テュキュディデス「戦史」第20章

The Origin of Human Society

テュキュディデス「戦史」第20章

τὰ μὲν οὖν παλαιὰ τοιαῦτα ηὗρον, χαλεπὰ ὄντα παντὶ ἑξῆς τεκμηρίῳπιστεῦσαι. οἱ γὰρ ἄνθρωποι τὰς ἀκοὰς τῶν προγεγενημένων, καὶ ἢνἐπιχώρια σφίσιν ᾖ, ὁμοίως ἀβασανίστως παρ’ ἀλλήλων δέχονται.

「さて、古い出来事については、このようなことを発見したが、すべてを連続して確かな証拠で信じるのは困難である。というのも、人々は過去の出来事に関する話を、たとえそれが自分たちに関わるものであっても、同じように吟味せずに互いに受け入れるからだ。」

この文は、過去の歴史的事実を確実に知ることの難しさについて述べています。人々は、過去の出来事に関する伝聞を、その真偽を十分に確認せずに受け入れてしまう傾向があることを指摘しています。

Ἀθηναίων γοῦν τὸ πλῆθος Ἵππαρχον οἴονται ὑφ’ Ἁρμοδίου καὶἈριστογείτονος τύραννον ὄντα ἀποθανεῖν, καὶ οὐκ ἴσασιν ὅτι Ἱππίαςμὲν πρεσβύτατος ὢν ἦρχε τῶν Πεισιστράτου υἱέων, Ἵππαρχος δὲ καὶΘεσσαλὸς ἀδελφοὶ ἦσαν αὐτοῦ, ὑποτοπήσαντες δέ τι ἐκείνῃ τῇ ἡμέρᾳκαὶ παραχρῆμα Ἁρμόδιος καὶ Ἀριστογείτων ἐκ τῶν ξυνειδότων σφίσινἹππίᾳ μεμηνῦσθαι τοῦ μὲν ἀπέσχοντο ὡς προειδότος, βουλόμενοι δὲπρὶν ξυλληφθῆναι δράσαντές τι καὶ κινδυνεῦσαι, τῷ Ἱππάρχῳπεριτυχόντες περὶ τὸ Λεωκόρειον καλούμενον τὴν Παναθηναϊκὴνπομπὴν διακοσμοῦντι ἀπέκτειναν.

「たとえば、アテナイの多くの人々は、ヒッパルコスがハルモディオスとアリストゲイトンによって僭主として殺されたと考えているが、彼らはヒッピアスがピシストラトスの息子たちの中で長男として支配していたことを知らない。ヒッパルコスとテッサロスは彼の兄弟であった。その日、ハルモディオスとアリストゲイトンは、彼らの計画がヒッピアスに知られていると疑い、ヒッピアスが事前に知っていると考えて手を出さなかったが、逮捕される前に何か行動を起こし、危険を冒そうと考え、パナティナイア祭の行列を整えていたヒッパルコスに出会い、レウコレイオンの近くで彼を殺害した。」

この文は、アテナイ市民が誤ってヒッパルコスを僭主として考えていることを指摘し、実際には彼の兄ヒッピアスが支配者であったこと、そしてヒッパルコスがハルモディオスとアリストゲイトンによって殺害された経緯を説明しています。

πολλὰ δὲ καὶ ἄλλα ἔτι καὶ νῦν ὄντα καὶ οὐ χρόνῳ ἀμνηστούμενα καὶ οἱἄλλοι Ἕλληνες οὐκ ὀρθῶς οἴονται, ὥσπερ τούς τε Λακεδαιμονίωνβασιλέας μὴ μιᾷ ψήφῳ προστίθεσθαι ἑκάτερον, ἀλλὰ δυοῖν, καὶ τὸνΠιτανάτην λόχον αὐτοῖς εἶναι, ὃς οὐδ’ ἐγένετο πώποτε. οὕτωςἀταλαίπωρος τοῖς πολλοῖς ἡ ζήτησις τῆς ἀληθείας, καὶ ἐπὶ τὰ ἑτοῖμαμᾶλλον τρέπονται.

「他にも多くのことが今なお存在しており、時間が経っても忘れられていないにもかかわらず、他のギリシャ人たちは正しく理解していないことがある。たとえば、スパルタの王たちが一票で選ばれるのではなく、二人であると考えていることや、ピタナータの軍団が存在したと考えていることなどがあるが、実際にはそのようなものは存在しなかった。このように、多くの人々にとって真実を求めるのは非常に面倒であり、既成の事実に頼りがちである。」

この文は、歴史に関する誤解や誤認識が多く存在し、特にスパルタの王の選出方法やピタナータの軍団についての誤解を指摘し、多くの人々が真実を探求するのが面倒で、すでに知られている事実に依存する傾向があることを説明しています。