ホメロス「イリアス」#4(92-129)

The Origin of Human Society

ホメロス「イリアス」#4(92-129)

καὶ τότε δὴ θάρσησε καὶ ηὔδα μάντις ἀμύμων·

οὔ τʼ ἄρ ὅ γʼ εὐχωλῆς ἐπιμέμφεται οὐδʼ ἑκατόμβης,

ἀλλʼ ἕνεκʼ ἀρητῆρος ὃν ἠτίμησʼ Ἀγαμέμνων,

οὐδʼ ἀπέλυσε θύγατρα καὶ οὐκ ἀπεδέξατʼ ἄποινα,

τοὔνεκʼ ἄρʼ ἄλγεʼ ἔδωκεν ἑκηβόλος ἠδʼ ἔτι δώσει·

οὐδʼ ὅ γε πρὶν Δαναοῖσιν ἀεικέα λοιγὸν ἀπώσει

πρίν γʼ ἀπὸ πατρὶ φίλῳ δόμεναι ἑλικώπιδα κούρην

ἀπριάτην ἀνάποινον, ἄγειν θʼ ἱερὴν ἑκατόμβην

ἐς Χρύσην· τότε κέν μιν ἱλασσάμενοι πεπίθοιμεν.

ἤτοι ὅ γʼ ὣς εἰπὼν κατʼ ἄρʼ ἕζετο· τοῖσι δʼ ἀνέστη

ἥρως Ἀτρεΐδης εὐρὺ κρείων Ἀγαμέμνων

ἀχνύμενος· μένεος δὲ μέγα φρένες ἀμφιμέλαιναι

πίμπλαντʼ, ὄσσε δέ οἱ πυρὶ λαμπετόωντι ἐΐκτην·

Κάλχαντα πρώτιστα κάκʼ ὀσσόμενος προσέειπε·

μάντι κακῶν οὐ πώ ποτέ μοι τὸ κρήγυον εἶπας·

αἰεί τοι τὰ κάκʼ ἐστὶ φίλα φρεσὶ μαντεύεσθαι,

ἐσθλὸν δʼ οὔτέ τί πω εἶπας ἔπος οὔτʼ ἐτέλεσσας·

καὶ νῦν ἐν Δαναοῖσι θεοπροπέων ἀγορεύεις

ὡς δὴ τοῦδʼ ἕνεκά σφιν ἑκηβόλος ἄλγεα τεύχει,

οὕνεκʼ ἐγὼ κούρης Χρυσηΐδος ἀγλάʼ ἄποινα

οὐκ ἔθελον δέξασθαι, ἐπεὶ πολὺ βούλομαι αὐτὴν

οἴκοι ἔχειν· καὶ γάρ ῥα Κλυταιμνήστρης προβέβουλα

κουριδίης ἀλόχου, ἐπεὶ οὔ ἑθέν ἐστι χερείων,

οὐ δέμας οὐδὲ φυήν, οὔτʼ ἂρ φρένας οὔτέ τι ἔργα.

ἀλλὰ καὶ ὧς ἐθέλω δόμεναι πάλιν εἰ τό γʼ ἄμεινον·

βούλομʼ ἐγὼ λαὸν σῶν ἔμμεναι ἢ ἀπολέσθαι·

αὐτὰρ ἐμοὶ γέρας αὐτίχʼ ἑτοιμάσατʼ ὄφρα μὴ οἶος

Ἀργείων ἀγέραστος ἔω, ἐπεὶ οὐδὲ ἔοικε·

λεύσσετε γὰρ τό γε πάντες ὅ μοι γέρας ἔρχεται ἄλλῃ.

τὸν δʼ ἠμείβετʼ ἔπειτα ποδάρκης δῖος Ἀχιλλεύς·

Ἀτρεΐδη κύδιστε φιλοκτεανώτατε πάντων,

πῶς γάρ τοι δώσουσι γέρας μεγάθυμοι Ἀχαιοί;

οὐδέ τί που ἴδμεν ξυνήϊα κείμενα πολλά·

ἀλλὰ τὰ μὲν πολίων ἐξεπράθομεν, τὰ δέδασται,

λαοὺς δʼ οὐκ ἐπέοικε παλίλλογα ταῦτʼ ἐπαγείρειν.

ἀλλὰ σὺ μὲν νῦν τήνδε θεῷ πρόες· αὐτὰρ Ἀχαιοὶ

τριπλῇ τετραπλῇ τʼ ἀποτείσομεν, αἴ κέ ποθι Ζεὺς

δῷσι πόλιν Τροίην εὐτείχεον ἐξαλαπάξαι.

以下はホメーロスの『イーリアス』からの続き部分の日本語訳です。


すると、予言者カリカスは勇気を持って語り始めた。
「アポロン神は祈りや犠牲に不満を持っているのではなく、
アガメムノンがクリューセスの娘を解放せず、
身代金を受け取らなかったために怒っているのだ。
だから、アポロンは苦しみを与え、今も与え続けるだろう。
アポロンは、クリューセスの娘を父親に無償で返し、
代わりに神聖な犠牲を捧げるまで怒りを鎮めることはない。
そうすれば、私たちは神の怒りを鎮めることができるかもしれない。」
こう言ってカリカスは座った。すると英雄アガメムノンが立ち上がった。
彼は怒りに満ち、胸の中で激しい憤りが湧き起こり、
その目は燃え盛る火のように輝いていた。
彼はまず予言者カリカスを睨みつけ、こう言った。
「悪いことばかりを予言する預言者よ、
お前はこれまで一度も私に良いことを告げたことがない。
常に悪いことばかりを予言し、善いことは一度も言わなかった。
今も、アポロン神が私のせいでギリシャ軍に苦しみを与えていると語るが、
それは私がクリューセスの娘の輝かしい身代金を受け取らず、
彼女を家に留めたかったからだ。
私は彼女を、自分の妻クリュタイムネストラよりも好んでいる。
なぜなら、彼女は美しさ、体格、知恵、そして技芸においても劣らないからだ。
しかし、それでも彼女を返すべきなら返そう。
私は軍隊が滅びるよりも守られることを望んでいるからだ。
だが、私の名誉ある分け前はどうする?
私がただ一人、ギリシャ軍の中で分け前を持たないままでいることはありえない。
皆が見ているように、私の分け前は他の者たちに奪われてしまったのだ。」
これに対し、足速のアキレウスが答えた。
「アトレウスの息子アガメムノンよ、
あなたはギリシャ軍の中で最も名誉を求め、財を愛する者だ。
しかし、ギリシャ軍がどうやってあなたに分け前を与えることができるだろうか?
私たちは奪った戦利品をすでに分配してしまった。
軍全体が再びそれらを集めるのは不可能だ。
だから今は、その娘を神に返し、後で私たちがトロイのよく防備された都市を
攻略できれば、三倍にも四倍にもしてあなたに返そう。」


要約:
カリカスは、アポロン神がアガメムノンのせいでギリシャ軍に疫病をもたらしていると告げます。アガメムノンはその理由が、彼がクリューセスの娘を返さなかったことにあると知り、娘を返す意思を示しますが、自分の名誉を守るために、新たな分け前を要求します。これに対してアキレウスは、今は何も分け与えるものはないが、後にトロイを攻略した際に十分な報酬を与えることを約束します。