ヘロドトス「歴史」第69章
ταῦτα δὴ ὦν πάντα πυνθανόμενος ὁ Κροῖσος ἔπεμπε ἐςΣπάρτην ἀγγέλους δῶρά τε φέροντας καὶ δεησομένουςσυμμαχίης, ἐντειλάμενός τε τὰ λέγειν χρῆν. οἳ δὲ ἐλθόντεςἔλεγον
「このような全てのことを知ったクロイソスは、スパルタへ使者を送り、贈り物を持って行かせ、同盟を求めるよう指示した。そして、彼らに言うべきことを命じた。使者たちはスパルタに到着し、こう述べた。」
これは、クロイソスがスパルタに助けを求めるために使者を送る場面で、古代ギリシャ世界における外交の一端を示すエピソードです。
ἔπεμψε ἡμέας Κροῖσος ὁ Λυδῶν τε καὶ ἄλλων ἐθνέωνβασιλεύς, λέγων τάδε. ὦ Λακεδαιμόνιοι, χρήσαντος τοῦ θεοῦτὸν Ἕλληνα φίλον προσθέσθαι, ὑμέας γὰρ πυνθάνομαιπροεστάναι τῆς Ἑλλάδος, ὑμέας ὦν κατὰ τὸ χρηστήριονπροσκαλέομαι φίλος τε θέλων γενέσθαι καὶ σύμμαχος ἄνευ τεδόλου καὶ ἀπάτης.
このギリシャ語の文は、リュディア王クロイソスがスパルタに送った使者が述べた言葉の一部です。日本語に訳すと、次のようになります。
「リュディア人や他の民族の王であるクロイソスが我々を送り、こう言いました。『ラケダイモン人(スパルタ人)よ、神託によりギリシャ人を友とするよう命じられたので、私はあなた方がギリシャの指導者であると聞いている。ゆえに、神託に従い、あなた方に友人として、また同盟者として加わることを願い、何の偽りも欺きもなく、あなた方を招こうとしている。』」
この場面は、クロイソスがスパルタに同盟を求めるための外交的な使者の言葉を伝えており、彼が神託に基づいてスパルタを信頼し、誠実に協力を求めていることを示しています。
Κροῖσος μὲν δὴ ταῦτα διʼ ἀγγέλων ἐπεκηρυκεύετο,Λακεδαιμόνιοι δὲ ἀκηκοότες καὶ αὐτοὶ τὸ θεοπρόπιον τὸΚροίσῳ γενόμενον ἥσθησάν τε τῇ ἀπίξι τῶν Λυδῶν καὶἐποιήσαντο ὅρκια ξεινίης πέρι καὶ συμμαχίης· καὶ γὰρ τινὲςαὐτοὺς εὐεργεσίαι εἶχον ἐκ Κροίσου πρότερον ἔτι γεγονυῖαι.
このギリシャ語の文は、クロイソスがスパルタに使者を送った結果、スパルタ側の反応を述べています。日本語に訳すと、次のようになります。
「クロイソスはこのようなことを使者を通じて伝えたが、ラケダイモン人(スパルタ人)は、クロイソスに下された神託を聞いて自分たちも喜び、リュディア人の到来を歓迎し、友情と同盟に関する誓いを立てた。というのも、彼らには以前からクロイソスによって受けた恩恵があったからである。」
この文は、スパルタがクロイソスの提案を受け入れ、友好と同盟を結んだ経緯を説明しています。クロイソスは以前からスパルタに対して善意を示していたため、スパルタも彼に対して好意的な対応をしたことが示されています。
πέμψαντες γὰρ οἱ Λακεδαιμόνιοι ἐς Σάρδις χρυσὸν ὠνέοντο, ἐςἄγαλμα βουλόμενοι χρήσασθαι τοῦτο τὸ νῦν τῆς Λακωνικῆς ἐνΘόρνακι ἵδρυται Ἀπόλλωνος· Κροῖσος δέ σφι ὠνεομένοισιἔδωκε δωτίνην.
このギリシャ語の文は、スパルタ人がリュディア王クロイソスから受けた贈り物に関する記述です。日本語に訳すと次のようになります。
「ラケダイモン人(スパルタ人)はサルディスに使者を送り、金を買い求め、それをラコニア地方のトルナクスに現在建てられているアポロンの像に用いるつもりであった。しかし、クロイソスは彼らが金を買おうとした時に、贈り物としてそれを与えた。」
この文は、スパルタ人がアポロンの像を建てるためにクロイソスから金を買おうとしたが、クロイソスがその金を贈り物として提供したことを伝えています。クロイソスの寛大さがここでも示されています。