます:

  1. ゼウスの計略:人口過剰の地上を減らすために、ゼウスがトロイア戦争を引き起こす計画を立てる。
  2. 結婚式の宴:ペレウスとテティスの結婚式で、エリスが金の林檎を投げ、これが原因でパリスの審判が行われる。
  3. パリスの審判:パリスが三女神(ヘラ、アテナ、アフロディーテ)の中から最も美しい女神を選び、アフロディーテを選ぶことでヘレネとの恋が始まる。
  4. ヘレネの誘拐:パリスがスパルタからヘレネを連れ去り、これがトロイア戦争の直接の原因となる。
  5. ギリシャ軍の集結:ギリシャ各地から戦士たちが集まり、トロイア遠征が始まる。

「キュプリア」のテキストは現存しておらず、現代に伝わるのは断片や古代の引用のみです。詩の詳細な内容や全体像は、他の古代の文献や後代の解説から推測されています。

トロイアサイクル」(Epic Cycle)

「トロイアサイクル」(Epic Cycle)は、トロイア戦争に関する一連の古代ギリシャの叙事詩群を指します。これらの詩は、ホメロスの『イリアス』と『オデュッセイア』の物語を補完し、戦争の前後の出来事を詳述しています。以下は、トロイアサイクルを構成する主な詩とその内容です:

  1. キュプリア(Cypria)
    • トロイア戦争の前日譚を描く。
    • ゼウスの計略、ペレウスとテティスの結婚式、パリスの審判、ヘレネの誘拐、ギリシャ軍の集結など。
  2. イリアス(Iliad)
    • ホメロス作。
    • トロイア戦争の10年目に焦点を当て、アキレウスの怒りとヘクトールの死を描く。
  3. アイティオピス(Aethiopis)
    • アキレウスの死後の出来事を描く。
    • エチオピアの王子メムノンの到着と戦死、アキレウスの死とその葬儀。
  4. 小イリアス(Little Iliad)
    • トロイア戦争の後半の出来事を描く。
    • アキレウスの武具をめぐる争い、トロイアの木馬の計画、トロイアの陥落の準備。
  5. イリオペルシス(Iliou Persis)
    • トロイアの陥落を描く。
    • トロイアの木馬の中のギリシャ兵たち、トロイア市の破壊、王プリアモスの殺害。
  6. ノストイ(Nostoi)
    • トロイア戦争後のギリシャ英雄たちの帰還を描く。
    • アガメムノンの帰国と死、その他の英雄たちの帰還の物語。
  7. オデュッセイア(Odyssey)
    • ホメロス作。
    • トロイア戦争後のオデュッセウスの冒険と彼の帰還を描く。
  8. テレゴネイア(Telegony)
    • オデュッセウスの死後の物語を描く。
    • オデュッセウスとキルケの息子テレゴノスの冒険と、父子の再会。

これらの詩は断片的にしか現存しておらず、多くは後世の著述家による引用や要約から知られています。ホメロスの『イリアス』と『オデュッセイア』が最も完全な形で残っており、他の詩はその補完としての役割を果たしています。