第三条
満二十年ヲ以テ成年トス
満二十年ヲ以テ成年トス
未成年者カ法律行為ヲ為スニハ其法定代理人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス但単ニ権利ヲ得又ハ義務ヲ免ルヘキ行為ハ此限ニ在ラス
前項ノ規定ニ反スル行為ハ之ヲ取消スコトヲ得
第七百二十五条 左ニ掲ケタル者ハ之ヲ親族トス
一 六親等内ノ血族
二 配偶者
三 三親等内ノ姻族
第七百二十六条 親等ハ親族間ノ世数ヲ算シテ之ヲ定ム
傍系親ノ親等ヲ定ムルニハ其一人又ハ其配偶者ヨリ同始祖ニ遡リ其始祖ヨリ他ノ一人ニ下ルマテノ世数ニ依ル
第七百二十七条 養子ト養親及ヒ其血族トノ間ニ於テハ養子縁組ノ日ヨリ血族間ニ於ケルト同一ノ親族関係ヲ生ス
第七百二十八条 継父母ト継子ト又嫡母ト庶子トノ間ニ於テハ親子間ニ於ケルト同一ノ親族関係ヲ生ス
第七百二十九条 姻族関係及ヒ前条ノ親族関係ハ離婚ニ因リテ止ム
夫婦ノ一方カ死亡シタル場合ニ於テ生存配偶者カ其家ヲ去リタルトキ亦同シ
第七百三十条 養子ト養親及ヒ其血族トノ親族関係ハ離縁ニ因リテ止ム
養親カ養家ヲ去リタルトキハ其者及ヒ其実方ノ血族ト養子トノ親族関係ハ之ニ因リテ止ム
養子ノ配偶者、直系卑属又ハ其配偶者カ養子ノ離縁ニ因リテ之ト共ニ養家ヲ去リタルトキハ其者ト養親及ヒ其血族トノ親族関係ハ之ニ因リテ止ム
第七百三十一条 第七百二十九条第二項及ヒ前条第二項ノ規定ハ本家相続、分家及ヒ廃絶家再興ノ場合ニハ之ヲ適用セス
第七百三十二条 戸主ノ親族ニシテ其家ニ在ル者及ヒ其配偶者ハ之ヲ家族トス
戸主ノ変更アリタル場合ニ於テハ旧戸主及ヒ其家族ハ新戸主ノ家族トス
第七百三十三条 子ハ父ノ家ニ入ル
父ノ知レサル子ハ母ノ家ニ入ル
父母共ニ知レサル子ハ一家ヲ創立ス
第七百三十四条 父カ子ノ出生前ニ離婚又ハ離縁ニ因リテ其家ヲ去リタルトキハ前条第一項ノ規定ハ懐胎ノ始ニ遡リテ之ヲ適用ス
前項ノ規定ハ父母カ共ニ其家ヲ去リタル場合ニハ之ヲ適用セス但母カ子ノ出生前ニ復籍ヲ為シタルトキハ此限ニ在ラス
第七百三十五条 家族ノ庶子及ヒ私生子ハ戸主ノ同意アルニ非サレハ其家ニ入ルコトヲ得ス
庶子カ父ノ家ニ入ルコトヲ得サルトキハ母ノ家ニ入ル
私生子カ母ノ家ニ入ルコトヲ得サルトキハ一家ヲ創立ス
>第七百三十六条 女戸主カ入夫婚姻ヲ為シタルトキハ入夫ハ其家ノ戸主ト為ル但当事者カ婚姻ノ当時反対ノ意思ヲ表示シタルトキハ此限ニ在ラス
第七百三十七条 戸主ノ親族ニシテ他家ニ在ル者ハ戸主ノ同意ヲ得テ其家族ト為ルコトヲ得但其者カ他家ノ家族タルトキハ其家ノ戸主ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
前項ニ掲ケタル者カ未成年者ナルトキハ親権ヲ行フ父若クハ母又ハ後見人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第七百三十八条 婚姻又ハ養子縁組ニ因リテ他家ニ入リタル者カ其配偶者又ハ養親ノ親族ニ非サル自己ノ親族ヲ婚家又ハ養家ノ家族ト為サント欲スルトキハ前条ノ規定ニ依ル外其配偶者又ハ養親ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
婚家又ハ養家ヲ去リタル者カ其家ニ在ル自己ノ直系卑属ヲ自家ノ家族ト為サント欲スルトキ亦同シ
第七百三十九条 婚姻又ハ養子縁組ニ因リテ他家ニ入リタル者ハ離婚又ハ離縁ノ場合ニ於テ実家ニ復籍ス
第七百四十条 前条ノ規定ニ依リテ実家ニ復籍スヘキ者カ実家ノ廃絶ニ因リテ復籍ヲ為スコト能ハサルトキハ一家ヲ創立ス但実家ヲ再興スルコトヲ妨ケス
第七百四十一条 婚姻又ハ養子縁組ニ因リテ他家ニ入リタル者カ更ニ婚姻又ハ養子縁組ニ因リテ他家ニ入ラント欲スルトキハ婚家又ハ養家及ヒ実家ノ戸主ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テ同意ヲ為ササリシ戸主ハ婚姻又ハ養子縁組ノ日ヨリ一年内ニ復籍ヲ拒ムコトヲ得
離籍セラレタル家族ハ一家ヲ創立ス他家ニ入リタル後復籍ヲ拒マレタル者カ離婚又ハ離縁ニ因リテ其家ヲ去リタルトキ亦同シ
家族ハ戸主ノ同意アルトキハ他家ヲ相続シ、分家ヲ為シ又ハ廃絶シタル本家、分家、同家其他親族ノ家ヲ再興スルコトヲ得但未成年者ハ親権ヲ行フ父若クハ母又ハ後見人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
法定ノ推定家督相続人ハ他家ニ入リ又ハ一家ヲ創立スルコトヲ得ス但本家相続ノ必要アルトキハ此限ニ在ラス
前項ノ規定ハ第七百五十条第二項ノ適用ヲ妨ケス
夫カ他家ニ入リ又ハ一家ヲ創立シタルトキハ妻ハ之ニ随ヒテ其家ニ入ル
第七百六十五条 男ハ満十七年女ハ満十五年ニ至ラサレハ婚姻ヲ為スコトヲ得ス
第七百六十六条 配偶者アル者ハ重ネテ婚姻ヲ為スコトヲ得ス
第七百六十七条 女ハ前婚ノ解消又ハ取消ノ日ヨリ六个月ヲ経過シタル後ニ非サレハ再婚ヲ為スコトヲ得ス
2 女カ前婚ノ解消又ハ取消ノ前ヨリ懐胎シタル場合ニ於テハ其分娩ノ日ヨリ前項ノ規定ヲ適用セス
第七百六十八条 姦通ニ因リテ離婚又ハ刑ノ宣告ヲ受ケタル者ハ相姦者ト婚姻ヲ為スコトヲ得ス
第七百六十九条 直系血族又ハ三親等内ノ傍系血族ノ間ニ於テハ婚姻ヲ為スコトヲ得ス但養子ト養方ノ傍系血族トノ間ハ此限ニ在ラス
第七百七十条 直系姻族ノ間ニ於テハ婚姻ヲ為スコトヲ得ス第七百二十九条ノ規定ニ依リ姻族関係カ止ミタル後亦同シ
第七百七十一条 養子、其配偶者、直系卑属又ハ其配偶者ト養親又ハ其直系尊属トノ間ニ於テハ第七百三十条ノ規定ニ依リ親族関係カ止ミタル後ト雖モ婚姻ヲ為スコトヲ得ス
第七百七十二条 子カ婚姻ヲ為スニハ其家ニ在ル父母ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス但男カ満三十年女カ満二十五年ニ達シタル後ハ此限ニ在ラス
2 父母ノ一方カ知レサルトキ、死亡シタルトキ、家ヲ去リタルトキ又ハ其意思ヲ表示スルコト能ハサルトキハ他ノ一方ノ同意ノミヲ以テ足ル
3 父母共ニ知レサルトキ、死亡シタルトキ、家ヲ去リタルトキ又ハ其意思ヲ表示スルコト能ハサルトキハ未成年者ハ其後見人及ヒ親族会ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第七百七十三条 継父母又ハ嫡母カ子ノ婚姻ニ同意セサルトキハ子ハ親族会ノ同意ヲ得テ婚姻ヲ為スコトヲ得
第七百七十四条 禁治産者カ婚姻ヲ為スニハ其後見人ノ同意ヲ得ルコトヲ要セス
第七百七十五条 婚姻ハ之ヲ戸籍吏ニ届出ツルニ因リテ其効力ヲ生ス
2 前項ノ届出ハ当事者双方及ヒ成年ノ証人二人以上ヨリ口頭ニテ又ハ署名シタル書面ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス
第七百七十六条 戸籍吏ハ婚姻カ第七百四十一条第一項、第七百四十四条第一項、第七百五十条第一項、第七百五十四条第一項、第七百六十五条乃至第七百七十三条及ヒ前条第二項ノ規定其他ノ法令ニ違反セサルコトヲ認メタル後ニ非サレハ其届出ヲ受理スルコトヲ得ス但婚姻カ第七百四十一条第一項又ハ第七百五十条第一項ノ規定ニ違反スル場合ニ於テ戸籍吏カ注意ヲ為シタルニ拘ハラス当事者カ其届出ヲ為サント欲スルトキハ此限ニ在ラス
第七百七十七条 外国ニ在ル日本人間ニ於テ婚姻ヲ為サント欲スルトキハ其国ニ駐在スル日本ノ公使又ハ領事ニ其届出ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ前二条ノ規定ヲ準用ス
第八百二十条 妻カ婚姻中ニ懐胎シタル子ハ夫ノ子ト推定ス
婚姻成立ノ日ヨリ二百日後又ハ婚姻ノ解消若クハ取消ノ日ヨリ三百日内ニ生レタル子ハ婚姻中ニ懐胎シタルモノト推定ス
第八百二十一条 第七百六十七条第一項?ノ規定ニ違反シテ再婚ヲ為シタル女カ分娩シタル場合ニ於テ前条ノ規定ニ依リ其子ノ父ヲ定ムルコト能ハサルトキハ裁判所之ヲ定ム
第八百二十二条 第八百二十条ノ場合ニ於テ夫ハ子ノ嫡出ナルコトヲ否認スルコトヲ得
第八百三十七条 成年ニ達シタル者ハ養子ヲ為スコトヲ得
第八百三十八条 尊属又ハ年長者ハ之ヲ養子ト為スコトヲ得ス
第八百三十九条 法定ノ推定家督相続人タル男子アル者ハ男子ヲ養子ト為スコトヲ得ス但女婿ト為ス為メニスル場合ハ此限ニ在ラス
第八百四十条 後見人ハ被後見人ヲ養子ト為スコトヲ得ス其任務カ終了シタル後未タ管理ノ計算ヲ終ハラサル間亦同シ
2 前項ノ規定ハ第八百四十八条ノ場合ニハ之ヲ適用セス
第八百四十一条 配偶者アル者ハ其配偶者ト共ニスルニ非サレハ縁組ヲ為スコトヲ得ス
2 夫婦ノ一方カ他ノ一方ノ子ヲ養子ト為スニハ他ノ一方ノ同意ヲ得ルヲ以テ足ル
第八百四十二条 前条第一項ノ場合ニ於テ夫婦ノ一方カ其意思ヲ表示スルコト能ハサルトキハ他ノ一方ハ双方ノ名義ヲ以テ縁組ヲ為スコトヲ得
第八百四十三条 養子ト為ルヘキ者カ十五年未満ナルトキハ其家ニ在ル父母之ニ代ハリテ縁組ノ承諾ヲ為スコトヲ得
継父母又ハ嫡母カ前項ノ承諾ヲ為スニハ親族会ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第八百四十四条 成年ノ子カ養子ヲ為シ又ハ満十五年以上ノ子カ養子ト為ルニハ其家ニ在ル父母ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第八百四十五条 縁組又ハ婚姻ニ因リテ他家ニ入リタル者カ更ニ養子トシテ他家ニ入ラント欲スルトキハ実家ニ在ル父母ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス但妻カ夫ニ随ヒテ他家ニ入ルハ此限ニ在ラス
第八百四十六条 第七百七十二条第二項及ヒ第三項ノ規定ハ前三条ノ場合ニ之ヲ準用ス
2 第七百七十三条ノ規定ハ前二条ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八百四十八条 養子ヲ為サント欲スル者ハ遺言ヲ以テ其意思ヲ表示スルコトヲ得此場合ニ於テハ遺言執行者、養子ト為ルヘキ者又ハ第八百四十三条ノ規定ニ依リ之ニ代ハリテ承諾ヲ為シタル者及ヒ成年ノ証人二人以上ヨリ遺言カ効力ヲ生シタル後遅滞ナク縁組ノ届出ヲ為スコトヲ要ス
2 前項ノ届出ハ養親ノ死亡ノ時ニ遡リテ其効力ヲ生ス
第八百四十九条 戸籍吏ハ縁組カ第七百四十一条第一項、第七百四十四条第一項、第七百五十条第一項及ヒ前十二条ノ規定其他ノ法令ニ違反セサルコトヲ認メタル後ニ非サレハ其届出ヲ受理スルコトヲ得ス
2 第七百七十六条但書ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八百五十条 外国ニ在ル日本人間ニ於テ縁組ヲ為サント欲スルトキハ其国ニ駐在スル日本ノ公使又ハ領事ニ其届出ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ第七百七十五条及ヒ前二条ノ規定ヲ準用ス
第八百五十一条 縁組ハ左ノ場合ニ限リ無効トス
一 人違其他ノ事由ニ因リ当事者間ニ縁組ヲ為ス意思ナキトキ
二 当事者カ縁組ノ届出ヲ為ササルトキ但其届出カ第七百七十五条第二項及ヒ第八百四十八条第一項ニ掲ケタル条件ヲ欠クニ止マルトキハ縁組ハ之カ為メニ其効力ヲ妨ケラルルコトナシ
第八百五十二条 縁組ハ後七条ノ規定ニ依ルニ非サレハ之ヲ取消スコトヲ得ス
第八百五十三条 第八百三十七条ノ規定ニ違反シタル縁組ハ養親又ハ其法定代理人ヨリ其取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但養親カ成年ニ達シタル後六个月ヲ経過シ又ハ追認ヲ為シタルトキハ此限ニ在ラス
第八百五十四条 第八百三十八条又ハ第八百三十九条ノ規定ニ違反シタル縁組ハ各当事者、其戸主又ハ親族ヨリ其取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
第八百五十五条 第八百四十条ノ規定ニ違反シタル縁組ハ養子又ハ其実方ノ親族ヨリ其取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但管理ノ計算カ終ハリタル後養子カ追認ヲ為シ又ハ六个月ヲ経過シタルトキハ此限ニ在ラス
2 追認ハ養子カ成年ニ達シ又ハ能力ヲ回復シタル後之ヲ為スニ非サレハ其効ナシ
3 養子カ成年ニ達セス又ハ能力ヲ回復セサル間ニ管理ノ計算カ終ハリタル場合ニ於テハ第一項但書ノ期間ハ養子カ成年ニ達シ又ハ能力ヲ回復シタル時ヨリ之ヲ起算ス
本法其他ノ法令ノ規定ニ依リ親族会ヲ開クヘキ場合ニ於テハ会議ヲ要スル事件ノ本人、戸主、親族、後見人、後見監督人、保佐人、検事又ハ利害関係人ノ請求ニ因リ裁判所之ヲ招集ス
親族会員ハ三人以上トシ親族其他本人又ハ其家ニ縁故アル者ノ中ヨリ裁判所之ヲ選定ス
後見人ヲ指定スルコトヲ得ル者ハ遺言ヲ以テ親族会員ヲ選定スルコトヲ得
遠隔ノ地ニ居住スル者其他正当ノ事由アル者ハ親族会員タルコトヲ辞スルコトヲ得
後見人、後見監督人及ヒ保佐人ハ親族会員タルコトヲ得ス
第九百八条ノ規定ハ親族会員ニ之ヲ準用ス
親族会ノ議事ハ会員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
会員ハ自己ノ利害ニ関スル議事ニ付キ表決ノ数ニ加ハルコトヲ得ス
本人、戸主、家ニ在ル父母、配偶者、本家並ニ分家ノ戸主、後見人、後見監督人及ヒ保佐人ハ親族会ニ於テ其意見ヲ述フルコトヲ得
親族会ノ招集ハ前項ニ掲ケタル者ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス
無能力者ノ為メニ設ケタル親族会ハ其者ノ無能力ノ止ムマテ継続ス此親族会ハ最初ノ招集ノ場合ヲ除ク外本人、其法定代理人、後見監督人、保佐人又ハ会員之ヲ招集ス
親族会ニ欠員ヲ生シタルトキハ会員ハ補欠員ノ選定ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ要ス
親族会ノ決議ニ対シテハ一个月内ニ会員又ハ第九百四十四条ニ掲ケタル者ヨリ其不服ヲ裁判所ニ訴フルコトヲ得
親族会カ決議ヲ為スコト能ハサルトキハ会員ハ其決議ニ代ハルヘキ裁判ヲ為スコトヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
第六百四十四条ノ規定ハ親族会員ニ之ヲ準用ス
直系血族及ヒ兄弟姉妹ハ互ニ扶養ヲ為ス義務ヲ負フ
夫婦ノ一方ト他ノ一方ノ直系尊属ニシテ其家ニ在ル者トノ間亦同シ
扶養ノ義務ヲ負フ者数人アル場合ニ於テハ其義務ヲ履行スヘキ者ノ順序左ノ如シ
第一 配偶者 第二 直系卑属 第三 直系尊属 第四 戸主 第五 前条第二項ニ掲ケタル者 第六 兄弟姉妹
直系卑属又ハ直系尊属ノ間ニ於テハ其親等ノ最モ近キ者ヲ先ニス前条第二項ニ掲ケタル直系尊属間亦同シ
同順位ノ扶養義務者数人アルトキハ各其資力ニ応シテ其義務ヲ分担ス但家ニ在ル者ト家ニ在ラサル者トノ間ニ於テハ家ニ在ル者先ツ扶養ヲ為スコトヲ要ス
扶養ヲ受クル権利ヲ有スル者数人アル場合ニ於テ扶養義務者ノ資力カ其全員ヲ扶養スルニ足ラサルトキハ扶養義務者ハ左ノ順序ニ従ヒ扶養ヲ為スコトヲ要ス
第一 直系尊属 第二 直系卑属 第三 配偶者 第四 第九百五十四条第二項ニ掲ケタル者 第五 兄弟姉妹 第六 前五号ニ掲ケタル者ニ非サル家族
第九百五十五条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
同順位ノ扶養権利者数人アルトキハ各其需要ニ応シテ扶養ヲ受クルコトヲ得
第九百五十六条但書ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
扶養ノ義務ハ扶養ヲ受クヘキ者カ自己ノ資産又ハ労務ニ依リテ生活ヲ為スコト能ハサルトキニノミ存在ス自己ノ資産ニ依リテ教育ヲ受クルコト能ハサルトキ亦同シ
兄弟姉妹間ニ在リテハ扶養ノ義務ハ扶養ヲ受クル必要カ之ヲ受クヘキ者ノ過失ニ因ラスシテ生シタルトキニノミ存在ス但扶養義務者カ戸主ナルトキハ此限ニ在ラス
扶養ノ程度ハ扶養権利者ノ需要ト扶養義務者ノ身分及ヒ資力トニ依リテ之ヲ定ム
扶養義務者ハ其選択ニ従ヒ扶養権利者ヲ引取リテ之ヲ養ヒ又ハ之ヲ引取ラスシテ生活ノ資料ヲ給付スルコトヲ要ス但正当ノ事由アルトキハ裁判所ハ扶養権利者ノ請求ニ因リ扶養ノ方法ヲ定ムルコトヲ得
扶養ノ程度又ハ方法カ判決ニ因リテ定マリタル場合ニ於テ其判決ノ根拠ト為リタル事情ニ変更ヲ生シタルトキハ当事者ハ其判決ノ変更又ハ取消ヲ請求スルコトヲ得
扶養ヲ受クル権利ハ之ヲ処分スルコトヲ得ス
家督相続ハ左ノ事由ニ因リテ開始ス
一 戸主ノ死亡、隠居又ハ国籍喪失
二 戸主カ婚姻又ハ養子縁組ノ取消ニ因リテ其家ヲ去リタルトキ
三 女戸主ノ入夫婚姻又ハ入夫ノ離婚
家督相続ハ被相続人ノ住所ニ於テ開始ス
家督相続回復ノ請求権ハ家督相続人又ハ其法定代理人カ相続権侵害ノ事実ヲ知リタル時ヨリ五年間之ヲ行ハサルトキハ時効ニ因リテ消滅ス相続開始ノ時ヨリ二十年ヲ経過シタルトキ亦同シ
相続財産ニ関スル費用ハ其財産中ヨリ之ヲ支弁ス但家督相続人ノ過失ニ因ルモノハ此限ニ在ラス
前項ニ掲ケタル費用ハ遺留分権利者カ贈与ノ減殺ニ因リテ得タル財産ヲ以テ之ヲ支弁スルコトヲ要セス
胎児ハ家督相続ニ付テハ既ニ生マレタルモノト看做ス
前項ノ規定ハ胎児カ死体ニテ生マレタルトキハ之ヲ適用セス
左ニ掲ケタル者ハ家督相続人タルコトヲ得ス
一 故意ニ被相続人又ハ家督相続ニ付キ先順位ニ在ル者ヲ死ニ致シ又ハ死ニ致サントシタル為メ刑ニ処セラレタル者
二 被相続人ノ殺害セラレタルコトヲ知リテ之ヲ告発又ハ告訴セサリシ者但其者ニ是非ノ弁別ナキトキ又ハ殺害者カ自己ノ配偶者若クハ直系血族ナリシトキハ此限ニ在ラス
三 詐欺又ハ強迫ニ因リ被相続人カ相続ニ関スル遺言ヲ為シ、之ヲ取消シ又ハ之ヲ変更スルコトヲ妨ケタル者
四 詐欺又ハ強迫ニ因リ被相続人ヲシテ相続ニ関スル遺言ヲ為サシメ、之ヲ取消サシメ又ハ之ヲ変更セシメタル者
五 相続ニ関スル被相続人ノ遺言書ヲ偽造、変造、毀滅又ハ蔵匿シタル者
被相続人ノ家族タル直系卑属ハ左ノ規定ニ従ヒ家督相続人ト為ル
一 親等ノ異ナリタル者ノ間ニ在リテハ其近キ者ヲ先ニス
二 親等ノ同シキ者ノ間ニ在リテハ男ヲ先ニス
三 親等ノ同シキ男又ハ女ノ間ニ在リテハ嫡出子ヲ先ニス
四 親等ノ同シキ嫡出子、庶子及ヒ私生子ノ間ニ在リテハ嫡出子及ヒ庶子ハ女ト雖モ之ヲ私生子ヨリ先ニス
五 前四号ニ掲ケタル事項ニ付キ相同シキ者ノ間ニ在リテハ年長者ヲ先ニス
第八百三十六条ノ規定ニ依リ又ハ養子縁組ニ因リテ嫡出子タル身分ヲ取得シタル者ハ家督相続ニ付テハ其嫡出子タル身分ヲ取得シタル時ニ生マレタルモノト看做ス
前条ノ規定ハ第七百三十六条ノ適用ヲ妨ケス
第七百三十七条及ヒ第七百三十八条ノ規定ニ依リテ家族ト為リタル直系卑属ハ嫡出子又ハ庶子タル他ノ直系卑属ナキ場合ニ限リ第九百七十条ニ定メタル順序ニ従ヒテ家督相続人ト為ル
法定ノ推定家督相続人ハ其姉妹ノ為メニスル養子縁組ニ因リテ其相続権ヲ害セラルルコトナシ
第九百七十条及ヒ第九百七十二条ノ規定ニ依リテ家督相続人タルヘキ者カ家督相続ノ開始前ニ死亡シ又ハ其相続権ヲ失ヒタル場合ニ於テ其者ニ直系卑属アルトキハ其直系卑属ハ第九百七十条及ヒ第九百七十二条ニ定メタル順序ニ従ヒ其者ト同順位ニ於テ家督相続人ト為ル
法定ノ推定家督相続人ニ付キ左ノ事由アルトキハ被相続人ハ其推定家督相続人ノ廃除ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
一 被相続人ニ対シテ虐待ヲ為シ又ハ之ニ重大ナル侮辱ヲ加ヘタルコト
二 疾病其他身体又ハ精神ノ状況ニ因リ家政ヲ執ルニ堪ヘサルヘキコト
三 家名ニ汚辱ヲ及ホスヘキ罪ニ因リテ刑ニ処セラレタルコト
四 浪費者トシテ準禁治産ノ宣告ヲ受ケ改悛ノ望ナキコト
此他正当ノ事由アルトキハ被相続人ハ親族会ノ同意ヲ得テ其廃除ヲ請求スルコトヲ得
被相続人カ遺言ヲ以テ推定家督相続人ヲ廃除スル意思ヲ表示シタルトキハ遺言執行者ハ其遺言カ効力ヲ生シタル後遅滞ナク裁判所ニ廃除ノ請求ヲ為スコトヲ要ス此場合ニ於テ廃除ハ被相続人ノ死亡ノ時ニ遡リテ其効力ヲ生ス
推定家督相続人廃除ノ原因止ミタルトキハ被相続人又ハ推定家督相続人ハ廃除ノ取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
第九百七十五条第一項第一号ノ場合ニ於テハ被相続人ハ何時ニテモ廃除ノ取消ヲ請求スルコトヲ得
前二項ノ規定ハ相続開始ノ後ハ之ヲ適用セス
前条ノ規定ハ廃除ノ取消ニ之ヲ準用ス
推定家督相続人ノ廃除又ハ其取消ノ請求アリタル後其裁判確定前ニ相続カ開始シタルトキハ裁判所ハ親族、利害関係人又ハ検事ノ請求ニ因リ戸主権ノ行使及ヒ遺産ノ管理ニ付キ必要ナル処分ヲ命スルコトヲ得廃除ノ遺言アリタルトキ亦同シ
裁判所カ管理人ヲ選任シタル場合ニ於テハ第二十七条乃至第二十九条ノ規定ヲ準用ス
法定ノ推定家督相続人ナキトキハ被相続人ハ家督相続人ヲ指定スルコトヲ得此指定ハ法定ノ推定家督相続人アルニ至リタルトキハ其効力ヲ失フ
家督相続人ノ指定ハ之ヲ取消スコトヲ得
前二項ノ規定ハ死亡又ハ隠居ニ因ル家督相続ノ場合ニノミ之ヲ適用ス
家督相続人ノ指定及ヒ其取消ハ之ヲ戸籍吏ニ届出ツルニ因リテ其効力ヲ生ス
被相続人カ遺言ヲ以テ家督相続人ノ指定又ハ其取消ヲ為ス意思ヲ表示シタルトキハ遺言執行者ハ其遺言カ効力ヲ生シタル後遅滞ナク之ヲ戸籍吏ニ届出ツルコトヲ要ス此場合ニ於テ指定又ハ其取消ハ被相続人ノ死亡ノ時ニ遡リテ其効力ヲ生ス
法定又ハ指定ノ家督相続人ナキ場合ニ於テ其家ニ被相続人ノ父アルトキハ父、父アラサルトキ又ハ父カ其意思ヲ表示スルコト能ハサルトキハ母、父母共ニアラサルトキ又ハ其意思ヲ表示スルコト能ハサルトキハ親族会ハ左ノ順序ニ従ヒ家族中ヨリ家督相続人ヲ選定ス
第一 配偶者但家女ナルトキ
第二 兄弟
第三 姉妹
第四 第一号ニ該当セサル配偶者
第五 兄弟姉妹ノ直系卑属
家督相続人ヲ選定スヘキ者ハ正当ノ事由アル場合ニ限リ裁判所ノ許可ヲ得テ前条ニ掲ケタル順序ヲ変更シ又ハ選定ヲ為ササルコトヲ得
第九百八十二条ノ規定ニ依リテ家督相続人タル者ナキトキハ家ニ在ル直系尊属中親等ノ最モ近キ者家督相続人ト為ル但親等ノ同シキ者ノ間ニ在リテハ男ヲ先ニス
前条ノ規定ニ依リテ家督相続人タル者ナキトキハ親族会ハ被相続人ノ親族、家族、分家ノ戸主又ハ本家若クハ分家ノ家族中ヨリ家督相続人ヲ選定ス
前項ニ掲ケタル者ノ中ニ家督相続人タルヘキ者ナキトキハ親族会ハ他人ノ中ヨリ之ヲ選定ス
親族会ハ正当ノ事由アル場合ニ限リ前二項ノ規定ニ拘ハラス裁判所ノ許可ヲ得テ他人ヲ選定スルコトヲ得
被相続人ノ直系卑属ハ左ノ規定ニ従ヒ遺産相続人ト為ル
一 親等ノ異ナリタル者ノ間ニ在リテハ其近キ者ヲ先ニス
二 親等ノ同シキ者ハ同順位ニ於テ遺産相続人ト為ル
前条ノ規定ニ依リテ遺産相続人タルヘキ者カ相続ノ開始前ニ死亡シ又ハ其相続権ヲ失ヒタル場合ニ於テ其者ニ直系卑属アルトキハ其直系卑属ハ前条ノ規定ニ従ヒ其者ト同順位ニ於テ遺産相続人ト為ル
前二条ノ規定ニ依リテ遺産相続人タルヘキ者ナキ場合ニ於テ遺産相続ヲ為スヘキ者ノ順位左ノ如シ
第一 配偶者 第二 直系尊属 第三 戸主
前項第二号ノ場合ニ於テハ第九百九十四条ノ規定ヲ準用ス
左ニ掲ケタル者ハ遺産相続人タルコトヲ得ス
一 故意ニ被相続人又ハ遺産相続ニ付キ先順位若クハ同順位ニ在ル者ヲ死ニ致シ又ハ死ニ致サントシタル為メ刑ニ処セラレタル者
二 第九百六十九条第二号乃至第五号ニ掲ケタル者
遺留分ヲ有スル推定遺産相続人カ被相続人ニ対シテ虐待ヲ為シ又ハ之ニ重大ナル侮辱ヲ加ヘタルトキハ被相続人ハ其推定遺産相続人ノ廃除ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
被相続人ハ何時ニテモ推定遺産相続人廃除ノ取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
第九百七十六条及ヒ第九百七十八条ノ規定ハ推定遺産相続人ノ廃除及ヒ其取消ニ之ヲ準用ス
遺産相続人ハ相続開始ノ時ヨリ被相続人ノ財産ニ属セシ一切ノ権利義務ヲ承継ス但被相続人ノ一身ニ専属セシモノハ此限ニ在ラス
遺産相続人数人アルトキハ相続財産ハ其共有ニ属ス
各共同相続人ハ其相続分ニ応シテ被相続人ノ権利義務ヲ承継ス
同順位ノ相続人数人アルトキハ其各自ノ相続分ハ相均シキモノトス但直系卑属数人アルトキハ庶子及ヒ私生子ノ相続分ハ嫡出子ノ相続分ノ二分ノ一トス
第九百九十五条ノ規定ニ依リテ相続人タル直系卑属ノ相続分ハ其直系尊属カ受クヘカリシモノニ同シ但直系卑属数人アルトキハ其各自ノ直系尊属カ受クヘカリシ部分ニ付キ前条ノ規定ニ従ヒテ其相続分ヲ定ム
被相続人ハ前二条ノ規定ニ拘ハラス遺言ヲ以テ共同相続人ノ相続分ヲ定メ又ハ之ヲ定ムルコトヲ第三者ニ委託スルコトヲ得但被相続人又ハ第三者ハ遺留分ニ関スル規定ニ違反スルコトヲ得ス
被相続人カ共同相続人中ノ一人若クハ数人ノ相続分ノミヲ定メ又ハ之ヲ定メシメタルトキハ他ノ共同相続人ノ相続分ハ前二条ノ規定ニ依リテ之ヲ定ム
共同相続人中被相続人ヨリ遺贈ヲ受ケ又ハ婚姻、養子縁組、分家、廃絶家再興ノ為メ若クハ生計ノ資本トシテ贈与ヲ受ケタル者アルトキハ被相続人カ相続開始ノ時ニ於テ有セシ財産ノ価額ニ其贈与ノ価額ヲ加ヘタルモノヲ相続財産ト看做シ前三条ノ規定ニ依リテ算定シタル相続分ノ中ヨリ其遺贈又ハ贈与ノ価額ヲ控除シ其残額ヲ以テ其者ノ相続分トス
遺贈又ハ贈与ノ価額カ相続分ノ価額ニ等シク又ハ之ニ超ユルトキハ受遺者又ハ受贈者ハ其相続分ヲ受クルコトヲ得ス
被相続人カ前二項ノ規定ニ異ナリタル意思ヲ表示シタルトキハ其意思表示ハ遺留分ニ関スル規定ニ反セサル範囲内ニ於テ其効力ヲ有ス
前条ニ掲ケタル贈与ノ価額ハ受贈者ノ行為ニ因リ其目的タル財産カ滅失シ又ハ其価格ノ増減アリタルトキト雖モ相続開始ノ当時仍ホ原状ニテ存スルモノト看做シテ之ヲ定ム
共同相続人ノ一人カ分割前ニ其相続分ヲ第三者ニ譲渡シタルトキハ他ノ共同相続人ハ其価額及ヒ費用ヲ償還シテ其相続分ヲ譲受クルコトヲ得
前項ニ定メタル権利ハ一个月内ニ之ヲ行使スルコトヲ要ス
被相続人ハ遺言ヲ以テ分割ノ方法ヲ定メ又ハ之ヲ定ムルコトヲ第三者ニ委託スルコトヲ得
被相続人ハ遺言ヲ以テ相続開始ノ時ヨリ五年ヲ超エサル期間内分割ヲ禁スルコトヲ得
遺産ノ分割ハ相続開始ノ時ニ遡リテ其効力ヲ生ス
各共同相続人ハ相続開始前ヨリ存スル事由ニ付キ他ノ共同相続人ニ対シ売主ト同シク其相続分ニ応シテ担保ノ責ニ任ス
法定家督相続人タル直系卑属ハ遺留分トシテ被相続人ノ財産ノ半額ヲ受ク
此他ノ家督相続人ハ遺留分トシテ被相続人ノ財産ノ三分ノ一ヲ受ク
遺産相続人タル直系卑属ハ遺留分トシテ被相続人ノ財産ノ半額ヲ受ク
遺産相続人タル配偶者又ハ直系尊属ハ遺留分トシテ被相続人ノ財産ノ三分ノ一ヲ受ク