ヘロドトス「歴史」第66章

The Origin of Human Society

ヘロドトス「歴史」第66章

οὕτω μὲν μεταβαλόντες εὐνομήθησαν, τῷ δὲ Λυκούργῳτελευτήσαντι ἱρὸν εἱσάμενοι σέβονται μεγάλως. οἷα δὲ ἐν τεχώρῃ ἀγαθῇ καὶ πλήθεϊ οὐκ ὀλίγων ἀνδρῶν, ἀνά τε ἔδραμοναὐτίκα καὶ εὐθηνήθησαν, καὶ δή σφι οὐκέτι ἀπέχρα ἡσυχίηνἄγειν, ἀλλὰ καταφρονήσαντες Ἀρκάδων κρέσσονες εἶναιἐχρηστηριάζοντο ἐν Δελφοῖσι ἐπὶ πάσῃ τῇ Ἀρκάδων χωρῇ.

「このようにして彼ら(スパルタ人)は改革を行い、良い法を確立しました。そしてリュクルゴスが亡くなった後、彼を神殿に祭り、偉大に崇拝しています。そして、彼らは豊かな土地と少なくない人々を持っていたため、すぐに繁栄し、富を得ました。そして、もはや静かに過ごすことに満足せず、アルカディア人を軽視して自分たちが彼らよりも優れていると考え、デルフォイの神託でアルカディア全土を支配しようと相談しました。」


この文では、スパルタが改革によって繁栄し、次第に力を増して他のギリシャの都市国家(特にアルカディア)に対して支配的になろうとする様子が描かれています。

ἡ δὲ Πυθίη σφι χρᾷ τάδε.

Ἀρκαδίην μʼ αἰτεῖς· μέγα μʼ αἰτεῖς· οὐ τοι δώσω.

πολλοὶ ἐν Ἀρκαδίῃ βαλανηφάγοι ἄνδρες ἔασιν,

οἵ σʼ ἀποκωλύσουσιν. ἐγὼ δὲ τοι οὔτι μεγαίρω·

δώσω τοί Τεγέην ποσσίκροτον ὀρχήσασθαι

καὶ καλὸν πεδίον σχοίνῳ διαμετρήσασθαι.

「ピューティア(デルフォイの巫女)は彼らに次のような神託を告げました。

『アルカディアを求めるのか、大きなものを求めるな。私はそれをお前には与えない。
アルカディアには多くのドングリを食べる男たちがいて、お前を阻むだろう。
だが私はお前を拒まない。
お前にテゲアで足踏みしながら踊ることと、縄で美しい平原を測ることを許そう。』」


この神託では、スパルタ人がアルカディア全土を手に入れることはできないが、特定の地域(テゲア)において一定の支配や影響力を得ることができるというメッセージが含まれています。

ταῦτα ὡς ἀπενειχθέντα ἤκουσαν οἱ Λακεδαιμόνιοι,Ἀρκάδωνμὲν τῶν ἄλλων ἀπείχοντο, οἳ δὲ πέδας φερόμενοι ἐπὶ Τεγεήταςἐστρατεύοντο, χρησμῷ κιβδήλῳ πίσυνοι, ὡς δὴἐξανδραποδιούμενοι τοὺς Τεγεήτας.

「これらの神託が伝えられると、ラケダイモン人(スパルタ人)はそれを聞き、他のアルカディア人たちには手を出さず、鎖を持ってテゲア人に対して遠征を行いました。彼らは偽りの神託を信じ込み、テゲア人を奴隷にするつもりでいました。」


この文では、スパルタ人がデルフォイの神託を誤解し、テゲアに対して遠征を行ったことが述べられています。彼らは神託を盲信し、テゲア人を征服しようとしましたが、その信念が誤ったものであったことが示唆されています。

ἑσσωθέντες δὲ τῇ συμβολῇ, ὅσοι αὐτῶν ἐζωγρήθησαν, πέδαςτε ἔχοντες τὰς ἐφέροντο αὐτοὶ καὶ σχοίνῳ διαμετρησάμενοι τὸπεδίον τὸ Τεγεητέων ἐργάζοντο. αἱ δὲ πέδαι αὗται ἐν τῇσιἐδεδέατο ἔτι καὶ ἐς ἐμὲ ἦσαν σόαι ἐν Τεγέῃ περὶ τὸν νηὸν τῆςἈλέης Ἀθηναίης κρεμάμεναι.

戦いに敗れた後、彼らのうち捕虜となった者たちは、足枷をつけられ、自らそれを運び、テゲア人の土地を縄で測って耕作していた。その足枷は、私の時代においてもなお無傷のままで、テゲアのアレア・アテーナー神殿の周りに掛けられていた。


ある戦いで敗れた者たちは捕虜となり、足枷をつけられた状態でテゲア人の土地を測量して耕作するように強制されました。その足枷は後の時代になっても、テゲアのアレア・アテーナー神殿に無傷のまま展示されていました。

つまり、戦いに敗れた者たちが奴隷として扱われ、その痕跡が後世まで残っていたことを示しています。