テュキュディデス「戦史」第4章

テュキュディデス「戦史」第4章

Μίνως γὰρ παλαίτατος ὧν ἀκοῇ ἴσμεν ναυτικὸνἐκτήσατο καὶ τῆς νῦν Ἑλληνικῆς θαλάσσης ἐπὶπλεῖστον ἐκράτησε καὶ τῶν Κυκλάδων νήσωνἦρξέ τε καὶ οἰκιστὴς πρῶτος τῶν πλείστωνἐγένετο, Κᾶρας ἐξελάσας καὶ τοὺς ἑαυτοῦ παῖδαςἡγεμόνας ἐγκαταστήσας· τό τε λῃστικόν, ὡς εἰκός,καθῄρει ἐκ τῆς θαλάσσης ἐφ’ ὅσον ἐδύνατο, τοῦτὰς προσόδους μᾶλλον ἰέναι αὐτῷ.

「というのも、ミノスは我々が伝え聞く中で最も古い時代に海軍を組織し、今のエーゲ海域の広範囲にわたって支配権を確立した。そしてキクラデス諸島を支配し、カリア人を追い出して、多くの島々の最初の開拓者となり、自分の息子たちをその島々の統治者に任命した。また、当然のことながら、彼の収入を増やすために、可能な限り海賊行為を取り締まった。」

ミノス(Minos)は、ギリシャ神話に登場するクレタ島の伝説的な王で、クレタ文明(ミノア文明)に関連する重要な人物です。ミノスはゼウスとエウロペの息子で、正義感と強力な統治力で知られています。彼は特にエーゲ海全域にわたって海軍を発展させ、海上の支配者として名を残しました。

ミノスに関連する有名な神話の一つが、ミノタウロスの物語です。ミノスは神々の怒りを買い、妻パシパエがミノタウロスという半人半牛の怪物を産みます。このミノタウロスはラビリンス(迷宮)に閉じ込められ、アテナイの若者たちが生け贄として捧げられていましたが、英雄テセウスがこれを討ち取りました。

また、ミノスは死後、冥界で正義の審判者となったともされ、彼の名は正義と法の象徴として後世に語り継がれています。彼の統治は、特に海洋帝国の創設とその繁栄に関連付けられ、エーゲ海地域に大きな影響を与えました。