キュプリア
キュプリア」(Cypria)は、古代ギリシャの叙事詩で、トロイア戦争に関する物語を扱っています。この詩は「トロイアサイクル」(Epic Cycle)の一部であり、ホメロスの『イリアス』に先行する出来事を描いています。作者は不明ですが、紀元前7世紀頃に成立したと考えられています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/キュプリア
「キュプリア」の内容は以下のようなエピソードを含みます:
- ゼウスの計略:人口過剰の地上を減らすために、ゼウスがトロイア戦争を引き起こす計画を立てる。
- 結婚式の宴:ペレウスとテティスの結婚式で、エリスが金の林檎を投げ、これが原因でパリスの審判が行われる。
- パリスの審判:パリスが三女神(ヘラ、アテナ、アフロディーテ)の中から最も美しい女神を選び、アフロディーテを選ぶことでヘレネとの恋が始まる。
- ヘレネの誘拐:パリスがスパルタからヘレネを連れ去り、これがトロイア戦争の直接の原因となる。
- ギリシャ軍の集結:ギリシャ各地から戦士たちが集まり、トロイア遠征が始まる。
「キュプリア」のテキストは現存しておらず、現代に伝わるのは断片や古代の引用のみです。詩の詳細な内容や全体像は、他の古代の文献や後代の解説から推測されています。
トロイアサイクル」(Epic Cycle)
「トロイアサイクル」(Epic Cycle)は、トロイア戦争に関する一連の古代ギリシャの叙事詩群を指します。これらの詩は、ホメロスの『イリアス』と『オデュッセイア』の物語を補完し、戦争の前後の出来事を詳述しています。以下は、トロイアサイクルを構成する主な詩とその内容です:
- キュプリア(Cypria):
- トロイア戦争の前日譚を描く。
- ゼウスの計略、ペレウスとテティスの結婚式、パリスの審判、ヘレネの誘拐、ギリシャ軍の集結など。
- イリアス(Iliad):
- ホメロス作。
- トロイア戦争の10年目に焦点を当て、アキレウスの怒りとヘクトールの死を描く。
- アイティオピス(Aethiopis):
- アキレウスの死後の出来事を描く。
- エチオピアの王子メムノンの到着と戦死、アキレウスの死とその葬儀。
- 小イリアス(Little Iliad):
- トロイア戦争の後半の出来事を描く。
- アキレウスの武具をめぐる争い、トロイアの木馬の計画、トロイアの陥落の準備。
- イリオペルシス(Iliou Persis):
- トロイアの陥落を描く。
- トロイアの木馬の中のギリシャ兵たち、トロイア市の破壊、王プリアモスの殺害。
- ノストイ(Nostoi):
- トロイア戦争後のギリシャ英雄たちの帰還を描く。
- アガメムノンの帰国と死、その他の英雄たちの帰還の物語。
- オデュッセイア(Odyssey):
- ホメロス作。
- トロイア戦争後のオデュッセウスの冒険と彼の帰還を描く。
- テレゴネイア(Telegony):
- オデュッセウスの死後の物語を描く。
- オデュッセウスとキルケの息子テレゴノスの冒険と、父子の再会。
これらの詩は断片的にしか現存しておらず、多くは後世の著述家による引用や要約から知られています。ホメロスの『イリアス』と『オデュッセイア』が最も完全な形で残っており、他の詩はその補完としての役割を果たしています。