所論は、原審において主張、判断を経ていない事項に関する違憲の主張であつて、上告適法の理由に当らない。
なお、職権をもつて調査しても、その理由のないことは以下述べるとおりである。
所論は、原審において主張、判断を経ていない事項に関する違憲の主張であつて、上告適法の理由に当らない。
なお、職権をもつて調査しても、その理由のないことは以下述べるとおりである。
すなわち、憲法14条はすべて国民は、法の下に平等であつて、......
と規定し、直接には日本国民を対象とするものではあるが、
法の下における平等の原則は、近代民主主義諸国の憲法における基礎的な政治原理の一としてひろく承認されており、
また、既にわが国も加入した国際連合が1948年の第三回総会において採択した世界人権宣言の七条においても、すべて人は法の前において平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等な保護を受ける権利を有する。......
と定めているところに鑑みれば、
わが憲法14条の趣旨は、特段の事情の認められない限り、外国人に対しても類推さるべきものと解するのが相当である。
他面、憲法14条は法の下の平等の原則を認めいてるが、 各人には、経済的、社会的その他種々の事実関係上の差異が存するものであるから、 法規の制定またはその適用の面において、右のような事実関係上の差異から生ずる不均等が各人の間にあることは免れ難いところであり、 その不均等が、一般社会観念上合理的な根拠に基づき必要と認められるものである場合には、これをもつて憲法14条の法の下の平等の原則に反するものといえないことは、当裁判所の判例とするところである(昭和二四年(れ)第1890号、同25年6月7日大法廷判決、刑集四巻六号九五六頁、昭和三一年(あ)第635号、同33年3月12日大法廷判決、刑集一二巻三号五〇一頁等)。
ところで、所論日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律(昭和三三年法律第六八号による改正前の昭和二七年法律第一一二号、以下特例法という。)は、 同法六条、 一一条、 一二条等の規定により、合衆国軍隊の公用物品等のわが国への輸入については、 それが合衆国軍隊、その構成員、軍属、これらの者の家族等の用に供するためのものである限りにおいては、関税を課さないが、これをその他の者が日本国内において譲り受けようとする場合には、当該譲受を輸入とみなして関税法を適用する旨を定めたものであるところ、 右諸規定は、前記安全保障条約に基づく行政協定11条が合衆国軍隊、その構成員等の用に供する物品等のわが国への輸入につき、関税を課さない旨を規定しているところに照応し、同条の規定を実施するため制定されたものにほかならない。
そして、前記安全保障条約および行政協定が違憲無効と認められないことは、当裁判所の判例とするところであり(昭和34年(あ)第710号、同年12月16日大法廷判決、刑集一三巻一三号三二二五頁)、 また、憲法九八条二項は、わが国が締結した条約と確立された国際法規はこれを誠実に遵守すべきことを定めており、 さらに、外国軍隊が条約によりまたは同意を得て他国に駐在する場合、その外国軍隊の機能を全うさせる必要上、これに対しこの種の特権を認めることは、一般に承認された国際慣行と認められる。
しからば、このような諸点を総合して観察すれば、 特例法が、合衆国軍隊、その構成員等に対し所論の特権を認めたことは、十分合理的な根拠があると認められるのであつて、右特例法の諸規定は憲法14条に違反するものということはできない。
それ故、所論憲法14条違反の主張は理由がない。
所論は事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
所論は事実誤認、単なる訴訟法違反、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
所論は原審において主張、判断を経ていない事項に関する違憲の主張であつて、上告適法の理由に当らない。